JSMDレビュー
Online ISSN : 2432-6992
Print ISSN : 2432-7174
1 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
依頼論文
  • 田村 正紀
    原稿種別: 依頼論文
    2017 年 1 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/10/29
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    消費者の贅沢欲求が作り出す市場はグローバルに拡大し,その規模や成長率から見て重要な市場細分となっている。贅沢市場は海外旅行などによるモバイル消費やネット通販を伴うため,一国の地理範囲を超える国際市場でもある。その中で地理領域としての日本も,消費者としての日本人も,欧州,米国,中国と並ぶ重要な地位を占めている。

    この重要性にもかかわらず,流通・マーケティング視点からの贅沢研究は欧米でも少ない。とくに日本の研究者は寡黙である。その原因は贅沢を一つの概念変数と想定した実証研究の困難さにある。贅沢や贅沢品の明確な概念設定ができず,贅沢属性の実証結果もあまりに多様で統合できていない。一定の贅沢属性からなる贅沢概念変数を前提に実証研究を進める代わりに,経済社会ダイナミクスを背景にした出来事概念の観点から,多様な贅沢品や贅沢属性の変動そのものを解明するアプローチへの転換が必要である。

投稿論文
  • 羽藤 雅彦
    原稿種別: マーケティング
    2017 年 1 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/10/29
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    本稿の目的は,ブランド・コミュニティのメンバーがコミュニティで相互作用を行い,ブランド・コミットメントを高めるまでの影響過程を明らかにすることである。本稿により,メンバーはコミュニティで相互作用をするだけではブランド・コミットメントを高めないことがわかる。相互作用を通じてコミュニティと同一化する程度が高まることによって,ブランド・コミットメントが高まるのである。本稿では,こういった影響過程を経験的に検証している。

  • 吉田 創
    原稿種別: 流通・商業
    2017 年 1 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/10/29
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    都市間競争における商業論の分析枠組みとしてCox et al.(1965)の「都市に奉仕する産業」「都市を形成する産業」モデル,都市経済学では移出ベース理論が既存研究として挙げられる。衛星都市の労働者は雇用圏である大都市に立地する産業(企業)へ通勤してきたが,以上のCox et al.のモデルおよび都市経済学の理論では都市間の産業移転を中心に議論されており,産業従事者を消費者としたうえでの「消費者の買い物出向に伴う所得の移転」については議論されてこなかった。同時に,労働による所得と消費の循環も都市間で発生するために大都市を中心に所得が偏在することになる。そこで,衛星都市内商業の活性化のために地元資本型企業主導による小売業の発展により衛星都市内部で事業所得の循環,雇用および消費支出の増加を図り,衛星都市の内生的発展を促すことが必要不可欠であると考え,商業論の観点から新たに都市間競争の枠組みの分析を試みた。

  • 寺﨑 新一郎
    原稿種別: 消費者行動
    2017 年 1 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/10/29
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    本研究の目的は急速かつ不可逆的なグローバル化に起因する,外国に対する肯定的な消費者態度を社会的同一性理論に基づき整理した上で,消費者行動研究にとって有用な消費者アフィニティ,消費者世界志向,消費者コスモポリタニズムに焦点を当てレビューすることである。

    レビューの結果,セグメントの特徴,各態度が単独で消費者反応にもたらす効果に関する先行研究が多くみられること,他の理論との複合的な効果や,製品ではなくサービスを対象とした研究は限られていることなどが明らかになった。また,外国に対する肯定的な態度を,否定的なそれと分けて考えるのではなく,統合的に捉えることで,この研究領域に新しい理論的貢献が期待できることが示唆された。

  • 水越 康介, 日高 優一郎
    原稿種別: マーケティング
    2017 年 1 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/10/29
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    本稿では,ソーシャル・マーケティング研究について検討し,今後の具体的な研究指針を提示する。この試みは,近年ますます注目される社会的活動において,マーケティング活動やマーケティング研究が果たす意義を明らかにするとともに,営利企業の活動にとどまらないマーケティングの可能性を示す。具体的に,本稿では,ソーシャル・マーケティングがコマーシャル・マーケティングの応用として発展し,個人の行動変革を目的とするダウンストリームに注目してきたことを確認する。その上で,近年の新たな研究として,社会変革までを見据えたアップストリームに注目するとともに,アップストリームとダウンストリームの相互依存関係に関する実証的な研究が必要とされるようになっていることを示す。

  • 岡山 武史
    原稿種別: マーケティング
    2017 年 1 巻 1 号 p. 41-48
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/10/29
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    現在の小売企業間の競争が激化する小売市場においては,小売企業のブランド化の重要性の高まりが見られる。消費者が店内で行う買い物行動について経験価値という視点で捉えた場合,小売店内の環境要因(アトモスフェリクス)の影響は大きい。本稿では,こうした小売店内における環境要因の重要性について考察するために,先行研究を整理した上で,小売企業がより良い経験価値を提供するための小売空間デザインについて,有意義な視点を導き出す。

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