JSMDレビュー
Online ISSN : 2432-6992
Print ISSN : 2432-7174
2 巻, 2 号
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投稿論文
  • 高橋 史早
    原稿種別: 一般論文
    2018 年 2 巻 2 号 p. 39-47
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/29
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    顧客満足を高めるためには品質だけでなく,顧客が知覚する価値も高めることが重要である。しかし,従来の研究では,意味的価値について様々な次元が提唱され,合意が得られていない状況にある。本稿の目的は,複数提唱されている意味的価値次元を整理し,主に小売業を対象とした顧客価値尺度を開発することにある。主要な価値モデルおよび既存の測定尺度を基に質問票を作成し,大手アパレル企業の店舗(n = 362)およびオンラインショップ(n = 181)の利用者を対象に質問紙調査を実施した。尺度開発の手続きに従って分析した結果,機能的価値として品質的価値,価格的価値,効率的価値の3次元が,意味的価値として審美的価値,娯楽的価値,認識的価値の3次元が抽出され,信頼性および妥当性が十分に高いことが確認された。本研究の貢献は,既存の次元の価値を整理したことに加え,これまで十分に捉えきれていなかった顧客の好奇心や知識欲に関する認識的価値,また視覚的な美しさに関連する審美的価値の位置づけを明確化したことにある。

  • 石澤 泉
    原稿種別: 一般
    2018 年 2 巻 2 号 p. 49-56
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/29
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    本稿では,禁煙言説の歴史的変遷を分析することを通じて,マクロ・ソーシャル・マーケティングの可能性について検討する。これまでのソーシャル・マーケティング研究では,商業マーケティングの応用はもとより,アップストリームやマーケティング・システムにまで焦点を広げた研究が考察されてきた。しかしこれらの研究では,特定の主体群が意図的に個人の態度変革や社会変革をもたらすことに焦点が当てられ,マクロな社会現象として個人の態度変革や社会変革が生じるという過程についてはあまり焦点が当てられてこなかった。本稿では,こうした課題に対し,日本における新聞記事上の禁煙言説の歴史的変遷を分析することを通じて,マクロな社会現象として個人の態度変革や社会変革を捉える意義を示す。この試みは,いずれも探索的ながら,第一に,マクロな社会現象を捉えるというマクロ・ソーシャル・マーケティングの研究視点と意義を提示するとともに,第二に,その具体的な分析手法を提示することになる。

  • 藤井 誠, 関 隆教
    原稿種別: 一般論文
    2018 年 2 巻 2 号 p. 57-63
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/10/29
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    本稿では,サービス組織における現場従業員(Front-Line Employees:FLE)のクリエイティビティがもたらす負の側面について,探索的事例研究を行う。具体的には,塚田農場の事例を通じて,FLEがクリエイティビティを発揮する顧客を選別してしまうことで,企業が当初想定していたターゲットとの乖離が生じるという現象を「クリエイティビティの意図せざる結果」と概念化することで,クリエイティビティが引き起こす負の1つの側面を見出した。今後の研究の展望として,FLEのクリエイティビティを財務成果へと着実に結びつけるには,FLEのクリエイティビティがどのような局面において財務成果に正の影響を与えるのかを深耕していく研究が必要となることを提起した。

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