音楽知覚認知研究
Online ISSN : 2434-737X
Print ISSN : 1342-856X
23 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • Charlie Parker, Lester Young, Coleman Hawkinsの比較
    井上 裕章, 吉岡 真, 井上 慎太郎, 豊川 剛二, 下川 元継
    2017 年 23 巻 1 号 p. 3-18
    発行日: 2017年
    公開日: 2022/01/05
    ジャーナル オープンアクセス
    Charlie Parker,Lester YoungおよびColeman Hawkinsの8分音符表裏拍のタイミングを波形編集ソフトを用いてパソコンで計測し比較した。拍頭に刻まれるベースに対する8分音符表拍の遅れをベース1拍の長さで除した値を遅れ値,8分音符表拍の長さをベース1拍の長さで除した値をハネ値,遅れ値とハネ値を和した値を裏拍値とすると,遅れ値と裏拍値はHawkinsからYoungを経てParkerの時代へと大きくなった。ハネ値はYoungおよびParkerはHawkinsより小さくなる傾向であった。これらが1930年代後期から1940年代中期において,スウィングジャズからビバップへの変遷期におこった8分音符のタイミングの主要な変化であろうと考えられた。また,特にParkerの大きな遅れ値は現代のモダンジャズの8分音符のタイミングにもそのまま引き継がれていると推測された。
  • 高橋 範行, 大浦 容子
    2017 年 23 巻 1 号 p. 19-34
    発行日: 2017年
    公開日: 2022/01/05
    ジャーナル オープンアクセス
    即興演奏にはリアルタイムに音楽構造を組み立てるための知識・技能が必要となる。本研究では,ジャズの即興上の指標のひとつであるハーモニーの把握において,「ジャズ音楽家はテンションハーモニーからその基本となるハーモニーを認知する技能を発達させている」という仮説を立て,クラシック音楽家との比較によって実験的に検証した。いずれの課題においても,クラシック音楽家に比べてジャズ音楽家は高いパフォーマンスを示し,仮説を裏付ける結果が得られた。またこのようなジャズ音楽家の認知技能には,ハーモニー進行の知識や,基本となるコードタイプに関連づけられたテンションコードの知識が関わっていることが示唆された。
  • 全体評定と連続評定
    正田 悠, 阪田 真己子, Williamon Aaron
    2017 年 23 巻 1 号 p. 35-55
    発行日: 2017年
    公開日: 2022/01/05
    ジャーナル オープンアクセス
    音楽演奏に対する心理的評価に,演奏者と鑑賞者が同じ時間や空間を共有する生演奏が及ぼす影響を調べた。総計110人の鑑賞者に,ヴァイオリンの生演奏あるいは録音演奏の印象について,連続評定(鑑賞中)と全体評定(鑑賞後)で評価してもらった。その結果,曲想の異なる2曲に共通して,生演奏では録音よりも全体的に高い評価がなされ,楽曲の感情的ニュアンスがより明確に受け取られることが示された。その一方で,連続評定の時系列変化については,生演奏では「快・不快」や「覚醒度」の評価が録音よりも抑えられたものになることが示された。このことは,生演奏鑑賞中と鑑賞後の評価が必ずしも一致しないことを示唆する。
  • 音楽への反応と心臓血管系反応の測定法
    岩永 誠, 森 数馬
    2017 年 23 巻 1 号 p. 57-68
    発行日: 2017年
    公開日: 2022/01/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文は,音楽聴取時の自律神経反応についてレビューし,特に用いられることの多い心拍数(HR)の測定と分析について概説したものである。音楽聴取時の自律神経系反応は,音楽の持つ感情価の覚醒次元に関連して変化する。刺激的な音楽では交感神経活動が活性化し,鎮静的な音楽では副交感神経活動が活性化する傾向にある。また鳥肌感といった強い感情には交感神経活動が関係している。音楽聴取研究で用いられることの多い自律神経系指標であるHR は,反応水準や時系列変化,心拍変動(HRV)による分析がなされている。本論文では,特にHRV の周波数領域解析と時間領域解析の指標化について概説した。研究の目的に応じて指標を選択し,分析することが大切である。
feedback
Top