音楽知覚認知研究
Online ISSN : 2434-737X
Print ISSN : 1342-856X
9 巻, 1 号
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  • 高瀬 瑛子, 大串 健吾
    2003 年 9 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2003年
    公開日: 2020/05/13
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,記譜された楽曲の音符がどのようなタイミングで演奏されるかを調べるための実験研究を行った。J. S. バッハの旋律の一部の原曲および原曲の小節線の位置を変更した3楽曲の計4楽曲を12人のピアニストが演奏した音の打鍵時間間隔(IOI)を対象とした分析を行った。その結果は次のように要約できる。1)音価が変わりかつ音高が跳躍(3度以上変化)した場合,変化直前の音と変化直後の音のIOIは,変化直後の音と次の音のIOIに比べて長くなる,2)たとえ音価が変わらずかつ音高が跳躍しない場合でも,小節の最後の音と次の小節の最初の音とのIOIは,次の小節の最初の音とその次の音のIOIよりも,長くなる傾向がある,3)たとえ音価が変わらずかつ音高が跳躍しない場合でも,前半の半小節(3/4拍子を除く)の最後の音と後半の半小節の最初の音のIOIは,後半の半小節の最初の音とその次の音のIOIよりも長くなる傾向がある。すなわち,演奏者は曲の旋律的構造,小節線の位置や拍節的構造に応じて,IOIをわずかに長くすることで群化を促進していることが示された。
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