音楽知覚認知研究
Online ISSN : 2434-737X
Print ISSN : 1342-856X
21 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 劉 沙紀, 矢萩 徹, 大西 英治, 岩宮 眞一郎
    2015 年 21 巻 2 号 p. 73-86
    発行日: 2015年
    公開日: 2022/01/12
    ジャーナル オープンアクセス
    市販の映像作品の一部を用いて音楽と映像それぞれの印象と調和感の連続測定実験を行い,調和感が形成される心的過程についての検討を行った。本研究で用いた視聴覚刺激においては,類似した印象の音楽と映像が組み合わされ,高い調和感が形成されていた。このような調和感は,意味的調和と言われている。異なる作品の音楽と映像を組み合わせても,音楽と映像の印象は類似せず,意味的調和は形成されない。意味的調和は,音楽と映像の印象を感知した後に形成されるので,形成にある程度の時間がかかる。しかし,一旦調和感が形成されると,音楽と映像の印象の類似性が弱まっても,調和感は持続する。また,映像の展開に合わせて,次第に調和感が上昇する。
  • 劉 沙紀, 孫 陶洋子, 蔡 祺, 岩宮 眞一郎
    2015 年 21 巻 2 号 p. 87-100
    発行日: 2015年
    公開日: 2022/01/12
    ジャーナル オープンアクセス
    音楽と画像の調和感に関する文脈効果を明らかにするために,「陽気な」あるいは「陰気な」印象の音楽と画像を用いて調和感の評定実験を行った。連続した2場面よりなる視聴覚刺激において,両場面とも音楽と画像の印象が類似し,両方の印象とも一貫している場合には,後半に呈示した場面の調和感が高まった。2場面とも,音楽と画像の印象が反対の刺激においては,後半に呈示された場面の不調和感が和らいだ。音楽と画像の印象が一貫している場合には,不調和感の緩和効果がより顕著だった。音楽と画像の印象が類似している場面と反対である場面の組み合わせでは,後半に呈示された類似している場面の調和感,反対である場面の不調和感が抑制された。
  • 山﨑 瑞己, 三浦 雅展
    2015 年 21 巻 2 号 p. 101-112
    発行日: 2015年
    公開日: 2022/01/12
    ジャーナル オープンアクセス
    ポピュラー音楽を対象として,Eigenmusic 法を用いたアンサンブル譜の自動編曲手法を提案する。MIDI 楽曲をメロディ,ベースまたはバッキングに分類し,大量の MIDI 楽曲からバッキングのみ抽出し,その特徴となる Eigenphrase of backing を取得する。Eigenphrase of backing を用いて編曲対象の MIDI 楽曲に含まれるトラックを分類することで,編曲に用いるべき適切なフレーズを抽出することができるようになり,抽出に基づく自動編曲法が実現されている。評価実験の結果,Eigenphrase of backing を用いない対象条件と比較して,より自然な編曲が実現された。
  • 永田 喜子, 岩永 誠
    2015 年 21 巻 2 号 p. 113-122
    発行日: 2015年
    公開日: 2022/01/12
    ジャーナル オープンアクセス
    周囲を忘れる程音楽にのめり込む状態は没入と表現され,強烈な情動体験との関連が指摘されている。本研究は,個人の音楽への没入傾向を測定する尺度を作成し,信頼性と妥当性を検討した。音楽聴取で生じる感覚や感情に関する表現を収集し,3 因子(時間・周囲の忘却,没頭融合,音響への注意)19 項目から成る音楽没入傾向尺度を作成した。約 1 ヶ月後に実施した再検査法による各因子の相関係数は .60-.62 と比較的高く,十分な信頼性を示した。既存尺度(日本語版 IIIと CEQ-J)と中程度の相関(rs=.43-.49)を示し,基準関連妥当性が確認できた。音楽聴取時の没入を調べた結果,没入傾向高群は低群よりも有意に音楽に没入し(t(39)=4.21, p < .001),尺度の予測的妥当性も確認できた。
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