埼玉理学療法
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11 巻, 1 号
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講座
  • ─種々の条件による筋の変化および筋萎縮とその対応について─
    猪股 高志
    2004 年11 巻1 号 p. 2-11
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/04/29
    ジャーナル フリー
  • 大渕 修一
    2004 年11 巻1 号 p. 12-18
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/04/29
    ジャーナル フリー
    医療費削減を目的としてエビデンスベースドメディシンを理学療法に適応することは、多くの患者を失う危険性をはらんでいる。障害は治らないから障害なのであり、障害を対象とする理学療法はもともと分が悪い。障害を持った患者が、新しい自分に向き合うためにも従来のオーダーメードの理学療法サービスは守らなければいけない。しかし、一方では少子高齢化社会による医療費や介護保険費用など社会保障費の増大を防ぐことも必要である。この両者の必要を満足するのが、介護予防である。介護を必要とすることがないように、予防することができれば、従来の理学療法の枠は守られる。理学療法士は、障害の特性を理解し、介護予防における具体的な提案をする社会的な役割があるだろう。
研究と報告
  • 新井 恒雄, 佐藤 昭彦, 岡本 高志, 菊地 英文, 加藤 弘卓, 財前 知典, 中野 真依子, 鈴木 陽介, 中村 浩明, 小澤 俊行, ...
    2004 年11 巻1 号 p. 19-22
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/04/29
    ジャーナル フリー
    本研究は足関節背屈筋力と体重の関連や、体重から筋力が推定できるか否かについて検討することを目的とした。対象者は足部に既往のない健常者30名とし、足関節背屈筋力をHand-Held Dynamometerにて計測、体重との関係を分析した。その結果、足関節背屈筋力と体重の間には、有意な正の相関が認められた(r=0.64、p<0.001)。また、体重から筋力が推定できる可能性が示された(y=0.2895x+1.2352)。体重と筋力が相関することは、重心線と足部・足関節の機能解剖によるもので、体重により増加する底屈モーメントに応じて背屈筋力も増加すると考えた。このことから、体重より足関節背屈筋力が推定され、評価を実施する際の指標を提示することができ、同時に体重を考慮した評価の重要性が示唆された。
  • 安藤 正志
    2004 年11 巻1 号 p. 23-28
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/04/29
    ジャーナル フリー
    本邦においては、これまでMcKenzie法に基づいた腰痛診断の調査がなされていない。そこで今回、McKenzie法に基づいた腰痛症の構造的診断分類の分布を知ることを目的として疫学的調査を実施した。調査対象は国際Mckenzie法講習会を受講した40名の理学療法士が実際治療を行った症例であった。診断基準を明記した表とカテゴリー分類表を対象となる理学療法士へ郵送した。10名の理学療法士より分類表を回収できた。有効調査症例数は330例であった。その内訳はPostural Syndrome 11例、Dysfunction Syndrome 47例、Adherent Nerve Root 4例、Entrapment 4例、Derangement Syndrome 235症例、その他29症例であった。それぞれのカテゴリー毎に男女別の発生率を見たところ男女別の差は検出されなかった。各カテゴリー別の発生率を年代別に調査したところPostural Syndromeは20歳代、Dysfunction Syndromeは40歳代以上、Derangement Syndromeは20から50歳代に多発することが明らかとなった。本研究により本邦における腰痛症の構造的診断カテゴリーの分布が明らかとなり、これは構造的診断ための指針の一助となる。
  • 西原 賢, 久保田 章仁, 井上 和久, 田口 孝行, 丸岡 弘, 磯崎 弘司, 藤縄 理, 原 和彦, 中山 彰一, 溝呂木 忠, 江原 ...
    2004 年11 巻1 号 p. 29-34
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/04/29
    ジャーナル フリー
    筋線維伝導速度(MFCV)を詳細に調べるため,著者らが提案した正規化ピーク平均法(NPAT)を用いて表面筋電図の定性的評価を試みた。健常者10人を対象に等尺性肘屈曲運動中の神経筋接合部中心の位置を推定した。神経筋接合部中心の位置は,NPATで得られた平均パルスの波形が歪むときの表面電極列の位置から推定した。表面電極列は,推定した神経筋接合部中心の位置から1 cm離して装着し,電極の位置が中枢部半分の筋電図データ1と抹消部半分の筋電図データ2とに分けてMFCVを調べた。また,NPATと既存の相互相関法(CCT)で算出したMFCVを互いに比較した。その結果,MFCV値においては,NPATとCCTの間に高い相関を示しおり,NPATの平均パルスは活動電位の筋線維伝導の様子を表していることが分かった。また,筋電図データ1は筋電図データ2と比べて明らかにMFCV値が大きかったことから,推定した神経筋接合部の位置は正しいことが示唆された。
  • 篠塚 敏雄, 安藤 恵子, 瀬戸 一秀, 佐竹 綾子, 小川 郁男
    2004 年11 巻1 号 p. 35-37
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/04/29
    ジャーナル フリー
    当施設では,施設全体で玄米ダンベル体操を日常化している。今回玄米ダンベル体操の効果を検討する機会を得たので報告する。対象群35名は男5名,女30名,平均年齢80±7歳(範囲69歳~93歳)である。コントロール群38名は男7名,女31名,平均年齢83±6歳(範囲72歳~95歳)である。測定項目は,体格では身長・体重,筋力ではつまみ力・握力・膝伸展筋力,血圧は収縮期血圧と拡張期血圧,血液検査では総コレステロール,HDLコレステロール,動脈硬化指数,中性脂肪,血糖,白血球数,赤血球数,血色素量,および総タンパクである。ADLについてはFIM(機能的自立度評価法・運動項目)で,痴呆度をMMSEで評価した。測定は1年間計4回行った。対象群では,筋力で左右の握力が増強されたが,左右の膝伸展筋力は低下し,また痴呆度は改善した。生活習慣病発症要因関連では,収縮期血圧の低下,および血中中性脂肪の低下,HDLコレステロールの上昇,動脈硬化指数の改善などが認められた。また,体タンパク質合成力を一部反映する血中総タンパク質の上昇を認めた。コントロール群では,左右の握力が対象群以上に増大したが,開始時の値が低かったためと思われる。コントロール群でも対象群のように膝伸展筋力の低下はなかったかが,左右のつまみ力が有意に低下した。他方,生活習慣病発症要因関連の検査項目についてはコントロール群においても改善をみたが,対象群と比較して,改善の程度は小さかった。
  • 川崎 新太郎, 萩原 礼紀, 久保 達郎
    2004 年11 巻1 号 p. 38-44
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/04/29
    ジャーナル フリー
    後期高齢者を対象とした運動療法は,運動耐用能や継続性・高次脳機能面などから,効率的な実施に難渋する場合が多い。今回,後期高齢者でも認識が容易な「快刺激」に着目した。エンターテイメント性・アミューズメント性を有したゲーム機を用いた運動を実施することで,身体機能向上につながるのではないかと考えた。介護老人保健施設に入所・通所している後期高齢者27名に対し,9ヶ月間にわたり「モグラ叩き機」を使用した運動療法を実施。その実施動作上の特性を用いた反復動作を,継続的に実施することで,実施者の身体機能がどのような経時的変化を示すかを,握力・落下棒テスト(以下SFT)・ファンクショナルリーチ(以下FRT)・改訂長谷川式知能評価スケール(以下HDS-R)など14項目評価し,検討した。結果,運動を継続実施した期間は握力・SFT・FRT・モグラ叩き得点に有意な向上が認められ,運動を休止した期間は維持または低下した。モグラを叩くといった単純な反復動作の継続的な実施が,後期高齢者の身体機能の向上につながったと考える。
  • 松谷 繁, 佐々木 和人, 永井 勝信, 飯田 大, 須藤 浩之, 野崎 紀英, 合志 俊雄, 荒川 美穂, 尾崎 香奈子, 安達 裕一, ...
    2004 年11 巻1 号 p. 45-51
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/04/29
    ジャーナル フリー
    診療報酬改正に伴い,回復期リハビリテーション病棟が各地にでき,それに伴い理学療法士をはじめとするリハスタッフ以外が患者の歩行介助を行う機会が多くなった。また,脳卒中片麻痺患者においては歩行自立か監視かの判定に明確な基準がなく,各理学療法士の経験と判断によって行われている。そこで,誰が行っても同じ結果が出るように「脳卒中片麻痺患者の歩行自立度判定スケール」を試作検討した。スケールはバランススケールPerformance-Oriented Mobility Assessment(POMA)およびBerg Balance Scale(BBS)と,当院で経験的に行われてきた歩行を組み合わせて作成した。歩行監視群と歩行自立群に対してそのスケールを用い,スケール合計得点において自立群の方が有意に得点が高く,また歩行自立・監視のボーダーラインは40点以上で歩行自立という結果が導き出された。しかし,高次脳機能障害が存在しているときは,たとえスケール得点が満点に近くても歩行が監視となってしまう点などが今後の課題としてあげられる。
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