埼玉理学療法
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6 巻, 1 号
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講座
研究と報告
  • 桑原 慶太, 内山 靖, 山田 美加子, 恩幣 伸子, 榎本 香織
    原稿種別: 研究と報告
    1999 年6 巻1 号 p. 31-38
    発行日: 1999年
    公開日: 2003/07/30
    ジャーナル フリー
    外来理学療法を施行している患者の理学療法への認識を知ると共に、多様化する患者ニーズを把握し、より有意義に理学療法を進めていくための基礎資料とすることを本研究の目的とした。当院で外来理学療法を受けている患者96名を対象に理学療法の到達目的、施行内容、理学療法に対する満足度など7項目のアンケート調査を行い、その一部を担当理学療法士にも行った。その結果、主観的改善度が高く満足度が低い患者や、逆に主観的改善度が低く満足度が高い患者がみられた。前者は他科受診のついでや気分転換に来ている患者が多くみられ、今後の継続について検討が必要と思われた。後者には理学療法の必要性を理解していると思われる変性疾患や慢性疾患が多くみられた。また、理学療法士と到達目的が一致している患者は具体的な施行内容への認識が高く、治療効果への影響が示唆された。我々理学療法士はインフォームド・コンセントを通して、目的の共有と患者ニーズの把握を行っていくべきである。
  • 三和 真人, 平山 厚子, 大村 陽子, 中村 信義, 田口 直枝, 解良 武士
    原稿種別: 研究と報告
    1999 年6 巻1 号 p. 39-46
    発行日: 1999年
    公開日: 2003/07/30
    ジャーナル フリー
    ヒトの運動における律動的筋緊張のメカニズムは相反性抑制によるものと考えられ、相反性抑制に異常をきたす中枢神経系の代表的疾患である脳卒中片麻痺患者の歩行に焦点を絞り、歩行時の筋緊張がもたらす内反尖足による異常歩行の原因をヒラメ筋H反射を用いて分析・研究した。本研究は、脊髄神経調節機構の相反性抑制への理学療法の可能性を検討するものであり、裸足歩行と短下肢装具での歩行において理学療法の1つの可能性が示唆されたので報告する。対象は軽度の運動機能障害をもつ脳卒中片麻痺患者2名で、時速1 km/hで15分間のトレッドミル歩行を課題とし、歩行の前後と15分後にヒラメ筋H反射による相反性抑制効果を測定分析した。片麻痺患者のうち1名に短下肢装具による変化も同様の手続きで測定した。測定効果の判定は、試験刺激のみによるヒラメ筋H反射の振幅を基準として、各条件-試験刺激間隔(0, 1, 2, 3 msec)のH反射の振幅比から求めた。痙性片麻痺患者2名は、条件-試験刺激間隔の2 msecと3 msecで歩行前に抑制効果がみられたが、歩行直後に相反性Ia抑制が消失し、歩行15分後でも相反性Ia抑制が消失していた。また、短下肢装具による歩行による相反性抑制の効果を調査した結果、歩行前の2シナプス性Ia抑制が歩行直後、15分後に維持されており、脊髄神経調節機構への理学療法の可能性を期待するものであった。
  • 岡田 朋子
    原稿種別: 研究と報告
    専門分野: なし
    1999 年6 巻1 号 p. 47-52
    発行日: 1999年
    公開日: 2003/07/30
    ジャーナル フリー
    今回、平成9年8月に埼玉県内の保健所に対して、母子保健事業の1つである発達相談に関するアンケート調査を行った。この事業は、近年、急速に各保健所に広まりつつある事業で発達の遅れのある子どもを対象としており、理学療法士(以下PTと略す)の参加も多い。そこでこの事業の現状を把握しPTが関わる上での今後の課題を検討する事を目的にこの調査を行った。27カ所ある保健所(支所含む)中25カ所から返答を得られた。調査により、発達相談事業は県内保健所の80%以上で実施されており、そのうちの70%以上にPTが参加していることがわかった。また対象者の年齢が低く早期の療育の一部を担っているが、開催数が年平均12回と少ないことや、受け入れ人数にも限りがあり、PTの指導内容には多くの工夫が望まれ得ることが示唆された。
  • 伊藤 芳保, 塚田 勇, 加藤 真由実, 柳澤 勇
    原稿種別: 研究と報告
    1999 年6 巻1 号 p. 53-57
    発行日: 1999年
    公開日: 2003/07/30
    ジャーナル フリー
    臨床実習前と実習中では、学生の気分状態や対処法にどのような変化があるのかProfile of Mood States検査(以下POMSと略す)、Stress Coping Inventory検査(以下SCIと略す)を用いて調べ、さらに、実習成績との比較、検討を行った。その結果、POMSでは、実習前の検査で「不安・緊張」「活力低下」「混乱」の状態を示す者が多く、実習後は全項目において得点が高まる傾向にあり、特に成績「可」グループでその傾向が強かった。また、SCIでは、成績「優」グループで「計画型」「肯定評価型」の特性傾向が強く、成績「可」グループでは優グループに比べ「責任受容型」の特性傾向を強く示し、全体的には「対決型」の特性傾向が弱いことが示された。
  • 山田 美加子, 恩幣 伸子, 桑原 慶太, 榎本 香織, 渡辺 学, 内山 靖
    原稿種別: 研究と報告
    1999 年6 巻1 号 p. 58-65
    発行日: 1999年
    公開日: 2003/07/30
    ジャーナル フリー
    臨床実習に対する卒業後の印象の変化や実習の満足度をとらえ、今後の実習指導の資料とするために北里研究所メディカルセンター病院での臨床実習経験者を対象に調査を行い、30名(二年次16名・三年次14名)からの回答を得た。実習に対する感想が、実習終了直後と現在とで変化しているものは8名おり、変化は卒業後3年目までに生じていることから、卒業後数年先を視野にいれた指導の必要性が示唆された。実習に対する満足度が高いものは、実習後に自分自身のプラスの変化を感じており、また指導内容や実習環境に対して、十分なレポート作成の指導や実習指導者とのこまかな関わりがあり、質問しやすかったことを印象に残していた。指導者側の問題解決型指導の主旨と異なり課題が多いと感じていた学生がみられ、オーバーワークにならないように配慮した上での問題解決能力の向上を促す方法を確立することや実習指導に対する客観的な評価の必要性が示唆された。
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