哺乳動物の全胚培養は母体・卵黄嚢(胎盤)・胎芽系から器官形成期胎芽を卵黄嚢・外胎盤錐を傷つけることなくそのまま採りだして培養に供するものであり,複雑な母体自身の影響,すなわち母体への様々な環境影響・栄養状態をはじめとし母体における化学物質の吸収・分布・代謝・撰泄などによる影響を取り除くことによって,胎芽個体を中心に,より単純化した培養系である.
“全胚培養を用いた毒性試験は
in vivo試験の代替法たりうるか?”
この問題を第一に毒性試験すなわち毒性の予知において,どれだけ実際の妊娠動物においてみられる生理的ならびに病態的事象に近い模擬モデルが抽出され,組みたてられ代替法としてもちいることが可能であるかという問題と,第二には,使用する動物の数をどの程度少なくできるかという問題との二つの側面から考えてみることにする.
これらの問題を考えるに際して,まず全胚培養にかかわる幾つかの本質的な問題点について検討する必要がある.
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