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公共トイレの視認性について形からのアプローチ
伊藤 陽子, 芦澤 昌子, 蒲池 香津代, 斉藤 祥子, 田岡 洋子 , 武井 玲子 , 橘 喬子
セッションID: 2G-7
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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目的2007年度より継続して発表している「ユニバーサルデザインに関する研究」においての視認性について、形からのアプローチをより深く研究検討し、そこにユニバーサルデザインに関しての問題点を探す。
方法 2007年10月~2009年1月にかけて、研究メンバーが全国各地において行った公共トイレを視認性、使用性の視点から撮影した写真を分析、評価を行った。視認性をより追求するためにピクトグラムに注目し、JIS規格、ISO規格についての観点からも調査した。
結果研究メンバーが調査してきたトイレ案内は現在の街での調査である。日本では1964年、東京オリンピックの競技案内用として、ピクトグラムが最初に使用され、1970年の大阪万国博覧会を経て少しずつ社会へ浸透したが、それ以前は文字や日本的な絵で示されていた所が多い。2002年3月にJIS(日本工業標準)規格により案内用図記号の標準となるものが示され、経済産業省は2005年5月に「コミュニケーション支援用絵記号デザイン原則(JIS T0103)の規格を制定した。これはあきらかにユニバーサルデザインとしての規格である。ここには男女が中央線を挟んで並んで立っているトイレのマークがある。現在日常的に使用されている男女別のマーク、また、ISO(国際標準化機構)規格による案内用図記号等、これらが街に混在する。それらには種々の形があり、似てはいるが統一されてはいない。これからの世界的な人の異動を視野に入れたとき、世界共通で認識できるマークを使用する必要があると感じた。この問題点を図の提示によって示す
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公共トイレの視認性―色彩からのアプローチ -
佐々木 由美子, 畑 久美子, 井澤 尚子, 長塚 こずえ, 成田 巳代子, 花田 美和子
セッションID: 2G-8
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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目的前報では、公共トイレに関わる表示を主に形から検討したが、本報では色彩に注目し、ユニバーサルデザインに関しての問題点を探す。
方法 2007年10月~2009年1月にかけて、研究メンバーが全国各地において公共トイレを視認性、使用性の視点から写真撮影し、その分析、評価を行った。
結果トイレにたどり着くまでの誘導となる表示と、トイレの入り口にある表示に分けて検討した。誘導表示はトイレのみを記した場合と、他の施設設備と併記の場合があるが、トイレを示す記号としては、男女が中央線を挟んで並んで立っているピクトグラム、文字、それらの併用が見られる。その配色は、ピクトグラムの男女が同色であるものと男女で色分けされているものに大別できる。色覚正常者には女性のマークを赤系でしるしたピクトグラムは視認性が高いが、色覚異常者にとっては背景色によっては同化してしまい記号として認識すらできない場合もあるので、ユニバーサルデザインの観点からは問題である。トイレの入り口付近では男・女・多目的トイレ等、それぞれに表示があり、誘導表示に比較すると表示が大きいことも多く、多種多様である。ここでも記号や文字と背景との配色で誘導表示と同様の問題点を認めた。現在では多くの自治体でカラーユニバーサルデザインのガイドライン等の作成・配布などを行い、色覚に配慮するよう呼びかけており、その浸透が望まれるが、現状ではこのような結果を得た。
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石田 享子, 井上 容子
セッションID: 2H-1
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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【目的】本研究は、くつろぎの行為における快適な明るさを決定する要因並びに適正照度を明らかにし、実空間での快適な光環境を提案することを目的として進めている。本報では、くつろぎのための明るさを調節し評価をする際に在室者が着目する箇所と照明設置位置との関係を明らかにした上で、照明設置位置と適正照度との関係について検討する。
【方法】実験は、被験者自身が評価室内で積極的な視作業を伴わないくつろぎとして最も適した明るさに壁照明を調光し、くつろぎ空間としての満足度評価、明るさ調節や満足度評価時の注視箇所を評価するものである。評価室は、床反射率26%・壁93%の4.5畳大の室である。実験変数は、照明設置位置(5ヵ所)と姿勢により変化させた眼の高さ(3段階)である。
【結果】(1)くつろぎのための適正照度を設定し満足度を評価する場合においては、在室者の注視箇所は、輝度の高い箇所、周囲の明るさとの対比感が明瞭な箇所である。(2)在室者の側壁にブラケットのような点光源がある場合、在室者がくつろぎとして適切な明るさに調節した際の壁照明の輝度は照明設置位置や眼高に関わらずほぼ一定であるため、適正とされる顔面鉛直面照度は照明設置位置が在室者の正面に近付くと照度が高くなり、壁面上方や後方で低くなる。(3)くつろぎのための顔面鉛直面照度と壁照明の輝度との関係には、照明設置位置毎に傾きの異なる直線関係が成立する。このため、光源配光と空間の物理的条件が定まると、照明設置位置、在室者位置から求めたプロフィール角はくつろぎの照度を推定する有効な方法である。尚、在室者への光刺激として照度を示す場合は、顔面鉛直面照度ではなく床面照度で示すことが望ましいと考える。
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野田 千津子, 石川 孝重
セッションID: 2H-2
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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目的 居住環境の快適性に支障をきたす要因の1つとして、交通や人間の動作などによって日常的に生じる振動(環境振動)に着目する。これまで、振動をどのように感じるかといったといった感覚評価にかかわる研究は多くみられるが、振動が住宅で生じた場合、居住性能としてどのように評価されるのかといった価値観に着目した研究は行われてこなかった。そこで本研究では、住宅で日常的に生じる床振動を想定して、どのような振動であればよい環境だと思うか、自宅に望む性能はどの程度であるかなど、市民の意識に着目したアンケート調査を行った。
方法 アンケートでは、自宅で、夜間に、人の動作や自動車などによって床が揺れるという前提条件を回答者(女性48名,19~25歳)に想定させた。その上で、居住性能のレベルに対応させて、振動を100人中何人が感じると思うかなどを問い、振動の大きさとの関係を得ようとしたものである。さらにヒアリングを行い、各自の振動経験や性能評価のとらえ方などを確認した。
結果 木造戸建住宅の居住者と非木造集合住宅の居住者では、現在の住まいに対する性能評価が異なる。ヒアリングでの意見をふまえると、このような意識の違いには、自宅での振動経験などが影響をおよぼすことが確認できた。例えば、自宅で日常的に振動を感じた経験がある回答者が多い木造戸建住宅の場合、日常的に振動を感じることもやむを得ないと考える人が多い一方、非木造集合住宅の居住者では振動を感じないことが標準的と考えるのが一般的である。性能評価と振動のイメージを対応させると、多くの人が「かすかな」振動を感じる程度の「よい環境」を自宅に望むこともわかった。
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第1報 内装材のテクスチャーと反射特性の関係
北村 薫子, 杉田 佳奈美
セッションID: 2H-3
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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【目的】内装仕上げ材の視覚的質感は,室内の印象に影響する重要な要素の1つであり,主に表面属性であるテクスチャーに起因する。テクスチャーは,体系化された測定法がないことから室内仕上げ計画における客観的表示に応用できず,測定法および表示法の確立と測定データの収集が求められる分野である。本研究は,視覚的質感の表示法を提案することを最終目的とし,第1報では,反射指向特性(BRDF)を用いて表面のテクスチャーを表示することの可能性を検討する。
【方法】視覚的質感は表面形状や光沢を総合した反射光に現れると考え,輝度の角度変化を測定することにより反射指向特性を把握した。測定装置は試料台と光源および輝度計で構成され,暗室内で,試料台にセットした一辺45mmの正方形の試料の中心に向けて平行光を照射し、任意の角度で輝度を測定した。測定視野角は2°で,測定距離は600mmであった。入射角は-60度とし、測定角は-45°から70°の範囲を5度間隔,そのうち正反射方向60°の±10°以内は1°間隔で測定した。試料は,代表的な内装仕上げ材のテクスチャーを型取りして作成した白色の試料とした。
【結果および考察】測定の結果,正反射方向を含む約±30°の反射指向特性にテクスチャーの特徴が現れることが示唆された。表面に凹凸のある試料は,正反射方向を含む±30°の範囲で輝度が緩やかに上昇するのに対し,表面が平滑な試料は,正反射方向を含む±6°の範囲にそれ以外の角度の約50倍の輝度を有し,強い鏡面反射性を示した。これらの角度範囲以外の輝度すなわち拡散反射光は,試料による差はなくほぼ一定であった。鏡面反射光と拡散反射光の分布範囲およびその特徴によって表面のテクスチャーを表示する可能性が示されたといえる。
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透過材のテクスチャーと透過特性の関係
北村 薫子, 杉田 佳奈美
セッションID: 2H-4
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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【目的】室内計画において透過材の表面仕上げテクスチャーは、視覚的印象に大きく影響する。しかし、テクスチャーは体系化された測定法もなく、実物以外で客観的に表示することができないため測定法および表示法の確立とデータ収集が求められている。本研究は、視覚的質感の表示を提案することを最終目的とし、前報に引き続き、透過指向特性を用い、その性状を明らかにすると共に光を透過する材料についても、表面のテクスチャーを表示することの可能性を検討する。
【方法】視覚的質感の違いは表面形状や透過光に変化があると考え、輝度の変化を測定し透過指向特性を把握した。試料は表面形状の異なる透明のものを作成した。光の入射角度および輝度の測定角度を、任意に設定できる装置を暗室内に設置し、入射角-60°とし1辺45mm~50mmの正方形で作成した試料の中心に対して、平行光を照射した。測定角は-45°~180°の範囲を5°間隔、そのうち正反射方向60°、正透過方向120°の±10°以内は1°間隔で測定した。
【結果】測定より正透過方向を含む±40°の透過指向特性に、特徴が現れることが示唆された。表面に凸凹のある試料について、表面が平滑な試料では正透過方向を含む±40°の範囲で約10倍~20倍の輝度の違いがあり、強い透過性を示した。また、表面に凸凹のある試料では輝度が緩やかに変化するのに対し、表面の平滑な試料では正透過方向を含む±9°の範囲にその他の角度(鏡面反射光を除く)の約1万倍の差が現れテクスチャーによる違いが見られた。使用した試料は、透過材であるが鏡面反射光も見られた。反射光と透過光の分布の変化の違いより表面のテクスチャーを表示する可能性が示されたといえる。
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—実空間における減能グレア事例の解析—
池上 陽子, 安岡 妙恵, 井上 容子, 原 直也
セッションID: 2H-5
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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〈B〉目的〈/B〉:安全で快適に暮らすためには、明視性を確保した視環境計画が求められる。本研究は、複雑な輝度分布を有する実空間に存在する標示物の視認性の予測方法を確立することを目的としている。本報では主に夜間街路照明下での標示物の視認性に着目し、実在する減能グレア事例の調査および代表的な事例の視認性評価、夜間屋外での減能グレア評価実験を通して、実空間における減能グレア現象の解析方法について検討する。〈BR〉〈B〉方法〈/B〉:近鉄奈良駅半径約1kmの地域と関西大学構内を対象とし、グレア源により標示物が見難い事例を調査し、夜間の代表的13事例の見易さ評価を行う。グレア源を遮蔽した場合も評価し、視野への順応時間を実験変数とする。被験者は青年女子9名である。減能グレア評価実験は夜間の奈良女子大学構内に於いて行う。グレア源の輝度を被験者が調整し、看板を模した視対象が視認閾となる条件を求める。視標背景輝度とグレア源の離角・方位角を実験変数とする。視標は文字と矢印である。被験者は青年女子12名である。〈BR〉〈B〉結果〈/B〉:減能グレア現象は、道路標識から店舗看板まで多肢にわたって生じている。主なグレア源は街灯と太陽であり、視野中心から30°以内で視野上部に多く存在する。視野への順応とグレア源の遮蔽は、標示物の見やすさを有意に向上させる。大きさ、光幕(=k*E〈SUB〉V〈/SUB〉/θ:〈SUP〉2〈/SUP〉)による見かけの輝度対比、背景輝度を一元化した相対輝度対比によって、見やすさが説明される。視認閾時の光幕輝度と視標輝度差の関係はグレア源の離角θによって異なり、背景の輝度分布の影響が無視できない。また、光幕の予測に方位の考慮も必要である。尚、実験結果より、視認閾となるグレア源の離角θと輝度の関係の読み取り図を作成している。
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阿部 恵利子
セッションID: 2H-6
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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目的 近年、医学や発達心理学の分野において乳幼児期の視覚の発達の経緯が明らかにされつつある。これによると、色彩感覚や空間認知能力は乳幼児期の視覚体験によって獲得され、それ以後は訓練しても習得は難しいとされている。しかし、こうした視覚に関する知識を、乳児をもつ母親は認識しているのであろうか。そこで本研究は、乳児をもつ母親の空間認知に関する意識について調査・分析を行い、子どもの色彩感覚や空間認知の発達を促すための基礎的研究とすることを目的とする。
方法 子育てサークルの母親、20代16名、30代14名、計30名を対象にアンケート調査を行った。調査対象者の平均年齢は29.6歳である。
結果 月齢別の視力に関するアンケート調査では、1ヶ月の赤ちゃんが明るい色彩に反応することや、4ヶ月の赤ちゃんが目で物を追うことに対する母親の認知度は高いが、具体的な視力については認知されていないことが確認された。赤ちゃんの視覚については70.0%の母親が「関心がある」と回答しているが、空間認知や色彩感覚の発達を理由とする回答は得られなかった。また、乳児は黒・白・赤などの極端な配色や図柄に反応を示すことを認知している母親は少数であり、多数の母親が赤・青・黄の三原色を使用している玩具を「良い」と認識している傾向が示された。視覚と聴覚の発達に関する工夫をしているか否か、の質問については、視覚では66.7%、聴覚では52.3%の母親が「工夫していない」と回答している。このことは、住まいの色彩に関する質問項目において、母親の好みが優先されており、乳児の発達が考慮されていない現状と一致する。
乳児をもつ母親は、視覚に関心はあるものの、視覚に関する具体的な発達については認知しておらず、空間認知や色彩感覚の発達を促す意識は低い傾向が確認された。
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北川 圭子
セッションID: 2H-7
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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目的 近年の住宅雑誌に掲載されたフ゜ランを分析すると,全国的規模で洋風化傾向が著しい。しかし,そもそも和風・洋風テ゛サ゛インのイメーシ゛はどのような要素で決定されるのであろうか。本研究は,和風住宅が多いとされる福島県と,明治期から洋風化が進んでいる北海道在住者を被験者として,住宅の外観・内観について和洋のイメーシ゛及びその背景について,両地域に相違があるかどうかを分析するものである。
方法 予備調査により,外観写真8ハ゜ターン,内観写真5ハ゜ターンを選出した。この13ハ゜ターンを1ハ゜ターンにつき1分30秒スクリーンにランタ゛ムに映し,アンケートによりイメーシ゛を記載してもらった。アンケートは15項目についてSD法により行った。被験者は福島県25名,北海道21名の建築系女子学生である。
結果 アンケート調査の結果,福島のみに外観・内観共に「和風と親しみ」に中程度の相関関係が確認された。和洋の認識については,内観は福島県・北海道共に大きな相違はみられなかった。しかし,外観については,13ハ゜ターン中3ハ゜ターンに相違がみられた。1つは漆喰の外壁に真壁ともハーフティンハ゛ーともとれる構造材が表れているテ゛サ゛インで,福島では洋風,北海道では和風と認識する者が多い。2つ目は木材とカ゛リハ゛リウムの外壁のテ゛サ゛インで,これも福島では洋風,北海道では和風と認識する者が多い。3つ目は木材の外壁に切妻屋根の極めてシンフ゜ルなテ゛サ゛インであるが,福島では和洋イメーシ゛のいずれにも回答が分布するが,北海道では和風とも洋風ともいえない者が多い。これらの3ハ゜ターンについて因子分析を行うと第一因子は「経験から生じるイメーシ゛」,第二因子は「嗜好的イメーシ゛」と考えられるが,因子得点では福島では第一因子を有する者が過半ではあったが,地域間に大きな相違は確認されなかった。
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出口 寛子, 森 ゆかり
セッションID: 2H-8
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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【目的】「街角」という表現は、新聞のコラム・TV番組のコーナー名・映画・音楽等のタイトル名など幅広い分野で日常的に使用され、人々にとって親しみの持てる要素である。また、道路に2面接していることから採光や通風の面で有利であり、見通しがよい点でも防犯やランドマークとしての役割を果たすと考えられる。著名な文献にも街角を重要視する内容が挙げられているが、現状のコミュニティの計画で街角が意識されているかは疑問であり、街角に焦点を当てた論考は少ない。そこで本研究では、調査の前段として街角が生活環境の中でいかに重要な要素であるかの解明を目的とする。
【方法】インターネットより抽出した「街角」を含むタイトル名の楽曲(計1,662件)を基に分析を行った※。
【結果】年代別に「楽曲数」と「景気動向指数」を比較した結果、景気動向指数が落ち込む年には楽曲数は前年より増加し、逆に楽曲数が減少する年には景気動向指数が高いことがわかった。また「街角」に付随する形容詞・名詞を、9項目(マイナス表現,プラス表現,場所,人物,時間,自然,音楽,なし,その他)に分類した結果、楽曲数最多の1990年では「マイナス表現」が31%と最も多く、楽曲数最少の1997年は「人物」が22%と最も多かった。また31件の歌詞の分析結果は、恋愛・応援など前向きな内容や、悲しみの代表である雨・涙・失恋をテーマにした内容が挙げられた。以上より「景気上昇=人との触れ合いがある街角」「景気下降=暗い要素を持つ街角」という関係が考えられ、「街角」は人々の生活に密接にかかわりあう場であることがわかった。※(2008年8月実施、対象年1985年~2007年、参考;Yahoo!ミュージック-音楽総合サイト)
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金澤 麻梨子, 久保 博子
セッションID: 2I-1
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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【目的】 日常において温熱や光、音などの睡眠環境を快適にし、快適で質の良い睡眠をとるためには、睡眠の評価が必要である。従来の睡眠の評価には脳波・眼電図・頤筋筋電図の測定によるPSG法が用いられるが、拘束され非日常的な睡眠の評価になりがちである。これに対しマットレス型のセンサーなどを用いて心拍数や体動、呼吸などの生理量から間接的に睡眠状態を判断する研究がなされている。本研究では、心拍数と体動から入眠時の生理反応を解析し、入眠の判定を行うことを目的とする。
【方法】 青年女性を被験者に人工気候室で2時間昼間睡眠実験を行った。入床後の行動を(1)読書(2)テレビ観賞(3)自由行動とし、自然入眠までの移行時の生理量の変化に着目した。心拍数、体動量、R-R間隔、スイッチを用いた睡眠申告、赤外線カメラを用いた実験記録などの測定を行った。また、R-R間隔より周波数解析を行い、交感神経活動及び副交感神経活動の指標とされる低周波(LF)と高周波(HF)成分を算出し、考察に用いた。
【結果】 入床後、入眠期に心拍数の減少がみられた。入眠に伴い無体動状態がしばらく続く傾向がみられた。体動の出現回数は、睡眠時は条件間で差がないのに対し、覚醒時に差があった。%HF(HF(LF+HF))の変動は、個人差が大きかったが入眠前後に増加する傾向がみられ覚醒状態と入眠状態を判別する可能性があると考える。以上の結果より心拍数と体動量の減少から入眠の判定を行った結果、入床後、10分以上無体動状態が継続し、安静時の心拍=1とした時、心拍数の変動率が1.0以下であるとき入眠と判定することを試み、約56%入眠と判定することに成功した。
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久保 博子
セッションID: 2I-2
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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〈B〉<はじめに>〈/B〉睡眠は休息し、一日の疲れを癒すための時間としても重要であり、最近の不眠を訴える人の上昇とともに注目されている。それに伴い様々な寝具や睡眠グッズが開発されているが、睡眠への影響や妥当性に関する科学的検証はほとんどない。また睡眠に関する研究は多くが脳波や皮膚温センサーなど、複数の電極を装着して行っており、寝返りなどの姿勢変換を制限してしまう。本研究では、姿勢変換の妨げとなりうるセンサー類を極力排除し、非侵襲状態で終夜睡眠実験を行い、寝姿勢や1夜でのその割合や持続時間、体動等について検討した。また昼間に代表的な4姿勢での体圧分布を計測した。〈BR〉〈B〉<方法>〈/B〉人工気候室のベッドで青年男女計35名に3夜連続で8時間睡眠を取らせた。このうち1夜目を順応夜とし2,3夜をデータとして解析した。寝姿勢は赤外線カメラを用いて1分間隔で8時間撮影し、この480分/1夜のデータから体動回数と5種類の寝姿勢の分類を行った。また、昼間に同じベッドで体圧計測シート (FSA4)を敷き主要4姿勢をとりリラックス状態で、体圧分布を計測した。〈BR〉〈B〉<結果>〈/B〉(1)寝姿勢・体動回数は個人差が大きいが、個人では順応やを含め3回の実験で同様の傾向が認められた。(2)寝姿勢は男女とも仰臥、右側臥、左側臥、伏臥の順に多く、1夜の割合は仰臥が50%程度となった。静止持続時間は仰臥がもっとも長かった。(3) 2夜の平均で女性では寝返り16回、男性59回、細体動回数は女性158回、男性85回で、男性は体動は多いが、細体動が少ない傾向にあった。(4)体圧分布は、左右の側臥で腰部と肩部に体圧が集中し、伏臥でもっとも体圧分散していた。また、性差や年齢差が認められ、体格、体型との関連が示唆された。
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温熱環境バリアフリー化の視点から
柴田 祥江, 飛田 国人, 松原 斎樹, 水野 弘之
セッションID: 2I-3
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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目的 最近,熱中症は、屋外で運動中の発症だけでなく,発症件数の約30%,死亡件数の約15%が屋内で起こっている。また,65歳以上での死亡率が高く,高齢者の熱中症は,若年者に比べて非労作性熱中症による割合が高いと報告されている。
本研究の目的は,夏期の住宅内での熱中症を予防し,高齢者が健康に過ごすための対策を考察することである。
方法 京都府内の高齢者群(高齢者大学受講生)と,若年群(京都府立大学学生)を対象に,アンケート調査を行った(2006年9月実施)。
調査内容は,熱中症の認知度,住宅内の熱中症の認知度,住宅内での暑熱障害の体験の有無,体験場所,熱中症に対する予防策,夏期の暑さ対策等である。
高齢者群には身体状況として,暑さに対する感受性,口渇感の加齢による変化の自覚について回答させた。
結果 高齢者群204票(有効回収率58.3%),若年群198票(有効回収率95.7%)の回答が得られた。高齢者の熱中症に関する認知度は女性の方が高く、また年齢層が高いほど認知度は低い。年齢層が高いほど暑熱に対してがまんができないとの体験が少ない。
熱中症の予防には,環境温度の改善とともに,人の側の条件(運動強度,着衣,水分補給,体調,認識)による対策も重要である。夏季の住宅内温熱環境のバリアフリー化が重要であることが示唆された。
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磯田 憲生, 藤井 佳代
セッションID: 2I-4
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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〔目的〕本研究は、暖房方式や熱源が異なる暖房機器による室内温熱環境の特性及び人体反応への影響を比較検討することにより、冬期の暖房機器による室内の暖房効果や温熱的快適性を明らかにすることを目的とする。
〔方法〕実験型住宅棟のLDK空間を使用し、暖房機器として新気流制御方式エアコン、新加湿制御方式エアコン、旧気温制御方式エアコン、ガスファンヒータ及びガス温水循環方式床暖房装置を使用した。準備室(20℃~23℃設定)で実験用着衣を着用(エアコン及びガスファンヒータはスリッパ着用)し、20分程度安静を保つ。被験者入室後、椅子座安静を保ち、設定室温条件を18℃・21℃・24℃に設定し、実験を開始した。測定項目は皮膚温・舌下温などの生理反応、温冷感などの申告評価であり、入室後60分間測定する。
〔結果〕新エアコン2種は、上下温度分布が比較的均一である。また全体的に皮膚温への暖房効果も有効である。旧エアコンは、室温24℃設定で加熱能力の不足が伺え、新エアコン2種と比べ、上下温度差もやや見られる。ガスファンヒータは、気温の上下温度差が大きく、上半身への暖房効果は大きいが下肢部の皮膚温が低くなる傾向が見られる。床暖房は速暖能力は劣るが、人体反応としては最もよい評価が得られる。以上より、最も暖房効果が優れている暖房装置は新エアコン2種であり、最も人に優しい暖房装置は床暖房であると考えられる。温熱的快適範囲はエアコン及びガスファンヒータは床温16℃~25℃、室温18.5℃~25℃の範囲で、床暖房は床温22℃~35℃、室温18.5℃~25℃の範囲となります。
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西原 直枝, 秋山 友里, 田辺 新一
セッションID: 2I-5
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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目的 室内環境質が知的生産性に与える影響を調べるには、作業成績だけでなく、精神負荷等の人体反応を評価する事が重要である。精神負荷の客観的指標として、前額で測定した総ヘモグロビン濃度変化量(Δtotal Hb)が有効である可能性があり、その測定精度の向上が求められる。この値は相対値として測定されるため基準の統一が必要である。本研究では、補正基準として、濃度変化が安定する、安静の種類と課す時間を選定する事を目的として被験者実験を行った。
方法 被験者は右利きで健康な男性6名とした。人工気候室は作用温度25.0℃、50%RHに制御し、熱的中立になるよう着衣により調節させた。Δtotal Hbは近赤外線酸素モニタを用い左額で測定した。安静の種類は、「閉眼安静」、閉眼時に波音を再生した「閉眼安静+音」、開眼で一点を見つめて安静を行う「開眼安静」の3種類とし、各安静の後に、紙面上で3桁×3桁の乗算作業10分間を課し、これを3セット行った。解析対象を、安静開始直後30秒後から1分間の「前1分」、安静開始直後30秒後から4分間の「4分」、安静開始直後3分30秒後から1分間の「後1分」の3種類とし、安静時間を検討した。
結果「前1分」の解析範囲では、閉眼安静は開眼安静に比べてΔtotal Hbの標準偏差が小さい傾向があった(p<0.1)。音の有無では有意差がなかった。「4分」の解析範囲では、全安静種類において「後1分」よりΔtotal Hbの標準偏差が大きい傾向があり、閉眼安静以外では「前1分」より大きい傾向だった。「後1分」と「前1分」では有意差がなかった。総ヘモグロビン濃度変化量が安定する補正基準として、閉眼安静が適しており、課す時間は2分間で十分であると考えられる。本研究は科研費特別研究員奨励費による。
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原 大陽, 相木 雄二郎, 河野 志織, 宮坂 広夫, 藤津 雅子
セッションID: 2I-6
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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【目的】近年、家庭用食器洗い乾燥機の普及に伴い、専用洗剤に求められる機能は多様化してきている。食器洗い乾燥機および専用洗剤使用における生活者の実態を把握するため、食器洗い乾燥機の保有率、食器洗い乾燥機および専用洗剤に対する満足度、不満点、求める機能等を調査した。
【方法】訪問調査またはインターネットリサーチ 食器洗い洗剤を使用している世帯員2名以上の20-59歳主婦 561人~2000人 2004年から2年毎に調査
【結果】食器洗い乾燥機の出荷台数は年間70-90万台である。ヒ゛ルトインタイフ゜、卓上タイフ゜の2種類に大別され、現在はヒ゛ルトインタイフ゜が約7割と主流になっている。食器洗い乾燥機の保有率は2006年調査では約28%であり、前回の調査より30%以上増加した。専用洗剤の満足度については約70%が良好と答えた。あえて不満点を挙げてもらう設問に対しても約半数は「特に不満はない」という回答をしており、専用洗剤は生活者満足度の高い商品であることが示唆された。しかしながら、不満点の中には「ご飯粒、卵、茶渋が落ちないことがある」といった食材汚れの残留以外に「グラスがくもっていることがある」といった点が挙げられ、専用洗剤においては食材汚れが落ちることに加えて「食器をピカピカにする」、「食器のくもりがとれる」といった仕上がり機能が要求されていることも分かった。このことから、グラスのくもりを解消する等、仕上がり性能を高めることが生活者満足のさらなる向上に有効であることが示唆された。
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相木 雄二郎, 河野 志織, 原 大陽, 宮坂 広夫, 藤津 雅子
セッションID: 2I-7
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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【目的】
食器洗い乾燥機用洗剤は、90年代後半以降のハードの普及に伴い、市場が拡大している。この状況の中、消費者意識は、従来の洗浄性能に加え、洗浄後の食器の仕上がりの良さにも向けられている。本研究では、仕上がり性に優れた洗浄剤について、その効果を確認した。
【方法】
<モデル評価法>
食器に強制的に炭酸カルシウムを付着させたくもり汚れ、乾燥や熱変性により強固にした汚れ(デンプン汚れ、タンパク汚れ、茶渋汚れ)、油汚れ等に対する洗浄性能評価を市販の食器洗い乾燥機を用いて行った。
<一般家庭での評価>一般家庭の食器洗い乾燥機使用者に試験サンプルを提供し、2週間使用後にアンケートによる調査を行った。
【結果】
食器洗い乾燥機による洗浄では、水道水中のカルシウムと食器洗い乾燥機用洗剤に含まれる炭酸塩が反応することにより、炭酸カルシウムが生成し、食器に蓄積することがある。この汚れは、食器のくもりとして認識されているが、従来の洗剤では、落とし難い。そこで、カルシウム捕捉能に優れた各種キレート剤を配合した洗浄剤について、強制的に炭酸カルシウムを付着させたくもりグラスに対する洗浄能力を評価した。その結果、キレート剤配合による除去能力向上が確認できた。また、従来、漂白成分により洗浄していた茶渋汚れについては、キレート剤単独では十分な効果が得られなかったが、界面活性剤との併用により性能が向上することが確認でき、特にポリカルボン酸塩の効果が高いことを見出した。以上の知見を元に、ポリカルボン酸塩を用いた洗浄剤を一般家庭で評価した結果、仕上がり性に対して高い評価を得ることができた。
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滝沢 英貴, 五十嵐 由利子
セッションID: 2I-8
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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【目的】近年、日常生活の中での熱中症の発症が高齢者を中心に多くなっている。また、在宅介護・看護が増加している現状では、居住室での熱中症の発症が懸念される。本研究では高齢者居住室の夏季の温熱環境の実態把握と熱中症発症リスクとの関連を検討することを目的とした。【方法】新潟県内12戸の住宅の高齢者居住室において実測調査を行った。2008年7月25日~8月25日を調査期間とし、対象住宅の高齢者居住室に小型温湿度計を設置し、実測調査を行った。また、体感温度に影響すると考えられる気流と壁面放射温度をそれぞれ熱式風速計と放射温度計により測定した。さらに、厳しい暑熱環境下にあると考えられる5戸の対象住宅ではグローブ温度の測定を行った。【結果】対象住宅12戸のうち6戸が要介護・看護者の高齢者が居住している住宅で、そのうちの2戸についてのみエアコンの設置がなかった。外気温の高い真夏日において、日中では室温が上昇しやすい状態にあり、エアコンを使用していても27℃以上に、またエアコンを使用しない場合には室温が30℃以上となっていた。夜間は就寝直前に短時間のみの冷房が行われるケースが多かったが、睡眠中に室温が上昇し28℃以上の高い温度環境となっていた。また、住宅の閉鎖性からエアコン非使用時に気流を得ることができず高い体感温度となっていた住宅がみられた。こうした室内環境では熱中症発症リスクの増大が懸念される。一方で、エアコンの使用に関して冷房開始時の室温は一様ではないものの、30℃に達する前には冷房の開始がみられた。要介護・看護者の居住室においては自身による室温管理が適切に行えない場合が多く冷房時間が長くなる傾向がみられ、その影響から過冷房の状態がみられた。
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田中 智子, 村田 順子
セッションID: 2J-1
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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目的<B/> 近年、要介護状態になっても住み慣れた地域の中で暮らし続けることが求められている。本研究は、高齢者が要介護期にも安心して地域との関わりを持ちながら生活を続けていくために必要な地域ケアのあり方について明らかにすることを目的としている。本報では地域密着型施設を自治体主導で整備し、その施設を拠点とした高齢者の地域居住の継続に取り組んでいる加賀市の事例について報告する。
方法<B/> 2009年2月に加賀市に対してヒアリングを行うとともに、市内の地域密着型施設に指定された施設を訪問し、地域で暮らす高齢者の生活を支援する取り組みについてヒアリング調査を実施した。
結果<B/> 加賀市の高齢者福祉は、これまで大規模施設の整備が中心であったが、2003年に厚生労働省の高齢者介護研究会が提出した「2015年の高齢者介護」を受けて、地域密着型施設整備へと方向転換し、高齢者がこれまでの生活を継続していけるよう街中にケア施設を整備することを進めている。加賀市の施設整備の特徴として、1.市が用地選定から運営内容に関し主導的役割を担っている、2.事業者の公募の際にマニフェストを提出させ、審査も公開している、3.地域との交流を積極的に図ることを求めている、4.事業所に2ヶ月に1度、市職員や地域住民、入居者家族等を入れた運営推進会議開催を義務付けていることなどが上げられる。施設整備が成功している理由としては、1.市と事業所が理念を共有したこと、2.病院等を経営している福祉法人をバックに持つ事業所が多く小規模でも経営の心配がないこと、3.地域住民に対する説明をきちんと行っていること、などがあげられる。
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村田 順子, 田中 智子
セッションID: 2J-2
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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目的<B/> その2では、高齢者が地域との関わりを持ちながら生活を継続していくための各事業所の取り組みについて報告する。
方法<B/> 2009年2月に加賀市の地域密着型施設の指定を受けた事業所4ヶ所を訪問し、運営者に対するヒアリング調査を実施した。
結果<B/> 訪問した施設は、小規模多機能施設2ヶ所、グループホーム1ヶ所、小規模特養1ヶ所である。地域密着型施設は認知症の高齢者の利用がほとんどで、地域住民の認知症に対する理解が得られないと利用者の地域生活の継続は困難という認識のもと、どの事業所も地域との関係づくりのために、地域の行事に参加したり事業所の行事に地域住民を招いたりしていた。しかし、施設の種類によって地域との関係の持ち方は異なる。施設の特徴として、小規模多機能施設は日中の通いが中心で、高齢者の在宅生活支援に主眼を置いている。グループホームと小規模特養は、施設が高齢者の「住まい」であり、日常生活の安定と豊かさに主眼に置いている。そのため地域との関係は、小規模多機能施設は、施設を地域に開き地域住民が気軽に立ち寄れる場を目指しており、近隣の高齢者が昼食を食べに来る、地域のお坊さんの法話に地域住民が聴きに来るなどの事例があった。グループホームと小規模特養の場合は、入居者が街へ出かけ、出先で地域の人達と交流しており、買い物や喫茶店に出掛ける、馴染みの散髪屋へ行くなどの事例があった。また、街中立地により家族の訪問は多い。積極的に外へ出かけ地域の人と顔見知りになることで、入居者が施設を抜け出してしまった際、近所の人が見つけてくれるなど安心感にもつながっている。
本研究は、平成20年度科学研究費補助金(課題番号19500645)の助成を受けて実施されたものの一端である。
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コミュニティバスの本格導入を目指して岐阜市芥見東の事例について
柳井 妙子, 中山 徹
セッションID: 2J-3
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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目的;1960,70年代の右肩上がりの経済成長時代、大都市に限らず、地方都市においても中心市街地近郊では、大型団地の建設が相次いで起きた。それらの郊外型団地の世帯主たちは、現在、多くが退職したか、その予備軍である。核家族化が進んだ当時の団地住民たちの多くは、現在、子ども達が独立して夫婦のみ、或いは独居での生活を送っている。高齢化社会が進む我が国では、行政主導のまちづくりに代わって地域住民の主体的取り組みが求められている。本研究では、岐阜市芥見東地区において自治会連合会役員たちが、地域住民に自分たちの地域に対し将来を見据えて住み続けたくなるための仕掛をし、住民の地域に対する意識向上を図っている事例を知見し、報告する。
方法;岐阜市内でコミュニティバス試行運転を開始した4地区の2008年6月~2009年1月までの乗車数を比較検討することと、芥見東自治会連合会役員への聞き取り調査(2008年3月、2009年2月)による。
結果;_丸1_危機意識がある地域では人々の思いも団結するが、将来の危機に向けてとなると住民の意識を同じベクトルに合わせるのは難しい。そこで、芥見東地区自治会連合会の役員たちは、月1回発行している手づくりの自治会便りに、様々な角度からコミュニティバスに関する情報を掲載し、乗車したくなるよう仕掛をつくった。_丸2_また、当自治会連合会役員たち自身がこれまでの地域活動に加え、地域のために新たな活動を生み、地域のために汗を流していることにより地域住民との間で信頼関係が芽生え始めている。こういう自治会連合会役員たちの努力の賜物として、危機意識が眼前になくとも、将来に備えて地域住民の意識が、より地域へと向けて育っている。
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宇治市における集会所運営の仕組みとその実態
中村 久美
セッションID: 2J-4
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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目的 高齢者などの居住地生活の比重が高い地域住民にとって,居場所となりうるコミュニティ拠点は重要である.具体的な場所として地域の集会所を地域住民の拠り所とするためには,積極的な拠点運営が問われるところである.本研究は,集会所運営の実態を明らかにし,ハードとソフト両面の課題とあり方を検討することを目的とする.
方法 地域福祉活動が活発な宇治市を対象に,宇治市自治振興課へのヒアリングと市内全集会所の建築情報の分析,市所管の集会所(n=127)に対する質問紙調査(2008年6月実施 有効票:n=73),および一部集会所管理者へのインタヴューを実施した.
結果 宇治市では,日常の管理業務を集会所管理者(非常勤公務員)に委嘱,自治会を中心とする集会所運営委員会を運営主体と定めている.調査対象集会所は建築年数25年以上が37%をしめ,耐震性,耐久性への不安が高く,車椅子対応や手すりの設置などへの不備を抱えるものが多い.集会所管理者の多くは高齢者で,75.3%は自治会役員経験者.市が規定する職務(鍵と利用簿の管理,利用の受付・指導,市との連絡調整)以外にも設備の修理や植え込みの手入れなどの業務を行う場合が少なくない.運営委員会の組織構成は,自治会の兼任(43.3%),自治会とは別組織(20.9%),複数自治会から結成(31.3%)と三分され,委員会の開催実績にはばらつきがある.集会所運営委員会による独自の活動プログラムのある集会所は32.9%.多くは,運営委員会が誘致した講座やクラブ活動であるが,委員会主催のサロンやイベントなどを実施する集会所も存在する.集会所運営の積極性には格差があり,集会所運営委員会の組織構成と管理者の資質によるところが大きい.
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天野 圭子, 中山 徹
セッションID: 2J-5
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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目的 コミュニティバス事業のうち、従来の自治体主導ではなく地域住民や地元商店組織らが事業主体となり運行実現している事例について、(1)事業の導入背景・検討の経過、(2)自治体をはじめとする各関係機関の関わりについて把握することを目的とした。
方法 調査対象は事業主体が1.NPO法人(地域住民組織):NPO法人生活バスよっかいち(三重県四日市市)、NPO法人バスネット津(三重県津市)、2.NPO法人(住民団体以外):NPO法人まちづくり活性化土浦(茨城県土浦市)、NPO法人サンクスネイチャーバスを走らす会(東京都目黒区(自由が丘))、3.第三セクター:まちづくり福井株式会社(福井県福井市)の5事例である。調査方法は各事業主体へのヒアリングにて実施。主な調査項目は、事業導入の背景・目的、事業概要、各期間の関係性等とし、調査時期は2008年9月から10月にかけて行った。
結果 今回の事例は従来の事業に比べて地域住民や地元企業や商店などの関わりが強い点が特徴である。こうした事業において自治体が関わる割合は様々であるが、利用料金が無料であり、地元商店街利用客の利便確保が目的とされている1事例を除き、運行事業費に対する補助が行われている。事業主体が自治体でなくとも公共の利益として実施されている事業であることから自治体の費用補助の必要性は大きいと考えられる。また、自治体以外の団体が事業主体である場合には、事業実施において地域住民や沿線の地元企業(商店や病院など)との協働・連携がなされているが、こうした場面においても各機関の協議・調整などに自治体の関わりがみられる。
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清水 陽子, 中山 徹
セッションID: 2J-6
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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目的これまで都市政策は拡大を前提に行われてきた。しかしながら、日本では2005年より人口が減少をはじめ、経済的はこれまでのような成長をつづけることは困難であると考えられている。今後は、拡大を続けてきた都市を適切な規模に縮小していく必要がある。本研究は炭鉱都市として栄えたが、現在では住民がピーク時の1割にまで減少している北海道歌志内市を対象に、市の現況と取組について調査する。
方法北海道歌志内市総務財政課および産業建設課の担当者へのヒアリングと現地視察を行った。
調査時期は2008年12月である。
結果市内人口は昭和23年(1948年)がピークで46,171人で世帯数は8,424世帯あったが、現在は4,792人(2008年12月)、世帯数は2,510世帯となっている。炭鉱都市であったが平成7年(1995年)に閉山し、現在は露天掘りが一部で行われている。
現在、市内には990戸の改良住宅、468戸の公営住宅がある(市が管理する住宅は合計で1,458戸)。そのうち改良住宅では74戸、公営住宅では225戸の空き家が発生している。そのほかにも改良住宅で110戸、公営住宅で46戸(合計156戸)の政策的空家もある。入居率は79.4%である。
現在の歌志内市は財政状況が非常に厳しく、学校の統廃合をせざるを得ない(小学校は5校から2校へ、中学校は2校から1校へ、高校は1校あったが現在は廃校)など、人口減少が市民生活に与える影響は大きい。また市内での雇用が難しく、職を求めて市外へ転居する人も多い。
今後の対策として、ロードヒーティングや管理コストを削減するために、地区の集約や住宅供給の集約を検討している。平成13年度マスタープランを策定し、市内を6つの地区を5つにゾーニングし、計画を実施している。平成22年度には新しい計画を策定予定である。
※本研究は小寺寛子さん(奈良女子大学生活環境学部4回生)にご協力頂きました。
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伊村 則子
セッションID: 2J-7
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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目 的 本研究は大学生の防災行動力向上を目的に、大学から学生に配布されている防災情報を分析し、またアンケートにより東京近郊に通う大学生の防災行動力の現状分析を実施し、学生向け防災啓発リーフレットを作成したので報告する。
方 法 大学からの防災情報は、武蔵野大学と比較のため、他大学の学生手帳と学生ハンドブックを収集し(2006年5~8月に関東圏14校、阪神地区6校)、比較のためweb上に公開の東海地区2校も収集した。アンケートは武蔵野大学全学部1~4年生を対象に2006年7~8月に実施し、配布・回収は手渡しで行い、配布518部、回収415部(回収率80%)となった。
結 果 大学からの提供状況は掲載内容を比較した結果、1)学内生向けの具体的な情報(5校)、2)一般的な情報(11校)、3)情報がない(6校)に分類でき、武蔵野大学は一般的で在学時に被災した場合に役立つ内容とはいえず、2)の一般的な防災情報であることがわかった。アンケート調査からは居住地域は東京都が64%、居住形態は実家で家族と同居が68%、1週間あたりの登校日数は1~3年生はほぼ100%が週4日以上である。防災に対する姿勢は地震防災に興味・関心があっても対策などの防災行動をしている学生は少ないことがわかった。また大学からの防災情報はほとんど認知されていなかった。通学に不安がある学生が68%おり、発災時に知りたい情報は「避難場所、安全な場所、家族の安否」となった。以上の結果をふまえ、携帯率が上がるよう定期券の大きさで、調査からわかった学生のニーズを満たす防災リーフレットを作成し、2008年度より全学生教員に配布された。本研究は調査時に研究室所属であった西川知恵君、佐藤融紀君の協力を得た。謝意を表する。
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照度および住民・利用者評価の経年変化
藤本 亜弓, 井上 容子
セッションID: 2J-8
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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【目的】防犯効果が期待され、H17年以降青色防犯灯が全国で普及した。しかし、青色光などの有彩色の照明光はそれまでに使用されておらず、視認性や心理的な影響を把握する必要があるため、設置地区、設置駐輪場での調査を行った。
【方法】H17年からH18年にかけて、青色防犯灯が設置されている全国12箇所の設置住宅地と2箇所の駐輪場について環境実測、市役所等自治体や自治会、施設管理者への聞き取り、住民や利用者へのアンケート調査を行った。調査項目は通りの明るさや色の見え方、安心して街路を通行できるかなど、計23項目である。H17、18年の調査では青色灯の新規性が強いことが調査結果に反映されていると考えられたため、新規性が薄れたと思われる約2年後のH20年に住宅地と駐輪場各1箇所で市役所等自治体や自治会、施設管理者への聞き取り、住民や利用者へのアンケート調査を行った。
【結果】環境測定の結果、日防設推奨水平面照度3 lxに満たない地区が多かった。アンケートの結果、H17、18年の調査では、以前より暗い、寂しいと回答する人が多いが、一方で雰囲気・景観は良い、安心して通行ができる、今後も継続した方が良いと回答する人が多かった。H20年と比較すると、通りの明るさ、色の見え方、雰囲気などは評価が低くなったが、安心して通行できる、今後継続した方が良いと答える人は増えており、青色防犯灯への理解が深まっていることが伺える。青色防犯灯は防犯活動の一環として、活動の盛んな地区でよく導入されており、継続して活動を行ったことで取り組みが地域住民へ浸透していると言える。アンケート結果と環境の物理量、回答者属性、および犯罪発生率等との関係については今後考察する。
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岩崎 香織
セッションID: 2P-1
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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目的 現在、増え続ける子どもや高齢者のケア問題を背景として、子ども期にケアを学ぶ生活や教育の意義が世界的に再評価されつつある。日本家庭科教育学会の『家庭生活についての全国調査』(2004)から、「家庭科学習の効果」の見られる児童・生徒ほど「子どもの遊び相手」をし、「お年寄りや体の不自由な人の手助け」を「もっとすすんでできるようになりたい」ことが明らかにされた。本研究は、高校生のケア行動の先行要因として家庭科に注目し、家庭生活、地域生活、個人の資質といった要因と同時に検討することにより、子どものケア行動を促進する教育の在り方について検討することを目的とする。
方法 使用するデータは、お茶の水女子大学JELS2006調査である。2006年9月~11月に関東地方Aエリアの公立高校10校の高校3年生を対象に実施し、1935名のデータが得られた(有効回収率88.3%)。説明変数を家庭科、家庭生活、地域生活、個人の資質、従属変数を高校生のケア行動とする重回帰分析を行った。
結果 本研究の説明モデルにおいて、高校生のケア行動を最も強く規定した要因は、家庭生活における「家事頻度」であった。家庭科の「教科意義の認知」も規定力が有意であった。他に、地域生活での「近所の人へのあいさつ」、個人の資質として「学校で新しい友達を作るのは簡単だ」、「他の人と一緒に作業をすることが上手だ」といった「人間関係」能力も規定力が有意であった。以上の結果から、家庭科教育は、保育や介護といった直接的なケアの学習でなくとも、実習を通した生徒の協働学習や、地域の文化を学び生活に生かすという教科の本質的な学びを通して、総合的に生徒のケア行動を促進する可能性が示された。
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6歳未満の子どものいる世帯を対象として
久保 桂子
セッションID: 2P-2
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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目的 日本の女性の労働力率を示すグラフは、M字の谷間が右に移動し多少浅くなっているが、依然としてM字型カーブを描いており、出産・育児期に多くの女性が無業になる状態はなかなか改善されない。非正規雇用者比率の増加や正規労働者の労働時間の長時間化などの労働環境問題、夫の家事・育児時間の短さなどが妻の労働力率を抑制する要因として挙げられてきたが、それに加えて、出産・育児期の妻の就業を支えてきた基盤の変化も検討する必要がある。本研究は、家族形態に着目し、妻の就業者率の高い拡大家族世帯の減少が就業者率の変化に及ぼす影響を明らかにする。
方法 総務省統計局『国勢調査』と『労働力調査特別調査報告』、『労働力調査年報』を用いる。国勢調査は、1980年から2005年までが比較可能であり、夫婦のいる世帯で6歳未満の子のいる世帯について家族類型別に妻の就業状態を分析する。労働力調査は、1986年から2007年まで比較可能であり、末子の年齢区分0-3歳、4-6歳について、家族類型別に妻の就業状態を分析する。
結果 国勢調査において、6歳未満の子を持つ「夫婦と子の世帯」と「同居の親のいる親族世帯」は、両者とも1980年から2005年にかけて実数を減少させている。この期間の世帯数全体の減少への寄与度については、夫婦と子の世帯よりも同居の親のいる親族世帯のほうが大きい。そして、そのうち妻が就業者である世帯も、全体に比べ減少率は低いものの実数で減少している。この減少に寄与しているのはもっぱら同居の親のいる親族世帯で、夫婦と子の世帯は長期的には減少に寄与しておらず、むしろ実数自体が増加している。同居の親のいる親族世帯については、全体の減少率に比べ妻が就業者である世帯の減少率が高い。ほぼ同時期の労働力調査でも、夫婦と子と親の世帯の妻の労働力率は、夫婦と子の世帯に比べ増加率が低い値にとどまっていることが認められた。
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志村 結美, 大橋 寿美子
セッションID: 2P-3
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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目的 家庭科教育は生活に直結した実践的活動を通して、個の生き方を創りながら、家族、地域・国際社会の人々と共に生きる力を育てることをねらいとしている。しかし、そのねらいは的確に児童・生徒に伝わり、認識されているのであろうか。また、指導する教員も家庭科教育のねらいを正確に把握し、それを伝えようとしているのであろうか。
そこで、本研究は、その疑問を明らかにするために、小・中・高等学校における家庭科の学習を終え、多様な自立の必要性を認識する時期である大学生の家庭科観を把握し、家庭科教育の抱える課題を浮き彫りにすることを目的とした。既に前報において、教員養成系大学生の家庭科観の実態を報告した。本報では、家庭科の教育内容と関連の深い生活科学系短期大学生の家庭科観を明らかにすることを目的としている。
方法 調査対象は、生活科学系短期大学生146名であり、調査期間は2008年9月である。調査内容は、大学生が持つ家庭科に対する認識、すなわち家庭科観であり、調査項目は、「家庭科に対するイメージ」「心に残っている家庭科の授業」「家庭科の授業で身についた力」「今までの家庭科学習の振り返り」「現代の家庭科教育に求められているもの」等である。
結果 大学生は家庭科のイメージや家庭科に求められるものとして、「実生活に役立つ」「生きていくために必要なことを学ぶ」「自立のための基礎的能力を獲得する」等を多くあげ、家庭科教育の目標や育成したい能力も同様に捉えていることが明らかとなった。また、調理実習をはじめとする実習・体験学習が印象に残っており、より一層の実践的・体験的学習の充実と、その実習・体験学習をいかに生活に定着させていくのか、指導の工夫が求められている。
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中林 啓, 黒川 衣代
セッションID: 2P-4
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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目的女性の社会進出は,それまで女性を抑圧していたジェンダーを浮き彫りにし,様々なライフスタイルの実現に寄与している。このような状況の社会を目前に,大学生はジェンダーをどう捉え,どの程度正確に把握しているのであろうか。そこで,本研究では大学生のジェンダーへの興味とジェンダーに関する知識を明らかにし,それらの特徴や関連を探る。
方法徳島県下の2大学の学生205名を対象に,2007年11月に質問紙調査を行い,191票の有効回答を得た。調査内容は,ジェンダーへの興味とジェンダーに関する知識である。ジェンダーへの興味は,その有無を聞き,興味があると回答した人には興味を持ったきっかけ・経験を書いてもらった。ジェンダーに関する知識は,ジェンダーとデートDV,かくれたカリキュラムの言葉の意味を聞くと共に,6つのジェンダーに関係する知識についての記述の正誤を判断してもらった。
結果主な知見は以下のとおりである。(1)55人(28.8%)が,ジェンダーに興味があると回答した。(2)ジェンダーに興味を持ったきっかけ・経験において,女子学生,男子学生のそれぞれに特徴的なのは「家族」,「社会状況」であった。(3)男子学生の方が、ジェンダーに関係する知識の記述に対する正答数が多かった(t(198)=3.063,p<0.01)。(4)法律や社会の記述に対する正答率は有意差が見られ男子の方が高かった。しかし,セクシュアリティや性別の多様性の記述については,どちらが高いとはいえなかった。(5)ジェンダーに興味があり,かつジェンダーとデートDV,かくれたカリキュラムの意味の全てを正確に理解しているのは1人であった。(6)ジェンダーに興味のある学生の方が,ジェンダーに関係する知識の記述に対する正答数が多い傾向にあった(t(186)=1.967,p<0.1)。
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学年による違い
前田 雄也, 日景 弥生
セッションID: 2P-5
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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【目的】小学校で学習した家庭科の内容は、それに続く学習の基礎となる。そこで、小学校家庭科の被服製作用語と調理用語について小学生から大学生を対象に調査を行い、学年による知識の実態を把握することを目的とした。
【方法】1.時期;2007年5月~12月に行った。2.調査対象者;小学5年生110名(男子55名、女子55名)、中学1年生197名(男子97名、女子100名)、中学3年生189名(男子91名、女子98名)、大学生143名(男子54名、女子89名)とした。3.調査項目;小学校家庭科教科書に記載されている被服製作用語36項目、調理用語47項目(うち調理技能用語17項目)とした。
【結果】1.被服製作用語と調理用語の「知っている」または「できる」割合を学年進行でみた結果、小学5年生からその割合を維持(A型)、中学1年生で増加し以降維持(B型)、中学3年生まで増加し大学生で減少(C型)、小学5年生以降増加(D型)、A~D型以外(E型)の5つのタイプに分類された。2.「計量カップ」のような調理用語はA型が多く、家庭科学習前から「知っている」ものが多くみられた。「ゆでる」のような調理技能用語はB型が多く、小学校家庭科学習の効果がみられた。3.被服製作用語において、「まち針」のような〔用具〕はB型が多く、それ以外ではC型が多くみられた。技能を伴う項目では、一時的に学習効果がみられるが、それは維持・向上していないことがわかった。4.「知っている」または「できる」と「家庭での実践」とは有意に関連し、特に被服製作用語では顕著だった。
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上延 麻耶
セッションID: 2P-6
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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【目的】栄養・食生活は人が健康な生活を送るために欠かすことのできない要素である。特に、青年期の食生活や栄養摂取状況は、将来の健康状態に大きく影響する。一方、高齢者においても栄養・食生活は健康維持や生活の質の向上に不可欠であり、自立に向けた生活支援における食生活援助は極めて重要な課題の一つであると考えられる。そこで、介護者には食生活においても質の高い援助ができることが求められる。そのためには、将来介護の現場を担うであろう介護福祉士養成課程の学生が、健康と栄養摂取の関係を理解し、実践に結びつけて自らの食知識・食態度を職業に反映させることが必要と考えられる。そこで、本研究では今後の介護福祉士養成課程学生に対する食生活関連分野の教育方針のあり方を考えるための基礎資料を得ることを目的介護福祉士養成課程学生の食行動の実態を調べた。
【方法】平成19年4月中旬に介護福祉士養成短期大学の1学年75名及び2学年42名を対象として、集合法による自記式調査票調査を実施した。普段の食行動について習慣・栄養摂取・衛生・嗜好・健康との関連という5項目に分類し、全項目(3項目の)選択肢を設定した。
【結果】生活習慣・食品摂取・衛生・健康との関連という4項目に分類し、普段の食行動について学生の意識と実態を調べた結果、介護福祉士養成課程の学生は、学習過程から食品衛生の知識や食品選択の知識は実践に結びついているが、栄養面に関する配慮より嗜好を優先させる、適正な食習慣を身につけていないなどの問題が明らかにされた。
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岡田 瑞恵, 岡田 悦政
セッションID: 2P-7
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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[目的]Adiponectinは、脂肪細胞から分泌されるサイトカインの一種であり、グルコース制御、脂肪酸の分解等、これらの代謝における重要な役割を担うことで、抗糖尿病や抗アテローム形成の働きを持つことが報告されている。一方、estrogenも脂肪の形成と代謝に影響を及ぼすことが示唆されており、よって、閉経後のestrogen低下は、結果としてAdiponectinの分泌量に影響することが推察される。今回、高グルコース、異なる脂質、グリシンをそれぞれ組み合わせて脂肪細胞に加え、estrogen存在下、非存在下においてAdiponectinの分泌量に対する検討を行ったので報告する。
[方法]脂肪前駆細胞3T3-L1(JCRB 9014)は、脂肪細胞へ分化誘導後、サンプル(30mMグルコース(glu)、250µMエイコサペンタエン酸(EPA)、10mMグリシン(gly)の終濃度及び2µL共役リノール酸混合物(CLA-mixture: ~80%CLA,cis,trans-11, and 38.5% trans-10,cis-12-CLA isomers)をそれぞれ組み合わせて投与し、17β-estradiolの存在下または非存在下において、DMEM培地、インスリンで、5%CO
2、37℃で48h培養した。Adiponectin量は、ELISA法にて測定した。
[結果]Adiponectin分泌量は、estrogen存在下において、glu+CLA-mix+EPAの組み合わせが最も高く、EPA+CLA-mix+glyの組み合わせが最も低値であった。また、estrogen非存在下においては、glu単独が最も高く、EPA +CLA-mix+gluの組み合わせが最も低値であった。
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岡田 悦政, 岡田 瑞恵
セッションID: 2P-8
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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【目的】アディポネクチンは、脂肪細胞から分泌されるサイトカインの一種であり、インシュリン感受性、グルコース制御及び、脂肪酸の分解等における代謝過程において重要な役割を担い、抗糖尿病や抗アテローム形成の働きを持つことが報告されている。本研究では、このアディポネクチンに着目し、糖尿病予防を目的とし、食用植物種子エタノール抽出成分が高グルコース培養下における脂肪細胞に対してそのアディポネクチン分泌量への影響に関し、有用性の検討を行ったのでその結果を報告する。
【方法】1. サンプル20種は、エタノール抽出し、ろ過後、0.20μmのフィルターを通し、サンプルとして用いた。2. 3T3-L1細胞は、4x103個をまき、脂肪細胞前駆培地で5% CO
2、37℃の条件下で培養後、脂肪細胞分化培地に脂肪細胞への分化を行い、その後、高グルコース(30 mM)培養下におき、Samplesの2μLを加えて、2日間培養した。3.その後ELISA法により450 nm測定(R&D: ELISA kit)を行った。
【結果及び考察】アディポネクチン分泌量に対して、コントロール(エタノール終濃度0.68%)より有意に高いSampleは、使用サンプル20種のうち16サンプルとほとんどのサンプルで有意な上昇がみられた。上位は、コマツナ、インゲン、チンゲンサイ、エダマメ、ホウレンソウ種子であった。カイワレダイコン、ゴボウ、ゴーヤの種子等は、コントロール以下のアディポネクチン分泌量となった。今後、アディポネクチン以外のサイトカインのへの影響の検討及びその有効成分についての検討や、各サンプルについての至適濃度についても確認して行きたいと考えている。
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宮倉 玲子, 曽根 保子, 大塚 譲
セッションID: 2P-9
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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【目的】生体内では活性酸素種の消去系である抗酸化酵素が存在し、生体の恒常性を維持している。酸化ストレスによって抗酸化酵素の発現が促進されると思われるが、抗酸化機構の全体像はいまだ明らかではない。そこで本研究では酸化ストレスに応答する遺伝子の解析を行った。また遺伝子ノックダウンにより酸化ストレスへの耐性を検討した。
【方法】ヒト正常線維芽細胞(HUC-F2)を用いた。
1.過酸化水素を用いて酸化ストレス応答遺伝子の網羅的解析を行った。細胞に過酸化水素100μMを添加し、4時間後RNA抽出を行い、マイクロアレイ分析を行った。
2.過酸化水素0~300μM添加4時間後の遺伝子発現量をリアルタイムPCR法で測定し、濃度依存的発現変化を検討した。
3.SOD1、Gpx1、CAT、HO-1の遺伝子ノックダウンを行った。ノックダウン細胞に過酸化水素を添加し細胞増殖への影響を検討した。
【結果】1.SOD1、SOD2やFOSB、JUNB、HO-1の遺伝子発現上昇が観察された。リアルタイムPCR法でも同様の結果であった。
2.発現量を確認した遺伝子が過酸化水素濃度依存的に発現が上昇することを確認した。
3.ノックダウンに伴う細胞増殖への影響は観察されなかったが、過酸化水素を添加すると細胞増殖阻害が引き起こされた。
【結論】過酸化水素添加による抗酸化酵素、転写因子の発現上昇が観察されたことから、酸化ストレス応答遺伝子として働いていることが示唆された。遺伝子ノックダウン後に過酸化水素を添加すると有意に細胞増殖阻害が引き起こされたことから、これら遺伝子には酸化ストレスによる細胞傷害を抑制し、細胞を保護する働きがあることが示唆された。
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望月 美也子, 山田 和, 福富 悌, 長谷川 昇
セッションID: 2P-10
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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目的 非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis; NASH)は、肝硬変、肝がんへと進行する可能性が大きく、予防・治療法の確立が待たれている疾患の一つである。病態の進行には、酸化ストレスの関与が示唆されており、活性酸素・フリーラジカル消去を目的として抗酸化物質を摂取することは、発症予防や病態の進行の抑制に有用と考えられる。
一方、柿には抗酸化作用があることが知られている。そこで、本研究は、岐阜県産富有柿の摂取が、NASHに起因した肝炎の予防効果を明らかにするために行われた。
方法 NASH病態モデルラットは、12週齢オスSDラットに、メチオニンおよびコリン無添加食を与えることによって作製した。岐阜県産富有柿は、メチオニンおよびコリン無添加食に混合して投与した。肝機能の指標として、飼育開始から飼育終了まで経時的に血清AST、ALT、TG、HDL コレステロール量を測定した。飼育終了後、肝臓湿重量および肝臓中TG量を測定した。
結果・考察
血清AST、ALT量から、メチオニンおよびコリン無添加食を与えることによってNASHが発症することが明らかとなった。また、岐阜県産富有柿を投与した群は、コントロールと比べて肝機能の悪化が軽減された。以上の結果から、岐阜県産富有柿は、NASHに対するリスク軽減食品として効果的であることが示唆された。
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山下 広美, 多賀 友里恵, 木本 眞順美, 比江森 美樹, 辻 英明
セッションID: 2P-11
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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[目的]これまで我々は醸造酢の主成分である酢酸の肥満抑制、耐糖能改善および脂肪肝抑制効果について検討してきた。しかしながら実際にお酢を一定量摂取する場合にはその酸味の強さが問題となる。本研究では「摂取しやすい酢」の調製を目的とし、酢に果実を浸漬して調製した果実浸漬酢を取り上げて、浸漬する果実重量と飲みやすさとの関連を官能検査により評価すると共に、摂取しやすい酢に寄与する成分の検討を行った。[方法]穀物酢に対する重量比で10%、20%、40%、80%になるようにグレープフルーツの果実を穀物酢に3日間および6日間浸漬した。本学の学生約15名により浸漬後の酢の官能検査を実施した。検査項目は、酸味、酸味の好み、飲みやすさ、香り、総合評価とし、穀物酢に比較してどうであるか、という質問方法とした。一方、浸漬後の酢の酢酸、クエン酸、グルコース、フルクトース、スクロース含量をF-キットにより、カリウム、ナトリウム、カルシウム含量を原子吸光法により測定した。 [結果]飲みやすさおよび総合評価は3日間浸漬より6日間の浸漬期間の果実浸漬酢の方が高かった。浸漬果実重量40%および80%の酢で総合評価および飲みやすさが穀物酢より高い傾向にあった。それぞれの果実浸漬酢の酢酸濃度を測定すると、浸漬前の穀物酢の酢酸濃度が4.5%であったのに対して、40%果実浸漬酢の6日間浸漬では約2.5%、80%では約1.1%であった。他の成分は果実重量が増加すると共に増加する傾向があった。「摂取しやすい酢」の成分配合比について考察した。
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小竹 佐知子
セッションID: 2P-12
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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目的 食品咀嚼中に食品から放散する香気は、食品のおいしさを決める最終的な判断基準の一つとなることから重要と考えられる。そこで、食品咀嚼中の放散香気量に及ぼす咀嚼頻度の影響を検討することを目的として、咀嚼モデル装置を用いて測定した。
方法 抜き型(直径2.7cm)を用いて直径2.5cm、高さ2.5cmに成形した蒟蒻ゼリー(マンナンライフ社製、カップポーションタイプ・レモン味)を0.31Hz、0.71Hz、1.00Hz、1.46Hzの咀嚼頻度にて2分間模擬咀嚼させ、その間に放散した香気をテナックスチューブに捕捉し、加熱脱着式(TSD、Gerstel社)のGC-MS(6890GC-5973MSD、Agilent社)によりリモネンを分析した。実験は6回の平均とし、シェッフェの全群比較法により統計処理を行った。
結果 咀嚼頻度1.46Hz(1.46回/秒の咀嚼)は、予備実験にて学生パネルに試料を供試して食べてもらい、計測した嚥下するまでの咀嚼回数と咀嚼秒数から算出した値の最大値である。学生の咀嚼頻度は1.00~1.46Hzの間にあり、これに対して、ややゆっくりの咀嚼を0.71Hz、非常にゆっくりの咀嚼を0.31Hzに設定した。リモネンの放散量は、咀嚼頻度が低くなるにつれて減少する傾向にあったが、1.46Hzと1.00Hzの間には有意差は無く、0.71Hzでは5%、0.31Hzでは1%の危険率で有意に減少した。以上のことから、咀嚼頻度が低い高齢者では、咀嚼中の放散香気量の少ないことが示唆された。
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福田 翼, 佐藤 貴裕, 大中 真莉子, 石野 靖浩, 森田 洋
セッションID: 2P-13
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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目的 Rhizopus属菌は,伝統的な発酵食品であるテンペの発酵微生物である。このテンペには抗菌性物質が含まれており,
Rhizopus属菌によって生産されている。本研究では,様々な
Rhizopus属菌とバクテリアの組み合せによる抗菌性物質生産を検討すると共に,混合培養系における
Rhizopus属菌の抗菌性物質生産について検討を行った。
方法 Rhizopus属菌は,
R. arrhizus P7菌株,
R. peka P8菌株,
R. oligosporus P12菌株,および
R. oryzae P17菌株を使用した。混合対象菌株は,
Escherichia coli IFO 3972,
Bacillus subtilis IFO 3335,
Salmonella typhimurium IFO 13245とした。フラスコによる培養は,培養温度30
oC,かくはん速度を70 rpmで振とう培養を行い,抗菌活性はペーパーディスク法にて測定した。
結果 Rhizopus属4菌株および様々なバクテリアとの混合培養系における抗菌性物質生産を検討した結果,
R. peka菌株と
B. subtilis菌株の混合培養系において,各々の純粋培養系よりも高い抗菌性物質生産が確認された。次に,
R. peka菌株と
B. subtilis菌株の混合培養系における培養条件の検討を行った。
R. peka菌株の添加菌数濃度を固定し,
B. subtilis菌株の初発添加菌数濃度を変化させた場合,初発添加菌数濃度が高い場合において抗菌活性が高い傾向にあった。また,
B. subtilis菌株の添加時間の検討では,初期段階における添加時に抗菌活性が高い傾向にあった。
R. peka菌株と
B. subtilis菌株の混合培養系での抗菌性物質生産における最適混合培養条件は,同時添加で
B. subtilis菌株の初発添加菌数濃度が10
6 CFU/mLの時であった。
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磯部 由香, 平島 円, 西村 有加里
セッションID: 2P-14
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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【目的】近年、乳酸菌のもつ機能性について様々な報告がなされているが、その一つとして、乳酸菌の菌体が胆汁酸を吸着することにより、血清コレステロールを低下させる作用がある。そこで、乳酸菌により熟成される伝統的な水産発酵食品であるなれずしの機能性を探るために、なれずしから乳酸菌を分離し、胆汁酸吸着能について検討を行った。
【方法】試料には三重県東紀州産のあゆずし・さんまずし、および滋賀県産のますずし・ふなずしから分離した乳酸菌、計14菌株を用いた。各乳酸菌の凍結乾燥菌体をpH 6.5に調整した胆汁酸を含む溶液に溶解し、37℃で18時間振とうした。その後、遠心分離にかけて菌体を除去し、上清に残存した胆汁酸量を定量し、胆汁酸吸着率を算出した。胆汁酸の定量はヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを用いた酵素法により行った。
【結果】供試菌株のほとんどは20~30%程度の胆汁酸吸着率であったが、ますずしから分離した1株のみ、92.1%の吸着率を示した。そこで、この菌株を用いて、胆汁酸吸着条件について検討した。菌体量が胆汁酸吸着に及ぼす影響を調べたところ、胆汁酸0.2 mg に対する吸着率は菌体5mgで64.1%、10mgで91.7%、15mgで100%であり、菌体量が増えるにつれて吸着率が増加した。小腸内のpHである6~8において、pHが胆汁酸吸着に及ぼす影響を見たところ、pH6.0で47.6%、pH6.5で75.6%、pH7.0で87.3%、pH7.5で92.7%の吸着率を示し、pHが上がるほど吸着率が増加することが明らかになった。菌体を加熱処理することが胆汁酸吸着率に及ぼす影響を調べたところ、未加熱菌体の吸着率が59.7%であったのに対し、加熱処理菌体は15.3%の吸着率であり、加熱処理菌体は、未加熱菌体に比べ、吸着率が大幅に低下した。
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堤 一代, 小川 あかね, 福田 翼, 河野 智謙, 上江洲 一也, 森田 洋
セッションID: 2P-15
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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【目的】フィブロインとは蚕繭に含まれるタンパク質であり,化粧品などに利用されている.フィブロインを膜化する技術はすでに存在し,性質としては生体親和性に優れた可溶性の膜であり生活用品への応用が期待されている.しかし不溶化への詳細な検討はほとんどなされていない.本研究ではフィブロイン膜をバイオフィルム形成初期段階で創生されるコンディショニングフィルムの代替としての可能性に着目し,膜の不溶化の検討及びその性質の評価を行った.
【結果】フィブロイン膜の不溶化条件は,グリセリン添加濃度0.10 %以上・pH12以下・乾燥条件30 ℃以上/70 %RH以上であった.水の接触角を用いた親水性・疎水性の評価では,0 °であり高い親水性を示した.コンディショニングフィルムとしての評価では,
Eschrichia coli XL1 Blue付着の経時変化は,1 minで10
5 CFU/cm
2,3 h以降では10
6~10
7 CFU/cm
2であった.
Enterobactor cloacae NBRC 13536及び
Vibrio fischeri ATCC 49387の付着では1 minで約10
5 CFU/cm
2・10
6 CFU/cm
2,24 h後で10
6 CFU/cm
2であり,SEMによる表面観察は高い菌体付着が確認された.アルギン酸ナトリウム膜・ラテックス及びウレタンとの
E. coli XL1 Blue株菌体付着の比較では,フィブロイン膜の方が1-2オーダ高い結果が得られた.従ってフィブロイン膜は,コンディショニングフィルムとして有用であることが確認された.
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山岡 由理子
セッションID: 2P-16
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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[目的]紅茶は世界的に飲まれている最もポピュラーな飲み物のひとつである。紅茶にはテアフラビンと呼ばれる紅茶特有のポリフェノール類が含まれており、構造の違いから、theaflavin (TF-1)、teaflavin-3-gallate (TF-2a)、theaflavin-3’-gallate (TF-2b) 、 theaflavin-3,3’-digallate (TF-3)の4種類が知られている。テアフラビンの作用として、抗酸化作用や抗ガン作用などが報告されているが、カテキンほど研究がされていないのが現状である。そこで今回は、皮膚細胞の重要機能のひとつであるメラニン生成能に着目し、本機能に対するテアフラビンの影響について培養細胞系を用いて検証した。
[方法]メラニン生成細胞としてマウスB16メラノーマ細胞を使用し、メラニンの合成は、メラノサイト刺激ホルモンの添加により誘導した。細胞内におけるメラニン合成酵素のタンパク質発現はWestern blot法、mRNA発現はRT-PCR法を用いてそれぞれ解析した。
[結果および考察]B16メラノーマ細胞を用いて、メラニン生成能に対する各テアフラビン添加の影響を調べた結果、TF-3に強いメラニン生成抑制作用が認められた。その作用は、陽性対照のコウジ酸よりも強いことがわかった。さらに、メラニン合成の律速酵素であるチロシナーゼの発現解析を行ったところ、TF-3処理した細胞ではチロシナーゼのmRNAならびにタンパク質発現が低下していることが示され、TF-3のメラニン生成抑制作用はメラニン合成酵素の発現を遺伝子レベルから抑制することに起因する可能性が示唆された。
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戸田 雅之, 小林 秀, 藤津 雅子
セッションID: 2P-17
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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【目的】食生活の変化によって脂肪の摂取量は年々増える傾向にあり、現在では理想とする摂取量よりも過剰に摂取されているのが実情である。また、いわゆる「中食」と称される惣菜の購入・利用頻度は増加傾向にあり、家庭においてこれらを温め直す機会は増えていると考えられる。そこで、惣菜として利用頻度が高く且つ油分を多く含む揚げ物を電子レンジで温め直す際に、揚げ物の下に敷く不織布シートの特性が揚げ物の脱油に及ぼす影響について検討を行った。
【方法】市販又は自ら調理した揚げ物惣菜を不織布シートに載せた後、電子レンジで所定時間加熱し、食材から漏出した油をシート重量増加分として計測することにより食材からの脱油量を求めた。また、シートが吸収した油からガスクロマトグラフ法にてコレステロール量を測定した。
【結果】無加工の不織布シートではそのシートの持つ飽和吸油量が多いものほど揚げ物惣菜からの脱油量が多く、またシートに油を平面的に拡散させる加工を施すと脱油量は更に増大した。このことから、揚げ物惣菜の温め直しにおける脱油はシートの持つ吸収能力に依存して増加し得ることがわかった。また、市販コロッケ及び自らが調理した鶏唐揚を温め直ししたときの脱油成分を分析したところ、それぞれの惣菜に元々含まれていたコレステロール量に対し、コロッケで約20%、鶏唐揚で約12%のコレステロールが検出され、不織布シートを用いることによる脱油は揚げ物惣菜の衣中の揚げ油だけでなく食材自体からも起こっていることが示唆された。
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中谷 梢, 升井 洋至
セッションID: 2P-18
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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【目的】近年、食品や調理器具の多様化と家庭における調理負担の軽減化が進み、特に蒸し器を用いた蒸し調理の減少が予想される。そこで、一般家庭での蒸し調理に対する意識及び喫食と調理の実態について調査し検討した。【方法】2008年11~12月、女子大学生のいる家庭を対象にアンケート調査を行った。調査用紙配布数80枚、回答者数60名、回収率75%であった。調査内容は属性、嗜好、蒸し物のイメージ、および蒸し料理の季節ごとの食べる、作る、購入する頻度と料理、使用する調理器具、蒸し料理名の認知度等の項目について単純集計、クロス集計を行い、検討した。【結果】今回の調査での家庭における調理者は40~50代が80%(内有職者63%)で、10~20代が20%であった。嗜好では蒸し物は「大変好き」と「好き」が76%と多かった。蒸し物を食べる頻度は寒い時期ほど多く、40~50代がよく食べる蒸し料理は春・秋・冬では「茶碗蒸し」「肉まん」「しゅうまい」であった。一方、10~20代ではさらに「蒸しパン」も多く喫食されていた。蒸し料理を作る頻度は月1~2回の者が多く、40~50代が作る蒸し料理は春「あさり蒸し」、夏「蒸し鶏」、秋「ふかし芋」、冬「茶碗蒸し」が1位で、「しゅうまい」「肉まん」「卵豆腐」は購入する傾向が高かった。10~20代の蒸し調理の傾向は低く、1年を通して「肉まん」「蒸しパン」をよく購入していた。使用する器具は蒸し器が最も多いが、電子レンジやオーブン、スチームオーブンなど調理器具の多様化がみられた。今回の調査で家庭における蒸し調理の実施回数は少なく、様々な調理器具を用いて比較的手軽にできる料理を調理していることが示唆された。
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宮下 朋子, 渡邉 綾子, 長尾 慶子
セッションID: 2P-19
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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【目的】メレンゲの一つに、卵白に砂糖を加え、湯煎中で撹拌して調製するスイスメレンゲがある。このメレンゲは、きめが細かく安定性があり、ムースやケーキのトッピングのほか、焼成してケーキなどの飾りに用いられている。本研究では、スイスメレンゲを調製する際の湯煎内での撹拌時間に焦点を当て、特に、焼成した場合の外観、物理特性や嗜好性について実験を行い、焼成スイスメレンゲの調製に適する撹拌時間について検討した。
【実験方法】鶏卵60gにグラニュー糖90gを加えて軽く混合後、90℃の湯煎中で2.0~8.0分まで定速撹拌(700rpm)し、撹拌時間の異なる13個の試料を得、撹拌中の内部温度、比重、浸出液量を測定した。これらの試料を5gずつ60℃の恒温器内で24時間焼成し、外観、比重、水分蒸発量および破断応力の測定と官能評価により、焼成スイスメレンゲの品質を総合的に評価した。
【結果】湯煎内で撹拌中のスイスメレンゲの内部温度は、撹拌1.5分で73.6℃まで上昇し、この後は低下して8分後にほぼ60℃となった。焼成前のスイスメレンゲの比重は、撹拌開始から4.5分まで低下し、再び上昇した。浸出液量は、撹拌時間が長いほど少なくなった。焼成スイスメレンゲの場合、水分蒸発量は、撹拌時間の経過に伴い低下した。比重は、焼成前の場合と同様に、撹拌開始から4.5分まで低下して再び上昇した。ついで破断応力は、5.5分まで低下後、再び上昇した。外観においては、撹拌時間4.0分、4.5分、5.0分の焼成スイスメレンゲは、比較的表面が滑らかできめ細かく仕上がった。そこで、これら3試料について、撹拌時間3.5分および5.5分の試料を基準として官能評価(7点評価法)を行ったところ、総合評価において4.0分>4.5分>5.0分の順で好まれる傾向となった。
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-サツマイモを用いたスチームコンベクションオーブン加熱との比較-
後藤 昌弘, 西川 和孝
セッションID: 2P-20
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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[目的]近年新しい加熱器具として過熱水蒸気オーブン(以下SHと略)が登場し,新たな調理器具として期待されている。しかしながら,従来の加熱法と比べ,どのような特性があるかは十分把握されていない。本研究では種々の材料を用いて行った調査のうち,スチームコンベクションオーブン(以下SCと略)とSHを用いてサツマイモの加熱を行い,これらのオーブンの加熱特性の基礎資料として得られた知見を報告する。
[方法]サツマイモは,高系16号の宮崎紅(宮崎産),鳴門金時(徳島産)を用いた。スチームコンベクションオーブン(ニチワ製SCOSC-4RS)はホットエアーモード(ヒーターのみで加熱,以下SC-Hと略)またはコンビネーションモード(ヒーターとスチームで加熱,以下SC-Cと略)で200℃,過熱水蒸気オーブン(直本工業製QF-5200C)は,蒸気温,庫内温とも200℃に設定した。サツマイモは中央部分を1cm厚の輪切りとし,温度センサーを中心部に取り付けて,それぞれのオーブンに入れ,中心温95℃3分間を維持した時点で加熱終了とした。加熱中の中心温度の変化,重量変化,還元糖含量の変化を調べるとともに,官能検査により食味の比較を行った。
[結果]中心温度はSHが4分,SC-Cが5分30秒,SC-Hが8分で95℃に達した。重量変化はSC-Cで小さく,SHで大きかった。外観は,SCよりもSHで焦げ色が強く見られた。還元糖含量は,SHで低く,SC-C,SC-Hの順に高かった。官能検査で,硬さはSC-Cに比べSC-Hが硬いと評価されたが,SHとSC-Hの間には有意差はなかった。甘さは,SC-HがSHに比べて甘いとされた。
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池田 昌代, 阿久澤 さゆり, 加藤 みゆき, 長野 宏子, 大森 正司
セッションID: 2P-21
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
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【目的】東南アジアでは米を粒食だけでなく、パンや麺に加工し粉食としても広く活用している。それぞれの用途に適した米は経験的に選択されていることが多く、その用途と理化学的性質の関係については未だ明らかでない。そこで本研究では、カンボジアで採取した試料を対象とし米の用途と理化学的特徴について検討を行った。
【方法】カンボジアの6地域(Kampong Cham, Siem Reap, Banteay Meanchey, Battanbang, Kampong Chunamg, Kampong Som)の市場で購入した14種類の米を試料とした。米粒の粒径を測定し国際イネ研究所の基準1)を用い短粒、中粒、長粒に分類した。また、山電レオナー_II_(RE2-33005)で炊飯米のテクスチャーを測定して特性値を算出した。Force Millで粉砕した精白米紛の一般成分分析(水分、たんぱく質、脂質、灰分)、青価、Rapid Visco Analyzer(RVA)によるペースト特性及び示差走査熱量計(DSC)による熱的測定を行った。
【結果】粒食米は長粒種の細型、粉食米は中粒種の中型に分類された。テクスチャー特性値では硬さが同程度であっても、付着性に違いがみられ、粒食米は圧縮後にプランジャーが離れるまでに時間を要する波形で付着性が大きく、粉食米は小さい傾向であった。また、粒食米は、青価、RVAの粘度上昇開始温度及びDSCの糊化ピーク温度ともに低く、胚乳の性状および澱粉の特性が異なることが示唆され、性状特性による用途の選択がなされていることが推測された。
1)Jennings, S. P. et al.: Rice improvement, IRRI, Los Banos : 1, 1979.
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上中 登紀子, 升井 洋至, 花? 憲子
セッションID: 2P-22
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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[目的] 食事バランスが乱れ食生活の重要性が再認識されている現代において,生活習慣病予防や健康の維持・増進のために,日本型食事形態が見直されている.その中で,豆類は食物繊維やミネラルが豊富であり栄養を担う役割が大きいと考えられるが,実際の食生活では調理時間もかかることから煮豆調理自体をしなくなり,その消費も少なくなっている.本研究では,IH調理器を用いて,より簡単に煮豆を調製する方法検討し,近年菓子などに幅広く利用されている機能性甘味料トレハロースを用いて,機能性を高めた煮豆の調製方法を検討した.[方法] 豆は北海道産「大正金時」を用いた.熱源はIHクッキングヒーター(ナショナル製,KZ-KG22B),鍋は直径20cm厚さ6.5mmのステンレス製のものを使用した.煮豆の調製方法は,鍋に豆100gと豆重量の6倍量の熱湯(95~100℃)を入れ蓋をして室温で2時間浸漬後,豆重量と等量の上白糖またはトレハロースを添加して50分加熱した.火加減は沸騰するまで火力5(1KW),沸騰後は火力2(370W)に調整した.煮豆の硬さは,定速破断試験(山電KK,クリープメータRE-3305:くさび型または直径8mm円柱型プランジャー)で測定し,色調は色差計(日本電色KK,ZE-2000)で測色し,煮崩れの程度で品質を評価した.[結果] 本実験条件での煮豆は,上白糖,トレハロースとも食感の良い煮豆を調製することができた.しかし,煮崩れが約15%,しわ寄りが5%程みられた.煮崩れ防止としてトレハロースを使用した場合でも,色調,硬さ,煮崩れの状態などには上白糖と大きな差は認められなかった.破断試験においての微分解析では,上白糖とトレハロースに違いがみられた.
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堀 光代, 平島 円, 磯部 由香
セッションID: 2P-23
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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目的栄養士養成校では、調理実習をはじめ応用栄養学実習など他の授業でも調理を行い、在学期間中に調理に関する知識や技術を身につける。そこで、栄養士養成校(短期大学)の学生に対し、入学直後から卒業前にかけて調理に対する意識の変化と技術の習得について検討した。
方法2007年に栄養士養成校に入学した学生65名に、入学直後の2007年4月と卒業前の2009年1月に調理意識や技術についてアンケート調査を行った。
結果家庭で誰が料理を作るかについて「自分」と回答した割合は入学直後と比べ卒業前には増加した。これは、入学直後には主に下宿生が自分で料理を作っていたが、卒業前には自宅生も料理をするようになったことがわかった。そのときの料理にかける時間は、「30分から1時間」と答えた学生が最も多く、これは入学直後と卒業前では変化がなかった。この結果から家庭で作られる料理は、「30分から1時間」で作れるような手軽なものであると推察された。また、家庭で料理をする学生が増えたにもかかわらず、料理をすることが「好き」と回答した割合は、入学直後と卒業前でほぼ同じであった。料理をする回数は増えても料理をすることが好きになるまでには到らないと考えられる。さらに、得意料理の有無についても入学直後と卒業前の変化はなかった。
調理の技術である「だしの取り方を知っている」、「りんごの皮むきができる」、「野菜の切り方を知っている」、「魚の処理ができる」は、入学直後と比べ卒業前には「できる」と回答した割合が高くなった(
p<0.01)。したがって、栄養士養成校在学中に基本的な調理技術は習得されることが確認できた。
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渡邊 幾子, 植田 和美
セッションID: 2P-24
発行日: 2009年
公開日: 2009/09/02
会議録・要旨集
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目的 徳島県は南東部が海に面し、北部、中央部に山脈がある。温暖な気候と吉野川などの大きな河川による豊かな水資源と肥沃な土壌により、野菜および果樹栽培が盛んである。また、古くは藍作を中心とした商業的農業が主であった歴史を持ち、様々な特産品が作られている。近年、食の安心・安全性の確保や食糧自給率の向上および伝統食の継承から、地産地消が推奨されるようになった。そこで、今回は徳島県の特産品の実態についてアンケート調査を実施したので報告する。
方法2008年5月下旬に徳島県在住者を対象とし、アンケート調査を実施した。その中から徳島県の特産品の知名度、贈答用への購入度およびその理由、飲食経験について集計し地域性を検討した。
結果アンケート調査の有効回答者数は383名であった。知名度では、「金長まんじゅう」96.6%、「すだち」97.7%、「鳴門金時」97.1%、「鳴門わかめ」96.1%が高い値を示した。これらは贈答用としての購入度も高く、贈り物にも好まれる傾向を示した。理由としては、「徳島の名物である」、「味が好ましい」、「知名度がある」が上位にあげられた。飲食経験では、「金長まんじゅう」92.4%、「すだち」92.1%、「鳴門金時」91.9%、「鳴門わかめ」88.4%が高い値を示した。また、徳島市内の「小男鹿」、「阿波ういろう」、「焼もち」、県北部の「藍染製品」、「大谷焼き」、県西部の「和三盆」、「麦だんご」、「たらいうどん」、「そば米」、県南部の「すだち」、「ちりめんじゃこ」などの購入については、対象者の居住地が大きく影響し、特産品の購入に地域性がみられた。
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