最近傳熱理論は長足の進歩を途げて汽灌各部の温度及び吸収熱量の分布、必要傳熱面積等は十分正確に計算し得られ、従で要求通りの蒸発量・過熱蒸汽温度、効率等を示す汽罐を設計することが可能となってゐる。併し乍ら汽撃の傳熱には多数の因子が相互に影響し合ふものであり、従耒の熱計算法ではこれ等多数の因子にすべて数値を輿へて計算せねばならなかったので、特定の條件を指定すればそれに対して十分正確な数胞は得られるものの傳熱性能の一般取り扱いは不可能であり、叉計算法自体が試み法を必要とする厄介なものであった。著者は汽罐熱面の傳熱性能に関係する多数の因子中の主要なものが集って一つの函数を構成し、箇々の因子が如何に変動してもこの函数の値が一定ならば傳熱性能は変らぬことを見出した。従てこの特性数を用ふれば必ずしも特定の汽罐の特定の状態を前提とすることなく一般的に汽罐の傳熱性を論じ得る。且叉この特性数により試み法を要しない簡單な熱計算法が導かれるのみならす、傳熱性能に関係する多数の因子め影響が明療になる。第1報では輻射傳熱面の特性数を導き、これによる熱計算法に就て述べる。第2報では著者の理論により輻射摩熱面の傳熱性能を論じ且限度琴発量卒る概念に就て述べる予圭である。第3報では接触傳熱性の特性教とこれによる熱計算法とを導き、更に傳熱性能を概論する予定である。
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