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河合 英敏, 谷 佳典, 小出 太郎, 梅原 健志, 藤原 憲秀, 鈴木 孝紀
セッションID: 2P063
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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本研究ではイミン結合の形成・切断に基づく運動制御法を利用することで螺旋反転の固定化と可動化が可能な螺旋構造の構築を目的とした。すなわちヒドリンダセン軸分子に対し、半環状アニリン誘導体がイミン架橋された螺旋構造では螺旋が固定化され反転できないが、イミン結合を加水分解することで螺旋反転が可能になると予想され、結果的に加水分解/脱水条件の適用により螺旋反転のON/OFFが制御可能になると考えた。そこで本研究では螺旋と軸末端が鎖長の異なる側鎖で環状に結ばれた螺旋分子の構築とその光学分割を行い、螺旋反転制御の調査を行った。
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鈴木 孝紀, 石垣 侑祐, 河合 英敏, 藤原 憲秀, 池田 浩, 狩野 佑介, 水野 一彦
セッションID: 2P064
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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9,10-ジヒドロフェナントレン骨格に4つのアニシル基が置換した電子供与体は、二電子酸化に際してC
9-C
10結合の切断を伴う劇的な色調と構造の変化を示すエレクトロクロミズム系になることを以前報告した。今回、液晶性分子やゲル化剤に広く含まれる長鎖アルキル基を組み込むことで、メソフェーズの発現や電子移動での相変化が可能になる系を目指した。長鎖アルコキシ基の凝集効果が酸化還元挙動などに与える影響を詳しく調べたところ、分岐のない長鎖アルコキシ基の導入された化合物で新規な溶媒効果が確認され、極性溶媒中ではC
9-C
10結合の切断が抑制されることが見出された。本発表では、詳細を報告する。
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鈴木 孝紀, 葭本 泰代, 根平 達夫, 河合 英敏, 藤原 憲秀
セッションID: 2P065
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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9,9’-(5,7-ジヒドロジベンズアゼピン-1,11-ジイル)ジアクリジン
1は、酸を添加すると蛍光発色団であるアクリジンの窒素原子上にプロトン化が起こるため、1等量の酸存在下では蛍光強度は約半分に減少し、2等量以上の酸の添加では、スペクトルだけでなく視覚的にも認識できるほど明瞭な消光を示した。また、それに伴いUV-Visスペクトルでは、アクリジニウムに由来する420-480nmの幅広い吸収の増加が観測された。上記化合物はヘリシティに関する立体配置が安定であり、キラルHPLCにより光学分割ができた。強力なCD活性に基づくキロオプティカル特性のpH応答についても報告する。
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杉村 亮治, 鈴木 修一, 小嵜 正敏, 槻 和俊, 野崎 浩一, 岡田 惠次
セッションID: 2P066
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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近年、光電子移動の分野において、電子ドナー (D)・アクセプター (A) 連結化合物の電荷分離状態の寿命の長短が注目されている。そこで我々は、常温燐光発光化合物であるビピリジン・ジアセチリド白金錯体を三重項光増感剤として注目した。今回、その白金錯体にDおよびAを連結した分子を合成し、その光物性について検討を行った。トリフェニルアミンおよびナフタルジイミド連結白金錯体では、電荷分離状態が観測され、その寿命は約 200 ns であった。また、D部およびA部と白金アセチリド部を連結するスペーサーにメチル基を導入した分子も合成し、光物性におけるねじれの効果も検討した。当日は、これらの詳細について報告する。
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太白 啓介, 小嵜 正敏, 鈴木 修一, 岡田 惠次
セッションID: 2P067
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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今回、我々はポルフィリン-アントラキノン連結分子の架橋共役鎖に導入した分極型側鎖が光誘起電子移動に与える効果に関して研究を行った。最初に、フェニレン-エチニレン鎖に、分極構造としてアミノ安息香酸エステル部を鈴木-宮浦カップリング反応によりに導入し分極型側鎖を合成した。さらに、側鎖にポルフィリン部、アントラキノン部を順次結合し目的分子を合成した。得られた化合物および数種の参照化合物のUVスペクトル、蛍光スペクトルを測定、比較し分極型側鎖が電子移動速度に与える効果を評価した。発表では、分子の合成と分極型置換基の効果について詳細に発表する。
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加藤 睦美, 小嵜 正敏, 鈴木 修一, 岡田 惠次
セッションID: 2P068
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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我々は雪の結晶型デンドリマーの共役鎖、分岐鎖末端にビピリジン部位を導入して、金属錯体形成により構造制御が可能な分子を得ることを検討した。最初に、デンドロンの共役鎖と2本の側鎖にビピリジン末端を導入し、その錯形成挙動を評価した。その結果、炭素数11のアルキル側鎖を含むデンドロンと塩化鉄をトルエン-メタノール混合溶媒中で混ぜると500nm付近にトリスビピリジン鉄錯体に特徴的なMLCT吸収が観測された。反応を吸収スペクトルにより追跡した結果、デンドロンが鉄と安定な1:1錯体を形成することがわかった。講演では、錯体形成による構造変化について、各種スペクトル測定の結果を用いて詳しく述べる予定である。
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上友 淳弘, 小嵜 正敏, 鈴木 修一, 岡田 惠次
セッションID: 2P069
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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以前、我々はFbポルフィリン核、共役鎖骨格を持つZnポルフィリン環状集合体の合成と性質について報告した。今回、環状集積体の周辺部ZnポルフィリンからFbポルフィリン核への励起エネルギー移動に対し共役鎖が与える効果について研究した。環状集積体の1/4部分構造を持つ化合物の剛直共役鎖と柔軟側鎖末端のそれぞれ一方、および両方にZnポルフィリンを配置した三種類の比較化合物を合成した。これら化合物の吸収、蛍光スペクトルを比較し、剛直な共役鎖が励起エネルギー移動に与える効果およびポルフィリンの集積効果について検討した。当日の発表では各化合物の合成と性質について詳細に説明を行う。
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熊谷 祐, 倉津 将人, 鈴木 修一, 小嵜 正敏, 岡田 惠次
セッションID: 2P070
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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有機磁性体の前駆体として、安定ラジカル置換ドナーラジカルカチオン種は魅力ある化合物である。これまでにジヒドロフェナジンやトリオキシトリフェニルアミン等のドナーを用いたラジカルカチオン種から幾つかの磁性体が得られることを見出している。今回、π系として単純なベンゾビスジオキソールに注目し、ラジカル置換ドナーの開発、ラジカル置換ラジカルカチオン種の安定性について検討を行った。ラジカル置換ドナーの合成、電気化学的性質、ラジカルカチオン種の発生について述べる。また、ラジカル部とベンゾビスジオキソール部を硫黄架橋した化合物についても述べる。
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沖 成昭, 内田 幸明, 坂口 辰徳, 田村 類, 山内 淳
セッションID: 2P071
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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当研究室では有機常磁性液晶の合成に成功し、ニトロキシル(NO)基に由来する特異な電気・磁気物性を見出してきた。今回、我々はNO基の可逆的な酸化還元挙動に着目し、新規な有機常磁性イオン液体
1を合成した。本講演では
1の合成、CV測定による電気物性、ならびにSQUID測定による磁気物性について報告する。
イオン液体
1を既知の有機常磁性化合物から3段階で合成した。アセトニトリル溶媒中でのCV測定では、支持電解質を添加しなくてもNO基に由来する可逆的な酸化還元波が観測された。また、無溶媒条件下においてもNO基の酸化還元波が観測された。
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須藤 信浩, 山本 圭祐, 吉岡 直樹
セッションID: 2P072
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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インドールニトロニルニトロキシドを基本骨格とした化合物では、水素結合により積層カラム構造を形成し、SOMO接近に基づき1次元強磁性的な挙動を示す。これまで、6位にハロゲンを導入したインドール類縁体についてメタ磁性的な挙動を示すことを予備的に報告している。今回は6位にクロロおよびブロモを導入したインドール類縁体について交流磁気測定をおこない、それぞれの転移点を確認した。さらに、ハロゲンの導入が積層カラム構造や磁気挙動に及ぼす影響について議論する。
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福元 彰朗, 吉岡 直樹
セッションID: 2P073
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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ベンズイミダゾールニトロニルニトロキシドは、結晶中のc軸方向に強磁性的な相互作用を示すカラムを形成することが知られている興味深い化合物である。本研究ではベンズイミダゾールニトロニルニトロキシドの複素環5(6)位にホルミル基、シアノ基、メトキシカルボニル基などの電子吸引性基を導入した各種誘導体を合成し、SQUID磁束計を用いた低温磁気測定を通して、その置換基効果を検討することを目的としている。また、これらの結晶構造が明らかとなった際には構造と磁気特性との相関についても考察し発表する予定である。
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江口 瑠美, 唐澤 悟, 古賀 登
セッションID: 2P074
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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架橋型ジアゾ化合物
D1py2(bis(pyridine-4-yl)diazomethane)とキレート型錯体bis(
N-toluenyl-salycylideniminate)cobalt(II)からなる一次元錯体は、光照射後に発生するカルベンの有機スピンと金属スピンの磁気的相互作用により、単一次元磁石としての性質を示す。今回、鎖間の相互作用の制御による分子集積化を目指して、キレート型配位子に長鎖アルキル基を導入した。得られた新規錯体について、SQUID磁束計を用い、固体、溶液中での光照射後の磁気挙動を測定した。
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増本 知里, 渡邊 奈月, 唐澤 悟, 古賀 登
セッションID: 2P075
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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当研究室ではこれまでに、ジアゾ基の光照射によって生じるカルベンとコバルトから成る単分子磁石に関する研究を行っている。今回我々は三座配位子である2,6-二置換ピリジル基を基本骨格とし、単座配位子であるピリジル基を合わせ持ったジアゾ化合物を分子設計し、合成およびその金属錯体の光照射後の磁気的挙動の測定を行った。三座配位子の置換基としてジメチルアミノメチル基、ピラゾイルメチル基などを用い、錯体の構造が磁気的挙動に与える影響について検討したので、その結果を報告する。
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岡澤 厚, 永市 泰規, 野上 隆, 石田 尚行
セッションID: 2P076
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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ニトロキシドラジカルを用いた分子磁性体の研究は盛んに行われてきている。しかし、これをヘテロ環に導入してキレート能を持たせた配位子の合成例は少ない。ラジカル部位が遷移金属イオンに直接配位した錯体は、その分子内で非常に大きな磁気的相互作用が見込める。これまでに当研究室で、ピリジン環の2-位に
tert-ブチルニトロキシドを置換した配位子をいくつか合成し、その遷移金属錯体について構造と磁性の相関性を明らかにしてきた。今回は、嵩高い
tert-ブチル基を芳香族環に変えることで、結晶中のスタックによる分子間磁気的相互作用を見込んだ新規配位子の合成を目指した。当日は、キレート配位子とそれを用いた錯体の磁性と構造について報告したい。
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浅野 翠, 川田 勇三
セッションID: 2P077
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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磁場応答性等を持つ分子ワイヤーを実現するため、スピン分極ドナーをオリゴチオフェンに組み込んだ9量体分子ワイヤーの合成に成功したので報告する。また、ラジカルの高密度化を目指した化合物の合成についても報告する。
基本骨格は、スピン分極ドナーを組み込んだ中心ユニットとチオフェン環からなるワイヤー部を別々に合成し、Stille法によってカップリングさせ合成した。金電極にとりつけるためのアンカー部としてジスルフィド基を導入した。前駆体アルデヒドからニトロニルニトロキシドへの変換は標準的な方法で行うことができた。ESR測定ではニトロニルニトロキシド由来の五重線が確認された (g = 2.0066, aN = 0.76 mT)。
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宮城 忠, 川田 勇三
セッションID: 2P078
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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スピン分極ドナーESBNの混合原子価塩ESBN2ClO4は極低温で負の巨大磁気抵抗効果が観測され、純有機物からなる磁性-導電性共存系の実現に向け大きな進歩となった。本研究では更なるカラム内相互作用/導電性の向上を目指し、ESBNの1,3-dithiole部の硫黄原子をセレン原子に置換したTSBNの合成を目指した。重要な中間体である5-formyl-2-thioxobenzo-1,3-diselenoleの合成に成功した。脱硫体を用い3,4-dibromobenzaldehydeを出発物質として、2-thioxo-1,3-diselenolo[4.5-b]dithinとのカップリング反応を行いTSBN前駆体アセタールを得た。しかし収率は非常に低いため反応条件の改良が必要である。ESBNやTSBNの参照物質として興味が持たれるDSBNの合成にも成功した。
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清水 章弘, Champagne Benoit, Botek Edith, 中野 雅由, 平尾 泰一, 久保 孝史
セッションID: 2P079
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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ジグザグエッジとアームチェアーエッジから構成されるグラフェンは、閉殻構造を描くことができるが、基底状態にはジグザグエッジにスピンが現れる開殻構造の寄与もあることが知られている。今回、グラフェンの特異な電子を説明するために、Clar の aromatic sextet の考えをケクレ構造だけでなく、ビラジカル構造やテトララジカル構造にも適用し、考察を行った。自然軌道の占有数から、ケクレ、ビラジカル、テトララジカル構造の寄与を明らかにし、NICS 計算から寄与の大きい構造を決定した。寄与の大きい構造は Clar の sextet が最大になる構造と一致しており、Clar の aromatic sextet の考えをビラジカル構造やテトララジカル構造にも適用することで、グラフェンの電子構造を容易に予測できることが明らかになった。
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江崎 俊朗, 倉津 将人, 鈴木 修一, 小嵜 正敏, 塩見 大輔, 佐藤 和信, 工位 武治, 岡田 惠次
セッションID: 2P080
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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最近、我々は酸素架橋トリフェニルアミン(TOT)のラジカルカチオン臭化鉄塩が反強磁性体に相転移することを明らかにしている。本研究では、磁気的相互作用の次元性の増大を目指し、TOTの三つのフェニル基のパラ位にメチルチオ基を導入したTMTTOTラジカルカチオン臭化鉄塩を合成・単離し、磁気的挙動について検討を行った。化学的酸化により得られるTMTTOT・FeBr4塩は5 K でメタ磁性体へと磁気相転移することを明らかとした。構造と磁性の関係、およびその他のラジカルカチオン塩についても報告する。
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竹田 拓馬, 倉津 将人, 鈴木 修一, 小嵜 正敏, 塩見 大輔, 佐藤 和信, 工位 武治, 岡田 惠次
セッションID: 2P081
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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我々はピレン骨格がそのHOMOとLUMOがC2とC7を含む平面に節をもったユニークな電子構造であることに着目し、新規安定高スピン化学種の開発研究を行なっている。今回、新たにジラジカルジカチオン型の安定高スピン化学種の開発を目指し、1,3-ビス(ジアルキルアミノ)置換ピレンを基本骨格とする7-位にジヒドロフェナジンを導入した化合物を設計・合成した。この化合物の2電子酸化体であるジラジカルジカチオン種のESR測定において、三重項種由来の信号を観測することに成功した。当日は、それらの詳細について報告する。
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猪口 大輔, 松本 幸三, 佐藤 和信, 工位 武治, 平尾 泰一, 蔵田 浩之, 川瀬 毅, 久保 孝史
セッションID: 2P082
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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安定かつトリメチレンメタンの性質をより反映した誘導体を得ることを目的としてトリメチレンメタンをピリジン環で拡張したビラジカル
1を合成した。前駆体となるジカチオンをベンゾイルアセトンから七段階で合成した。ジカチオンのアルカリ金属還元によって得られたビラジカル
1は540 nmと750-1000 nmに特徴的な吸収を有し、77 Kの凍結溶液ESRスペクトルにおいてブロードなシグナルを与えた。パルスESR法の一つであるスピンニューテーション法により
1を三重項ビラジカル種として同定した。温度可変ESRスペクトルにより、基底状態の決定および一重項-三重項エネルギー差についても報告する予定である。
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上田 顕, 森田 靖, 西田 辰介, 森口 実紀, 福井 晃三, 塩見 大輔, 佐藤 和信, 工位 武治, 中筋 一弘
セッションID: 2P083
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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我々は、不対電子が分子骨格全体に広く非局在化した安定開殻有機分子の合成研究を行っている。これまでに、フェナレニルに酸素原子を二個導入した安定中性ラジカルである6-オキソフェナレノキシル誘導体を合成、単離し、物性を明らかにした。最近、その二次元π拡張体である25π共役型の開殻有機分子トリオキソトリアンギュレンの合成、単離に成功した。今回、CV測定を行い、4段階の酸化還元能を有することを明らかにした。さらに、それらの酸化還元種を合成し、ESR測定、量子化学計算から電子スピン構造を詳細に考察した。
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山本 陽介, 森田 靖, 上田 顕, 西田 辰介, 佐藤 和信, 工位 武治, 中筋 一弘
セッションID: 2P084
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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有機磁性体や伝導体の開発を目的として、安定な開殻有機分子の研究が広く行われている。我々は、フェナレニルを基盤とした新しいスピン非局在型の安定中性ラジカルの設計・合成を行っている。その中でも25π系縮合多環ラジカルであるトリオキソトリアンギュレン (TOT) は高い安定性を有しており、その多段階レドックス能を活かし、分子結晶性二次電池の正極活物質への応用に成功している。今回、TOT骨格の対称的な位置へ置換基を導入することによる安定性の解明、そしてレドックス能の制御を目的として、3個のメトキシ基を導入した誘導体を検討したので報告する。
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山中 あずさ, 森田 靖, 西田 辰介, 佐藤 和信, 工位 武治, 中筋 一弘
セッションID: 2P085
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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我々は、6-オキソフェナレノキシル安定中性ラジカルを基盤とした新しいスピン非局在型の安定開殻有機分子の設計・合成を行っている。これまでに電子ドナーであるテトラチアフルバレンを置換した誘導体が、容易な分子内電子移動とそれに伴うスピン中心移動やソルバト-/サーモクロミズムを示すことを報告した。今回、分子の対称性や結晶性の向上を目的として、1,6-ジチアピレン (DTPY) を置換した誘導体を設計し、安定に単離した。そして、溶液状態でのスピン中心移動により発生した中性および双性イオン状態の電子スピン構造をENDOR/TRIPLE法を用いて解明したので発表する。
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焼山 佑美, 松井 佑実子, 村田 剛志, 森田 靖, 中筋 一弘
セッションID: 2P086
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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これまで我々は、イミダゾールの鎖状4量体であるクアテルイミダゾールが、様々な金属イオンと三重らせん構造を有する二核錯体を形成することを見出し、これらが錯体間で水素結合を形成することで多様な三次元ネットワークを構築することを明らかにしてきた。こうした多重らせん型錯体を基盤とした固体化合物においては、らせん軸を形成する複数の金属イオン中心に基づく、錯体内および錯体間での磁気的相互作用について興味が持たれる。
今回は、二価のMnイオンを中心金属とする三重らせん型錯体に関して、磁化率測定並びに各種ESR測定を行い、その結晶中における磁気的性質を詳細に検討したので報告する。
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松井 佑実子, 焼山 佑美, 村田 剛志, 森田 靖, 中筋 一弘
セッションID: 2P087
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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これまで我々は、数多くの新規なオリゴイミダゾール類を合成し、その水素結合相互作用に基づく多様な集積構造の構築や、それに付随する物性の発現に成功してきた。さらに、これらのオリゴイミダゾール類は金属イオンに対して強い配位能を有している。その中でも、4量体クアテルイミダゾールが、数多くの遷移金属イオンと三重らせん構造を形成し、結晶中において三次元のネットワーク構造を構築することを明らかにしている。以上の知見をもとに、今回我々は新たに3つのイミダゾール環を鎖状に連結させた化合物を設計し、その合成に成功した。以上に加え、本発表では溶液中における遷移金属イオンとの錯形成挙動についても合わせて報告する。
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山岸 祐子, 井上 修治, 平尾 泰一, 伊藤 彰浩, 田中 一義
セッションID: 2P088
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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近年、分子ナノテクノロジーの分野では、分子ナノワイヤ、分子メモリーなど分子ナノデバイスに資する各種の分子パーツの開発が行われている。その中でも、スピン状態を制御することができる分子ナノワイヤが開発されれば、スピンエレクトロニクスデバイスへの応用が可能となり興味深い。芳香族アミン分子は、多段階酸化還元挙動を示し、その酸化状態が比較的安定であり、スピン多重度が変化することから盛んに研究が行われている。しかし、大環状芳香族アミン分子に関しては、これまで合成が困難であったため報告例は少ない。本研究では、大環状芳香族アミン分子に局在スピンユニットとしてニトロキシドラジカルを導入した分子を合成し、その電子物性について検討した。
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青木 和徳, 圷 広樹, 山田 順一, 中辻 慎一, 小島 崇寛, 山下 敬郎
セッションID: 2P089
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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磁性とFET特性を併せもつ複合機能系の構築を目指して、TEMPOラジカル置換ナフタレンイミドおよびジイミド誘導体を合成した。それらのX線結晶構造解析より、1置換体では2量体を形成し、ナフタレンジイミドのパイ系がねじれてスタックしていること、また、カラム間には殆ど相互作用が見られないことがわかった。また、2置換体では、カラム間に顕著な2次元的相互作用が観測された。それらの構造的な相違を反映して、磁性やFET特性に明確な差異が見られた。合成した各化合物の構造と磁性の相関性を検討した結果について報告する。
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片岡 正浩
セッションID: 2P090
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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本研究では、アントラセンの励起状態の磁化率を半経験的分子軌道法による数値計算を用いて調べた.その結果、励起状態の磁化率は基底状態の磁化率とかなり異なっており、その状態に依存する.また、この計算結果を用いてアントラセンの励起状態の芳香族性を磁化率の観点から考察した.
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三宅 志穂, 平岡 秀一, 城 始勇, 塩谷 光彦
セッションID: 2P091
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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有機多座配位子と金属イオンから成る三次元自己集合型金属錯体が形成する孤立ナノ空間は、優れた分子認識場や特異反応場を提供しうる。本研究では、分子認識部位を導入したPt六核かご型不斉ホスト分子を構築し、酒石酸に対する高いキラル識別能を有することを見いだした。酒石酸の不斉識別能を検討した結果、L-(+)-酒石酸よりもD-(-)-酒石酸と強く相互作用することが明らかとなり、ゲスト分子は、かご型錯体内の上下に位置するピリジン環に挟み込まれるように包接されていると考えられた。本発表ではメソ体に対する分子認識能や、光学活性なゲスト分子がかご型錯体のらせん性に及ぼす効果についても議論する。
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中村 貴志, 平岡 秀一, 城 始勇, 塩谷 光彦
セッションID: 2P092
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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中央にヘキサフェニルベンゼン骨格を有する歯車状両親媒性分子は、主に疎水効果によってディスクリートな水溶性カプセル会合体を形成する。特に、ヘキサフェニルベンゼン骨格に導入する置換基を精密にデザインすることにより、六量体カプセルと四量体カプセルとを作り分けることが可能となる。六量体カプセルは2,4,6-トリブロモメシチレンなどの置換ベンゼン二分子を協同的にカプセル内部に包接した。一方、アダマンタンなどの球状小分子をゲストとして用いると、ゲスト一分子を包接する安定な四量体カプセルを形成することも見出した。発表では、一義的なカプセル会合体を構築するために必要な歯車状両親媒性分子の構造についても詳細な議論を行う。
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古川 裕理, 秋根 茂久, 鍋島 達弥
セッションID: 2P093
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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これまで我々は末端にビピリジンを持つトリポダンドを遷移金属イオンと錯形成させるとゲスト認識能を持つらせん型の擬クリプタンドとなることを報告してきた。本研究では新たな認識能の実現のため、9つのアミド結合を持ったトリポダンドを合成した。各種スペクトルからこの分子はFe(II)イオンと1:1で錯形成し、C3軸対称の擬クリプタンドを与えることを確認した。
1H NMRスペクトルによる滴定実験よりCl
–存在下および非存在下での各種カチオンとの会合定数を算出したところ、Cl
–存在下での会合定数の方が大きくなることがわかった。これより、このホストはアニオンとカチオンを協同的に認識することがわかった。
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佐々木 正男, 鍋島 達弥
セッションID: 2P094
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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3つのsaloph部位を有するトライアングル型配位子は、遷移金属イオン、ランタニドイオンと協同的に錯形成することでヘテロ多核錯体を与えることを我々は見出している。しかし、側鎖に疎水性の高い置換基を導入した配位子の合成は、アミンとアルデヒドの脱水縮合が効率よく進行せず、また極性溶媒への溶解度の低下のために非環状の反応中間体が反応中に析出するため、その収率は低いものであった。そこで本研究では、亜鉛(II)、ランタン(III)イオン共存下での環化反応を行うことで金属イオンがテンプレートとして作用し、相当するヘテロ四核錯体を高収率かつワンポットで合成することに成功したので報告する。
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田所 利雄, 秋根 茂久, 鍋島 達弥
セッションID: 2P095
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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これまでに我々は末端にアリル基を持つ鎖状テトラオキシム配位子の閉環メタセシス反応による環状配位子の合成について報告してきた。本研究では、末端のベンゼン環の5位にアリル基を持つ鎖状オキシム配位子を合成し、金属錯体への変換を行うとともにこれらのGrubbs触媒を用いた閉環メタセシスにおける金属イオンの効果について検討した。鎖状配位子のメタセシスでは分子内でカップリングした環状配位子が得られた。一方、対応する金属錯体のメタセシスでは分子間でカップリングした二量体の環状配位子が生成した。これは錯形成により2つのアリル基を離れた位置に固定し分子内カップリングが抑制されたためだと考えられる。
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絹田 貴史, 木瀬 裕子, 掃部 顕作, 今井 喜胤, 佐藤 友宏, 黒田 玲子, 松原 凱男
セッションID: 2P096
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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本研究では、電子アクセプター分子としてビオロゲン誘導体を、電子ドナー分子としてテトラヒドロキシビナフチルを用いることにより、ゲスト分子包接能を有する電荷移動錯体の合成に成功したので報告する。
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掃部 顕作, 今井 喜胤, 原田 拓典, 中野 陽子, 佐藤 友宏, 藤木 道也, 黒田 玲子, 松原 凱男
セッションID: 2P097
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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本研究では、発光性ビフェニルカルボン酸誘導体とフェニルメチルアミンを組み合わせることにより光学活性超分子発光体を生成し、その錯形成挙動及び光学特性について検討したので報告する。
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村田 勝三, 川口 覚博, 今井 喜胤, 原田 拓典, 中野 陽子, 佐藤 友宏, 藤木 道也, 黒田 玲子, 松原 凱男
セッションID: 2P098
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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本研究では、発光性カルボン酸誘導体と光学活性ナフチルメチルアミンを構成分子とする光学活性helical columnar超分子発光体を固体混合結晶化を用いることにより合成し、その光学特性について検討したので報告する。
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掃部 顕作, 菅崎 寛, 村田 勝三, 今井 喜胤, 佐藤 友宏, 黒田 玲子, 松原 凱男
セッションID: 2P099
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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本研究では、光学活性なジフェニルエタノールアミンあるいはフェニルメチルアミン誘導体と発光性π共役拡張型カルボン酸誘導体とを組み合わせることによって、2
1-helical column構造を有する光学活性超分子発光体を生成し、その錯形成挙動及び光学特性について検討したので報告する。
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西村 直樹, 与座 健治, 小林 健二
セッションID: 2P100
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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2-位及び7-位にレゾルシノールを有するピレンを合成した。このピレン誘導体をTHF-ベンゼン混合溶媒から再結晶することにより、結晶中でチャンネルを有する多孔質2次元水素結合ネットワークの形成を見出した。水素結合から成るネットワークは、その柔軟性によって崩壊-再構築を繰り返すことが期待され、本研究でのピレン誘導体は有機ゼオライトへの展開が期待される。
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西脇 匡崇, 山根 慶典, 宮本 久一, 御崎 洋二
セッションID: 3P001
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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デンドラレン骨格に1,3-ジチオール環を有する化合物1は通常の共役系ドナー分子とは異なり、複雑な酸化還元挙動を示すことが期待される。さらにこの化合物にDTEDT骨格を導入することはDTEDTが積層方向・横方向共に折れ曲がったビニローグ部が同じ向きであるため、立体的に最も重なり積分が大きくなるようにパッキングしているのでカチオンまたはジカチオン状態における分子の構造などに興味が持たれている。
そこで今回,合成を行い、酸化還元系としての性質について調べた。
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伊藤 鉄也, 宮本 久一, 御崎 洋二
セッションID: 3P002
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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分子性導体のドナー成分の一つとして知られるテトラチアフルバレン(TTF)にアクセプター部位を導入することにより小さいHOMO-LUMOギャップを持つことが期待されることから、単一成分伝導体の候補の一つである。我々はアクセプター部位としてビニローグ骨格にシアノ基を有する化合物1 , 2 に注目し、化合物1 , 2の合成に成功し、その性質について検討したので報告する。
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山根 慶典, 桧垣 光佑, 宮本 久一, 御崎 洋二
セッションID: 3P003
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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BDT-TTPのダイマーは、結晶構造を形成する際に平面構造のみならず様々な形をとるため、分子内相互作用による新しい電子構造を持つ物質の発見が期待される。当研究室では、これまでに TTF と BDT-TTP をアルキルジチオ鎖で架橋した非対称ダイマーの酸化還元挙動ならびに電子状態について検討を行ってきた。TTF 骨格と TTP 骨格それぞれの架橋側に置換基がついたダイマーは、立体障害が大きく結晶化が困難であった。そこで、立体障害を小さくするために TTF 骨格と TTP 骨格それぞれの架橋側を水素に置換にすることで、結晶性の向上を目指した
1a-c、またTTFとTTPの相互作用が強すぎると良くないことが知られているのでアルキル鎖を長くした
2a-cの合成と性質について報告する。
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井上 拓磨, 山下 光輝, 清水 佑季子, 宮本 久一, 御崎 洋二
セッションID: 3P004
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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1,3‐ジチオール環を有する交差共役系は、通常の共役系ドナー分子と異なり、複雑な酸化還元挙動を示し、非平面構造に基づく多次元的な相互作用による新規な分子性導体になることが期待される。当研究室ではこれまでにチオフェン環やベンゼン環が挿入された化合物 の合成を行ってきた。今回我々は、チオフェン環にメトキシ基を導入することによる立体効果、電子効果を明らかにするために1a, 1bを合成し、これらのドナーの性質について検討したので報告する。
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久下沼 梨紗, 高島 弘明, 大谷 裕之
セッションID: 3P005
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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新規拡張Π共役系の開発研究の一環として、9,10-ジエチニルアントラセンで拡張したビトロポン化合物を設計・合成し、7員環の2-置換基(ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、およびモノプロピルアミノ基)の違いによる光物性を比較検討した。その結果、表題分子の2-位アミノ基が、室温で、ジアルキルアミノ体はほとんど蛍光を発しないが、モノアルキルアミノ体の場合には比較的強い蛍光を発することが明らかとなった。さらに、本発表では表題分子の発光挙動について、2-アミノトロポン系トラン型分子や2-アミノトロポン系ブタジイン型分子と比較検討した結果についても報告する。また、併せて励起三重項状態についても議論する予定である。
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吉田 英世, 大谷 裕之
セッションID: 3P006
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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ジエチニルベンゼンで連結したトロポロン二量体は、新規フェニレンエチニレン系分子としてその性質に興味が持たれる。今回、分子の溶解性を考慮して、ベンゼン環上にアルキルオキシ基が置換した表題分子(例えば2,5-ジヘキシルオキシ-1,4-ビス[(トロポロン-5-イル)エチニル]ベンゼン)を設計・合成し、その基本物性を検討した。その結果、表題分子の部分構造であるトロポロン-5-イルエチニルベンゼンとは異なる電子構造であることが明らかとなった。さらに、本発表では合成前駆体である7員環2-位に
N,N-ジエチルアミノ基を導入した誘導体との性質を比較検討した結果についても併せて報告する。
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武士田 満, 大谷 裕之
セッションID: 3P007
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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新しい機能性色素として期待できるテルフェニル型トロポノイド分子の開発研究の一環として、今回、対称的テルフェニル型トロポノイド化合物として、ジアルキルオキシ基が置換したベンゼン環で拡張したビトロポノイド分子(7員環2位置換基に電子供与性の
N,N-ジエチルアミノ基、メトキシ基、およびヒドロキシ基を導入した誘導体)を設計・合成し、吸収スペクトルや蛍光スペクトルなどを測定し、その溶液状態における基本物性を詳細に検討した。その結果、2位置換基の違いにより、その吸収特性や蛍光特性が著しく変化することを見出した。また、これら化合物の分子構造および電子構造については分子軌道計算を用いて比較検討した。
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田口 勇, 太田 哲, 藤森 邦秀
セッションID: 3P008
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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トロポンに二つのアズレン環が五員環部分で縮環した新規のπ共役系化合物であるジアズレノ[2,1-
b :1,2-
d]トロポン (
3) とその類似体を合成した。これらの化合物はトロポン環に縮環した二つのアズレン環の水素原子どうしの立体反発により面性のキラリティーが生じると考えられ、構造化学的に興味深い化合物である。
今回、標題化合物の合成法とその物理的、化学的性質について検討したので、報告する。
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小田 晃規, 伊藤 邦宏, 藤森 邦秀
セッションID: 3P009
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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Pd触媒によるアミノ化とHeck反応を組み合わせた標題化合物の簡便な合成法を見出した。2-置換トロポンと2-ブロモアニリンからPd
2(dba)
3/BINAP
/Cs
2CO
3を用いることで2-(2-ブロモアニリノ)トロポンを得、さらにAcOH/AcONa/DMF条件下でPd(OAc)
2/P(
o-tol)
3を触媒に反応させることで、2-置換トロポンから二段階4~63_%_の収率で合成することができた。標題化合物は402 nmに最長波長の吸収がみられ441 nmに青色発光を示した。酸性下では吸収・発光に目立った変化はないが、塩基性下では吸収は454 nmにシフトし、発光は530 nmに観測され大きなストークスシフトを示した。
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柳井 英治, 太田 哲, 藤森 邦秀
セッションID: 3P010
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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2-アズレニルリチウムと2-ホルミルアズレンの反応で得られるジ(2-アズレニル)ケトンを用いて1,1-ジ(2-アズレニル)エチレン (
1) を生成し、その反応性を検討した。その結果、化合物
1 は容易に二分子間で反応し、Diels-Alder型の付加環化生成物を与えた。更に新規の1-(2-アズレニル)-1-フェニルエチレン類の合成を行い、その反応性について比較検討した。
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太田 哲, 篠塚 みなみ, 藤森 邦秀
セッションID: 3P011
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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可逆な構造変化を示す酸化還元応答性ホストとして、9,10-ビス(1,3-ジチオール-2-イリデン)-9,10-ジヒドロアントラセン骨格の1,8位に2つのベンゾ-15-クラウン-5-エーテル環を導入したホスト分子1を設計した。ホスト1の合成は対応するアントラキノンのWittig-Horner反応により行った。ホスト1は対応するジカチオン2との間で相互変換が可能であり、酸化還元に際して分子構造が変化することがサイクリックボルタンメトリーによって確認された。中性分子1とジカチオン2のカリウムイオンに対する錯形成能をNMR滴定で調べたところ、両者には顕著な差があることが明らかになった。
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後藤 敬, 吉川 修平, 青木 洋平, 佐瀬 祥平
セッションID: 3P012
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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生体内では、チオニトラート(R-SNO
2)などチオールと活性窒素種との反応により生成する高反応性化学種が、レドックス制御や信号伝達において重要な役割を果たしている。しかし、これらの化学種は人工系では二量化などにより速やかに失活するため合成が困難である場合が多く、生体反応として提唱されている反応過程を検証することは従来困難であった。我々は、独自に開発したナノサイズ分子キャビティを用いることで、これまでに種々の高反応性化学種の安定化に成功している。今回、剛直な骨格をもつボウル型分子キャビティを活用することでチオニトラートの安定化を図り、その構造および反応性について検討したので報告する。
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