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安田 浩之, リー ウラジミール ヤー, 関口 章
セッションID: B19
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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シクロペンタジエニルアニオンは5員環状6π電子系芳香族化合物として広く知られており、有機化学において基礎的かつ実用的な観点から極めて重要な化学種である。今回我々は骨格に複数の高周期14族元素を有するシクロペンタジエニルアニオン高周期類縁体の合成・構造解析に成功し、その反応性についても検討を行った。
1,2,3-トリシラシクロペンタ-1,4-ジエンを2当量のKC
8により還元した後、LiBrを用いた対カチオン交換反応を行う事で、新規なリチウム 1,2,3-トリシラシクロペンタジエニドの合成・単離に成功した。さらに、O=C
tBu
8を用いた配位子交換反応により、ケトンが配位したリチウム 1,2,3-トリシラシクロペンタジエニドの合成に成功した。各種分光学的測定により、このアニオンが芳香族性を示す事を明らかにした。また、2当量の12-クラウン-4又は[Cp*RuCl]
4を作用させたところ、Liフリーな初めての環状ジシレニド及び高周期ルテノセン類縁体の合成にも成功した。
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古川 俊輔, 小林 潤司, 川島 隆幸
セッションID: B20
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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Friedel-Crafts反応は、無置換の芳香環への置換基導入法としてよく知られている。一方、シリルカチオンを反応中間体とするシラFriedel-Crafts反応を、汎用的な合成手法として用いた報告例はなかった。我々は、汎用的な合成手法として利用可能なシラFriedel-Crafts反応の開発に成功し、本反応を分子内環化反応に応用することで、良好な収率でジベンゾシロール誘導体が得られることを報告している。今回、分子内にチオフェン環を有するヒドロシランにシラFriedel-Crafts反応を適用したところ、チオフェン縮環シロール誘導体が得られ、本反応がチオフェンに対しても適用可能であることが明らかとなった。
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岩本 武明, 茂木 雅弘, 前田 理, 吉良 満夫, 大野 公一
セッションID: B21
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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ビシクロ[1.1.0]ブタンの骨格炭素をすべてケイ素に置き換えたビシクロ[1.1.0]テトラシランは、歪んだケイ素骨格を持ち、様々な骨格異性体をもつため、その構造と反応性が注目されている。本研究では、ビシクロテトラシランの環反転と骨格異性化について、超球面探索法による非経験的構造探索を行った。母体のビシクロテトラシランの環反転は、橋頭位ケイ素の立体が段階的に反転する機構で進行するのに対し、ヘキサシリルビシクロテトラシランの環反転は平面構造の遷移状態を経て一段階で進行し、橋頭位の置換基に依存して、異なる環反転経路を経ることがわかった。ビシクロ[1.1.0]ブタンからシクロテトラシレンへの骨格異性化経路についてもあわせて述べる。
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堀 徹治, 尾谷 優子, 川幡 正俊, 山口 健太郎, 大和田 智彦
セッションID: B22
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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チオアミド結合は一般的にアミド結合よりも平面構造を強く指向する
ことが知られている。我々は、二環性の7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する種々のベンゾイルチオアミドを合成し、X線結晶構造解析に成功した。その結果、窒素原子上がピラミッド化し、チオアミド結合が非平面化した構造をとることが明らかとなった。その度合いには置換基効果が見られ、ベンゼン環上に電子供与性基が置換するほど平面性が失われていた。温度可変NMRを用いたC(S)-N結合の回転障壁の評価により、溶液中における非平面化も示唆された。また、二環性骨格を有するβ-アミノ酸誘導体をモノマー単位とするチオペプチドオリゴマーを合成し、NMR・CDスペクトルを用いて構造解析を行った。
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大賀 恭, ラッバニ モハマド グラム, 高橋 徹
セッションID: B23
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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ジチゾンは容易に種々の金属イオンに配位し,生成した金属ジチゾナートは光照射により配位子の構造変化が起こりフォトクロミズムを示す。本研究では,金属錯体の構造変化における動的挙動を調べるために,Zn
2+に2分子のジチゾンが配位した亜鉛ジチゾナートのフォトクロミズム速度定数の圧力,溶媒粘度依存性を調べた。低粘性溶媒中では,反応速度定数は加圧とともにわずかに抑制された。高粘性溶媒中では,加圧とともに著しい反応抑制,すなわち動的溶媒効果が観測された。講演では動的挙動の詳細について,理論モデルに基づいた解析について述べる。
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Jiang changsheng, 林 一広, 吉村 智之, 椿 一典, 笹森 貴裕, 時任 宣博, 川端 猛夫
セッションID: B24
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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不斉合成研究で汎用される2,2’-ジ置換-1,1’-ビナフチル-金属錯体は中心金属に配位した基質と不斉軸間に4結合を介している。不斉発現の本体がC(1)-C(1’)軸性不斉と仮定するとこの基質-不斉軸間の結合数は短い方が良く、これを最小にする仮想的構造は中心金属が不斉軸に直結した2,-メタラ-1,1’-ビフナフチルである。この金属をN-H-N水素結合に置き換えたキラルビナフチルを合成した。本化合物のエナンチオマーはHPLCで分離でき、室温で6ケ月以上のラセミ化半減期を持つこと、またそのX-線構造解析から1,1’-ビナフチルと極めて類似した構造をとることがわかった。
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高橋 宏, 景山 義之, 菅原 正
セッションID: B25
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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化学変換によって膜分子を生成し、ベシクルの肥大・分裂を引き起こす「ベシクル自己生産系」は、細胞分裂の化学的モデルとして興味がもたれている。
今回、我々は、緩衝液中でアニオン性ベシクルの表面にプロトンが集る性質を利用し、この酸性膜表面の接触反応によってリン酸ヘッドを有する膜分子を生成させ、ベシクルが自触媒的に肥大・分裂するベシクル自己生産反応系を、設計・構築した。
反応解析の結果、膜分子生成曲線は、時間と共に加速度的に上昇し、原料消失・平衡到達と共に一定となる自触媒反応特有のシグモイド型を示した。また、反応に伴ってジャイアントベシクルの個数が著しく増加している様子が、顕微鏡により観測された。
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古荘 義雄, 五藤 秀俊, 八島 栄次
セッションID: B26
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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我々はこれまでに,オリゴレゾルシノールが水中で芳香族相互作用を介して安定な二重らせん構造をとることを明らかにした.今回,我々はこの二重らせん形成のメカニズムおよび構造特性を明らかにするために2量体から15量体までのオリゴマーを有機合成的に作り分け,種々の条件化での二重らせん形成および鎖交換挙動について検討した.
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黒田 玲子, 関谷 亮, 原田 拓典
セッションID: B27
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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2-(アリルチオ)-3-メチルー2-シクロへキセノン(1)の結晶の光反応は、芳香環のオルト位にある置換基により大きな影響を受けることが、われわれのこれまでの研究で明らかになっている。今回、芳香環のパラ位に置換基を持つ1の誘導体(1d-f)の光反応について検討した。結晶に光照射したところ、分子内環化反応が進行し、ジヒドロベンゾチオフェン誘導体が選択的に生成した。環化反応の速度、収率、立体選択性は、芳香環上の置換基に大きく依存することがわかった。たとえば、臭素の場合(1f)には、環化反応がもっとも速く進行し、cis体が定量的に得られた。一方、メチル基の場合(1d)には、環化反応がゆっくり進行し、trans体が最初に生成し、長時間照射することでtrans体からcis体へと異性化した。1eは、trans体, cis体をそれぞれ57%,43%の収率で生じた。X線結晶構造解析より、置換基の種類による反応性、立体選択性の違いは、分子間重原子効果により引き起こされることが明らかとなった。これは1eと1fの1:1の混晶の光反応で、1eがcis体のみを作ることで確かめられた。
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山岡 寛史, 川口 美和, 岡田 享子, 田部 陽香, 釣井 裕佳, 伊佐 公男, 前川 哲也, 木下 裕基
セッションID: B28
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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4セクタータンデム質量分析計を気相単分子イオン反応の反応フラスコに見立て、非対称1,3-ビス(オメガフェニルアルカノイル)-1,3-ジアザシクロアルカン-2-(チ)オン誘導体から生じる種々のラジカルカチオンを先行2セクターで基質イオンとして選択し、第3フィールドフリー領域でメタステーブルイオン検出タイムスケールの高エネルギー分解(加速10 keV)条件の反応生成物イオンを、後続2セクターで質量分離・検出した。今回は、鎖長の互いに異なる非対称アシル部分からヘテロ環部分への「競争的多重水素転位」に焦点をあて、転位水素供給部位としてのアシル鎖長vs.転位水素受部位のヘテロ環構造の微小変化、の影響を重水素標識体の挙動とも合わせて一括して報告する。
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西坂 政輝, 森 直, 楊 成, 井上 佳久, グリメ ステファン
セッションID: C01
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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キラルなビナフチル誘導体は軸不斉により、円二色(CD)スペクトルにおいて1Bb
遷移に大きな励起子カップリングを示す。さらに、このような性質を示すビナフ
チル誘導体に分子内電荷移動(CT)相互作用を導入することにより、構造に変化を
与えることができると期待できる。CT性ビナフチル誘導体はCDスペクトルの
1Bb遷移において振幅(A = Δε1st - Δε2nd)= 560 M-1cm-1の大きな励起子カップリングを示したが、2,2’位を鎖長の異なるリンカーで結合することで二面角を固定したCT性ビナフチル誘導体では、A = 470(ブトキシ鎖)、440(プロポキシ鎖)、330(エトキシ鎖)となった。本発表では、これらの実験結果と量子化学計算により得られる理論CDスペクトルの比較、検討を行ったので報告する。
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淡路 寛司, 梅田 隆平, 仲程 司, 藤原 尚
セッションID: C02
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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近年、ナノスケール物質群の研究が活発に行われているが、その中でも、有機分子保護金属ナノクラスターやポリマーナノチューブに関する研究が多方面から注目されている。最近我々は、ポリマーナノチューブの機能化の一環として、電解重合能を持つ有機分子を含む機能性金属ナノクラスターから生成する、ポリマーナノチューブ・金属ナノ複合体の研究を行っている。本討論会では、新規なキラルターチオフェンホスフィン保護金属(Pd, Au)ナノクラスターおよび、キラル金属ナノクラスター‐ポリチオフェンナノチューブ複合体の合成と特性について報告する。
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廣瀬 崇至, 松田 建児
セッションID: C03
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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両親媒性基としてPEG鎖を結合させた蛍光性色素誘導体を合成し、水溶液中における自己組織化挙動と発光挙動を検討した。合成した化合物の水溶液は下限臨界溶液温度(LCST)を示し、加熱に伴って速やかに白濁する事が認められた。高い蛍光量子収率を持つPhenyl-ethylyl anthracene誘導体は水溶液中で組織化することで蛍光が強く消光されたのに対して、会合誘起発光性を示すCyano-bis(biphenyl)ethene誘導体では有機溶媒中よりも水溶液中における方がより強い発光を示すことが認められた。また、キラル源を有する後者の化合物は強い誘起CDシグナルを示し、TEM観測によってファイバー状の組織化構造体形成が示唆された。
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阿部 肇, 黒川 普之, 千田 祐資, 井上 将彦
セッションID: C04
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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4個のピリジン環と2個の4-ピリドン環が、2,6位上のアセチレン結合を介して大員環状に連なったオリゴマーを設計・合成し、その糖認識能を調べた。環合成は Elignton 法によるアセチレンの酸化的カップリングを用い、ピリドン環の極性の効果によりシソイド配座を含む大員環を得ることができた。クロロホルム中、この大環状オリゴマーに各種オクチルグリコシドを作用させたところオリゴマーの吸収領域に円二色性が誘起され、キラルな錯体が形成したことがわかった。
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羽毛田 洋平, 前田 大光
セッションID: C05
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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非環状π共役系アニオンレセプターであるジピロリルジケトンホウ素錯体は高い平面性を有しながらも動的な構造変化をともなった効果的なアニオン認識が可能である。レセプター分子の柔軟な構造を利用することで、アニオン応答型の組織体形状変化やアニオン駆動型のらせん構造の構築が可能となりうる。今回、添加するアニオンの対カチオンに注目し、電荷積層構造を基盤とした組織構造形成を検討した。
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川崎 浩由, 豊瀬 泰司, 荒木 孝司
セッションID: C06
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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近年可逆的共有結合により作られる動的分子集合体に関心が集まっている。今回フェニルボロン酸とトリオール化合物のエステル化反応を用いて動的分子集合体を設計した。二官能性のフェニルボロン酸誘導体と二官能性のトリオール化合物は溶媒中で速やかに分子集合体を形成する。この分子集合体の構造解析を行なったところ、環状分子や非環状オリゴマーが形成していることがわかった。分子集合体の構造はエステル結合のエンタルピー項だけでなく、分子構造の自由度や系の乱雑さによるエントロピー効果の影響も強く受けるため、濃度や温度条件の変化によっても構造変化が確認された。今回大環状分子、及びゲル化剤の設計を紹介する。
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久保 由治, 吉住 渉, 片岡 賢一, 野中 愛子, 堀江 翔一
セッションID: C07
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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動的共有結合が可逆的な相互結合部位として有効なことから,分子組織体の要素間相互作用への利用が活発に検討されている。フェニルボロン酸はジオール体と動的な共有結合を形成するばかりでなく,そのルイス酸性ホウ素はアニオンとの相互作用点となりうる。よって,両者をうまく組み合わせることによって,外部刺激でコントロール可能な動的組織体の構築が可能となる。本発表では,ボロネートエステル型動的共有結合にもとづく自己組織センサー・分子カプセル・超分子ゲルの開発を述べ,その機能化を議論する。
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河合 英敏, 半田 雅紀, 藤原 憲秀, 鈴木 孝紀
セッションID: C08
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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本研究では、外部刺激によって回転配向の制御が可能な分子の開発を目的とし、双極子-双極子相互作用と電荷-双極子相互作用のスイッチングにより回転配向が制御されるマクロサイクルを設計し、その合成を行なった。ヒドリンダセン2,6-ジニトリル体を双極回転子として用い、その4,8位にはCN基と双極子-双極子相互作用を示すフッ素置換芳香環を導入し、さらにその芳香環を大環状構造とすることで固定化した。このマクロサイクルにおいては予測どおりF基とCN基が反対方向を向いた配座が安定となることが確認された。現在、電荷制御ユニットとなるアミノ基を導入したマクロサイクルの合成と酸の添加による回転子の配向制御について検討している。
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坂本 良太, 林 幹大, 久米 晶子, 西原 寛, 山村 剛士
セッションID: C09
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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トリアリールアミンおよびフェロセンを導入した新規ジエチニルエテン化合物を合成し、これらの化合物が特徴的な可視光異性化と、それに伴うレドックスサイト間の電子相互作用のスイッチを示すことを見出した。トリアリールアミンを有する化合物はまた、異性化に伴う蛍光強度のスイッチが可能であることも分かった。
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中山 勝壽, 平谷 和久, 名川 吉信, 金里 雅敏, 後藤 みどり
セッションID: C10
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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キラルなビナフトール部位を有する三脚型化合物を合成した。この化合物とベンゼントリカルボン酸とを反応させて1:1のかご型化合物を合成することができた。この化合物のX線構造解析を行なうとともに、その内孔へのゲスト分子包摂挙動を検討した。ゲスト分子としてアンモニウム塩を選択的に取り込むこと、ハロゲン化炭化水素に対する選択的な包摂挙動を示すことなどを見出したので、その詳細を報告する。
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山内 祥弘, 吉沢 道人, 穐田 宗隆, 藤田 誠
セッションID: C11
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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ピレン-4,5-ジオンは大きな双極子モーメント(6.1~6.7D)を有するため、結晶中では互いの双極子を相殺することで同一分子の無限集積構造を形成する。今回、かご状錯体を利用することで、溶液中でピレンジオンの有限集積体を選択的に構築することに初めて成功した。実際に、パネル状の三座配位子、約1 nmのピラー状の二座配位子、シス位を保護したパラジウム錯体およびピレンジオンを水中で混合することで、有機ピラー型かご状錯体内にピレンジオンの3重集積体を一義的に構築した。この構造はNMRおよびX線結晶構造解析によって決定した。さらに、ピラー配位子の長さを調整することにより、ピレンジオンを5重まで段階的に集積することに成功した。
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清川 円, 平岡 秀一, 塩谷 光彦
セッションID: C12
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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ディスク状三座配位子と遷移金属イオンから形成される八面体型六核錯体の各金属イオンにはトリフルオロメタンスルホン酸アニオンが錯体の内外から配位している。このカプセル錯体にスルホン酸アニオンを加えると、内部に位置するアニオンのみを選択的に交換できる。今回、両端に2つのスルホナート基をもつジアニオンを用い錯体の内部を架橋し、さらに残る四つのトリフラートアニオンとトシラートアニオンの交換に成功した。これにより、カプセル錯体の内部空間を効率よく修飾することが可能となり、カプセル分子の内部の官能基化が達成された。
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都築 誠二, 内丸 忠文, 三上 益弘, 北川 仁美, 小林 健二
セッションID: C13
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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ヘテロカプセルと非対称ゲストの分子包接におけるホストとゲストの間の分子間相互作用を ab initio 分子軌道法で計算し、ゲスト分子の配向による分子間相互作用の変化を解析した。計算された相互作用エネルギーの変化は実験から観測された配向の選択性をよく再現した。相互作用エネルギーの内訳を解析したところ、ホストとゲストの間の引力の大部分は分散力であるが、ゲスト分子の配向制御には静電力が重要な働きをしていることが分かった。
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北川 仁美, 小堀 康博, 与座 健治, 小林 健二
セッションID: C14
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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当 当研究室では、テトラ(4-ピリジル)キャビタントとテトラキス(4-ヒドロキシフェニル)キャビタントから成るヘテロダイマーカプセルが、
p-二置換ベンゼンを包接することを報告している。今回、1,4-ジアセトキシ-2,5-ジアルコキシベンゼンのカプセル内回転挙動について検討を行い、また、2位もしくは3位にフッ素を導入したゲスト分子による配向選択性の向上を見出した。
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瀬高 渉, 大水 聡一郎, 阿部 貴志, 磯部 寛之, 吉良 満夫
セッションID: C15
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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先に我々は大規模ポリシラアルカンかご型骨格内にフェニレンを架橋した分子を分子ジャイロスコープとして合成し, 結晶構造や結晶中におけるフェニレンの回転運動など詳しい構造を明らかにしていた.今回,分子ジャイロスコープにおいて双極子モーメントを有する回転子とした誘導体(1,2-ジハロフェニレン架橋体やチオフェン架橋体)を分子コンパスとして合成し,その構造を明らかにした.
1,2-ジハロフェニレン架橋体の結晶中の構造は,ポリシラアルカンフレーム骨格が,内部回転子との立体接触を避けるように大きく歪んでいた.また,1,2-ジクロロフェニレン架橋体の溶液中の温度可変スペクトルから,ジクロロフェニレン回転子が制限回転している様子か観察された.そこでより小さな回転子としてチオフェン架橋体を設計・合成した.結晶中におけるチオフェン架橋体の構造は,フェニレン架橋体と同様に対称性高い構造が観察された.
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佐藤 弘規, 後藤 佑太, 新海 征治, 佐田 和己
セッションID: C16
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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Metal-Organic Frameworks(MOFs)は有機配位子と金属イオンにより構築される多孔質材料であり、その構造特性を利用したガス吸蔵能や触媒能などが報告されている。機能を発現させるためには、特定の官能基を付与させる必要があるが、官能基の多くが配位能をもつなど機能性を自在に付与することは必ずしも容易ではない。
そこで我々は事後修飾反応により、MOFを形成させた後に特定の官能基を化学修飾させることを着想した。
今回、側鎖にアジド基を有する有機配位子N3を合成、MOFを作製、及びクリックケミストリーを用いた事後修飾反応を行った。また、修飾させる基質に応じたMOFへの特定の機能の付与、及びその評価を行った。
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山下 健一, 田澤 慎, 梅宮 将充, 浅野 素子, 宮坂 等, 山下 正廣, 波田 雅彦, 杉浦 健一
セッションID: C17
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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ポルフィンはポルフィリンの母骨格であるにもかかわらず、その合成の困難さ故、あまり詳細な性質が明らかにされていない。特に結晶構造に関しては、精度の低いデータが数例報告されているに過ぎない。本研究では、ポルフィン、及び対応する金属錯体を系統的に合成を行い、それらの結晶構造を明らかにしたので報告を行う。分子一つ一つの構造については、その分子構造から期待される結合長や角度を有するものの、それらの固体中における充填様式は極めて特異的である。講演では分子の充填様式を支配する因子を考察し、この物質群の結晶工学の可能性について議論を行う。
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石塚 智也, 磯野 裕貴子, 江 東林
セッションID: C18
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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我々は、超分子集積化相互作用を利用し、ソフトマテリアルによる磁気機能性分子の開発を進めている。本研究では、中心部にπ共役ユニットを持つ非対称多核シフ塩基配位子、およびその異種核遷移金属錯体を合成し、πスタックに基づく超分子集積化挙動を検討した。この際、両親媒性の置換基を導入することで、特徴的な一次元構造の形成に成功した。さらに異種核錯体であることを利用して、その集積体中における特徴的な磁気的相互作用を検討したのであわせて報告する。
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田原 一邦, 奥畑 智, Lei Shengbin, Adisoejoso Jinne, De Schryver Frans C., De ...
セッションID: C19
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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これまで我々は、デシル基により置換された菱形の形状を有する縮環型デヒドロベンゾ[12]アヌレン (bis[12]DBA) が固液界面においてカゴメ構造を形成することを走査型トンネル顕微鏡(STM)により明らかにしている。本発表では、置換基の異なるbis[12]DBAを用いて、置換基および溶質濃度の与えるネットワーク構造への影響、さらに形成された多孔性のネットワークを用いたゲスト分子の共吸着について調査したので報告する。
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林 寛幸, 唐澤 悟, 古賀 登
セッションID: C20
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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当研究室ではこれまでに非極性溶媒中で自己集合化する有機ラジカルの合成を行い、溶液中での構造及びその磁気的性質について報告してきた。
今回、疎水性の側鎖を水溶性のPEG鎖に変更することで、水溶液中での集合体の形成を目指した。また、集合化により回転相関時間が上昇し、高い緩和能(水プロトン緩和時間の短縮効果)が期待できることから、パルスNMRを用いた緩和時間測定により、緩和能の算出も併せて行った。
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寺門 雄太郎, 岡澤 厚, 石田 尚行, 野上 隆
セッションID: C21
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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2-ピリジルニトロキシドはピリジン環の窒素原子とラジカル酸素原子が遷移金属イオンに対して二座キレート配位する。この系はスピン密度が高い原子と遷移金属イオンが直接配位するため強い磁気的相互作用が働く。またラジカルのdπ軌道と遷移金属イオンのdσ軌道が直交すると強磁性的カップリングするため強磁性的相互作用を得やすい系である。我々はは錯体のスピン源を増やすことを目的とした配位子であるビピリジルの各2位にニトロキシドが置換したビラジカルなど様々なニトロキシドを合成し、それらのラジカルと遷移金属イオンからなるキレート錯体を研究している。当日はラジカルや錯体の物性を報告する。
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秋田 素子, 速水 真也, 井上 克也
セッションID: C22
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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構造設計性に優れた金属錯体は超分子構造体の構築手法として非常に有用であり、これまでに様々な機能性錯体超分子が報告されているが、金属イオン・有機配位子双方の利点を活かした例は多くはない。我々は構造設計性の上、さらに電荷や電子スピンといった金属イオンの特長を活かした機能を有する錯体超分子の構築を目的とし、金属錯体に於いてスピンクロスオーバー現象や液晶性の発現が知られているターピリジン骨格を剛直なπ電子系で連結した配位子及びそれらを用いた錯体超分子を設計・合成した。本発表では鉄及びコバルト錯体の構造と物性について報告する。
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鈴木 修一, 森田 靖, 吉田 健太, 福井 晃三, 塩見 大輔, 佐藤 和信, 工位 武治, 中筋 一弘
セッションID: C23
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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開殻有機分子であるフェナレニルやその誘導体の合成は、物性有機化学的興味や機能性有機分子の創出に向けた基礎研究として重要な役割を担ってきた。各種の物性発現には、特異な電子スピン構造を有する単分子の性質と多様な構造の二量体の形成とその機構の解明が不可欠である。最近我々はフェナレニル骨格に三つの酸素原子を導入した中性ジラジカルを設計した。今回はその合成法とともに、それらフェナレニル誘導体の結晶状態における二量体構造や溶液状態における動的な構造変化を結晶構造解析ならびに NMR 測定等各種分光法で明らかにしたので報告する。
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河田 健史, 藤島 雄介, 池田 ゆき, 禅 知明, 榊原 和久, 川崎 加瑞範, 蛯名 武雄, 藤谷 雄二
セッションID: C24
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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粘土膜の層間に短寿命活性ラジカル種を捕獲と安定化させることができる有機機能物質(スピントラップ剤orラジカルスカベンジング剤)を担持させたCLAISTラジカル捕集膜を用いて、ディーゼル排ガス中に含まれるラジカル成分(ナノ粒子+ガス成分)の捕獲と同定研究を行った。生物実験より、ディーゼル排ガス中には活性酸素種由来のヒドロキシルラジカルの存在が考えられるので、反応性が高く短寿命ヒドロキシルラジカルの捕獲と同定に適したラジカル捕獲用機能分子を合成して、担持させ、ディーゼルエンジンの運転条件の違いによる、ラジカル発生量の違いや発生ラジカル種の違いについての検討を行った。
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増田 有希, 倉津 将人, 鈴木 修一, 小嵜 正敏, 江崎 俊朗, 塩見 大輔, 佐藤 和信, 工位 武治, 細越 裕子, 宮崎 裕司, ...
セッションID: C25
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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ラジカル置換ラジカルイオン種は有機磁性体の構成成分として有用な化合物と考えられるが、これまでそのような化学種を用いた磁性体は合成されていない。ここでは、安定ラジカル置換ジヒドロフェナジン、トリオキシトリフェニルアミン類の合成と性質、それらのラジカルカチオン塩とスピンを持ったアニオン種との塩の合成と磁性について検討を行った。特に臭化鉄塩(FeBr4-) との塩についてはフェリ磁性体、弱強磁性体、メタ磁性体の種々の磁性体を開発することができた。
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内田 幸明, 能田 洋平, 鈴木 克明, 田村 類, 山内 淳
セッションID: C26
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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我々はこれまでに数種類の液晶性キラル有機ラジカルを合成し、その電気・磁気物性について研究を行い、化合物
1と
2のSmC
*相を液晶セルに封入することにより強誘電性が発現することを見出した。また、最近、
1の液晶相において分子間強磁性的相互作用が発現することを報告した。
1はSmC
*相においても強磁性的相互作用を示すため、この相が磁気電気相互作用を示すと考え、
1の磁気モーメントに及ぼす電場の影響を観測するために、この相のEPRスペクトルの電場依存性と角度依存性を測定したので報告する。
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廣瀬 智史, 工藤 大希, 野上 隆, 石田 尚行
セッションID: C27
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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以前に我々はビフェニル-3,5-ジイルビス(
t-ブチルニトロキシド)(bpbn)及び、その誘導体の構造と磁性を報告した。これらの物質はN-O基間が近接していて反磁性を示し、さらに昇温すると常磁性へ不可逆な転移を示した。4'-位置換分子よりも対称性の悪い3'-位置換分子の方が転移温度や融点は下がることから、今回は新たに3'-位、2'-位に置換基を導入し、固相‐固相転移温度を室温に近づけ、室温をまたぐ磁性制御を目指した。
また、それらの構造と磁性から、N-O基間距離がそのvan der Waals半径和よりも大きいと常磁性、小さいと反磁性を示すことが分かった。
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森田 靖, 西田 辰介, 芥川 奈緒, 佐藤 正春, 工位 武治
セッションID: C28
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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近年、化石燃料や希金属の高騰および環境問題への対策という観点から、新しい蓄電デバイスの開発が急務となっている。我々は、これまでに安定な開殻有機分子であるフェナレニル誘導体を正極活物質に用いた新しい二次電池を開発した。この電池は、リチウムイオン二次電池を超える大きな放電容量を示した。今回我々は、レドックス状態の安定性と多段階のレドックス能という点に着目し、テトラシアノキノジメタン誘導体などの閉殻有機分子を正極活物質に用いた二次電池の開発に成功した。この結果は、高いレドックス能を有する有機分子の新たな利用活路を開くものと期待される。
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小妻 宏禎, 有熊 洋子, 山本 祐輝, 田原 一邦, 戸部 義人
セッションID: 1P001
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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三次元微細加工などへの応用の観点から様々な二光子吸収化合物の合成に関する研究がなされている。我々はこれまでにいくつかの縮環型デヒドロベンゾ[12]アヌレン (縮環型[12]DBA) を合成し、その中で三つ葉型トリス[12]DBAが、平面化された
p-フェニレンエチレン共役系に基づく炭化水素としては大きな二光子吸収断面積を示すことを明らかにした。今回我々は、さらに
p-フェニレンエチレン共役系が拡張した星形テトラキス[12]DBAを設計し、合成を検討したので報告する。
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信末 俊平, 向井 優一, 田原 一邦, 戸部 義人
セッションID: 1P002
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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これまでに、我々はプロペラの構成要素としてデヒドロベンゾ[14]アヌレン([14]DBA)を含むtris[14]DBAを合成し、その性質について報告した。結晶中において
P体と
M体のエナンチオマーが存在することを明らかにしているが、反転障壁が小さいと考えられ、溶液中では自由に環反転を起こすためそれらの光学分割には至っていない。そこで、ベンゼン環の代わりにナフタレン環を用いてより大きな環反転障壁をもつと期待できる2種類のトリスデヒドロナフト[14]アヌレンの合成について検討したので報告する。
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生田 和博, 廣瀬 敬治, 中村 大和, 戸部 義人
セッションID: 1P003
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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適度なサイズの輪成分とストッパーをもつロタキサンは、輪成分のすり抜け(デスリッピング)反応を起こす場合がある。その反応速度は、種々の構造的、電子的要因により大きく変化することが知られている。我々は、デスリッピング反応における軸成分と輪成分間の水素結合の効果を定量的に考察することを目的として、両者間の水素結合の強さを変えうるように、輪成分上に異なる置換基(NO2, Br, H)を持つ3つのロタキサンを設計、合成した。それらのデスリッピング反応速度を測定したところ、電子求引性のニトロ基をもつロタキサンの場合、明確な加速効果が観測された。
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犬飼 晃司, Lei Shengbin, 田原 一邦, De Schryver Frans C., De Feyter Steven, 戸部 ...
セッションID: 1P004
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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最近、分子間の非共有結合による自己集合により固体表面に形成される2次元分子ネットワークに関する研究が精力的に行われている。しかしながら、得られる構造は脆弱であり、より強固なネットワークの構築が興味の対象となっている。そこで、我々は共有結合により結ばれた強固なネットワークの構築を目指して、外部刺激により分子間の架橋が可能なジアセチレンを含む側鎖により置換されたデヒドロベンゾ[12]アヌレンを設計・合成し、その固液界面における分子ネットワークを走査型トンネル顕微鏡 (STM) により明らかにした。さらに、分子間架橋反応について光、熱、反応剤の添加により検討したので報告する。
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中西 堪, 松本 尚子, 加野 泰平, 黒田 重靖, 小田 晃規, 堀野 良和
セッションID: 1P005
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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o-フタルアルデヒドとグルタルアルデヒドのアルドール生成物にMeMgIとのGrignard反応によりメチル基を導入、次いでアルコール体を酸化し、ジアセチル体をする。次に、ブロモ化し、硫化ナトリウムとの反応により、ジケトスルフィド体とした。これを四塩化チタンを用いモルホリンとのエナミン化すると表題の化合物を合成した。この化合物の性質について述べる。
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石川 丈晴, 豊田 真司
セッションID: 1P006
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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これまでアセチレンの束縛回転に基づくキラルなアントラセン-アセチレン環状オリゴマーの合成とエナンチオマー分割を行ってきた。今回新たに、アセチレンをブタジイニレンへと拡張した環状四量体を設計し、ジアセチレン軸の束縛回転の研究を行うことにした。Sonogasiraカップリングと脱保護を行って合成した三量体とブロモアルキン誘導体とのカップリングにより前駆体を合成し、分子内Eglintonカップリングを用いて目的の環状化合物を合成した。この化合物は低温
1HNMRの測定において、ジアセチレン軸の束縛回転に基づくシグナルの線形変化が観測された。
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篠崎 真也, 羽村 季之, 指宿 洋介, 鈴木 啓介
セッションID: 1P007
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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先に我々は、ベンザインの[2+2]環付加反応を利用して合成できるトリシクロブタベンゼンを加熱すると、これの原子価異性体であるヘキサラジアレンへと容易に異性化することを見出している。今回、この反応について詳しく調べた結果、四員環上の置換基の嵩高さがこの反応に大きく影響することが分ったので報告する。また、合成したヘキサラジアレンのX線結晶構造解析にも成功したので、その結果についても述べる。
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須江 大輔, 高石 和人, 川端 猛夫, 椿 一典
セッションID: 1P008
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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1,4-位連結型オリゴナフタレン類はその連続する軸性不斉をSまたはRに統一することによって、らせん構造を形成するという特徴を持つ。二量化を繰り返すボトムアップ法を行い、側鎖にブトキシ基を有するキラルビナフタレンをビルディングブロックとすることで、今までで最長となるall-(S) 32量体を合成した。
さらに、本化合物をキラルならせん状ロッド分子とし、機能性分子をらせん状に配列させることで、新たな機能の構築に取り組んでいる。
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桑原 寿久, 小和田 俊行, 大江 浩一
セッションID: 1P009
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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一般に、π共役分子にスピロフルオレン骨格を導入することで、分子の剛直性や平面性、熱安定性が向上することが知られている。近年、ラダー型分子にスピロフルオレン構造を導入する研究が活発に行われているが、その多くがフルオレン系の化合物に関するものである。今回、我々はフランやチオフェンのような芳香族複素環が縮環したジスピロフルオレン化合物を合成した。X線結晶構造解析の結果、分子内で互いに向かい合う位置にあるフルオレン間の距離が、フラン体では3.89から4.84 Åであったのに対し、チオフェン体では3.60から3.70 Åとその距離が短くなっていることが明らかになった。
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木原 崇雄, 澤田 剛, 地福 寿史, 黒木 瑞恵, 高藤 誠, 伊原 博隆
セッションID: 1P010
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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メタシクロファン(MCP)とは芳香環のメタ位を炭素鎖で架橋した環状化合物の総称である。これまでに[2.2]メタシクロファンジエン(MCPD)にベンゼン環を縮環させることにより効率よくジヒドロピレン(DHP)へと光異性化することが見出され、新しいタイプの光スイッチング素子の研究が行われている1) 2)。しかしながら、DHP に芳香環を縮環した化合物の合成は長いルートを必要とし、大量合成が困難である。本研究では複素環を MCP に縮環した[2.2]MCPD類の合成を目的とし、新しい反応ルートの開発と、生成した MCPD の物性を評価することを計画した。
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松尾 奈美, 澤田 剛, 地福 寿史, 高藤 誠, 伊原 博隆
セッションID: 1P011
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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先に我々は、ピナコールカップリング反応によりテトラヒドロキシ[2.1.2.1]メタシクロファン(MCP)が得られることを報告した。今回、[2.1.2.1]MCPに、TMSClを作用させることで、ピナコール転移反応とアセタール化反応が進行することを見いだした。この反応により2種類のカリックスアレン類縁体が形成し、これらが反応温度、反応時間で異なった生成比で得られることから、その熱力学的特性と、得られた類縁体への官能基導入を検討した。ニトロ化を行った結果、ジニトロ置換体が得られ、これがキラリティを有することが明らかとなった。
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酒井 奏江, 蔵田 浩之, 平尾 泰一, 松本 幸三, 久保 孝史
セッションID: 1P012
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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我々はジベンゾ縮環による拡張キノン類の非平面化とそれに伴う構造、物性の変化を研究している。今回、3,3",5,5"-テトラ-
tert-ブチル-
p-ターフェノキノンにベンゼン環が1枚だけ縮環した拡張キノン類に関して、無置換体の合成ならびにその構造、物性を報告するとともに、キノン部の2',3'-位に置換基を導入した誘導体の合成についても述べ、置換基の立体的、電子的影響がもたらすモノベンゾ縮環
p-ターフェノキノンの性質の変化を議論する。置換基としてクロロ基の導入を検討し、ビスフェノール体の合成を行った。現在、酸化反応によるキノンへの変換を検討している。
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