基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
第19回基礎有機化学討論会(第38回構造有機化学討論会・第58回有機反応化学討論会)
選択された号の論文の387件中101~150を表示しています
ポスター発表
  • 西澤 真帆, 松本 幸三, 平尾 泰一, 蔵田  浩之, 川瀬 毅, 久保 孝史
    セッションID: 1P013
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    温和な条件下でのプロトン共役電子移動現象の実現を目指し、高いプロトンドナー性を合わせ持つ電子ドナー錯体としてチアジアゾールジチオレートニッケル錯体1を合成した。1のジアニオン体はジクロロチアジアゾールに硫化ナトリウムを作用させ、ついで塩化ニッケルを反応させることにより得られる。ジアニオン体の水溶液に硝酸を作用させて1を針状結晶として得た。1は結晶中で積層構造をとっている。1は予想通り高いpKa値を示し(< 0)、高いプロトンドナー性を有する。1の水素結合型電荷移動錯体合成の試みや構造が類似した配位子を用いた金属錯体合成の試みについても述べる。
  • 藤本 貴久, 蔵田 浩之, 平尾 泰一, 松本 幸三, 久保 孝史
    セッションID: 1P014
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
     我々はビス(スピロジエノン)構造で架橋したビチオフェン類の中央6員環の可逆的な開裂―生成に伴う外部刺激応答性を研究している.今回,3,3’-ビチオフェンの2,2’-位をジスピロ構造で架橋した標題分子が,サイクリックボルタンメトリー法による還元電位の測定において,閉環ジスピロ構造と開環キノン構造の平衡の存在を示唆する挙動を示すことを見い出した.我々はこの現象に興味を持ち,鈴木-宮浦カップリングやLDAによるリチオ化反応によってチオフェン環の5,5’-位に種々の置換基を導入した誘導体を合成した。そして、それらの酸化還元挙動に関して,温度依存性,走査速度依存性等,詳細に測定を行ったので報告する.
  • 佐瀬 光敬, 相良 剛光, 務台 俊樹, 荒木 孝二
    セッションID: 1P015
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    圧力および熱に応答してその発光が変化する、ピエゾクロミック発光を示すピレン誘導体は、発光ピレン部位と水素結合部位を併存することにより、密なパッキングと水素結合支配の疎なパッキングの双方が実現され、ピエゾクロミズムを発現していると考えられる。本研究では、アミド側鎖が、ピエゾクロミック発光特性に与える影響を検討した。
    その結果、Propyl基では水素結合支配の構造の形成が認められず、ピエゾクロミズムが発現しなかったのに対し、Hexyl基やTetradecyl基、2-Ethylhexyl基など、一定以上の鎖長を持つ場合にはピエゾクロミック発光を示すことが明らかになった。これに基づき、アミド側鎖の役割について議論する。
  • 遠藤 克, 家 裕隆, 安蘇 芳雄
    セッションID: 1P016
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    多環芳香族炭化水素は、拡張共役化合物に特有の電子的性質を示すため、機能性材料への応用が期待されている化合物である。その中でもヘテロ原子を含む多環複素芳香族化合物は複素環の電子構造に由来する優れた電子特性を示すことが期待される。本発表では、チオフェン環を6ヶ所縮環させたトリフェニレン誘導体の合成・構造・物性について報告する。ヘキサチエノトリフェニレン(1)はヘキサチエニルベンゼン(2)の酸化的なカップリングにより合成した。X線構造解析による結果から、1はC2対象の非平面な構造であることが明らかになった。合成および分光学的性質、電気化学的性質についても詳細に報告する。
  • 安藤 展広, 大沼 弘志, 中山 重蔵, 佐藤 大
    セッションID: 1P017
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    チアザアズラノンとマロン酸ジメチルとの反応から生じる2種の中間体を分離し、各々をDDQで酸化することで、ヘプタフルベン及び三環性化合物を得た。チアザアズラノンとブロモマロン酸ジメチルとの反応では、環縮小した化合物を与えた。チアザアズラノンを硫化して得られるチアザアズラチオンとマロン酸ジメチルとの同様の反応では、ジスルフィドで連結されたヘプタフルベン二量体のみが生成した。
  • 阪峯 良太, 田端 秀行, 奥野 恒久
    セッションID: 1P018
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    電子供与性の置換基を有するアセチレン誘導体はTCNE分子と付加反応性を示し、テトラシアノブタジエン誘導体を与えることが報告されている。その中で我々は、電子供与性の置換基が3位に結合したプロピン-1-オールでは、反応が更に進行してフラン誘導体を与えることを見出している。今回系統的に研究を行うために、3-アリール置換プロピン-1-オール(1a~f)を合成し、TCNEとの付加反応性ならびに生成物について実験と理論計算の両面から検討を加えたので報告する。
  • 庄子 卓, 伊東 俊司, 豊田 耕三, 安並 正文, 森田 昇
    セッションID: 1P019
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    エレクトロクロミズムは異なる酸化状態で顕著な色調の変化を示す可逆な酸化還元系で観測される。そのため酸化還元活性な発色団を複数個有する有機化合物の合成は異なる電位で種々の色調変化を示すポリエレクトロクロミズムの発現にとって重要な課題である。そこで我々は酸化還元活性な発色団としてアズレンを用いた。まずシクロヘプタ[b]フラン-2-オンからエチニルアズレンを4段階で合成し、ヨードベンゼン類およびヨードチオフェン類と薗頭-萩原反応によりポリ(1-アズレニルエチニル)ベンゼンおよびチオフェンを得た。さらにアセチレン部位へのTCNE、TCNQの[2+2]環化付加反応とそれに続く開環反応により以下に示した化合物を合成した。これらの化合物はサイクリックボルタンメトリー法により多段階の還元波を示した。
  • 豊田 耕三, 山本 拓也, 岡田 和之, 横山 隆二, 伊東 俊司, 安並 正文, 森田 昇
    セッションID: 1P020
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    芳香族化合物の化学において求電子置換反応がよく知られている。アズレンの1位と3位はその極性効果からベンゼンより簡単に求電子置換反応をうけることに着目しこれとトリフルオロメタン酸誘導体を利用した新求電子置換反応の開発を行っている。今回トリフルオロメタン酸誘導体とピりジンN-オキサイドによるピリジニル化、トリエチルアミンによるトリフルオロスルフィニル化、LiCl またはテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物によるハロゲネーションについて報告する。
  • 橋本 陽子, 斎藤 雅一
    セッションID: 1P021
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    かさ高いシリル基を有するフェニルアセチレンの還元、続くヨウ素による酸化により合成した、新規なジベンゾペンタレン1の酸化・還元反応を検討した。1に酸化剤(NO+SbF6-、SbCl5またはSbF5)を作用させ、ESRスペクトルで反応を追跡したところ、ラジカルカチオン2の生成を示唆するシグナルを観測した。一方、1に過剰量のLiを作用させると、ジリチウムジベンゾペンタレニド3を収率81%で得た。1に1当量のKC8を作用させたところ、ESRスペクトルにおいてアニオンラジカル4の生成を示唆するシグナルを観測した。さらに3と様々な金属試薬との反応も検討したので、併せて報告する。
  • 稲村 晃司, 水畑 吉行, 時任 宣博
    セッションID: 1P022
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    既に我々は、かさ高い置換基であるTbt基を用いた速度論的安定化の手法により数々の含高周期14族元素芳香族化合物の合成・単離に成功している。今回、含高周期14族元素芳香族化合物の反応性の検証を目的として、14π電子系芳香族化合物である9-シラ-および9-ゲルマ-フェナントレン1および2と種々の反応試剤との反応を行い、その反応性について検討した。1および2と[Cr(CH3CN)3(CO)3]との反応では、それぞれ錯体3および4を得たが、その他の異性体の発生を示唆する結果は得られなかった。錯体34の構造は各種スペクトル測定、X線結晶構造解析により明らかにした。また、2とケトンやアルケン等の小分子との反応も検討したので併せて報告する。
  • 和田 寛大, 石井 華, 箕浦 真生, 山本 学, 真崎 康博
    セッションID: 1P023
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    パラ位に置換基を導入した芳香族置換基を有するテトラアリールテルル化合物の合成とそれらの構造を明らかにしたので報告する。 テトラアリールテルル[(p-R-C6H4)4Te, R = H, H3C, F3C, H3CO, H3CS]はそれぞれ対応するリチウム試薬と四塩化テルルより合成し、いずれも黄色の個体として単離した。X線結晶構造解析の結果、p-C6H4)4Te, (R = H, H3C, F3C)の三種類のテトラアリールテルルは疑三方両錐構造を有しており、これまでの理論および実験から予測される構造的特徴を示した。(p-H3CO-C6H4)4Teの結晶はテルルを中心対称点とする正方晶系であり、16族元素として初めての疑四角錐構造を有する化合物として解析された。関連化合物の合成についても報告する。
  • 永澤 拓也, 渡辺 秀樹, 箕浦 真生, 山本 学, 真崎 康博
    セッションID: 1P024
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    9-トリプチシル基およびイソプロピル基またはシクロへキシル基をカルボニル炭素上に導入した、α位に水素を有するチオケトンを合成した。塩基によるα位水素の引き抜き反応では、対応するチオエノラートを生成し、プロトン化により安定なエンチオールを与えた。 X線結晶構造解析により、チオケトンとそれに対応するエンチオールの構造を初めて明らかにした。チオケトンの酸化反応では、対応するスルフィンを与え、この互変異性化反応の検討では、α,β-不飽和スルフェン酸の経由を示唆する結果を与えた。
  • 武隈 真一, 貝原 正道, 武隈 秀子
    セッションID: 1P025
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    我々は,新しいπ電子系機能分子システムの創製に関する基礎研究の一環として,アズレン類の特異的な化学反応挙動ならびに機能性材料化学への展開について検討している.今回我々は,3-グアイアズレニル基と5,10,15,20-テトラフェニルポルフィリン環によって安定化されたカルボカチオン化合物の合成に成功し,その各種スペクトルならびに電気化学特性について検討した.
  • 武隈 真一, 松岡 寛人, 武隈 秀子
    セッションID: 1P026
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    本研究室では以前より,グアイアズレンの特異的な化学反応挙動ならびに機能性材料化学への応用について詳細に検討している.今回我々は,3種の1-(3-グアイアズレニル)-4-フェニル-1,3-ブタジエン誘導体を合成し,それらの結晶構造,各種スペクトル,化学的および電気化学的特性について詳細に検討したところ,2,3の興味深い知見が得られたので,それらについて報告する.
  • 寺谷 拓也, 小泉 武昭, 神原 貴樹, 山本 隆一
    セッションID: 1P027
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    Ni錯体は磁気的性質、電気的性質や触媒機能を有するのみでなく、配位子の性質により多種な配位形態の構築が可能なため、構造的観点からも非常に興味深い。一方で、錯体の配位子としての第二級チオアミド基は、塩基・酸の作用により容易に脱プロトン化が起こり、イミンチオレート・チオアミダートという共鳴体を形成する。これまでに第二級チオアミド基を有するRu錯体において、中心金属への電子供与性を制御できることを報告している。 本研究ではチオアミド基を含んだシクロメタレーション配位子を用いてNi錯体を合成し、それらの同定および電気化学測定を行ったので報告する。
  • 桐生 真志, 平谷 和久, 大庭 亨, 名川 吉信, 金里 雅敏
    セッションID: 1P028
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    タンデムクライゼン転位により合成された2つの水酸基を有する種々の環員数をもつ大環状化合物(アミドクラウノファン類)は水素化ホウ素ナトリウムとの反応によりボロン錯体を形成することを見出した。このボロン錯体は2つの異性体を持つこと、400-500nmの領域に蛍光発光を示すことなどが見出された。これらの現象は環員数により影響されることがわかり、その詳細について検討したので報告する。
  • 山口 裕之, 小野 克彦, 斎藤 勝裕
    セッションID: 1P029
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    ペンタセンやルブレンなどのアセン化合物は、有機電界効果トランジスタ(OFET)において高いp型半導体特性を示す。また、たとえばパーフルオロペンタセンなど、アセン化合物にフッ素基を導入した化合物は、n型半導体特性を示す。我々は、これまでにテトラセン骨格やペリレン骨格にBF2基を導入した化合物を合成し、その物性を調査した。これらは、高い電子親和性を示すとともに、テトラセンBF2錯体でn型半導体特性が観測された。この移動度は高くなかったが、n型半導体の新たな分子システムとして有意義である。そこで、半導体特性の向上を目指し、パーフルオロ置換したテトラセンBF2錯体を合成した。この結果、テトラセンBF2錯体と比較して電子受容性が上昇するとともに、HOMO-LUMOエネルギーギャップがわずかに減少した。
  • 田近 光紘, 小野 克彦, 斎藤 勝裕
    セッションID: 1P030
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    有機EL素子の研究開発において、りん光錯体の合成研究が行われている。我々は、フェニルピリジンとキノリノールを配位子にもつイリジウム錯体の光学特性に興味を持ち、それぞれの配位子にフッ素基を導入した錯体の合成研究を行った。フェニルピリジンとキノリノールにフッ素基を導入すると、いずれも発光波長が短波長側にシフトした。母錯体は緑色の発光を示すが、両配位子にフッ素基を導入した錯体はTHF溶液中で青色を示した。量子収率は、フェニルピリジンに導入すると上昇したが、キノリノールに導入すると低下した。さらに、フッ素基の導入によって電子親和性が上昇し、CVにおいて還元波が観測された。これらの結果から、フッ素基の導入はイリジウム錯体の発光特性を制御する有効な方法と考えられる。
  • 塚本 健一, 小野 克彦, 戸村 正章, 斎藤 勝裕
    セッションID: 1P031
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    自己組織化能を有する分子が集合した超分子集合体の研究が注目されている。これは、超分子構造に基づく新たな高次機能が期待されるためである。我々は、ベンゼン-1,3,4-オキサジアゾール環状四量体が自己組織化して超分子ワイヤを形成することを発見した。この構造を調査した結果、マクロサイクルがカラム状に配列してナノチューブを形成し、ゲストとして水を包接していることが分かった。熱重量分析では、400 ℃を超す温度範囲まで水の放出は観測されず、ナノチューブ内に強く保持されていることが分かった。また、この水はIRスペクトルで会合型に帰属されるピークを示すことから、水素結合によって一次元のネットワークを形成していると考えられる。
  • 伊東 俊司, 水島 陽, 田畑 奨太, 飯田 尚弘, 川上 淳, 森田 昇
    セッションID: 1P032
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    単独では良好な酸化還元特性を持たないシアニン構造を新たなシアニン鎖もしくはビオレン鎖で集積する分子設計、シアニンハイブリッド構造、により多電子の酸化還元系の構築を検討した。今回、シアニン鎖もしくはビオレン鎖で複数個のシアニン構造を集積したいくつかのハイブリッド構造の合成とそれらの多電子の酸化還元的挙動ならびにエレクトロクロミズム挙動について検討を行ったのでそれらの結果について報告する。
  • 真鍋 充, 矢野 将文, 辰巳 正和, 小山 宗孝
    セッションID: 1P033
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    超分子ビルディングブロックとして、酸化還元特性を持つトリフェニルアミンのパラ位にオキサゾール環を1~3つ導入した誘導体を設計o合成した。吸収スペクトルより、これらは効果的にπ系が拡張していることが示唆された。さらにこれらは強い発光を示すことが明らかになった。CVの測定結果より、これらの一電子酸化は可逆であることがわかった。さらに電子移動ストップトフロー測定よりオキサゾール環を1つもしくは2つもつ化合物のカチオンラジカルは数分間、全く分解しないことがわかった。酸化種の蛍光スペクトルおとび金属との配位能については現在検討中である。
  • 松平 桂典, 矢野 将文, 辰巳 正和, 小山 宗孝
    セッションID: 1P034
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    パラ位に置換基をもつトリアリールアミン類は一電子酸化によって安定なカチオンラジカルを与える。トリアリールアミンユニットと配位活性なターピリジル基とを連結した配位子を設計・合成した。この配位子は容易に一電子酸化され、得られるカチオンラジカル種は非常に安定であることがわかった。さらこの配位子に希土類FOD錯体(Ln(FOD)3)を加えることによって1:1高配位型錯体を得た。この錯体の電気化学的、分光学的性質を種々の測定法を用いて検討したところ、安定なラジカルペンダント部位を有する発光性の希土類錯体が得られた。現在、詳細な検討および単結晶の作成をおこなっており、これらについても併せて報告する。
  • 武本 英紘, 新井 愛美, 松田 拓也, 矢野 将文, 辰巳 正和
    セッションID: 1P035
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    直鎖のアルキル鎖やパラフェニレン骨格をスペーサーとし、両端にビスピコリルアミノ基を持った配位子は種々の遷移金属と二核錯体を形成することが知られている。今回、これらの配位子を用いれば二種類の希土類イオンの混合物より、選択的に特定の希土類イオンを二核錯体として沈殿させる事に成功した。希土類イオン認識能は配位子の構造に依存し、現在、分子構造と錯形成能との関係について検討を行っている。さらにピリジンの代わりにキノリンを用いた一連の配位子についても同様の検討を行っている。
  • 井上 佳恵, 矢野 将文, 辰巳 正和, 小山 宗孝
    セッションID: 1P036
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    N,N,N',N'-tetrakis[(2-pyridyl)methyl]ethylenediamine(TPEN)を配位子に用いたユウロピウム及びテルビウムなどの希土類錯体は希土類中心からの強い発光を示すことが知られている。しかしこれらの系では外部刺激によって発光のオン/オフを調整することはできない。本研究では,tpenのピコリル基の1つを酸化還元活性で非常に安定なラジカルを与えることが知られている2,4-ジ-t-ブチルフェノール基に置換した配位子を設計し合成を試みた。そして対応する希土類錯体の電気化学的,分光学的性質を調査し,電子の授受による発光挙動制御の検討を行った。
  • 沖野 頼慈, 矢野 将文, 市原 裕二, 辰巳 正和, 小山 宗孝
    セッションID: 1P037
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    現在までに我々は、有機高スピン分子前駆体として種々の置換基をもったテトラフェニルメタフェニレンジアミン類を設計o合成してきた。系統的な研究の結果、分子構造と対応するモノおよびジカチオン種の安定性との関連性を導き出した。さらにこのジカチオン種が基底状態三重項であることを導き出した。今回、有機高スピン分子-金属イオンハイブリッド系の構築を目指して外側の芳香環に4-および3-ピリジル基をもった分子の設計をおこなった。これらの分子は鈴木カップリングによって合成した。これらの分子および対応するカチオン種について種々の物性測定を行っており併せて報告する。
  • 坂上 訓康, 藤井 孝宜
    セッションID: 1P038
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
     最近我々は,基本骨格が硫黄と窒素原子のみから構成され,求核性を持った窒素を両末端に有するndsdsd (Ph2S(=N-(Ph2)S≡N)2) 配位子を合成し,これまでにCo(II), Ni(II), Cu(II)のndsdsd錯体の合成に成功し,それらの構造についても明らかにしている。今回,ndsdsdを配位子とした種々の新規パラジウム錯体の合成を行い,得られた錯体の発光特性を調べたところ,[Pd(ndsdsd)2]Cl2錯体が固体状態において室温で発光(645nm)することが分かったので報告する。
  • 藤崎 光, 藤井 孝宜
    セッションID: 1P039
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    先に我々は,β‐ジケチミナト骨格にS-N三重結合と二重結合をドナー部位として組み込んだ新規N,N-二座配位子,(NH)Ph2S=CH-SPh2(N) (isms)の合成に成功している。このisms配位子は,CuCl2またはCoCl2と錯形成し,対応する三核錯体を生成することや,水性二相系における金属イオンの抽出剤として利用できることが分かっている。今回,ismsを配位子とした種々の新規白金錯体の合成を行い,得られた錯体の発光スペクトルを測定したところ,77Kの条件下で蛍光を観測したので報告する。
  • 川島 祐樹, 高藤 清人, 林 真人, 泉岡 明
    セッションID: 1P040
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    最近、金原子102個からなる金ナノ粒子のX線構造解析が行われ、ベンゼンチオール誘導体が配位した一価の金錯体でナノ粒子表面が覆われた構造をしている事が明らかとなった。今回、我々はナノ粒子表面をアルキル基で置換された金錯体で保護する目的で、ブチル基が置換した金錯体を合成し、単結晶X線構造解析によりその構造を明らかにした。得られた金錯体のTGの結果より、ブチル基の吸着力は強く、ナノ粒子の配位子としても期待できる事が分かった。還元反応で得られた、平均粒径1. 9 nm(σ=0.29)のナノ粒子の性質についても報告する。
  • 橋本 宗, 前田 大光
    セッションID: 1P041
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    われわれはこれまで、2価金属イオンとジピリン2量体を基盤とした[2+2]型配位ナノリングを創製し、柔軟な配位環境に起因する錯体部位の回転運動などについて検証してきた。今回、ニッケル配位ナノリングを基盤としたピロールα位間のカップリング反応と続く脱メタル化によって、共有結合マクロサイクルである環状ビジピリン2量体を構築した。この配位子について、種々の金属イオンとの錯形成能および溶液中での動的挙動を検証した。
  • 前田 大光, 坂東 勇哉, 羽毛田 洋平, 藤内 謙光
    セッションID: 1P042
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    π共役系非環状アニオンレセプターであるジピロリルジケトンホウ素錯体は、アニオンを加えることによってその構造の変化を誘起できる。また高い平面性により固体状態で積層構造を形成し、その構造の違いにより異なる光学特性を示す。今回π共役系拡張を目的としてピロール3,4位を芳香環で縮環することで新たにベンゾピロールを導入したレセプターを合成した。UV/visスペクトルよりπ共役系の拡張による吸収極大波長の長波長シフトおよびアニオン認識能の向上がみられた。X線結晶構造解析から、エタノ架橋前駆体と対照的に縮環型では脱エテンにより左右のピロール環がより高い平面性を維持し、さらに1次元カラム構造を固体状態で形成していることが分かった。当日は固体物性についてもあわせて報告する。
  • 前田 大光, 土井 耕太, 塚本 健一, 長谷川 昌広
    セッションID: 1P043
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    われわれはこれまで、π共役系で架橋したジピリン2量体からなる金属配位ポリマーが自己集合し、コロイド状組織構造を構築することを見いだした。今回、トリエチニルベンゼンからジピリン3量体を合成し、この拡張分子を基盤として、金属錯体、BF2錯体、およびカテコールホウ素錯体を合成し、その基本物性や構造の評価、さらに集合体形成能の検証を行った。
  • 前田 大光, 永福 菜月
    セッションID: 1P044
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    われわれはジピロリルジケトンホウ素錯体のピロールα位に種々の芳香環を導入した非環状型アニオンレセプターが、π面間での積層に由来するアニオン応答性集合体を形成することを明らかにしている。今回、オルト、メタ、パラ位を脂溶性基でそれぞれ一置換した芳香環を側鎖に有する誘導体を合成し、その構造およびアニオン認識能に対する置換基効果を検証した。さらに親水性基および脂溶性基を導入した両親媒性誘導体を合成し、水溶液中での自己組織化およびアニオン応答性に関する検証も行ったので併せて報告する。
  • 本田 賢
    セッションID: 1P045
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    当研究室では有機スピンと金属スピンからなるヘテロスピン系錯体分子の磁気挙動の研究を行っている。これまでにピリジル基を2つ持つジアゾ化合物とCu(hfac)2 との一次元錯体が、極低温下光照射により三重項カルベンが発生し、フェロ磁性鎖となる事を明らかにした。しかし三重項カルベンは、熱的に不安定である、ジアゾ基の光照射で発生する事から定量性に乏しい、等の問題を有する。
    本研究では、三重項カルベンに代わり比較的安定で光照射を必要としないニトロキシドラジカルを有機スピン源に用いる事とした。ピリジル基の間にあるフェニル基が無置換のもの及び置換基を持つものを分子設計し、合成を行った。
  • 中村 敬介, 尾之内 久成, 内藤 昌信, 藤木 道也
    セッションID: 1P046
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    フタロシアニン(Pc)は、典型的な有機色素であり、中心金属や側鎖基によって様々な機能を発現する。また、液晶状態を利用して得られた一次元カラム状Pc集合体は、π-πスタッキングにより、高い導電性を示すことが既に知られている。そこで本研究では、分子間水素結合を介したPc一次元カラム状自己集合体の形成を目的とし、液晶性の付与が期待できる長鎖アルコキシフェニル基を、アミド結合を介してペリフェラル位に導入した新規Pc誘導体を設計し、合成した。そして、種々の有機溶媒中での会合状態についてUV-vis吸収スペクトルを用いて検討したので報告する。
  • 井上 光憲, 鈴木 優章, 大須賀 篤弘
    セッションID: 1P047
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    5つ以上のピロールユニットからなる環拡張ポルフィリンはポルフィリンとは異なる興味深い物性を有することで近年非常に大きな注目を集めている化合物群である。なかでもピロールユニット6つからなるヘキサフィリンはその合成が比較的容易であることから盛んに研究がなされている。ヘキサフィリンには26π電子系と28π電子系の2つの安定な酸化状態があり、また柔軟な環構造を有しているため酸化状態に応じてよりエネルギー的に安定な構造をとることが知られている。26πヘキサフィリンは平面性の高い構造で強いヒュッケル芳香族性を示すが、28πヘキサフィリン2は大きく捩じれた構造で室温では芳香族性を示さない。ごく最近、我々のグループによって、このヘキサフィリンに対して金属錯化を行い金属炭素結合を形成し、その環構造を固定することにより、メビウス芳香族性の発現が可能であることが明らかになった。 今回、我々はメゾ位のアリール基と母核のヘキサフィリンに対して縮環反応を行い環構造を固定することによってメビウス芳香族性の発現に成功した。これはフリーベース体において室温で明確なメビウス芳香族性を示した初めての例である。
  • 鶴巻 英治, 猪熊 泰英, 大須賀 篤弘
    セッションID: 1P048
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
     サブポルフィリンは3つのピロール部位からなる真の環縮小ポルフィリンで、2006年に初めてその合成が我々によって報告された新規化合物群である。この化合物はボウル型の14π芳香族という特徴的な構造を有しており、その構造に起因した驚くべき物性を我々はこれまでに明らかにしてきた。しかしながらその研究の歴史はまだ浅く、サブポルフィリンの反応性に関する検討は未開拓であった。
     今回我々はメゾアリールサブポルフィリンに対し、臭素によるβ位のヘキサブロモ化、続く鈴木-宮浦カップリング及びStilleカップリングが効率的に進行し、対応するβ位置換サブポルフィリンを収率良く与えることを見いだした。またこれら化合物のX線結晶構造解析に成功し、その構造がボウル型の歪んだ構造を保持していることを明らかにした。またその物性を紫外可視吸収スペクトル、蛍光スペクトル、及び電気化学測定によって評価した。特にβ位にエチニル基を導入したサブポルフィリンは大きく長波長シフトした吸収スペクトルを示し、β位への置換基導入がサブポルフィリンの物性制御に効果的であることが明らかとなった。
  • 猪熊 泰英, 大須賀 篤弘
    セッションID: 1P049
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    ピロール環3つがメチン炭素架橋を介して縮合したサブポルフィリンは14π系の芳香環を有しながらもボウル型に曲がった共役面を持つ化合物である。サブポルフィリンのメゾ位に種々のアリール置換基を導入し、その構造及び物性を調べた。サブポルフィリンはメゾ位周りの立体的な混み合いが小さく、メゾ-アリール基がサブポルフィリン面との二面角を小さく保てることから、そのπ共役系を介した相互作用が大きい。この性質を利用して、メゾ位に様々なπ共役分子を導入することでサブポルフィリンの吸収波長、蛍光量子収率などを広い範囲で制御することに成功した。
  • 田中 隆行, 中村 泰之, 荒谷 直樹, So Young Jang, Jong Min Lim, Kil Suk Kim, Dongho ...
    セッションID: 1P050
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    ポルフィリンテープは剛直な平面構造を有し、非常に大きなπ共役構造を持つため、赤外領域にまで吸収を示すといった興味深い分光学的性質を有している。最近、当研究室において、このポルフィリンテープ3量体、4量体が非常に大きな二光子吸収断面積を示すことを明らかにし、π共役構造の伸張が二光子吸収断面積を高める要因であることが示唆された。そこで、直線型ポルフィリンテープに限らず、二次元構造を有するポルフィリンテープの二光子吸収測定を行うため、鈴木宮浦クロスカップリング反応を用いて、L型3量体、T型4量体を合成した。その結果、直線型のポルフィリンテープの方が大きな二光子吸収を示すことを明らかにし、単一方向へのπ共役構造の伸張が、効果的に二光子吸収特性を高めることを明らかにした。
  • 徳地 澄人, 忍久保 洋, 大須賀 篤弘
    セッションID: 1P051
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
     縮環によるポルフィリンの共役系の拡張はその光学的特性および電気的特性の変化が期待でき興味深い。当研究室では、パラジウム触媒を用いてmeso-ブロモポルフィリンからデヒドロパープリンを合成することに成功し、さらにその酸化的開裂により3,5-ジベンゾイルポルフィリンが生成することを既に報告した。今回その3,5-ジベンゾイルポルフィリンを酢酸アンモニウムと反応させることにより、ピリジンを縮環したポルフィリンを合成することに成功した。この化合物は外骨格に窒素原子とカルボニル基を有する。そのX線結晶構造解析により判明した構造及び光物性を報告する。
  • 廣戸 聡, 久木 一郎, 忍久保 洋, 大須賀 篤弘
    セッションID: 1P052
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    我々の研究室ではIr触媒を用いた直接ホウ素化を介してポルフィリンの2,18位に様々な置換基を導入することにより新規な機能を持ったポルフィリン誘導体の合成および物性を報告している。今回2,18位にヒドロキシ基を有したポルフィリンの合成を行い、その物性および反応性について調べたので報告したい。ジヒドロキシポルフィリンは溶媒によってケトーエノール互変異性を示すことがわかった。また、そのエノール型の構造において水素結合による二量体を形成することをNMRより明らかにした。さらにDDQで酸化することによって単一の生成物が得られることが分かった。この生成物についてNMRおよびX線結晶構造解析により同定を行ったので併せて報告したい。
  • 英 翔, 小島 隆彦, 大久保 敬, 城 始勇, 福住 俊一
    セッションID: 1P053
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    ポルフィリンのメソ位を二電子還元したポルフォジメテンは、一般的にジピロメタンの縮合反応や、アルキルリチウムを用いたポルフィリンのアルキル化などにより合成される。本研究では、温和な還元剤を用いた、ポルフィリンの選択的な還元反応によるポルフォジメテンの合成に初めて成功した。本発表ではフェニル基を12個修飾した、ドデカフェニルポルフォジメテンの合成、キャラクタリゼーションを行い、その結晶構造を明らかにした。また、電気化学測定を行い、可逆な一電子酸化及び一電子還元波が観測された。さらにそのラジカルカチオン、ラジカルアニオンの吸収スペクトル、ESRスペクトル測定を行うことにより、その電子状態を明らかにした。
  • 本多 立彦, 大久保 敬, 小島 隆彦, 城 始勇, 楠川 隆博, 福田 貴光, 小林 長夫, 福住 俊一
    セッションID: 1P054
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    サドル型に歪んだドデカフェニルポルフィリンはジプロトン化体を安定に単離することができる。このジプロトン化体は高い還元電位をもち、電子受容体として機能する。同様に亜鉛オクタフェニルフタロシアニンもサドル型歪みを呈し、平面性フタロシアニン錯体より溶解度が高く、また酸化電位が低くなる。この2つの分子を用い、4-ピリジンカルボン酸を架橋子とすることで前例のないポルフィリンーフタロシアニン複合超分子を合成し、その構造を単結晶X線構造解析より明らかにした。この超分子は溶液中でも構造を保持する。また、フェムト秒過渡吸収スペクトル測定により、超分子内で光誘起電子移動が起こることがわかった。
  • 岩田 亮介, 大久保 敬, 福住 俊一
    セッションID: 1P055
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    9,10-ジメチルアントラセンのアセトニトリル溶液に一電子酸化剤である [Fe(bpy)3]3+(bpy = 2,2'-bipyridine)を添加すると、近赤外領域にπダイマ ーラジカルカチオンに由来する幅広い吸収帯が観測された。またさらに大きな π系を有する亜鉛フタロシアニン誘導体についても同様に一電子酸化すると、 アントラセンの場合よりも短波長側に幅広い吸収帯が観測された。一方、9-シアノアントラセンの[Ru(bpy)3]3+による電子移動酸化反応速度を追跡すると、得 られた擬一次速度定数はアントラセンの濃度に二次の依存性があることが分かった。これはダイマー生成によって自己触媒的に電子移動酸化が起こったため である。
  • 川島 知憲, 大久保 敬, 諸岡 良彦, 福住 俊一
    セッションID: 1P056
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    室温下、アセトニトリル溶液中で、カテコールアミン類の神経伝達物質(エピネフリン、ノルエピネフリン、L-ドーパ、ドーパミン)によるガルビノキシルラジカル消去反応に金属イオンの一つであるマグネシウムイオンを添加すると、ドーパミンによるラジカル消去反応は顕著に加速した。また、神経伝達物質が、NADHの光照射によって発生するヒドロキシルラジカルによるDNA切断反応を効率よく阻害することがわかった。この阻害反応にマグネシウムイオンを加えると、ドーパミンがより効率よくヒドロキシルラジカルを消去して、DNA切断反応を強く阻害することがわかった。
  • 水島 健太郎, 岩田 亮介, 大久保 敬, 相馬 和憲, 山本 康生, 鈴木 信夫, 福住 俊一
    セッションID: 1P057
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    9-メシチル-10メチルアクリジニウムイオンに光照射することによって生成する電荷分離状態は、高い酸化力•還元力を併せ持つことが分かっている。本研究では、アクリジニウムイオンをベースとして種々の電子ドナー性置換基を置換することにより、その酸化還元電位を制御した。これを光触媒として用い、芳香族炭化水素の光酸素化反応について検討した。その結果、得られた各電子ドナー性置換アクリジニウムイオンの光触媒能には明確な差異が見出され、高効率酸素化反応を行う上での指針を設計することが出来た。更に、この指針をもとに最終的な最適光触媒反応条件についても検討した。
  • 村上 元信, 大久保 敬, 相馬 和憲, 鈴木 信夫, 福住 俊一
    セッションID: 1P058
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    光耐性に優れたクマリン系色素の6位を種々の芳香族アミンで置換したドナー・アクセプター連結分子を合成し、その光ダイナミクスの検討を行った。ベンゾニトリル溶液中で、ナノ秒レーザー照射すると、クマリンラジカルアニオンとドナー分子のラジカルカチオンの吸収帯が重なった過渡吸収スペクトルが観測された。ジフェニルアミン-クマリン連結分子では、電荷分離状態が室温で20ミリ秒の寿命を有していることが分かった。またDPA-CMをポリメチルメタクリレート中に分散させ、ESRを測定したところ、その寿命は298 K において26分という驚異的な寿命を有することがわかった。
  • 川口 美和, 岡田 享子, 平川 奈保子, 伊佐 公男, 前川 哲也, 山岡 寛史
    セッションID: 1P059
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    電子イオン化により生じる分子イオンやフラグメントイオンをプリカーサーイオンに選択し、その単分子イオン分解を4セクタータンデム質量分析計の第3自由空間でのメタステーブル分解時間軸の構造と反応性について検討した。N-(オメガ-フェニルアシル)シクロアルカン-2-オン骨格のアミド結合開裂に際しての(多重)水素転位を見出してきたが、今回は、転位水素供給部位のアシル鎖長(スペーサ)の役割に注目して、3-フェニルプロピオニル系で見られた異常なフラグメントイオンについて様々なラクタム類と比較し報告する。
  • 清水 彰則, 森 直, 楊 成, 福原 学, 井上 佳久, 山田 眞二
    セッションID: 1P060
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    カチオン‐π相互作用は弱い分子間相互作用の一つであり、分子構造や反応性を規定する重要な因子として知られている。本研究では、ニコチン酸アミド誘導体 1、および分子内カチオン‐π相互作用を有する分子2に着目し、理論円二色(CD)スペクトルと実測のスペクトルを比較した。Boltzmann分布に基づくポピュレーションを加重平均した理論CDスペクトルは、溶液中での実測値をよく再現でき、 溶液中ではX線構造のみが重要ではなく複数のコンフォマーが重要である事が明らかとなった。カチオン‐π相互作用の有無による溶液中での構造の差異を検証 し、その作用が構造およびキロプティカル特性に与える影響について検討したの で報告する。
  • 三浦 穣史, 森田 昇, 伊藤 繁和, 吉藤 正明, Arduengo Anthony J
    セッションID: 1P061
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    我々は高い安定性を示すリン複素環ビラジカルである、1,3-ジホスファシクロブタン-2,4-ジイルの汎用的合成法を確立している。本研究ではこの合成法に基づいたビラジカルユニットの集積化と、その物性解明を検討している。ホスファアルキン[Mes*C≡P] (Mes*=2,4,6-tBu3C6H2)と0.5 当量のt-ブチルリチウムから環状アニオン調製し、これに各種求電子剤と作用させることで、分子内にビラジカルユニットを2つ、または3つ導入したマルチビラジカルを、室温、空気中で安定な固体として合成することに成功した。得られたマルチビラジカルの酸化還元電位を測定したところ、ビラジカルユニット数に対応した数の酸化電位が観測された。また紫外可視吸収スペクトルを測定し、ビラジカルユニット数の増加に伴う吸収極大の長波長シフトが観測され、共役構造を経由しないビラジカルユニット間の分子内相互作用に起因すると考えられる興味深い性質が明らかとなった。
  • 陳 ナリ, 御前 智則, 林 春英, 永井 隆雄, 奥山 格, 杉村 高志
    セッションID: 1P062
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/18
    会議録・要旨集 フリー
    分子内に水酸基を有するジアゾ化合物にロジウム触媒を作用させたロジウムカルベノイドは、水酸基の位置が特定の位置にある場合、金属(リガンド)部分と相互作用し、カルベノイド炭素の求核攻撃の位置および立体化学が制御可能であることを見いだした。今回は分子内ブックナー反応と分子間X-H挿入反応の2つの系を中心に検討した。水酸基による配向反応が可能となる条件の検討、相互作用を利用した新しい選択的な反応の開発、反応活性種の構造解析、などに関して発表を行う。
feedback
Top