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ハキム シディキ, 杉村 高志
セッションID: 1P063
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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光学活性2,4-ペンタンジオールを2つのアリルオキシ基のキラル架橋に用い、グラブス触媒を加えてメタセシスを行うと、環化2量体が高収率で得られた。アリルオキシ基を種々変更したが、いずれも分子内環化体は得られず、18~26員環が高収率で得られた。そこで、架橋部を大きくすることにより分子内環化反応を行った。架橋部の構造と環化効率、立体選択性には厳密な関連があり、最適化を行った。最高収率は95_%_以上で、Z選択性も75_%_から95_%_以上まで得られた。ジアステレオ選択性に関しても報告する。
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宮田 和志, 三浦 弘貴, 藤田 守文, 杉村 高志
セッションID: 1P064
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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乳酸を不斉源として組み込んだアリール基を有する超原子価ヨウ素化合物合成して、アシロキシ転位を経由するエナンチオ選択的なオキシ環化付加反応を、報告した。今回、スチレン誘導体を反応基質に用いて不斉酸化反応を行った。その結果、従来よりも高い選択性で反応が進行することを見出した。
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大久保 祐弥, 諏沢 宏, 藤田 守文, 杉村 高志
セッションID: 1P065
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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ヨードシルベンゼンと4-アシロキシブテンの反応において、アシロキシ基の隣接基効果によって1,3-ジオキサニルカチオン中間体を経由して、テトラヒドロフラン環が形成される。反応基質の4位に置換基を導入した場合、置換基の立体および電子的な効果によって、テトラヒドロフラン生成物のトランス/シス比を制御することができた。
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斉藤 浩太, 浅原 時泰, 大島 巧
セッションID: 1P066
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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各種置換ジアリールホモキノンエポキシドの酸触媒骨格転移反応を行った。この反応によりエポキシドの開裂を伴った
endo-アリール基の渡環環化による多環状ジケトンを得た。オルト位で渡環した生成物のほかに、イプソ位で渡環した生成物も得られた。また、反応の置換基効果に対する速度論的考察も行った。これらの結果より、遠隔πアリール基関与が示唆されるエポキシドの開裂の反応機構が考えられる。
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Badal Md.M. Rahman, 三島 正章, Allen Annette D., Tidwell Thomas T.
セッションID: 1P067
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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アセトニトリル中のジアゾアセチルピラジンおよびジアゾアセチルピリミジンへの光照射(266 nm)は対応するケテンと安定なイリドを生成した。ブチルアミン存在下のピラジルケテンは5.6 x108 M-1s-1の速度で減衰し、1674 cm-1 に吸収がある中間体が同じ速度で生成した。この中間体はアミン濃度に関係なく非常に低い(減衰速度:1e+2 s-1)反応性を有することが見いだされた。一方、ジエチルアミンの存在下で生成した中間体(1674 cm-1)はジエチルアミンと8.3e+7 M-1s-1の2次反応速度で反応し、アミドへの変換が観測された。ジアゾアセチルピリミジンから得られたケテンも同じ結果を与えた。アミンの種類により中間体の反応性に大きな差異があることが見いだされた。
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佐藤 真, 山高 博
セッションID: 1P068
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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ケトキシムを酸で処理するとベックマン転位が起こるが、転位原子団がカチオンとして安定な場合は断片化を起こす。3-フェニル-2-プロパノンオキシムを用いた理論計算によると、転位と断片化両方の反応において共通の遷移状態を経ることが示唆された。それぞれの置換基に対する遷移状態からab initio分子動力学計算を行った結果、遷移状態を経由した後に反応経路が分岐することを見出した。またこの分岐は、ポテンシャルエネルギー平面上におけるポテンシャルの山が原因であると結論された。
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香取 哲次, 山高 博
セッションID: 1P069
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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シュミット反応は,置換基の構造によって転位だけでなく断片化反応も起こると予想される。本研究では,生成物の切り替わりがどのようにして生じるのかを明らかにするために,置換ベンジルメチルケトンのシュミット反応の経路をMOならびにMD計算によって解析した。MO計算では,置換基が電子供与性になるにつれて転位から断片化へと単一のTSを経て機構が変化した。転位と断片化の境界付近の反応においては,共通のTSから二種類の生成物を与えることがMD計算によって明らかにされた。また,転位と断片化の割合は,置換基の電子的性質によって変化した。MO計算とMD計算の結果を比較し,本反応のメカニズムを総合的に検討する。
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伊藤 晋平, 山高 博
セッションID: 1P070
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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グラッブス解裂の一種である3-クロロ-2-シアノ-2-フェニル-プロパノールアニオンの単分子解裂反応を分子軌道計算、および分子動力学計算から検討した。分子動力学計算により、フェニル基に電子求引性置換基を導入することで、その反応機構がE2からE1cB機構へと連続的に変動することを見出した。分子動力学計算によれば、反応機構は、IRC上を進行せず、C-C結合開裂に比較しC-Cl結合開裂のタイミングが遅延していた。さらに4-ニトロ基では、E2とE1cB機構と異なる機構にて進むトラジェクトリーが得られ、境界領域にての反応機構が一元的でないことを示唆している。
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森 一樹, 橋本 周, 榊原 和久
セッションID: 1P071
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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ジエチルメチルアミン(DEMA)とトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、もしくはビストリフルオロメタンスルホニルイミド(HTFSI)で構成されるプロトン伝導性イオン液体分子のバルク状態での構造や、アンモニウムカチオン中のアルキル側鎖の動的挙動を、分子動力学計算(MD)計算と、NMR測定実験により検討し、プロトン伝導性や融点などの物性と、イオン液体分子の運動性について関連性を調査した。研究結果に基づき、無加湿中温型燃料電池用電解質としてイオン液体分子を応用する際の分子設計の指針に繋がる高いプロトン伝導性や低い融点を発現させるための構造化学的検討を行った。
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越智 紀章, 中尾 嘉秀, 佐藤 啓文, 俣野 善博, 今堀 博, 榊 茂好
セッションID: 1P072
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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カリックスフィリンパラジム(II)錯体
1は、ホスホールとチオフェンで置換されたポルフィリン環にPd(II)が取り込まれた興味深い錯体である。通常、Pd(II)錯体への酸化付加反応は困難であるが、
1ではHeck反応が進行することが示されており、
1への酸化付加反応が進行することが示唆されている。この理由として
1の特徴的な電子状態が関与していると考えられる。本研究では理論的研究により酸化付加反応と
1の電子状態の関係を明らかにした。
1へのPhBrの酸化付加が進行し遷移状態を経て生成系に到るにしたがい、カリックスフィリン配位子に局在化したHOMOから電子が減少し、生成系ではLUMOに変化してゆくことから、カリックスフィリン配位子は-2価から電荷的中性な状態に変化することが示された。この結果、
1はPd(II)錯体であるが、酸化付加反応が可能であることを明らかにした。
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石川 敦之, 中尾 嘉秀, 佐藤 啓文, 榊 茂好
セッションID: 1P073
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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近年、ルテニウムポルフィリン錯体に可視・紫外光を照射することで非常に位置・立体選択性の高いオレフィンのエポキシ化触媒反応が達成されるという実験が報告された。この反応では、光照射によりルテニウムポルフィリンのカチオンラジカル種が生成されるという機構が提案されている。本研究では、この反応過程を密度汎関数法及びCASSCF法により検討した。その結果、理論計算による吸収スペクトルはカチオンラジカル種の生成を支持する結果となった。また、オレフィンのエポキシ化過程において、ポルフィリン錯体はカルボラジカル遷移状態を経由することが明らかとなった。
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細谷 隆史, 中尾 嘉秀, 佐藤 啓文, 榊 茂好
セッションID: 1P074
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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無水糖生成反応はセルロースの熱分解における重要な反応のひとつであるが、その機構の詳細は明らかでない。本発表ではMethyl beta-D-glucosideをセルロースのモデル構造として採用し、主要な無水糖である1,6-anhydro-beta-D-glucopyranoseの生成機構を量子化学計算(MP4//B3LYP)により検討した。その結果、反応物の立体配座が
4C1から
1C4に段階的に変化した後、6位水酸基の1位炭素への分子内置換反応により生成物が得られる反応経路が示された。反応の活性障壁は52.5 kcal/molと計算され、セルロースの場合の実験値(~55 kcal/mol)とよく一致した。
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柳迫 淳毅, 信岡 かおる, 北岡 賢, 石川 雄一
セッションID: 1P075
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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電荷非局在型アニオンを有するイミダゾリウム型イオン液体を用いたDiels-Alder反応において、高い
endo選択性が導かれる。これはアニオン―カチオン間相互作用が低下し、イミダゾリウムカチオンのC
2水素とジエノフィルのカルボニル酸素が効果的に水素結合形成することによって、ルイス酸触媒的に反応が進行するためである。
今回はさらに、電荷非局在型イオン液体のルイス酸触媒的作用のその他の反応への効果について調査を行ったので、併せて報告する。
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藤田 尊生, 北岡 賢, 信岡 かおる, 村田 和彦, 水田 圭一郎, 笠原 泰祐, 石川 雄一
セッションID: 1P076
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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イオン液体は、室温付近で液体状態をとる塩である。難燃性、難揮発性、比較的高いイオン伝導性などの特徴を示すことから電解質としての応用が望まれている。しかし、イオン液体の粘性が高いため、高い伝導性が得られず、電解質としての応用がなかなか進展していない。そこで、我々は、電解質への応用を目的として低粘性のイオン液体を数種合成した。また、合成したイオン液体の粘性、イオン伝導性、融点の比較を行った。
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石橋 孝一, 津江 広人, 松井 一祐, 高橋 弘樹, 時田 智, 小野 浩平, 田村 類
セッションID: 1P077
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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我々は、新たなホスト分子の構築を目的として、カリックスアレーンのメチレン基をアミノ基に置換したアザカリックスアレーン類について検討をおこなっている。これまでに、NH架橋の環状六量体の単結晶が分子間水素結合のネットワークによって大きな空隙を有していることを見いだし、同結晶から溶媒分子を取り除いたアポホストが二酸化炭素を選択的に吸蔵することを報告してきた。今回、吸蔵量および選択性のさらなる向上を目指し、環サイズの異なる類縁体を合成し、その結晶構造と気体吸蔵挙動について検討をおこなった。本講演では、結晶構造と気体吸蔵能との関連性について報告する予定である。
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岩間 世界, 堀口 雅弘, 高橋 弘樹, 津江 広人, 田村 類
セッションID: 1P078
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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我々はこれまでに、ある一連のキラルグリセロール誘導体が再結晶により光学分割現象を示すことを見出し、この現象を「優先富化現象(Preferential Enrichment)」と名付けた 。今回、優先富化現象が、ラセミ化合物結晶であるアミノ酸についても適用可能か否かについて検討した。その結果、アミノ酸としてロイシンを用いて、わずかに鏡像体過剰率 (ee) をずらしてから水とエタノールの混合溶媒中から室温で再結晶したところ、過剰のエナンチオマーの母液中での富化(9~15% ee)と、析出結晶中での他方のエナンチオマーの富化(2~5%ee)が、再現性高く起こることが判明したので報告する。
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佐藤 惇司, 戸崎 広一, 小宮 成義, 直田 健
セッションID: 1P079
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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我々は環状2核錯体の回転平面の中心に金属を導入することにより、回転平面部位の柔軟性及び錯体部分における外部との相互作用を見出しC-C結合を軸にした分子内水車型回転が制御できることを初めて見出している。今回、光学活性酒石酸誘導体存在下syn-1から(+)-anti-1への異性化を最大47% eeで達成した。酒石酸誘導体の芳香族性置換基の共役系を拡大することで選択性の向上が見られた。また、本系では顕著な溶媒効果が得られCH2Cl2中とTHF中において21000倍の速度差を見出した。今回の不斉誘起を速度論的に解析した結果、光学活性酒石酸誘導体によるsyn体のキラルな配位面のエナンチオ面選択と両者のπ-スタッキングに基づくエントロピー支配型回転によって制御されていることが明らかとなった。
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尾形 和樹, 丹那 晃央, 禿 恵明, 稗田 将之, 高谷 光, 村橋 俊一, 直田 健
セッションID: 1P080
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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種々のホスフィン配位子を有する窒素結合型シアノカルバニオン錯体Ru
+Cp[NCCH
-SO
2Ph]L
1L
2 を合成し、触媒的マイケル付加反応の各素反応過程について速度論研究を行った。錯体
1 (L
1, L
2 = dppm) および
2 (L
1, L
2 = PPh
3) の反応速度を比較したところ炭素-炭素結合形成過程の速度には有為差は見られないが、触媒反応は錯体
1 がより大きな反応速度を示し、配位子の電子的、立体的特性がニトリル交換過程に大きな影響を与えることを明らかにした。
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高橋 永次, 高谷 光, 直田 健
セッションID: 1P081
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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ナフタレンジイミド (NDI) の両端にピロール-2-イミン (PI) をメチレンリンカーで連結した分子 PI-NDIの有機結晶は種々の有機溶媒蒸気の吸着に伴い、橙~赤紫色の可逆な色変化を示す。このベイポクロミズムのメカニズムについて粉末X線結晶構造解析を用いて詳細に検討した結果、この色変化はS字型分子構造の空孔への溶媒分子の吸着に伴う、分子内ドナーアクセプター相互作用の変化によって生じていることを明らかにした。
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鶴岡 弓子, 大山 洋介, 幅田 揚一
セッションID: 1P082
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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これまで我々はサイクレンをビルディングブロックとする超分子構造体の開発を目的として,サイクレン環の側鎖に付加的配位部位としてピリジンを導入したテトラアームドサイクレンを合成し,それらの金属錯体の構造について報告してきた.それらの中で,1-,7-位に4-ピリジルベンジル基を持つテトラアームドサイクレンが,銀と5:3(Ag:サイクレン)の三つ葉型の錯体を形成していることをX線結晶構造解析,1H NMRおよびCold-ESIマスを用いて明らかにした.本研究では,その三つ葉型錯体が分子内に空孔を持つことに着目し,その空孔内に1分子のベンゼンが取り込まれた超分子錯体を単離し,その構造について検討したので報告する.
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池田 茉莉, 小倉 絹子, 松浦 綾, 幅田 揚一
セッションID: 1P083
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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3-ピリジルメチル基または4-ピリジルメチル基を配位部位として持ち,不斉部位としてα-フェニルエチル基やα-ナフチルエチル基を導入した光学活性な第三級アミンを合成した.これらの配位子に種々の金属イオンを添加したところ,水銀トリフラートを添加したときのみCDスペクトルに大きな変化を与えた.とくに,α-ナフチルエチル基を不斉部位として持ち,4-ピリジルメチル基を配位部位として持つ配位子は,ナフチル部位に由来するコットン効果が大きく増加した.X線結晶構造ならびにCold-ESIスペクトル,UV-VISスペクトルの結果とあわせ,キラリティーを大きく変える構造変化について報告する.
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上田 泰弘, 伊藤 謙之介, 伊藤 芳雄, 川東 利男
セッションID: 1P084
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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ニコチン酸アミド誘導体(L)と塩化物イオン(Cl
-)がそれぞれトランス配位し電気的に中性である錯体[Pd(II)Cl
2L
2]が、Cl
-イオンやNO
3-イオンよりも、HSO
4-イオンに対して高い捕捉能を示すことをわれわれは以前報告している。アニオン捕捉能のさらなる向上を目指し、今回、アミド部位をチオアミド部位に変換したPd錯体を合成し、アニオン捕捉能を評価した。その結果、HSO
4-イオンに対する高い選択性は維持され、会合定数が向上することがわかった。
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前川 智夏, 田中 裕司, 津田 進, 寺尾 潤, 神戸 宣明
セッションID: 1P085
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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被覆共役分子は共役鎖が絶縁物により外部から隔離されることにより、導電特性・発光特性・化学的安定性・溶解性などが向上するため、有機エレクトロニクス材料としての応用が期待されている。本研究では、2つの完全メチル化シクロデキストリンが連結したゲスト分子の自己包接体と固定化された[1]ロタキサンとの水-メタノール混合溶媒中での薗頭カップリング反応により、被覆率の極めて高いロタキサンを高収率で得た。また、比較化合物を合成し、それらを用いて被覆効果について比較した。
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田中 裕司, 津田 進, 寺尾 潤, 神戸 宣明
セッションID: 1P086
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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本研究では、2つのメチル化シクロデキストリンが連結された共役モノマーにおいて、このモノマーの両端で2ヶ所同時に自己包接することによりhost/guset=2/1の分子内包接体が生成することを利用し、この擬ロタキサンモノマーを重合させることにより高被覆、高溶解性被覆共役ポリマーを合成する手法を開発した。本手法により得られたポリマーは1.シクロデキストリンの包接位置・配向が一義的に決定でき、2.メチル化シクロデキストリンに包接されているため、THF・酢酸エチル・クロロホルムなどの各種有機溶媒に対しての溶解性が高く、3.極めて高い被覆率を有し、4.ポリマーの直線性も向上することから、分子デバイスにおける有機配線材料、有機EL・PL材料としての応用が期待される。
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内村 真, 小西 玄一, 渡辺 順次
セッションID: 1P087
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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1,4-bis(biphenyl-4-yl)buta-1,3-diyne骨格をメソゲン部位にもつ新規液晶分子(BDPD
A-OCx)を合成し、その液晶挙動について考察した。1,4-bis(biphenyl-4-yl)buta-1,3-
diyne骨格は結晶状態において分子のねじれた特徴的な分子形態をとり、この分子形態が影響していると考えられる液晶相が形成された。特にBDPDA-OC6では低分子液晶では珍しいサイボタクチックN相が観察された。1,4-bis(biphenyl-4-yl)buta-1,3-diyne骨格の影響が強く現れるのは棒状分子としては今までにないほど長いメソゲン部位の影響が大きいためと考えられる。
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鈴木 咲子, 中薗 和子, 高田 十志和
セッションID: 1P088
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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3級アンモニウム塩を軸成分上に有するクラウンエーテル型ロタキサンは、アンモニウム塩の中和と生成するアミンの再プロトン化により輪成分の局在位置を可逆的に制御できることから、pH応答性の分子素子としての応用が期待できる。今回、2級アンモニウム塩型ロタキサンと、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを反応させると還元的アルキル化が進行し、窒素上にエチル基が導入された3級アミン型ロタキサンが高収率で得られることを見出した。他のアルキル基の導入およびこれらの新規3級アミン型ロタキサン及びその3級アンモニウム塩型ロタキサンの溶液中における構造についても検討した結果について報告する。
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石割 文崇, 深沢 啓一郎, 佐藤 敬, 小山 靖人, 高田 十志和
セッションID: 1P089
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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軸末端に水酸基を持つ各種二級アンモニウム塩とビナフトール由来の軸不斉な環状エーテルから貫通型錯体を形成させ、エチニル部位を持つ安息香酸により錯体の水酸基をエステル化し、輪成分が軸不斉で軸末端にエチニル基を有するロタキサン型モノマーを得た。モノマーをRh触媒により重合し対応するポリアセチレンを得た後、無水酢酸により二級アンモニウム塩部位のアセチル化を行った。アセチル化前後のポリマーの構造をIR、ラマン、UV、CDスペクトルなどにより検討した。特に、CDスペクトルにおいてアセチル化前には測されなかったポリアセチレンの主鎖領域の480nm付近のCotton効果観が、アセチル化後には観測されるという興味深い結果を得た。
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信国 浩文, 谷 文都, 島崎 優一, 成田 吉徳, 大久保 敬, 中西 達昭, 小島 隆彦, 福住 俊一, 関 修平
セッションID: 1P090
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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これまで我々は、ブタジイン骨格で連結された環状ポルフィリン二量体にピリジル基を導入し、自己集合を利用した新たなポルフィリンナノチューブの構築に成功している。X線結晶構造解析により、このチューブはピリジル基のNとポルフィリンのベータ位のC-Hとの水素結合、ピリジル基間のπ―πスタッキングの二種類の弱い相互作用により形成されていた。また、この環状分子は溶液中でC60を包接し、C60共存下の結晶中でも同様のチューブ状集合体を形成しており、C60はそのチューブの中で一次元に配列されていた。これはX線結晶構造解析に初めて成功した「超分子ピーポッド」である。今回、その超分子ピーポッドについて光・電子物性について検討したので報告する。
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田福 伸次, 岩本 啓, 灰野 岳晴
セッションID: 1P091
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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オレフィンメタセシス反応を利用して[5]カテナンの合成を検討した。会合部位を二つもつクラウンエーテルに末端オレフィンを二つもつ二級アンモニウム塩を作用させ希釈条件下で閉環メタセシス反応を行い[2]カテナンを合成した。得られた[2]カテナンに再び二級アンモニウム塩を作用させ高濃度条件でオレフィンメタセシス反応を行ったところ質量分析で[5]カテナンの生成を確認した。
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齋藤 博史, 田中 正洋, 灰野 岳晴
セッションID: 1P092
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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オキシエチレン鎖を導入したトリスフェニルイソオキサゾイルベンゼン誘導体の自己集合挙動を検討した。NMRの濃度希釈実験から溶液中で分子同士がスタックして一次元の集積構造を形成していることが示唆された。また、種々の有機溶媒に対してゲル化能の検討をしたところ、1-ブタノールや1-ヘキサノールなどの直鎖アルコールをゲル化することが分かった。これらのゲルを電子顕微鏡で観察したところゲル特有の網目状ネットワークを形成していた。
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平井 恵梨, 灰野 岳晴
セッションID: 1P093
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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我々の研究室では、カリックス[5]アレーンがフラーレンを選択的に強く包接することを報告している。今回私はカリックス[5]アレーンとフラーレンのホスト-ゲスト相互作用をポリマーの架橋に利用しようと考えた。フラーレンを側鎖にもつポリマーを、フェニルアセチレン誘導体とフラーレンを有するフェニルアセチレン誘導体の重合反応により合成した。このポリマーにカリックス[5]アレーンを両端にもつホストを加えサイズ排除クロマトグラフィーの測定を行ったところ、分子量の増加が観測できた。このことから、ポリマーがカリックス[5]アレーンとフラーレンの包接により架橋されたことが分かった。
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灰野 岳晴, 坂元 克司, 岩本 啓
セッションID: 1P094
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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テトラキスカリックス[5]アレーンとダンベル型フラーレンによって得られる超分子ポリマーの溶液状態、固体状態の詳細な会合挙動について検討した。溶液中両者は1:1の会合を形成するが、この1:1会合体は濃度の上昇に伴い会合度が上昇することが蛍光スペクトルの変化より明らかになった。両者の1:1混合溶液を用いて電子顕微鏡観察を行ったところ、超分子フラーレンポリマーが形成されることが明らかとなった。また両者の等量比を変えると、フラーレンポリマーの形態を制御すること出来ることが分かった。
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岩本 啓, 西 沙織, 灰野 岳晴
セッションID: 1P095
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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ポルフィリンをカリックス[4]アレーンでキャップしたホスト分子を合成した。このホスト分子は金属ポルフィリンの配位結合、およびカリックスアレーンのCH-π相互作用、van der Waals相互作用などを駆動力に、ポルフィリンとカリックスアレーンから形成される空孔内にゲスト分子としてピリジンを包接した。一方パラ置換ピリジンは,パラ位の立体障害のため空孔内に包接されないだけでなく、カッリクスアレンで覆われていない側からも配位しないことが明らかとなった。このホスト分子は、ピリジンに対してパラ位の置換基の違いを厳密に認識する配位部位を提供することが明らかになった。
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栢森 史浩, 村山 大輔, 阿部 肇, 井上 将彦
セッションID: 1P096
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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当研究室で開発を行っているエチニルピリジンポリマーおよびオリゴマーは、糖を認識してキラルならせん型錯体を形成する。しかし、従来のポリマーやオリゴマーでは錯形成のために大過剰の糖を外から加える必要があった。そこで、より効率的ならせん構造の形成を目的に、分子内に糖を連結したオリゴマーを合成した。スペーサーにはアルキレン基あるいはフェニレン基を用い、スペーサーの片方の末端に糖を、もう片方へはオリゴマーを連結した。糖連結オリゴマーは非常に強いCDを与え、効率よくらせん構造を形成することが分かった。
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高嶋 俊輔, 阿部 肇, 井上 将彦
セッションID: 1P097
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
会議録・要旨集
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当研究室では、ピリジン環をアセチレン結合を介して連ねた骨格により多点水素結合で糖を認識する人工ポリマーについて、数々の研究を行ってきた。
今回、側鎖にクラウンエーテルを導入した人工ポリマーを開発した。合成はシトラジン酸を出発原料として用い、2,6-ジブロモ体へと変換後、1-アザ-24-クラウン-8を4位に導入し、薗頭反応と脱保護を繰り返すことによって行った。化合物の同定はNMRを用い、ポリマーの分子量はGPCにより算出した。ポリマーの糖認識能の評価は円二色性スペクトルを用いて行った。その結果、今回合成したポリマーは、ポリカチオンの添加により糖認識能が増大するアロステリズムを示すことが確認された。
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小川 智, 井上 さゆり, 嶋田 和明, 村岡 宏樹
セッションID: 1P098
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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我々は有機薄膜トランジスタ(OTFT)への応用を念頭に、有機半導体と絶縁体間でのキャリア注入を制御するために、絶縁体表面に電荷移動ユニットを組み込んだ自己組織化単分子膜(SAMs)の作製を試み、その膜構造に関する評価を行なってきた。本研究では、標的分子にドナー性の高い電荷移動能を有するTTF化合物を選定した。TTF骨格にエチレンジオキシ基を導入することで、より高いドナー性を有するEDO-TTFCnSi(n=3, 8)を合成し、その電気化学特性をCV法により評価した。また、そのSAMsを作製し、XPS、接触角測定による膜構造の評価を行なった。
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工藤 まゆみ, 佐藤 香織, 花島 貴幸, 片桐 幸輔, 東屋 功, 近藤 敏啓, 影近 弘之, 棚谷 綾
セッションID: 1P099
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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当研究室では、芳香族ウレア類がウレア基窒素の
N,N'-ジメチル化によって、その立体構造が
transから
cisへと転換することを見出している。この立体特性を利用して、複数のベンゼン環を
cis型ウレアで連結すると、分子内芳香環多層構造を構築することができる。また、このとき、ベンゼン環をメタ位で連結すると、すべての軸不斉が一方にそろったらせん状の構造となる。
本研究は、5段ウレアにおけるらせん構造の動的立体挙動について、UV及びCDスペクトルを用いて解析し、ウレア基窒素上に
S配置の不斉炭素を含むTEG基をもつ5段ウレアがall-
Rのらせん構造を有していると結論した。更に、その電気的物性の解明を目指し、末端にチオール基を導入した2段及び3段ウレアを金基板上に並べ、吸着単分子膜の作製を行った。
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松村 実生, 村中 厚哉, 内山 真伸, 桝 飛雄真, 東屋 功, 影近 弘之, 棚谷 綾
セッションID: 1P100
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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本研究では、当研究室で見出した
N-メチル化による
cis型優先性という芳香族アミド類の立体特性をポルフィリン類に展開することで、立体を制御した新たな機能性分子の創製を目指す。具体的にはアミド基やウレア基をリンカーとした、ポルフィリンダイマー、及びポルフィリン環-ベンゼン環のハイブリッドアミド化合物・ウレア化合物を合成し、その溶液中及び、結晶中の立体構造を解析した。
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赤松 直樹, 北村 千寿, 川瀬 毅, 小林 隆史, 内藤 裕義
セッションID: 2P001
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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固体物性において分子の配列は分子自体の性質のみならず重要な位置を占めている。有機半導体の分野においては共役部位のオーバーラップが移動度の向上のために重要とされているが、オーバーラップを導くための分子設計はあまりなく運まかせの状況になっている。我々は以前分子長軸報告に分極を有するアントラセンを合成したところX線結晶構造解析からアンチパラレルスタックをすることを見出した。この事実が一般性を持っているかを実験的に検証するためにいくつかの分子長軸方向に分極を持つオリゴアセンの合成を行った。本ポスターでX線結晶構造解析および固体の光物性について述べる予定である。
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佃 英樹, 北村 千寿, 川瀬 毅, 小林 隆史, 内藤 裕義
セッションID: 2P002
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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我々はこれまでに1,4,7,10位に同じアルキル基を有するテトラセンの合成を行い、アルキル基の長さによる分子構造、固体中での配列、固体状態の光物性の効果について調べてきた。分子の対称性の低下による効果を調べるために、今回1,4,7,10位に二種類のアルキル基を持つテトラセンおよび1,7位または1,10位にアルキル基を持つテトラセンの合成を行った。それらのテトラセンの結晶構造と固体の光物性について報告する。
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三木 香, 松本 幸三, 根平 達夫, Pescitelli Gennaro, 平尾 泰一, 蔵田 浩之, 川瀬 毅, 久保 孝史
セッションID: 2P003
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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テトラアリールメタン骨格を有するキラル分子としてフェニル-(2-ピリジル)-(3-ピリジル)-(4-ピリジル)メタン
1および相当するトリス(ピリジン
N-オキシド)体
2を合成し、光学分割、CDスペクトル、時間依存密度汎関数法による絶対配置の決定を行った。分割した
1の一方のエナンチオマーを酸化して
2とし、CDスペクトルを測定することによって
1と
2の絶対配置の相対関係が計算結果と一致することを確認した。またフェニル基の代わりにピラジニル基あるいは2-ピリミジニル基を有するキラル分子
3,
4も合成し、光学分割、CDスペクトルの測定を行った。これらのキラル分子の金属イオンに対する性質についても報告する。
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大福 容子, 平尾 泰一, 松本 幸三, 蔵田 浩之, 川瀬 毅, 久保 孝史
セッションID: 2P004
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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先に我々はフェナレニル骨格を二つ有する分子が、一重項ビラジカル性の寄与によって結晶中において強い分子間相互作用を発現すること、その分子内と分子間の相互作用が共存し、一次元鎖(固体)全体に電子が非局在化するような電子構造が発現することを明らかとした。このような系として我々は、二つのフェナレニルをアセチレンを用いて架橋した1,2-bis(phenalenyl-1-ylidene)butatriene (BPLB)を新規に設計・合成した。得られたBPLBは光吸収スペクトルから670 nmに吸収を有することが明らかになった。今回は、BPLBの合成と物性について発表する。
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小西 彬仁, 川瀬 毅, 平尾 泰一, 松本 幸三, 蔵田 浩之, 久保 孝史
セッションID: 2P005
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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4nπ 電子系であるジベンゾペンタレンは、高い電子授受能力を持つことから、機能性色素としての応用が期待される。最近、我々は、2-ブロモエチニルベンゼン誘導体とNi (0) 錯体との反応によって、種々のジベンゾペンタレン誘導体が得られる条件を見出した。また、反応の中間体と思われるNi-アリール錯体の単離・構造決定にも成功した。推定される反応機構と得られた新規ジベンゾペンタレン誘導体の性質について報告する。
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増子 達也, 西田 純一, 山下 敬郎
セッションID: 2P006
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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分子内にドナー部とアクセプター部は有するドナー-アクセプター型化合物は高度に分極し、小さなHOMO-LUMOギャップを有することなどの特徴がある。この特徴を活かして、半導体や非線形光学材料、色素増感太陽電池の色素などの機能性色素への応用が期待され広く研究されている。
テトラシアノエチレン(TCNE)とドナー性アセチレンの[2+2]環化付加反応によるドナー-アクセプター化合物の研究が以前に報告されている。それに対して本研究ではTCNEのシアノ基をエステルに置換することで、ドナー-アクセプター化合物のLUMOの制御することを目指した。この新規なドナー・アクセプター化合物の合成と物性について報告する。
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藤原 裕次朗, 西田 純一, 山下 敬郎
セッションID: 2P007
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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有機材料を用いることで、低コスト・低温プロセス・大面積・フレキシブルな電子デバイスを作製する事ができる。本研究ではペンタセンのようなアセン類をπ電子コアとし、π電子コアと直交するような芳香環置換基をもつ分子を設計した。これにより分子間での消光が抑制され、高い量子収率での蛍光発光が期待される。また、アセン類と芳香環置換基のどちらも高いπスタッキング能が期待され、1次元だけでなく2次元的な電荷輸送が可能となる。以上のことから、直交する芳香環を置換基としたアセン誘導体を合成し、物性測定を行い、高効率発光特性・高移動度をもつp型有機半導体を目指した。
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儘田 正史, 西田 純一, 時任 静士, 山下 敬郎
セッションID: 2P008
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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活性層に有機半導体を用いた有機電界効果トランジスタ(OFET)は、軽量、安価、フレキシブル等、従来のシリコンFETにはない特徴を備えているため、次世代のディスプレイ駆動回路として大いに期待されている。高性能な有機FETを達成するために、新規な有機半導体材料の創出が重要である。我々はこれまでに、高性能な有機半導体材料として、チアゾロチアゾール環を有する化合物を報告してきた。そこで、分子間相互作用の変化などを目的とし、そのπ系を拡張したベンゾビスチアゾール骨格に着目し、開発したので報告する。
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久我 保正, 長谷川 憲吾, 渡邉 兼一郎, 西田 純一, 時任 静士, 山下 敬郎
セッションID: 2P009
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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近年、イリジウムや白金といった重金属を含むリン光発光錯体が、高効率を示す有機EL材料として注目を集めている。特に2-phenylpyridine骨格の配位子をもつ錯体は高効率であることが知られており広く研究されている。その一方で、新しい共役系の配位子をもつ錯体はまだあまり報告されていないため、研究の余地がある。
本研究では2-vinylpiridine誘導体を配位子として用い、その置換基を変化させることで置換基の効果と物性の変化の関係を検討した。
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中垣 武, 加藤 真一郎, 新名主 輝男
セッションID: 2P010
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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二つのピロメリット酸ジイミドをナフタレン誘導体によって架橋したマクロサイクル型ホスト分子の合成、物性評価を行った。マクロサイクルの内部空孔はベンゼン誘導体を包接するのに最適なサイズであり、π-ドナー性ベンゼン誘導体に対し包接能を有していることが判明した。また、マクロサイクル型にすることで、ピロメリット酸ジイミド単体には無いゲストの選択性が生じることも判明した。メトキシベンゼン誘導体に対する会合定数は、メトキシ基の数や位置に依存しており、これらは中性のベンゼン誘導体間の弱い相互作用にも関わらずメトキシ基の数と位置の差異を反映した結果といえる。
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渡辺 源規, 芝原 雅彦, 五島 健太, 新名主 輝男
セッションID: 2P011
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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今回、電子ドナーとして働くことが知られている多層[3.3]シクロファン(CP)に電子アクセプターとしてベンゾチアジアゾールをパラ位で積層型に構築した新規多層[3.3]CPを合成し、光及び電気化学物性を検討した。合成したCPの電子吸収スペクトル及び蛍光スペクトル及び電気化学測定を行った。電子吸収スペクトル及び蛍光スペクトルでは多層化にともない長波長シフトが見られ、電気化学測定では多層化にともないドナー性が増した。今後、ベンゼン以外のドナー分子を組み込んだCPを合成し、比較・検討を行う予定である。
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Halim Md.Ershad, Sangvikar Yogesh, 岩永 哲夫, 新名主 輝男
セッションID: 2P012
発行日: 2008年
公開日: 2009/05/18
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We have planned the synthetic strategy of molecular tubes with long and rigid cavities composed of 1,4-dibromopyromellitic diimide-based cyclophanes to use them as host molecules to accommodate guest molecules by charge transfer interactions. For this purpose, we want to design and synthesize [2+2] and [3+3] cyclophanes from 1,4-bis(aminomethyl)benzene derivatives and 1,4-dibromopyromellitic dianhydride for the construction of molecular tubes.Then introduction of ethynyl group to the bromo-substituted macrocycle by Sonogashira reaction and successive Glaser coupling may lead to the construction of tubular molecules. We want to report here these results.
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