産業全体の情報化に伴い、異なる企業間の物流活動を円滑化するために、受発注データの交換が行われるようになっている。その結果、物流活動を通じどのように情報が交換され、それらの情報がどのような特性を持っているかを明らかにしていく必要性も高くなってきている。
本研究では、物流過程を輸送・入庫・流通加工・出庫の4つのプロセスに分け、各プロセスで必要とされる情報項目を明らかにすると共に、プロセス相互に共通して必要な情報は何であるかを分析している。そのための指標として情報の共有度を定義し、どの物流過程にとっても必要性の高い情報 (情報共有度の高い情報) を抽出している。分析によれば、商品や荷受け人に係わる情報の共有度が高く、輸送に係わる情報の共有度が低いこと等が明らかになった。
また、分析対象である31の指標がどのような統合指標によって表せるのかを見るために主成分分析を行った。ここでは、物流活動全体にとって、重要な指標である因子 (総合情報共有度) と物流拠点としての機能にとって重要な因子 (拠点情報共有度) の2因子によって説明できることが示された。
次に31の指標について輸送・入庫・流通加工・出庫という物流過程別に情報共有度を計算し、クラスター分析による指標のグループ分けを行った。その結果、 (1) 全ての物流過程にとって重要な指標グループ (2) 入庫過程で重要と考えられる指標グループ (3) 輸送過程で重要とされる指標グループ (4) 輸送と出庫過程で重要な指標グループの4つに分けられることが示された。
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