操作的な活動は,数学的概念の連続的な形成,概念の拡張にとって,不可欠である。子どもたちは,操作活動を通して,素朴概念をもとに,継続的かつ正しい概念を拡張していくことができる。小学校低学年では,直接比較,間接比較,任意単位による測定,普遍単位による測定といった操作活動を取り入れ,長さの概念の形成を図っている。この順序によって,子どもたちは,測定の技能と共に概念を拡張することができる。しかし,小学校2年生の中には,ものさしの目もりの左端から1,2,3と数え,1cm多く答えるつまずきが見られる。本研究では,このような誤りの原因を,操作活動と概念的な理解の関連から明らかにし,指導への示唆を見い出すことを目的とする。多くの教科書では,任意単位のうち2タイプが採用されているのみである。1つは,対象となる長さに対してくり返しあてはめる単一の物体であり,もう1つは,方眼のように印刷されたものである。しかし,第3のタイプの任意単位はほとんど採用されていない。それは,大きさと形が等しい複数の物体を並べる操作である。これは,他の2つのタイプを橋渡しをし,連続量を分離量に転換して長さを表し,等間隔性が必要であるという概念をもつ。筆者は,連続量の概念に焦点化した方法を適用した。連続量としての概念的な理解を取り戻すために,与えられた長さを引く操作が有効である。測定だけでなく,構成的な活動によって,概念を拡張していくことができる。
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