患者の薬物治療において,医師からの処方(投与)情報は,薬剤師と看護師に伝達される.しかしながら,日本においては,内用剤と注射剤で処方様式が異なることから,医師からの処方情報が医師の意図どおりに薬剤師と看護師に伝達されない可能性が考えられた.そこで,内用剤と注射剤の処方例について,医師,看護師,薬剤師および各学部学生を対象に実際の投与量の理解度を調査した.同時に,処方に基づき投与する場合を想定して,注射剤の強度(成分含有量)の表示方法の違いによる投与量の計算のしやすさを比較した.
処方情報の理解度は職種・学部学生間で大きな差が認められ,特に注射剤においては,共通して理解度が低く,メディケーション・エラーを引き起こす可能性が高いことが明らかになった.また,強度表示方法では,共通して,職種・学部学生間で差が認められたが,共通して「mg/mL」表示に比べて「%」表示では正解率が1/2以下であった.
今回の調査結果は,処方記述様式の標準化と注射剤の強度表示方法の早急な改善の必要性を示唆している.
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