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藤井 健太朗, 村田 真悟
セッションID: 1B3-OS-41a-01
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
フリー
深層学習ベースのロボット制御手法によって,人のように実環境で様々な目標を達成できることが期待されている.そのためには,目標指向の行動に加え,環境の不確実性を下げる探索指向の行動も可能なロボットの実現が課題となる.人の脳の計算原理に基づき,目標・探索指向の行動を説明可能な深層能動的推論によってこの課題の解決が期待されるが,計算量が多い・性能が環境のダイナミクスを学習する世界モデルの表現力に依存するという問題がある.本研究ではこれらの問題を解決するため,実ロボット制御のための新た な深層能動的推論フレームワークを提案する.このフレームワーク は環境のダイナミクスを学習する世界モデル,行動を抽象化する行動モデル,そして抽象的な行動表現と世界モデルの隠れ状態の関係を学習する抽象世界モデルで構成される.また,世界モデルに時間的階層性を導入することで,モデルの表現力を向上させるとともに計算量を低減する.不確実性のある実環境で複数の物体を操作するロボット実験を通して,提案手法によって従来手法と比較して計算量を削減しながら,様々な目標を達成し,環境の不確実性を下げる探索も可能であることが示された.
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髙橋 大輝, 鈴木 雅大, 松尾 豊
セッションID: 1B3-OS-41a-02
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
フリー
本研究では, ロボット操作タスクにおけるマルチモーダルプロンプトの解析を行い, テキストと視覚入力の相互作用に注目した. VIMAベンチマークを用いて, モダリティ依存性や観測トークンの入力順序がタスク成功率に与える影響を評価した. その結果, 特定のモダリティや入力順序への過剰依存が明らかとなり, 堅牢なマルチモーダル学習を達成する上での重要な課題が示された. 本研究の知見は, ロボットタスクにおけるモデルの汎化性向上に貢献する.
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寺島 舞, 前山 功伊, ウリグエン エルフリ ペドロ ミゲル, ジア ユアンユアン, 谷口 忠大
セッションID: 1B3-OS-41a-03
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
フリー
本研究では,NewtonianVAEを用いて,6D姿勢を表現した潜在空間を学習し,6D制御を行うための手法を提案する.NewtonianVAEは世界モデルの一種であり,観測情報から環境のダイナミクスを潜在空間として学習し,その上で推定した位置をもとに比例制御を行う.NewtonianVAEにより,外部の座標系ではなく,内部で構築した環境のダイナミクスに基づく位置推定が可能である.従来研究では,NewtonianVAEを用いた並進制御が行われてきたが,回転を含む6D制御は行われてこなかった.そこで,本研究では,回転ベクトルを用いて潜在空間を拡張する6D Multi-View NewtonianVAE (6D-MNVAE) を提案した.実験では,6D-MNVAEを用いることで,潜在空間上での6D姿勢を推定し,目標姿勢に向けて6D制御できるか検証した.実験結果より,6D-MNVAEを用いることで,7mm及び0.02rad以下の制御精度で6D制御を実現できることを示した.本手法は,特徴量設計やアノテーションが不要であり,RGB画像情報のみから6D制御を行うことができる.
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野村 優太, 村田 真悟
セッションID: 1B3-OS-41a-04
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
フリー
多様な環境下でさまざまなタスクを行うことができる,汎用ロボットの実現が期待されている.模倣学習や強化学習は有効な手法だが,汎化性能とデータ効率にトレードオフがあり,高い汎化性能を得るためには大量のデータが必要となる.そこで本研究では,プレイデータと呼ばれる,人間が好奇心を満たすようにロボットを操作し収集するデータを導入する.プレイデータは環境の様々な状態を含むため汎化性能の高いエキスパートデータとなる一方で,プレイデータ外のタスクの実行には追加のデータ収集が必要になる.この問題に対し,世界モデルを用いてアプローチする.具体的には,世界モデル内におけるプレイデータの拡張とその学習に基づく行動生成フレームワークを提案する.プレイデータをもとに行動生成学習を行うことで,多様な目標状態への行動生成を可能にする.また,世界モデル内でロボットが自律的にデータを収集することで,実世界で動作させる時間的・人的コストを抑える.シミュレーション環境・実ロボット環境における実験の結果,提案手法によって世界モデル内で新規のデータ収集が可能なこと,汎化性能・データ効率が向上することが示された.
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山下 佳威, 鈴木 雅大, 松尾 豊
セッションID: 1B3-OS-41a-05
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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近年,マルチエージェント環境における強化学習の進展により,エージェントが相手の内部状態や戦略を推論するOpponent-Modelingの重要性が強調されている.近年の研究では、部分観測環境におけるOpponent-Modelingのために,実行時の相手の情報へのアクセスを制限したAutoEncoderベースの潜在表現が検討されている. 強化学習において,マルコフ決定過程では,方策や価値関数への入力となる状態は マルコフ性を満たし,将来の報酬を予測するための十分統計量である必要がある.しかし,部分観測環境における多くのOpponent-Modeling手法は,潜在表現が相手の情報を再構成することのみに注目し,その表現がマルコフ性や報酬予測性を保持することを保証していない. この課題を解決するために、本研究では他者だけでなく自己もモデリングする表現学習手法を提案する.本手法を実験により検証し,部分観測環境におけるOpponent-Modelingの性能向上に有効であることを示した.
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西本 遥裕, 松原 崇
セッションID: 1B4-OS-41b-01
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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深層強化学習エージェントはサンプル効率が著しく低く,実世界への応用が難しい.この問題に対して,世界モデルで生成した"想像"の中で学習するモデルベース強化学習手法が数多く提案されており,一定の成功を収めている.しかし,複数の物体が存在し,それらが相互作用する環境において,強化学習エージェントが世界モデルを獲得することは,依然として困難である.本研究では,TISA+ を提案する.これは,世界モデル,方策関数,価値関数の全てが物体中心表現を扱う Transformer である強化学習エージェント Transformer-based Imagination with Slot Attention (TISA) に修正を加えた手法である.世界モデルは背景を除いた各物体の状態,行動,報酬を個別に処理し,高次元の予測を効果的に行い,組み合わせ爆発を防ぐ. 方策関数および価値関数は,物体の性質に基づきトークン間の因果関係を予測することで,物体の性質をより正確に捉えた意思決定を可能する. Safety-GymベンチマークのタスクPointButton1において,TISA+ は既存手法の性能を上回った.
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飯山 燈, 鈴木 雅大, 松尾 豊
セッションID: 1B4-OS-41b-02
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
フリー
長期的な視野を必要とするタスクでは遠い将来まで正確に予測できる世界モデルが必要不可欠となる.時系列をサブ系列とよばれるまとまりへ分割し,そのまとまり間の時間的に抽象化された遷移を学習する階層状態空間モデルは,長期予測を可能にする手法として注目されている.しかし,サブ系列長に関する制約や観測の劇的な変化に依存して階層構造を決定する既存手法は,最適なサブ系列長が変動する場合や観測の変化が緩やかである場合に性能が低下する問題がある.本研究では,時系列中に存在する再利用性の高い頻出パターンに基づいた階層状態空間モデルの構築方法を提案する.提案手法は,潜在状態の予測誤差および不確実性を手がかりにして頻出パターンを抽出する.それらのパターンに対応する高レベルの潜在表現を獲得することで,遷移の複雑さが軽減され,効率的な長期予測が可能となる.実験では,提案手法が動画予測性能において従来手法を上回ることが示され,頻出パターンに基づいた階層構造が長期予測に有用であることが示唆された.
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横澤 理子, 藤井 健太朗, 野村 優太, 村田 真悟
セッションID: 1B4-OS-41b-03
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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自律移動ロボットには,周囲の状況を認識しながら効率的に目的地へ到達する能力が求められる.未知環境だけでなく既知環境においても,現在の観測のみから自己位置を特定できない場合,探索行動によって新たな観測を収集し,自己位置を正確に特定する必要がある.また,このような探索行動と目的地への到達を目指すようなナビゲーション行動の自律的な切り替えも重要である.本研究ではこれらの課題に対し,脳の計算原理に基づく能動的推論に深層学習を組み合わせた深層能動的推論を利用した統一的なフレームワークを提案する.提案フレームワークは,多様な行動系列を生成可能な方策モデルと未来の状態系列を予測可能な世界モデルで構成される.現在の観測を基に方策モデルが生成した複数の行動系列候補に対し,世界モデル内で状態遷移をシミュレーションし,各系列の期待自由エネルギーを計算する.そして,期待自由エネルギーが最小となる行動系列を実際の環境で実行する.ロボットの初期位置と観測の関係に不確実性が存在する実環境での実験により,提案フレームワークが探索行動を通じて環境の不確実性を低減しながら,自律的に目的地へ到達可能であることを示した.
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髙山 泰輔, 吉田 尚人, 谷口 忠大
セッションID: 1B4-OS-41b-04
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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人間は,言語や記号といったシグナルを共有し,活用することによって協調行動を実現する.本研究では,このプロセスをマルチエージェント強化学習の文脈で実現するため,集合的予測符号化の枠組みに基づいて世界モデルの理論を拡張した協調的マルチエージェント強化学習手法を提案する.また,部分観測的なMinecraft環境における敵の討伐タスクを対象に実験を行い,シグナル共有がエージェント間の協調を促進することを示す.本研究は集合的予測符号化の観点からすれば分散型学習によるシグナルの推論は実現できてはいないが,その拡張を含め,記号創発の構成論としてのマルチエージェント強化学習手法となることが期待される.
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中野 聡大, 鈴木 雅大, 松尾 豊
セッションID: 1B4-OS-41b-05
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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モデルベース強化学習はサンプル効率の良いエージェント学習手法として期待されている一方,学習したタスク以外の分布外(OOD)タスクへの汎化性能が低いことが知られている.これまでの研究では大規模のデータで学習された事前学習モデルの表現(PVR)を用いることでOODへの汎化性能向上が試されてきたが,一から表現学習を行う場合と比較して汎化性能が上回らないことが確認されている.本研究では,OOD環境において高い汎化性能を示すことが知られている物体中心表現を活用することで,OODへの汎化性能向上につながるかどうかを検証する.PVRから物体中心表現を獲得し,モデルベース強化学習に用いることで,物体中心表現を使わない場合と比較して,汎化性能とサンプル効率性がどのくらい向上するかを検証する.
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山口 慧, 松長 侑南, 池田 貴康, 鈴木 雅大, 松尾 豊
セッションID: 1B5-OS-41c-01
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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急速に進化するWebエージェントの分野において,本研究は広範な事前学習を必要としないタスク達成の新しいアプローチを探求する.既存のエージェントが抱える課題として画像認識を伴うタスク自動化があげられる.しかしながら画像認識性能と事前学習を要しないアプローチは現状,相性が悪いと考えられ,本研究では画像認識を行わずにLLMに対してメタプロンプトを用いて複数のエキスパート手法を戦略的に統合し,より高度な環境の分析を実現することで性能改善を図ることとする.評価については,まずMiniWoB++について評価を行う.また,既存のエージェントと本アプローチを比較し,タスクの成功率を評価する.本研究の成果は,タスク完遂率向上のためのLLMを利用したメタプロンプトの統合可能性について洞察を提供し,既存のエージェントが依存する広範なデータ収集や学習の必要性を低減する可能性を示唆する.
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高円 悠聖, 藤間 裕史, 武田 康宏, 河野 慎, 松尾 豊
セッションID: 1B5-OS-41c-02
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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近年、テキストなどのオフラインデータを活用した世界モデルの事前学習が、タスク学習の効率向上に大きく寄与することが示されている。特に、Dynalangでは、タスク指示や環境のダイナミクスといった情報を活用することで、性能向上やサンプル効率の改善に成功しているが、この手法はMessengerタスクに限定して適用されており、他のタスク環境での有効性や、事前学習に使用するテキストの種類や質が性能に与える影響については十分な検討が行われていない。 本研究では、より簡易なHomeGridタスクにDynalangの手法を適用し、その汎用性を検証する。また、大規模言語モデル(LLM)を活用し、タスクに関連するドメイン特化型テキストを生成・拡張することで、学習初期のパフォーマンス向上およびサンプル効率の改善を調査した。さらに、一般的な文章で基礎的な言語理解を学習し、その後ドメイン特化型文章でタスク特化能力を強化する二段階事前学習戦略の有効性を検証した。 本研究の結果は、テキストを活用した事前学習手法の適用範囲を拡大し、モデルベース強化学習における新たな可能性を示すものである。
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後藤 大毅, 出井 勇人, 塩塚 雄志, 尾形 哲也
セッションID: 1B5-OS-41c-03
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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大規模言語モデル(LLM)の性能を測定するために、心理学実験をLLMに適用する研究が存在する。認知的柔軟性に関する実験であるウィスコンシンカード分類課題(WCST)を用いたものもその一つだが、先行研究ではモデル間の回答メカニズムの差異が十分に検討されているとは言えない。本研究では、LLM群(ChatGPT 4o、ChatGPT o1、ChatGPT o1 mini、ChatGPT 4o mini、Gemini 1.5、 Gemini 2.0)にWCSTを回答させ、回答傾向の比較・メカニズムの検討を実施した。実験の結果、ChatGPT 4o が50%以上、ChatGPT o1、ChatGPT o1 mini、ChatGPT 4o mini、Gemini 1.5、Gemini 2.0 が30%以下の正答率を記録した。一方、WCSTの回答において重要となるルールの推定結果も出力させたところ、ChatGPT 4o mini のみで、出力されたルールと回答との対応が50%以上の確率で一致しなかった。この結果は、WCSTの回答において各モデルが異なる回答メカニズムを有することを示唆する。
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尾崎 大晟, 松下 拓海, 三浦 剛, 谷口 尚平, 松尾 豊
セッションID: 1B5-OS-41c-04
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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近年、大規模言語モデル(LLM)は単純なNext token predictionを超えた能力を示唆していることから、基礎的な世界モデルを獲得している可能性が議論されている。本研究では、世界理解能力を要する演繹的推論ベンチマークデータセットBasic-JDERWを提案する。このデータセットは、物理現象の理解から社会常識、行動計画といった基本的な世界モデルの活用を必要とする103件のQAタスクから構成され、因果推論、時間的推論、空間的推論、抽象概念推論、常識推論、計画推論の6つのカテゴリに分類される。8種類のLLMを用いた評価実験では、各カテゴリにおけるモデルの性能を分析し、既存ベンチマークとの相関関係を検証した。時間的推論や空間的推論などの物理的理解を要するカテゴリでは、特にllama3.3-70B-instructが高い性能を示した。本研究は、LLMの推論能力に垣間見える基礎的な世界理解能力の評価に新たな視点を提供し、言語推論能力と世界理解能力の関係性の解明に一定の寄与があることを期待する。
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大規模言語モデルは集合的な世界モデルか?
谷口 忠大, 上田 亮, 中村 友昭, 鈴木 雅大, 谷口 彰
セッションID: 1B5-OS-41c-05
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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本研究は、集合的予測符号化の観点から、創発的コミュニケーション、世界モデル、大規模言語モデルを結びつける「生成的創発コミュニケーション」(Generative EmCom)という統一的な理論的枠組みを提案する。この枠組みによって、記号創発を外的表象の表現学習として機械学習の枠組みの中で捉えられるだけでなく、大規模言語モデルを複数エージェントの経験を統合する集合的世界モデルとして解釈することが可能となる。本研究は、世界モデルと記号創発を結びつける新しい視点を提供するとともに、今後の研究の展望について論じる。
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宝珠山 理歩, 井上 正樹
セッションID: 1D3-OS-24a-01
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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本研究では、エネルギーマネジメントシステムにおけるEV蓄電池の活用に焦点を当てる。EV蓄電池は、自然エネルギーによる電力需給を補完することが期待されている。しかし、EVの本来の役割は移動手段であり、外出中は電力供給を行うことはできない。そこで、外出を予定しているEVユーザにインセンティブを付与して、スケジュール変更を促すことで、必要なEV台数を確保する。アンケートデータより、インセンティブに対する人の行動変容のモデル化に取り組んだ。また、このモデルを用いて、できる限り低コストで、電力不足を補うエネルギーマネジメントシステムを考案した。
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後藤 侑美, 山本 修平
セッションID: 1D3-OS-24a-02
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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現代の大学生が就職活動において直面する意思決定は,選択肢である企業の数が膨大であり,また最終的な意思決定に対するフィードバックを得るのに時間を要することから、絶対的な選択基準を特定することが難しいとされている.これに加え,大学3年次からインターンシップが開催されるなど,就職活動の早期化と学業の両立も課題となっている.すなわち,就職活動における意思決定プロセスの実態を明らかにし,効率化することは喫緊の課題である.本研究では,就職活動における意思決定プロセスの中の情報探索行動に焦点を当て,これをモデル化することを試みる.就職活動における情報探索行動は,業界や企業の短期的な利益(初任給など)と中長期的な視点(キャリア形成など)を比較し,より好みの業界や企業を調査する異時点間選択の問題と捉えることができる.本研究では,このような異時点間選択の問題を表現可能な時間選好を用いて,就職活動における情報探索行動をモデル化する.時間選好の強弱が,就職活動における情報探索行動にどのような影響を与えるかを調査を通じて分析し,時間選好が就職活動の意思決定に及ぼす影響を測定可能なモデルを開発することを目指す.
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馬田 光琉, 山本 修平
セッションID: 1D3-OS-24a-03
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
フリー
近年,大規模言語モデル(LLM)は急速に発展し,人間のような反応を引き出すツールとして注目されている.しかし,人間の消費行動への応用研究は比較的少ない.人間の消費行動には,認知バイアスによる非合理的な意思決定が存在する.LLMによって人間らしい非合理的な消費行動を模倣させることによって,効果的な商品販売やサービス提供に繋がると考えられる.本研究は,LLMに人間の消費行動をより高精度に予測・模倣するため,LLMに認知バイアスを明示的に与えることを試みる.主な課題は,LLMにどのように認知バイアスを与えられるかという点と,観察された予測結果が明示的に付与した認知バイアスによって得られたものか否かを,どのように判別するかという点が挙げられる.これらの課題を解決するため,本研究では(1) 通常のLLMはどのような行動経済学的特性を有しているか,(2) プロンプト指示やファインチューニングによって行動経済学的特性の調整は可能か,(3) 認知バイアスを有するLLMは、通常のLLMと比較して,人間の非合理的な消費行動をより高精度に予測できるかを検証する.
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林 央祐, 山本 修平
セッションID: 1D3-OS-24a-04
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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近年,SNSの普及に伴いアスリートへの誹謗中傷が深刻な社会問題となっている.特にオリンピックのような大規模なスポーツイベントでは,競技結果に対する批判のみならず,競技前や個人の背景に基づく攻撃が増加し,アスリートの心理的負担やパフォーマンスへの悪影響が懸念されている.既存の誹謗中傷対策は法律や技術的手法が中心だが,コストや権利の制約から限界が指摘され,新たな手法の模索が求められている.本研究では,行動経済学のナッジ理論を活用し,アスリートへの誹謗中傷を抑制する介入戦略を検討する.先行研究によれば,損失回避と利他性のナッジメッセージは誹謗中傷への同調を抑制する一方,社会規範メッセージの効果は限定的である.本研究では,社会選好を測定するSVOスライダーを用いて個人の選好を分類し,誹謗中傷抑制効果を被験者実験で詳細に評価する.また,社会規範メッセージを多数派への協調を促すものと少数派からの脱却を促すものに分け,その効果を検討する.本研究は,SNS上の誹謗中傷を抑制し,倫理的行動を促進するための新たな介入戦略の構築を目指す.
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冨山 蓮, 瀧本 祥章, 倉島 健, 戸田 浩之
セッションID: 1D3-OS-24a-05
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
フリー
日本人の死因の半数以上が生活習慣病である.その予防策の一つとして,健康促進のための行動を起こさせる(行動変容)メッセージによる介入がある.しかし,保健指導などの従来の介入方法では,介入の回数やタイミングには限界がある.そこで,本研究では,行動変容ステージを考慮したタイムリーな介入を実現する第一歩として,行動変容ステージに基づき運動促進メッセージの要件を明確化し,それを考慮するためのメッセージ生成手法を提案する。具体的には,明らかにしたメッセージ要件に含まれる運動に関するイベント情報など(外部情報)を活用するために,Web検索を用いたRAG(Retrieval-Augmented Generation)によって運動促進メッセージを生成する.また,本研究では上記より生成した運動促進メッセージの比較評価を行うことで,メッセージ要件や外部情報の有効性を示す.結果として,メッセージ要件の有効性は示されなかったが,外部情報では部分的に有効性が示された.また,利得フレームによるメッセージや読みやすいメッセージ,メッセージ内容の難易度が低いメッセージが有効であると示唆する結果となった.
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安田 隼人, 高橋 聖子, 深澤 佑介
セッションID: 1D4-OS-24b-01
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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本研究では、クラシック作曲家の楽譜を画像データとして扱い、画像認識技術を用いて作曲家の分類を行うモデルを提案する。さらに、本分類モデルを用いて現代作曲家の楽譜におけるクラシック作曲家との関連性を定量評価する。
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徐 哲林, 山本 修平, 上保 秀夫
セッションID: 1D4-OS-24b-02
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
フリー
学術論文の急速な増加に伴い,研究者は関心のある論文を見つけることが難しくなる.この状況を改善するため,論文推薦システムが開発され,研究者が効率的に関連論文を発見できるよう,適切な論文を推薦する役割を果たしている.代表的な手法であるコンテンツベースフィルタリングは,基本的に論文全体の類似度に基づいて関連論文を推定する.しかし,ユーザの情報検索行動の研究によると,関連論文を調査する際,全体の類似度を確認するだけでなく,特定のセッションは自身の関心に合致するか(例えば,候補論文が自身の関心のある手法を使うかどうか)も重視する.本研究では,この行動を考慮したコンテンツベースフィルタリング手法を提案し,より多くの関連論文を推薦することを目指す.具体的には,論文全体の内容を考慮するだけでなく,特定された「研究背景」,「提案手法」,「実験結果」の3つのセクションも考慮した上で,それぞれに重みを付与してユーザの関心を反映する.DBLPデータセットを用いた評価実験では,precision@5,recall@5,MRR,MAPの指標において,提案手法が6つの従来手法より性能が向上することを確認した.
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武内 慎
セッションID: 1D4-OS-24b-03
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
フリー
ライブ配信プラットフォームにおけるコンテンツ推薦問題には,他のメディアプラットフォームにはない特徴的な課題がいくつか存在する.まず,推薦されるコンテンツは配信者が生成する動的なCGMコンテンツであり,視聴者にはプラットフォーム来訪時に配信中のコンテンツの中から選択するという制限が常に存在する.さらに,通常各コンテンツ内容は多様であり,配信者と視聴者のコミュニケーションにも影響を受けリアルタイムにその内容が時々刻々と変化するため,コンテンツの特徴量をどのように得るかという問題もある. また,ライブ配信プラットフォームの視聴者の行動パターンに関して,新しい配信者の探索や,既知の配信者への深化といった状態があることが指摘されている.それらの視聴者の状態のダイナミクスを理解し,適切に捉えることは,ライブ配信コンテンツのレコメンドにおいて重要と考えられるが、十分に研究されていない.本研究では,これらのライブ配信プラットフォーム特有の問題設定に対する適切なアプローチを検討するため,実際のライブ配信プラットフォームのユーザー行動ログを用いて,視聴傾向の分析を行った.
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伊藤 拓誠, 冨永 登夢, 倉島 健
セッションID: 1D4-OS-24b-04
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
フリー
アルゴリズミック・リコースは,AIシステムによる否定的な判定を受けたユーザが肯定的な判定を得るための行動計画-リコース-を提案する枠組みであり,一般にユーザの現在状態と目標状態を表すベクトル間の距離を測定する評価関数の最小化により,ユーザに受け入れられやすいリコースが生成されると仮定されている.しかし,近年の研究によりこの仮定が妥当でないことが実証され,評価関数の再検討が求められている.そこで本研究は,審査結果との関連性が低い特徴の影響を排除する新たな評価関数を提案する.この手法は,審査結果との相関,審査結果の予測における重要度,または審査結果との関係のなさを指摘するユーザの自己報告に基づいて関連性の低い特徴を選択し,それらの変更が提案されないリコースを設計する.ローン審査を題材とした被験者実験データを用いて検証した結果,提案手法が評価関数の最小化によってリコースの受容性を最大化することを示し,特にユーザ自己報告に基づく特徴選択が最も効果的であることを明らかにした.これらの結果を基に,ユーザの事前知識を計算プロセスに統合するリコース生成手法の構築に向けて今後の課題と方向性を論じた.
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南部 優太, 幸島 匡宏, 山本 隆二
セッションID: 1D4-OS-24b-05
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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人間の内部状態や行動を推定するための情報として心臓の情報,特に心電位が広く利用されている.しかし,正確な心電位の計測には専用機器や医療スタッフの補助が必要であり,心電位を計測可能なウェアラブルデバイスも存在しているがいくつかの制約が存在する.対して脈波は,手首の血流量を測定しているため心臓の情報は間接的にしか得られないが,スマートウォッチなどによってより容易かつ継続的に計測できる.そこで,本研究では計測が容易な脈波から心電位を生成する問題に取り組む.提案手法は,2つの分布上の点を最短距離で結ぶ経路を学習することでデータ生成を可能とするRectified Flowを応用したものであり,脈波と心電位のピーク位置の情報を活用することで心電位の生成品質を向上させる.心電位と脈波が同時に計測された実データセットを用いた実験の結果,提案手法が拡散モデルベースの既存手法よりも高品質な心電位を生成できることを確認した.また,行動分類タスクにおいて,生成された心電位を訓練データとして使用することで、真の心電位を使用した場合に迫る分類モデルの性能を得られることを確認した.
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小川 椋平, 鈴木 仁志, 深澤 佑介
セッションID: 1D5-OS-24c-01
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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本研究では,不貞行為の民事判例における慰謝料認容額を予測する分類モデルを開発した.生成AIで判例から特徴量を抽出し,機械学習とBERTモデルを構築した結果,数値データを用いた機械学習モデルが最も高い精度を示した.SHAPによる分析から,慰謝料額への主要な影響要因として,婚姻期間や不貞期間,子供の存在が慰謝料額と関連があることが示された.
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赤木 康紀, 丸茂 直貴, 倉島 健
セッションID: 1D5-OS-24c-02
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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人間は,直近のコストや利益を過大評価するバイアスである現在バイアスを持っている.現在バイアスが人間の行動に与える影響を理解し,個人の現在バイアスの強さに応じて適切な介入を行うことは,計算機科学及び行動経済学分野における重要なトピックとして研究が行われている.特に,Akagi et al.(AAAI'24) では積み上げ型タスクと呼ばれるタスクに着目することでエージェントの挙動を閉形式で書き下すことに成功し,それに基づいて最適な介入策を導出している.しかし,彼らの結果では現在バイアスを表す割引関数としてβ-δ割引(準双曲割引)の中でもδ=1という特殊な場合のみを扱うことができておらず,実際の人間の行動をモデル化するためには表現力が不足していた.本研究では,彼らの結果をδ≠1の場合にも拡張し,エージェントの挙動が閉形式で記述可能であることを示す.さらにその結果に基づいて最適な介入策の導出を行う.
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三村 知洋, 山田 涼
セッションID: 1D5-OS-24c-03
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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新規実店舗を開設する際にどのぐらいの人が来店するのかを予測することは店舗の出展計画や出展店舗の規模を考える上で重要な課題である.しかし,新規店舗の需要予測は既存店舗と異なり過去のデータを利用することができない.そこでメタ学習を用いて他の店舗の来店者の傾向を学習し来店者数予測を行う.具体的には,店舗の来店者数は店舗の立地と関係があることが考えられるため,周辺施設の特徴を深層学習を用いて抽出し,得られた特徴を用いて他の店舗との類似度をもとに予測する.これにより,新店舗での高精度な来店者数予測を行う.本研究ではドコモショップのデータを用いて実験を行い,メタ学習を用いて予測することで統計的な手法に比べて精度を29.2%の改善を確認した.
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菅原 温人, 戸田 浩之
セッションID: 1D5-OS-24c-04
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
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現在地から目的地まで,複数の行動主体が衝突することなく移動する経路を計画する問題は,マルチエージェント経路計画問題(Multi-Agent Path Finding)として定式化される. 近年,マルチエージェント経路計画に対して強化学習を用いたアプローチが注目されており,行動主体それぞれが独立して学習する枠組みで複雑な環境での実験に成功した手法が存在する.しかしこの手法では,自己利益の追求により他者の行動を妨害し,システム全体のパフォーマンスが低下するという課題がある. 本研究では,強化学習を活用するアプローチにおいて,行動主体それぞれが独立して学習する際の報酬の設定に着目し,他エージェントを考慮した協調行動の獲得を目指す.具体的には,各エージェントの報酬に他エージェントの行動が与える影響を組み込み,その影響範囲を適切に調整することで,より効率的な協調行動の学習を実現する.本手法と既存研究との比較を通じ,システム全体の性能向上を達成することを目的とする.
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半田 恕誠, 白石 太佑
セッションID: 1E3-GS-10-01
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
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製造業において, 機差の大きい製品の設計には調整機構を設けることがある. ここで言う機差とは部品交差の積み重ねや組み立て時のばらつきによって起こってしまう製品の最終的な性能のばらつきのことを指す. 調整機構を設けることで, 最終的な性能試験の際に調整を行い機差を吸収することができる. しかし, こういった調整工程は機体ごとに初期条件が変わることから, 作業者の熟練度に依存してしまう. 特に調整パラメータや, 最終的な性能パラメータが複数存在する場合, 調整工程は非常に複雑化し, その調整パターンは指数関数的に増大する. そのため, 量産において各機体の真の実力値を引き出すことができていない, といった問題が考えられる. 本研究では, 調整工程の最適化を目的として, 回帰アルゴリズム, 因果推論, 数理最適化, 機差を表すための実測値フィードバックを組み合わせたモデルの作成手法を提案する. 実測値フィードバックとは, 回帰式に対して実測値の代入計算を行いバイアスを補正するという処理のことである. この手法によって少数の機体サンプルから効率的に学習し, 未知の機差を持つ機体の調整における最適点を予測できるモデルの作成に成功した.
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中村 龍馬, 松平 正樹, 奥谷 大介
セッションID: 1E3-GS-10-02
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
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我々は交通事故の削減に貢献するべく、交通事故の起きる予兆を捉え、その状況から事故のリスクを定量化する方式を研究している。定量化した事故のリスクをもとに、ドライバーへの注意喚起を行うことで、交通事故の予防に役立つと考えている。これまでの研究により、複数の車両が連鎖的にブレーキをすることで生じる減速波の伝播が、交通事故の発生と高い関連があることが判明している。本稿では、減速波の伝播発生時にその空間の速度が時系列的に激しく変化することに着目し、速度の変動係数をマークとしたマーク付きHawkes過程を用いて、リスクの定量化手法を提案し、提案手法を実際の交通プローブデータに適用した結果について報告する。実データでの評価結果として、我々の方式により減速波の伝播の発生状況に応じて事故リスクを適切に定量化できていることを確認した。また、実際に事故が発生したいくつかのケースにおいては、減速波の伝播を捉えて事故の発生前にリスクが増加していることを確認した。
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亀谷 聡, 北橋 竜雄, 田中 良一
セッションID: 1E3-GS-10-03
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
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医師による医療文書の重要所見の見落としを防ぐ仕組みづくりが重要視されている.医療文書から固有表現抽出などで所見を判定する手法が提案されているが,我々の調査では認められた所見の中で重要といえる所見は全体の30%以下であった.そのため,所見と判定された全ての結果を医師に通知することは,医師の負担軽減としては不十分である.重要所見の見落とし防止と負担軽減を両立するには,さらなる工夫が必要と考える.本稿では,固有表現抽出と文書分類を組み合わせて重要所見を判定する手法を提案する.提案手法を岩手医科大学が作成した読影レポートに適用した結果,一定の性能で重要所見を判定できることを確認した.
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田邉 柊太, 福井 健一, 大谷 紀子, 沼尾 正行
セッションID: 1E3-GS-10-04
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
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近年、人工知能を用いた自動音楽生成の研究が活発に行われている。特に深層ニューラルネットワークを用いた手法が注目されており、ルールベースの手法に比べ、大規模な音楽データセットからパターンや特徴を自動的に学習し、より多様で創造的な音楽生成が可能である。さらに、音楽と感情は密接に関連していると考えられており、特定の感情を反映した楽曲を生成する研究も進行している。しかし従来の研究では、音楽の快さを反映した音楽の生成が困難であるという課題が残されている。 本研究では音楽の快さと調性の関連に着目し、調性は和音と関連があることから、和音で快さを決定する。さらに、従来の研究では、和音とメロディを一つのシーケンスとして扱うことが多かったが、本研究ではそれらを分離し、和音からメロディを生成する手法を導入する。加えて、メロディ生成時に興奮状態を反映させることで、これらの要素を組み合わせ、感情に基いた音楽を生成をする。生成した音楽がどの感情に基づいているかをアンケート調査により評価する実験をおこなう。実験の結果、生成した音楽は従来の研究と比べ、快さと興奮状態を反映できていることが分かった。
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江原 遥
セッションID: 1E3-GS-10-05
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
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大規模言語モデルの発展に伴い,難しさや感情極性など各データ点に順序(順位や段階)を人手付与した順序アノテーションの重要性が増している.順序アノテーションでは,順序の粒度を何段階にするかや各段階の観点等の設定や個人感覚の違いにより,一貫性が計測しにくい課題がある.文や語の意味を精緻に数値表現するテキスト埋め込み技術を活用し,意味の一部である順序の一貫性も精緻に計測したい. 本研究では,事前学習済の埋め込みベクトル空間に基づく順序アノテーションの一貫性の尺度を提案する.提案法は直感的には埋め込み空間上で各点ができるだけ順序アノテーション通りに並んで見える方向を探す.提案法は大域的最適解を持ち近似等の影響を受けず,人手アノテーションのデータセットと事前学習済み埋め込みがあれば,一貫性の指標が一意に定まる利点がある.このため,順序予測の他,データセット中の教師なしアノテーション誤り検出や,段階尺度の観点の一貫性計測(初級中級と中級上級が埋め込み空間上で直線的か)など,データセット構築時にも有用な幅広い応用が可能である.実際の順序アノテーションのデータセットを用いて提案手法を評価する.
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菊谷 和也, 笹嶋 宗彦
セッションID: 1E4-OS-3a-01
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
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2022年度実施の高等学校学習指導要領では,選択必履修である「社会と情報」「情報と科学」の2科目が統合され,「情報Ⅰ」が共通必履修科目として導入された.また,大学入試共通テストにおいても2025年1月よりプログラミングを含む「情報」が新教科として出題される予定となっている.しかし,大学入試でどの水準まで出題可能であるのかについての基準は定まっておらず,高等学校においても,情報の学習内容をどこまで重点的に学ぶべきかについて,基準が明確に定まっていない. そこで,本研究では高等学校情報科「情報Ⅰ」の教科書を対象に,どの水準まで教えている内容が共通していて,どの水準から違いがあるのかを明らかにすることを目的として,教科書の階層関係の分析を行うことを考えている.本論文では,階層関係を抽出する手法について検討を行った結果について報告する.
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上田 茜, 岡本 一志, 原田 慧, 柴田 淳司, 軽部 幸起
セッションID: 1E4-OS-3a-02
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
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料理レシピ投稿サイトに投稿されたレシピには,閲覧者によって解釈が変わる表現や,料理を再現しがたい表現が存在する.このような曖昧表現はレシピの理解に苦しむ原因のひとつとなる.本研究では,料理レシピ特有の曖昧表現を明確にし,曖昧表現を閲覧者が容易に理解できる表現に補完することを目的とする.具体的には,アンケートにより曖昧表現を特定・類型化し,その結果に基づき大規模言語モデル用のプロンプトを設計し,検索拡張生成を用いてレシピを補完する手法を提案している.アンケート結果の分析より,曖昧表現には省略や修飾語句等によるものが存在することを明らかにしている.さらに,提案手法により補完したレシピは,整合性は明確に確認できなかったものの,可読性が向上することを調理実験から確認している.
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柴田 拓海, 宮村 祐一
セッションID: 1E4-OS-3a-03
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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近年,小論文試験の採点コストの削減を目指すアプローチの一つとして,大規模言語モデル(LLM)を用いたゼロショット小論文自動採点手法が注目されている.しかし従来のゼロショット自動採点手法はLLMに得点を直接生成させる方法に基づいており,LLMと人間の評価基準の違いやLLMが持つバイアスによる影響を強く受けるため,採点結果が人間と一致しないことが多い.このような問題を解決するために,本研究では,直接得点を生成する方法よりも人間の評価結果と一致する可能性が高いペアワイズ比較に基づく自動採点手法を提案する.具体的には,LLMを用いて異なる二つの小論文のうちどちらが高得点かを判定するペアワイズ比較データを生成し,生成されたデータを用いてBradley-Terryモデルを基礎とする深層学習自動採点モデルを訓練する.本研究では自動採点研究で一般に利用されるペンチマークデータセットを用いて得点予測精度の評価実験を行い,提案手法の有効性を評価する.実験により,提案手法は従来のゼロショット自動採点手法よりも高い得点予測性能を達成することを確認した.
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高間 康史, 柴田 祐樹
セッションID: 1E4-OS-3a-04
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
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本発表では,仮想ユーザ像を利用した情報推薦インタフェースのコンセプトを提案し,大規模言語モデルによる仮想ユーザプロファイル生成の可能性について検討する.情報推薦では利用者の嗜好・関心にあったアイテムを推薦するために,嗜好情報や評価履歴などを必要とするが,プライバシーの観点から抵抗感を感じる利用者も存在する.この問題に対し,ユーザの情報を収集することなく推薦を実現する一手法として,仮想ユーザ像を生成し,そのプロファイルおよび推薦対象アイテムに対する仮想ユーザの評価を提示するインタフェースについて検討している.どのような特性を持った仮想ユーザが対象アイテムをどのように評価しているかを手掛かりとして,システム利用者は推薦の受け入れ可否を判断できることが期待できる.本発表では,仮想ユーザの特性を表すプロファイルの生成における大規模言語モデルの適用可能性について,生成されたプロファイル文やアンケート結果などに基づき考察する.
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羽切 まどか, 岡本 一志, 原田 慧, 柴田 淳司, 軽部 幸起
セッションID: 1E4-OS-3a-05
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
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電子商取引ではユーザの利便性を高めるために推薦システムが利用されており,その中でも,併用すると便利になる商品の組み合わせを推薦する技術として補完推薦がある.しかし,補完関係は曖昧であり,明確に定義することが難しいという課題がある.そこで我々は大規模言語モデル(LLM)を利用し,「商品を利用するシナリオ」に基づいた補完推薦システムの構築を目指している.シナリオを利用することで,明確な根拠を伴った補完推薦が期待できる.本研究では,LLMが出力する商品を利用するシナリオの妥当性を明らかにする.具体的には,GPT 4o-miniに商品のカテゴリ名のみを入力し,当該カテゴリを利用するシナリオを生成させ,生成されたシナリオを人手で評価する実験を行う.実験結果より,生成されたシナリオの約85%が妥当であると判断されることが確認された.
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永尾 浩太, 砂山 渡, 服部 峻
セッションID: 1E5-OS-3b-01
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
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近年,データサイエンスが重視されており,特にテキスト分析の必要性が高まってきている.意思決定のためのデータ分析においては,データの解釈につながる手がかりをできるだけ多く集め,集めた結果を整理,統合することで汎用的な知識を見出す必要がある.本研究においては,ChatGPTを用いてテキストが含む主要な単語に関するまとめを自動的に作成することで,データ分析の専門家でなくても,多くの手がかりを集められるシステムを提案する.また,まとめの作成においては,テキスト分析の目的に応じたまとめの生成を試みる.評価実験により,提案システムがテキストデータの分析に有効な手がかりをどれだけ集めることができるかを検証した.
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瀧岡 要, 安尾 萌, SHAN Junjie, 西原 陽子
セッションID: 1E5-OS-3b-02
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
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動画共有サイトには多数の動画があり,人気の動画を推定する指標として高評価の数値が挙げられる.しかし,高評価の値はアップロードされてからの時間的推移によって累積されるパラメータであり,アップロードされたばかりの動画の指標として扱うことは難しい.この問題に対して,本研究では動画の内容情報を利用して,動画が高評価となるかどうかを推定する方法について検討した.本稿では発話を主なコンテンツとする動画と視覚,音響情報を主なコンテンツとする動画を対象に,動画投稿サイトに動画の発話に含まれる単語と高評価数の関連を分析し,高評価数との間に相関のある品詞を明らかにした.
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伊東 俊輔, 田中 久温, 松倉 悠, 野崎 裕二, 坂本 真樹
セッションID: 1E5-OS-3b-03
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
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近年,YouTubeなどの動画プラットフォームの人気が拡大し,新しい仕事・娯楽として「配信者」が注目されている.一方で,配信者が活動の方向性を定めることが難しいことが課題となっている.現状のフィードバックでは視聴者数やいいね数のような数値しか得られず,より詳細なフィードバックを得る方法は少ない.本研究では配信のチャットに着目し,チャットの特徴からどのような配信が人気なのかの分析を行った.まず,ランダムな配信者60名から各3本ずつ,ジャンルの異なる配信を収集し,配信のチャットを抽出した.次に,先行研究とLLMによる質的分析を使用し,22個の質問項目を作成した.その後,GPT4o-miniを使用して,配信のチャットが質問項目に該当するかのアノテーションを行った.最後に,LightGBMとアノテーションデータと配信の持つデータを用いて最大同接数を求めるモデルを作成し,各配信でどの質問項目が同接数に影響しているかを分析した.その結果,配信者に驚くコメントやからかうコメントが多いとより最大同接数が伸びやすい傾向にあった.また、配信者ごとに異なる要因が人気に影響することが示唆された.
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小森 敦也, 砂山 渡, 服部 峻
セッションID: 1E5-OS-3b-04
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
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動画共有サイトなど多くの人がコメントを入力できるサイトにおいては,投稿されている多様な意見を分析することで,意思決定の判断材料にできる可能性がある.しかし、コメントの量や種類が多くなるにつれ,人手でそれらの意見をまとめることは現実的ではない.また,意思決定の内容によっては,まとめ方も異なってくると考えられる.そこで本研究では、分析に必要と考える観点ごとに、ChatGPTを用いてコメント集合から主要な意見を抽出する手法を提案する.提案手法が,観点ごとに異なるまとめを生成できることを,実験により検証した.
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田中 久温, 伊東 俊輔, 松倉 悠, 野崎 裕二, 坂本 真樹
セッションID: 1E5-OS-3b-05
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
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近年VTuber(バーチャルYouTuber)の人気は増しており,VTuberの人数は2万人を超えた.多くのVTuberがいる一方で,好みのVTuberを探す方法は少なく,新たに見つけたVTube の魅力を理解するには時間がかかる.本研究では,VTuberの魅力を短時間で知るために,雑談配信からの自己開示の抽出を行った.まず,抽出対象として,ランダムなVTuber96名から各2本ずつ雑談配信を収集した.次に,既存研究とLLMによる質的分析により,「体験の振り返り」や「現在の目標」などを含む31の自己開示項目を作成した.そして,GPT4o-miniを用いて,雑談配信の文字起こしが自己開示項目に該当するか分類を行った.分類結果の一部について,人間によるアノテーションと比較・検証した.その結果,VTuberの雑談配信の80%以上が自己開示であった.また,自己開示の中で,目標やVTuber活動などの内容は精度よく抽出できたが,興味や性格などの内容は精度が低くなった.本研究を通じて,LLMによる質的分析の有用性やLLMの出力する予測確率が予測精度の指標として使用できることも示唆された.
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梶 大介, 豊田 平司郎, 高椋 佐和, 城殿 清澄, 堺 浩之, 浅田 祐樹, 梶 洋隆
セッションID: 1F3-OS-40a-01
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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未来社会におけるAI技術には、便利さや効率の追求はもちろんのこと、個人のWell-Beingと社会の要求の変化に対応していく機能が求められる.本稿では、多様な個人の幸福を高め豊かな人中心の未来社会を実現するためにAIシステムが備えるべき3つの基本要件として、「人とAIの共進化」、共進化を支えるために人とAIが築く「継続的な改善活動」、そしてこれら取り組みが正しく機能するための「AIガバナンス/AIアライメント」の3層から成る構造を提案し、それぞれの層に求められる基本要件について検討を行う.さらに、これらの各層で重要な役割を果たし、これらの活動の受容性を向上する重要なキーワードとして「納得性」に注目し、その意味と役割について議論する.
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林 秀樹, 梶 洋隆, 池田 和司
セッションID: 1F3-OS-40a-02
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
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今日,都市における交通需要予測はますます重要となっている.交通需要予測には大量の移動データが必要だが,プライバシー保護などにより移動データの統計値のみが利用可能であることが多い.もし統計値から移動データの生成モデルを推定できれば、擬似的な移動データを生成可能となり,交通需要予測に有益である.そこで本研究では,移動データが潜在的ディリクレ配分法(LDA)で生成されると仮定しパラメータを統計値から推定する方法を提案した.提案法の有効性はシェアバイクの実データを用いた実験により確認された.
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位 曼曼, 大西 正輝, 尹 英杰
セッションID: 1F3-OS-40a-03
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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歩車共存空間における歩行者の移動予測は自動運転車両や交通システムにおいて重要な役割を果たす。歩行者の移動は複雑な相互作用や多様な行動モードの変化を伴うため、予測が困難であり、単一な軌跡の予測ではなく、不確実性を考慮した軌跡のモデリングが求められる。しかし、現在主流の不確実性を考慮した深層生成モデルに基づく手法は、予測精度の改善ができた一方で、モデルの解釈性や不合理な予測事例など課題が残っている。本稿では、新たにGraph Neural Network(GNN)と粒子ベースの手法を組み合わせたモデルを提案する。このモデルは、粒子ベースのアプローチを活用することで、歩行者の行動に関する多様な可能性をモデルに組み込み、軌跡予測の合理性と解釈性を向上させることを目指している。提案手法を公開データセットで検証した結果、従来手法より信頼性の高い軌跡の予測分布の生成に成功した。本研究は、不確実性を考慮した軌跡の予測精度と解釈性を向上させることで、自動運転や交通制御における意思決定の質を高める可能性を示している。
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石川 冬樹
セッションID: 1F3-OS-40a-04
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
会議録・要旨集
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ソフトウェア工学においては,各システムが満たすべき要求,あるいは避けるべきリスクを分析し,それらを踏まえて開発,品質保証,運用の活動を行うための原則や技術が議論されてきた.AIシステムにおいても,一般的な要請に応えるだけではなく,そのシステムのステークホルダーにとって重要な観点を扱うべく,テストや性能調整などの活動を行う必要がある.本発表では,Search-based Software Engineeringと呼ばれる,メタヒューリスティック最適化を用いるアプローチを中心に,自動運転システムなどを対象としたテストや性能調整の取り組みについて紹介する.
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梶 洋隆, 栗林 諄, 大谷 光, 江間 有沙
セッションID: 1F3-OS-40a-05
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
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AIの普及に伴い様々なリスクへの対応として責任あるAIやAIガバナンスの重要性が増しており,その理解と実践に向けてはAI開発者や利用者の知識習得が重要となる.本研究では社会課題を理解する有効な手段であるシリアスゲームに注目し,責任あるAIやレジリエンスの必要性を体感するカードゲームを設計する.プレイヤーは企業や自治体のAI戦略チームの一員として,AIに関するリソースを管理して,業務効率を向上させる.同時に,発生するインシデントや災害などの危機に対処することで,性能とガバナンスのバランスを学ぶ.設計においては,企業向けと自治体向けを考え,その共通点と相違点を検討する.
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大久保 利哉, HUSEN Jati Hiliamsyah, 吉岡 信和, 鵜林 尚靖, 鷲崎 弘宜, 竹内 広宜, TRUONG Vinh ...
セッションID: 1F4-OS-40b-01
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/01
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機械学習モデルの非決定性や不確実性といった従来の開発とは異なる機械学習システム特有の性質を扱うため,我々は機械学習システムの価値や安全性を含む様々な側面を一貫した形で分析設計モデリングし,その内容を継続的に機械学習モデルの訓練や修正,運用のワークフローパイプラインと統合するフレームワークM3S(Multi-view Modeling framework for ML systems)を提案し,その中で機械学習モデルの不確実性を考慮したリスク分析の仕組みを合わせて扱っている.本稿では,高信頼な機械学習システムの継続的な開発運用における問題や関連研究を提示のうえ,リスク分析を含むM3Sの仕組みや特徴を概説し,モビリティを題材としてその実践性や有効性を検証する事例を概説する.
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