生活経済学研究
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最新号
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論文
  • 櫻井 秀彦, 森藤 ちひろ, 岸本 桂子
    2023 年 58 巻 p. 1-18
    発行日: 2023/09/30
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    治療薬の残薬や不適正使用は臨床的な問題を超え、医療資源の非効率的な配分の原因として経済的な問題ともなっている。海外では、伝統的な健康行動理論を用いて、この影響要因を検討する試みがある。しかし、日本人を対象としたものは稀有である。さらに、近年着目されているヘルスリテラシーの医薬品の継続消費行動への影響についても十分な知見が得られていない。そこで、本研究では、健康行動理論に基づいた分析モデルを拡張し、ヘルスリテラシーも含めてパス解析によって医薬品の継続消費行動への影響について再検討を試みた。慢性疾患(高血圧と糖尿病)、急性期(抗菌薬)の内服薬、更には外用薬(緑内障)を継続的に使用する必要のある患者それぞれ300名、計1200名にweb調査を行った(疾患重複無し)。分析は先行研究をもとに、継続消費と意図的/非意図的中断を目的変数として、1)健康信念モデルの諸概念のすべてがヘルスリテラシーを媒介する全階層化モデル、2)自己効力感のみが媒介する部分階層化モデル、3)階層化せずに要因変数すべてを並列とするモデル、を検討した。結果として、3)すべて並列モデルが採択された。影響度順では、飲み忘れなどの非意図的中断への対処が最優先され、次いで患者の自己効力感を高めること、また、特に糖尿病や緑内障では意図的な中断への配慮も必要なことが示された。一方で、ヘルスリテラシーは影響の程度は他の概念と比べてそれほど大きくないことが示された。
  • 小井戸 あや乃, 大藪 千穂
    2023 年 58 巻 p. 19-30
    発行日: 2023/09/30
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文では,ゲームの課金に関する金融経済教育を,「ガチャ疑似体験」ゲームを用い,行動経済学の「ナッジ効果」を用いて行った。我慢することによるその後の人生への効果を,「スタンフォード大学のマシュマロ・テスト」の視聴と説明をするクラスとしないクラスを設定して,それが今後のゲーム課金への意識に影響があるかを,「ナッジ効果」として明らかにした。「ナッジ効果あり」の授業を受けた生徒は,金額を決めてゲームをしたり,欲求が出てきてもそれを我慢することが大切であることに気づけていた。金融経済教育の中の課金について学ぶにあたって,オンラインゲームを効果的に使うためには,単にゲームの疑似体験をさせるだけでなく,生徒の我慢する力を強化することが重要である。「ガチャ疑似体験」ゲームを用いた結果から,我慢や計画的なお金の使い方について理解しただけでなく,課金をしたいという気持ちにストップをかける自制心が大事であり,我慢や自制心は,今後の人生にも関わる重要な力だということを理解することに効果があった。
  • 西出 陽子, 宮本 弘之
    2023 年 58 巻 p. 31-44
    発行日: 2023/09/30
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    金融リテラシーが貯蓄や投資に関するアドバイス需要に、正の影響を与えることを実証的に分析した。つまり、金融リテラシーの高い人ほど、貯蓄や投資に関するアドバイス需要(希望、利用)を持ちやすいこと、すなわち、アドバイス需要は金融リテラシーに対して補完的であるという結果が得られた。 更に、計画的行動理論の枠組みを用いて、アドバイスの希望と利用の乖離がなぜ起こるのか、金融リテラシーがどのような経路でアドバイス需要に影響を与えるのかを検証した。 アドバイスの利用に対しては、アドバイスの希望だけでなく行動統制(行動を促進、または抑制する要因)が影響を与え、アドバイスの希望と利用は常に一致するのではなく、行動統制の働き方で乖離が生じることが示された。
第39回研究大会 テーマ別分科会テーマ「テーマ別分科会報告記録」
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