うるち米, もち米における登熟にともなう米質の変化を, 米質の
テクスチャー
, タンパク質, アミロース, 結合脂質 (fat-by-hydrolysis) 含有率の点から検討した。登熟にともない
テクスチャー
のそしゃく性値は減少し, 粘着性および食味指数値は増加し, 出穂後30-40日目以降一定となった。登熟過程における
テクスチャー
の形成機構には, うるち米ともち米の間に明らかな差異は認められなかった。登熟にともないタンパク質, アミロース, 結合脂質含有率は, そしゃく性の変化と同様に変化した。登熟初期は, 米粒中のタンパク質含有率は大変高いことから, タンパク質によりデンプンの膨潤が阻害され, 末熟粒の米飯は硬く粘りがないものになると考えられた。アミロースも, 登熟にともなう
テクスチャー
の変化要因として考えられた。しかしもち米では, 登熟中アミロースは認められないにもかかわらず,
テクスチャー
は変化することから, アミロースは
テクスチャー
の変化を支配する唯一の要因ではなかった。未熟期には結合脂質含有率が高いことから, 結合脂質もデンプンの膨潤を妨げて米飯を硬く粘りがないものにすると考えられた。以上から, タンパク質, とくに難溶性タンパク質, アミロースおよび結合脂質がデンプンの膨潤を阻害する上で, 重要な役割を果たしているものと思われた。
抄録全体を表示