日本ダニ学会誌
Online ISSN : 1880-2273
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ISSN-L : 0918-1067
31 巻, 1 号
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原著
  • 駒形 泰之, 関根 崇行, 大江 高穂, 高山 詩織
    2022 年 31 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2022/05/25
    公開日: 2022/06/08
    ジャーナル フリー

    UV-Bランプによる紫外線照射はナミハダニTetranychus urticaeに対して致死効果をもつことが知られている.近年, UV-Bランプを設置したイチゴ温室において,光反射資材をイチゴ株元に設置することでUV-Bを反射し,葉裏に寄生するナミハダニの密度抑制効果が得られることが示された.しかしながら,薬剤散布によって光反射資材上に液だまりが生じ果実が汚れるなどの,果実生産上回避すべき課題も残されている.そこで本研究では, UV-Bランプとカブリダニを導入したイチゴ温室において,複数の光反射資材とその設置方法がナミハダニの発生量に及ぼす影響を比較し,試験期間中の薬剤散布による液だまりの有無も確認した.その結果,UV反射防虫ネット「虫フラッとネット」や遮光・遮熱ネット「スリムホワイト」を果房受けにかけて設置することで,ナミハダニに対する高い密度抑制効果が得られ,薬剤散布による液だまりの回避も可能であった.また, これらは,試験終了時の資材上の汚れが少ないことが示された.したがって,これらの資材を果房受けにかける設置方法は,ナミハダニの密度抑制効果が高く,かつ薬剤散布による液だまりも回避でき,イチゴにおける効率的なナミハダニ防除に適していると考えられた.

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