日本ダニ学会誌
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10 巻, 1 号
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原著
  • 林 文男, 増永 元
    2001 年 10 巻 1 号 p. 1-17
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/06/14
    ジャーナル フリー
    沖縄県において,ウミヘビ亜科3種(イイジマウミヘビ,クロガシラウミヘビ,クロボシウミヘビ)およびエラブウミヘビ亜科3種(エラブウミヘビ,ヒロオウミヘビ,アオマダラウミヘビ)の外部寄生性ダニ類の調査を行なった.前者のウミヘビ類からダニ類は採集されなかったが,後者からはウミヘビキララマダニと3種のツツガムシ類を得た.ウミヘビキララマダニは1年を通して採集され,幼虫および若虫はとくに夏期に寄生率や寄生数が高い傾向を認め,野外では集中分布をしている傾向が強く示された.夜間に採餌(魚食)のため遊泳するエラブウミヘビ類では,飽血個体(幼虫のみ観察)が昼間に離脱するという観察結果を得たが,これは海水中での離脱を避けることと関係があると推察される.人工海水中に24時間浸漬した実験では,死亡個体は皆無であったが,これは未吸血個体の待機場所や飽血個体の生息する岩礁間隙が満潮で一時的に没した場合でも強い海水耐性によって生存可能であることを示している.3種のツツガムシ類については,マダニと同様の寄生習性(1年を通して寄生,集中分布,昼間に飽血離脱)が部分的ながら確かめられた.これらツツガムシ類の分類学的検討と宿主特異性の詳細は今後の課題である.
  • 桑原 保正, 衣斐 豊祐, 中谷 葉子, 漁野 篤史, 森 直樹, 坂田 知世, 岡部 貴美子
    2001 年 10 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/06/14
    ジャーナル フリー
    プールで見つかったプールミズコナダSchwiebea elongata Banks(ブールダニ株)のヘキサン抽出液に警報フェロモン活性を認めた.ダニの大量抽出物をGC/MS分析すると,4成分(ネラール,ゲラニアール,蟻酸ネリル,トリデカソ)を認めた.シリカゲル・カラムで分離精製すると,活性は5%及び10%エーテル/ヘキサン溶出部に認めらた.本分画はネラールを主成分(他の成分はゲラニアール)とするシトラールが得られ,投与量7.6–76ngで活性を示した.シトラール中のネラール量は試料の調製法で変動する.ネラールとゲラニアールをそれぞれ調製し生物試験すると,ネラールのみが投与量10–100ngで活性を示し,警報フェロモンはネラールと同定した.他に同種と同定され,土壌から採取された3株はネラールに対してプールダニ株と同様の活性を示した.
  • 黒佐 和義
    2001 年 10 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/06/14
    ジャーナル フリー
    日本産のコハナバチのうち,Rhopalomelissa yasumatsui Hirayama ヤスマツフシダカコンボウハナバチ と Sphecodes scabricollis Wesmael の成虫の体表に見いだされたヒナダニを Neopygmephorinae亜科に属する新種と認め,Rhinopygmephorus rhopalomelissae と命名,記載した.この新属は長く伸びた顎体部をもつことで Rackia属 および Xystrorostrum属 に似るが,前基節板がはるかに幅広いこと,第1基節条の後端と第2基節条の間がやや離れていること,第2基節条が細い線状で不明瞭なこと,副横基節条を持たないこと,第1脚の脛付節が普通の太さで,強壮な爪とそれに対立する顕著な突起をもつことなどで容易に区別できる.
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