スクールカウンセリングが学校現場に普及定着するためには, 関係者がコンセンサスを得ておくべき課題が6つあると思われる。
(1) スクールカウンセリングは臨床心理士のみで実践できるものではない。すなわち, スクールカウンセリングはスクールサイコセラピィではない。
(2) スクールカウンセラー養成のための研修と教師が教育指導に応用するためのカウンセリング研修とはそのカリキュラムに相異があってしかるべきである。
(3) スクールカウンセリングの実施型態は一対一の個人面接型から集団対象のサイコエジュケーション方式に移行すべき時代がきている。
(4) 多種多様な問題にかかわるスクールカウンセリングは神経症治療理論だけでは対応できない。複数の理論, 複数の方法, 複数の技法になじみ, これらを駆使展開して問題解決を援助する姿勢を折衷主義あるいは統合主義に学ぶべきである。たとえば, アイビィやカーカフなど。
(5) 学校組織のなかでのスクールカウンセラーの役割 (権限と責任) を公認すること。すなわちスクールカウンセリングを制度化すること。カウンセリング好きの教師がサービス精神を発揮する型態であってはならない。
(6) スクールカウンセリングを支える学問はprofessional psychologyであり, clinical psychologyだけではない。Professional psychologyは問題解決志向のリサーチの上に成立している。そこでスクールカウンセリングの普及定着のためにはoperational researchを盛んにすることである。
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