Acta Arachnologica

日本産ワシグモ科の2新属

加村隆英

1992 年 41 巻 2 号 p. 119-132
発行日: 1992年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.41.119

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ワシグモ科の2新属, ノコバトンビグモ属(新称) Sernokorba gen. nov. とヒトオビトンビグモ属(新称) Hitobia gen. Nov., を記載した. マエトビケムリグモ Zelotes pallidiatellis (BÖSENBERG et STRAND, 1906) をSernokorba 属に, ヒトオビトンビグモ Poecilochroa unifascigera (BÖSENBERG et STRAND, 1906) とテオノグモBerlandina asiatica (BÖSENBRG et STRAND, 1906) を Hitobia 属にそれぞれ所属させた. さらに, 新種フタオビトンビグモ(新称) Hitobia yasunosukei sp. nov. を記載し, Hitobia asiatica の雄を初めて記載した. なお, 所属を変更した3種の和名は以下のようにしたい: マエトビトンビグモ (改称) Sernokorba pallidipatellis, ヒトオビトンビグモ Hitobia unifascigera, シノノメトンビグモ (改称) Hitobia asiatica.

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1新種を含む日本産タンボグモ属 (クモ目: フクログモ科) の3種

林俊夫

1992 年 41 巻 2 号 p. 133-138
発行日: 1992年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.41.133

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日本産タンボグモ属の3種, Agroeca coreana NAMKUNG, 1989コウライタンボグモ(新称), A. montana HAYASHI, 1986ミヤマタンボグモ, A. kamurai sp. nov. カムラタンボグモ (新称) を報告した. また, 日本産タンボグモ属の検索表を記した.

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日本産ヒラタヒメグモ属 (クモ目: ヒメグモ科) の2種

吉田哉

1992 年 41 巻 2 号 p. 139-142
発行日: 1992年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.41.139

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日本産のヒメグモ科ヒラタヒメグモ属のこれまで知られていなかった2種を報告した. そのうちの1種は世界の熱帯を中心として広く分布する Euryopis taczanowskii KEYSERLING, 1886シロカネヒラタヒメグモ (新称) で, 日本からは新記録となる. ほかの1種は新種 Euryopis iharai sp. nov. フタホシヒラタヒメグモ (新称) として記載した.

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ジョロウグモの餌サイズ構成のビデオ記録と見取りセンサスによる推定

宮下直

1992 年 41 巻 2 号 p. 143-148
発行日: 1992年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.41.143

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ジョロウグモの餌の捕獲個体数と摂食時間に関するサイズ構成を, ビデオによる記録および見取りセンサスにより推定した. 体長2mm以下の小型餌は, 個体数では80%以上,摂食時間では約30%を占めていた. 摂食時間についての餌サイズ構成は, 2つの方法で大変似かよっていた. 摂食時間の個体間での変異は大きかったが, 小型の餌は比較的コンスタントに摂食されていた. 小型餌の重要性と, 造網性クモにおける幅広い餌サイズの利用の理由に関して考察を行った.

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日本の茶樹を加害するフシダニの1新種

上遠野冨士夫

1992 年 41 巻 2 号 p. 149-152
発行日: 1992年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.41.149

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これまでAcaphylla theae (WATT) あるいはA. steinwedeni KEIFERと同定されてきたチャノナガサビダニが新種 A. theavagrans KADONOとして記載された.

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日本のクモ相に加わったフクログモ科の1種 Clubiona kasanensis PAIK

小野展嗣

1992 年 41 巻 2 号 p. 153-156
発行日: 1992年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.41.153

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韓国から知られるフクログモ科の1種 Clubiona kasanensis PAIK, 1990バンドウフクログモ (新称) を日本の徳島県から初めて記録し, corticalis 種群の中での分類学上の位置について論じた. また, 日本の材料に基づいて♂の触肢を図示した.

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中国産ハガタグモ属 (ヒメグモ科)の1新種および1新記録種

八木沼健夫, 朱明生

1992 年 41 巻 2 号 p. 157-160
発行日: 1992年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.41.157

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中国新彊省維吾尓自治区で発見された新種 Enoplognatha submargarita sp. nov. と山西省〓〓省産の中国新記録種となる Enoplognatha margarita YAGINUMA, 1964 (日本産と同種) を記録した.

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日本産オオドヨウグモ属 (クモ目: アシナガグモ科)の再検討

谷川明男

1992 年 41 巻 2 号 p. 161-175
発行日: 1992年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.41.161

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日本産の Metleucauge オオドヨウグモ属のクモ類について, 各地から得られた標本をもとに再検討した結果, 4種の生息を確認した. 2既知種, M. yunohamensis (BÖSENBERG et STRAND, 1906) メガネドヨウグモおよび M. kompirensis (BÖSENBERG et STRAND, 1906) タニマノドヨウグモについて再記載し, M. yaginumai sp. nov. キタドヨウグモおよび M. chikunii sp. nov. チクニドヨウグモ (新称) の2新種を記載した.

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ジグモの幼生 (若虫) 発育と生活環

宮下和喜

1992 年 41 巻 2 号 p. 177-186
発行日: 1992年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.41.177

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母グモの網より分散する少し前の幼生 (若虫) を半自然条件下で個体飼育したところ, 雄は8～9回脱皮をし, 生まれてから3年目の春に成体になった. 雌では, 9～11回脱皮をして3年目の春と秋および4年目の春に成体になるものが生じた. 飼育開始から3年目の春までの巣網の直径の成長を調べたところ, 雄では2.3mmより13.3mmに, 雌では2.3mmより13.7mmに成長した. 雌の網の直径はこの後も成長をつづけ, 5年目には15.9mmに達した. また, 雌は成体になってからも毎年春に1回脱皮を繰り返した. 幼生と成体の1週間当りの排泄回数を1年間にわたって調べたところ, 排泄回数は夏に増加し冬には減少したが, 排泄が完全に停止してしまう訳ではなかった. これらの調査結果と, これらに平行して行なった野外調査の結果とを合わせ, このクモの生活環を考察した.

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日本産フクログモ属 (クモ目: フクログモ科)の2新種

小野展嗣

1992 年 41 巻 2 号 p. 187-191
発行日: 1992年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.41.187

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神奈川県産の Clubiona (フクログモ属)の2新種, C. ikedai (ハコネフクログモ-新称-)および C. kumadaorum (クマダフクログモ-新称-)を記載した. 前者はC. obesa 種群 (細分では C. akagiensis種群) に属し, C. chikunii HAYASHI, 1986(チクニフクログモ)に類似する. 一方, 後者は C. pallidula 種群 (細分では C. propinqua 種群)のもので, C. maya HAYASHI et YOSHIDA, 1991 (マヤフクログモ) と近縁の種と思われる.

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台湾およびボルネオ産ヒメウズグモ属(クモ目: ウズグモ科) の2新種

吉田哉

1992 年 41 巻 2 号 p. 193-198
発行日: 1992年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.41.193

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台湾およびボルネオ産のウズグモ科ヒメウズグモ属の2新種をPhiloponella nigromaculata (台湾) と Philoponella sabah (ボルネオ) の名のもとに記載した.

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オノゴミグモの雄の記載 (クモ目:コガネグモ科)

谷川明男

1992 年 41 巻 2 号 p. 199-202
発行日: 1992年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.41.199

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東京都および兵庫県から採集された標本にもとづき, Cyclosa onoi TANIKAWA, 1992オノゴミグモの雄を初記載した.

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ウシオダニの1種 Anomalohalacarus anomalus (TROUESSART, 1894) の分類について

安倍弘

1992 年 41 巻 2 号 p. 203-209
発行日: 1992年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.41.203

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ウシオダニの Anomalohalacarus anomalus (TROUESSART, 1894) は, 原記載が不十分なことと模式標本の再検討が困難なことから, 分類学上の混乱を招いている. そこで, 従来 A. anomalus に同定されてきた北海産の標本と NEWELL の所蔵標本の再検討を行った. その結果, 北海産の標本は A. anomalus であることが確認され, この標本に基づいて本種の判別形質の補足, 修正を行った. 一方, NEWELL (1947, 1949) が Anomalohalacarus 属の模式種として記載した標本は, 脚や触肢の毛式から, A. anomalus ではなく, A. tenellus BARTSCH, 1979と A. tenuis BARTSCH, 1979 の2種が混在していることが判明した.

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日本新記録種タイワンコブヌカグモについて

田副幸子

1992 年 41 巻 2 号 p. 211-214
発行日: 1992年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.41.211

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西表島から採集された標本を Callitrichia formosana (タイワンコブヌカグモ) と同定できたので日本新記録種として報告する. この属については検討すべき点が多いが, JOCQUÉ (1983) の見解を支持し, この種の所属を Atypena 属とする. 属の和名はコブヌカグモ属としたい.

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タイリクサラグモ Linyphia emphana (Araneae: Linyphiidae) の体サイズを用いた齢の判定法

秋田米治

1992 年 41 巻 2 号 p. 215-222
発行日: 1992年
公開日: 2007/03/29

DOIhttps://doi.org/10.2476/asjaa.41.215

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タイリクサクグモの齢判定法の基準を明らかにするため, 中眼域の後辺, 眼域の幅, 背甲の幅の3つの体サイズと齢との関係を, 野外での観察および3つの異なる餌条件下での室内飼育によって調べた. その結果, 眼域と背甲の幅ではバラツキが生じたのに対し, 中眼域の後辺の幅は齢が進むに従い0.03mm の勾配で直線的に増加し, 各齢間での重なりはほとんどみられなかった. この調査の結果から齢は野外でみられる餌条件においても中眼域の後辺の幅を指標とすることでほぼ正確に判定出来ることが示唆された.

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