要介護高齢者の介護を主に行っている家族介護者1,020名から得た無記名自記式質問紙調査票回答のうち,主介
護者の性別に欠損のない980名(女757・男223)から得た回答を再解析し,主介護者が感じる介護による日常生活へのネガティブな影響およびポジティブな影響はどう異なるのか?という疑問に対する検討を行った.具体的には,1)
家族類型の構成要素と介護者の生活影響程度という,個々の要素(変数)間の関連性を検討し,2)家族類型間の介護者生活影響程度の差異を検討した.その結果,1)主介護者の介護に伴う生活へのネガティブな影響評価得点は介護家族の「生活と介護のバランス」と中程度以上の負の関連があること,ポジティブな影響評価の方は,介護家族の「家族介護充足感」,「在宅介護の受容」,「家族介護肯定感」と中程度以上の正相関を認め,特に「家族介護肯定感」とは関連性が高いことが明らかとなった.また,2)介護に関して家族が協調的なタイプであるほど,主介護者が介護によって被るネガティブ影響感は小さくなり,ポジティブ影響感は逆に大きくなるが,家族類型による相違はポジティブな生活影響の方が顕著であるということが明らかとなった.
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