水道水源として利用されている河川水は,その取水口の上流側において下水道が整備されていないために,ときとして大腸菌群等の病原性指標細菌の排出される可能性が高い。特に安全性という観点から,水源となる河川に於ては,その流域における浄化施設の普及・整備が緊要である。しかし,現在,全国の下水道普及率は平均で45%まで進んでいるものの,非効率ということから河川の流域が全て下水道整備の対象地域とはなり得ず,まして農村地域への下水道整備は将来的にもなり難いことが一般的である。こうしたことから,以前から民間の関係者等が,これらの地域を対象とした個人下水道,即ち合併処理浄化槽の普及を提唱してきた。一方,国,自治体も助成金の交付を行うなど,合併処理浄化槽の普及に乗り出した。この様に,一般的水質の向上はもとより,微生物性の病原菌の汚染の拡大を阻止したい。また,下水処理水の再利用等の有効利用の考え方が広まり,利用時に於ける安全基準の検討も行なわれている。また,全国の下水処理場からの放流水は年間110億立法メートル(1991年)であり,ここからのエネルギーの回収や有効利用も既に行なわれつつある。以上の様なことから,水環境における安全性の高い利用方法の検討が是非とも必要であり,そのための知見が必要であると考える。まず手始めに,木更津市における小櫃川(水道水源)および矢那川(アメニティー都市河川)の大腸菌群数の調査と合わせて,大腸菌群自体のPHの影響,吸着特性等を実験から調べた。
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