海域,特に内湾等閉鎖性水域に於ては,そこに流入する汚濁物質が充分分解されず,魚貝類の棲息を妨げている。これは赤潮等に代表される広域的現象であり,浮遊物質や堆積物が潮加減により幾度となくくり返し発生する。この汚濁物質として,有機物質・窒素化合物およびリン化合物が原因であることは既に明言されている。この様な状況を招いたことに対し,昭和54年以来指定水域をもうけて,湾内への排出を規制して来た。しかしその効果はなかなか上らず,本年4月から第4次総量規制を実施し,関係方面が対処している。この主たる原因が家庭からの生活系,主として生活雑排水に依ることから,都市河川の水質把握が重要であり,かつ急務である。(産業系排水については水質汚濁防止法により既にその効果を上げて来ている)本稿では東京湾中央付近に開口部をもつ,中小都市河川に相当する矢那川を取り上げ,有機汚濁指標を測定し評価を加えた。
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