循環制御
Print ISSN : 0389-1844
41 巻, 1 号
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特集 RDSの循環管理
総 説
  • 神谷 千津子
    原稿種別: 総説
    2020 年 41 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/22
    ジャーナル フリー
     周産期心筋症は、心筋疾患既往のない女性が、妊娠から産後に重度の心機能低下に伴い心不全を発症する、未だ原因不明の心筋症である。高齢、妊娠高血圧症候群や多胎妊娠などが危険因子として知られている。息切れや浮腫などの心不全症状は、健常妊産婦も訴える症状と似ているため、診断遅延や重症化の要因となり、主な母体死亡原因疾患のひとつに挙げられる。近年、モデル動物による基礎実験を基に、病因に関する新たな知見が報告され、遺伝子解析研究により、他の心筋症との関係も明らかになってきた。心不全治療においては、周産期特有の病態を踏まえる必要がある。一方で新たな疾患特異的治療として、抗プロラクチン療法の試みが始まっている。
  • ―水平断面連続スキャン法―
    黒嵜 健一
    原稿種別: 総説
    2020 年 41 巻 1 号 p. 28-37
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/22
    ジャーナル フリー
     新生児先天性心疾患の診断では、非侵襲的に繰り返し施行できる経胸壁心エコーが第一選択である。「水平断面連続スキャン法」は、体軸に直行する水平断面を上腹部胸骨下より胸骨上窩まで連続的にスキャンする方法で、心大血管構築異常の区分診断が得やすく、保存データからの診断再現性にも優れている。プローブ操作は容易だが、診断には知識と経験が必要である。  新生児心エコー検査では、心大血管構築異常を診断するとともに胎児循環から新生児循環への循環動態のダイナミックな変化を経時的に観察する。児の持つ心機能の範囲内で体循環と肺循環のバランスをとり、危機的な低酸素血症に陥ることなく生存に必要な体血流を保つ管理を考える。
原 著
  • 八木澤 由佳, 吹田 憲治, 大貫 芳樹, 伊藤 愛子, 梅木 大輔, 友成 博, 奥村 敏
    原稿種別: 原著
    2020 年 41 巻 1 号 p. 38-45
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/22
    ジャーナル フリー
     咬合異常は慢性的なストレスを誘発して交感神経活性を誘導することが報告されている。一方慢性的なストレスは心血管系疾患の危険因子になることが報告されている。しかしながら咬合異常と心疾患との関連についての詳細は不明である。本研究ではマウス下顎前歯に歯科用レジンを装着し、咬合拳上( BO, bite-opening)を行った咬合異常モデルを用いて、咬合異常が心機能に及ぼす影響について検討した。   BO処置2 週後に心機能を測定したところ、BO群ではコントロール群に比較して有意に心機能は低値を示した。心重量は両群間で有意差が見られなかったが、マッソン- トリクローム染色を行うと、BO 群ではコントロール群に比較して線維化領域の増加が確認された。以上のメカニズムを解明するためウェスタンブロッティングを行った。その結果、コントロール群に比較してBO 群では、アポトーシス促進タンパク(Bax)とアポトーシス抑制タンパク(Bcl-2)比が高値、心筋線維化を促進するextracellular signal-regulated kinase の活性化、ホスホランバン(Ser-16, Thr-17)のリン酸化が増加していた。  以上の結果より、咬合異常は心臓リモデリングを誘導して心機能を低下することが示唆された。
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