低侵襲心臓手術(MICS)では内頚静脈や大腿動静脈にカテーテルを挿入するため下肢虚血や静脈うっ血等の合併症の危険性がある。当院では下肢血流異常を早期発見する目的で近赤外分光法を用いて左右腓腹筋の局所酸素飽和度(rSO
2)とblood volume index(BVI)を測定している。本研究ではカテーテルを右大腿動静脈と右内頚静脈から挿入して人工心肺(CPB)を確立した17症例について左右腓腹筋のrSO
2とBVIを後方視的に調査した。腓腹筋rSO
2はカテーテル挿入中に低下したが抜去後には回復した。腓腹筋rSO
2は非侵襲的かつ持続的にCPBやカテーテル挿入の影響を鋭敏に捉え下肢血流異常を疑うのに有用であると思われた。腓腹筋BVIは数値にばらつきが大きく、臨床活用には更なる症例の積み重ねと検討が必要と思われた。
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