内容物が分からなくなった実験廃液や実験汚泥(実験系不明廃棄物)の回収と処理に関する方法論的研究を行った。この際、東京大学環境安全研究センターの実験廃棄物処理設備を用いて焼却処理することを前提とした。始めに、実験系不明廃棄物を有機系処理設備に投入するために必要な内容物情報と分析方法ならびに投入前処理方法に関して検討した。検討結果に基づき、21,695本の実験系不明廃棄物(約19,940 kg)を回収した。次いで実験系不明廃棄物を安全に混合した液を検体として、誘導結合高周波プラズマ質量分析(ICP-MS)法でHg, As, Se, Cd, Pb, Cr, B, V, Zn, Cu, Ni, Ba, Mn, Moなどの陽性元素を、燃焼機能付きイオンクロマトグラフ分析法あるいはイオン電極法でF, Cl, Br, I, P, S, Nなどの陰性元素を分析した。分析結果に基づき投入前処理し、11,957本の実験系不明廃棄物(約14,315 kg)を焼却処理した。また、開発した手法をより一般的に適用できるように検討し、焼却処理設備を持たない他の大学や研究機関での実験系不明廃棄物の処理方法として応用することが可能であると結論した。
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