岩鉱
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91 巻, 8 号
August
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論説
  • 曽 南石, 井沢 英二, 渡辺 公一郎, 板谷 徹丸
    1996 年 91 巻 8 号 p. 297-304
    発行日: 1996年
    公開日: 2006/11/15
    ジャーナル フリー
    大峠鉱床における金銀鉱化作用と熱水変質作用の年代を4個のセリサイト試料についてK-Ar法で測定した結果,3.93±0.15,3.99±0.10,4.10±0.10,4.15±0.10 Maが得られた。これにより深部の含金銀石英脈と現在の地表に存在する粘土鉱床のセリサイト帯が同じ時期に生じたことが示された。この年代は大峠鉱床の北東3 kmに位置する八谷鉱床の金銀鉛亜鉛鉱化作用の年代と近いものであった。したがって,両地域の鉱化作用が一連の熱水系の中で生じたという可能性がある。大峠層上部の溶結凝灰岩の年代として4.85±0.10 Ma(黒雲母,K-Ar年代)と4.60±0.30 Ma(ジルコン,フィッション・トラック年代)が得られた。これらの年代は大峠地域の火山活動の最後の時期を表している。

    Karasugawa Formation 烏川層,Kuroiwa Formation 黒岩層,Mayoizawa Mudstone Member 迷沢泥岩部層,Ninosawa Formation 二の沢層
  • 内田 悦生, 儀満 雅隆, 今井 直哉
    1996 年 91 巻 8 号 p. 305-318
    発行日: 1996年
    公開日: 2006/11/15
    ジャーナル フリー
    グロシュラー—アルマンディン—スペサルティン系ザクロ石の安定関係と固溶に関する熱力学的性質を調べるために600°C,1kbにおいてザクロ石と2N塩化物水溶液間におけるCa2+,Fe2+およびMn2+イオンの交換実験を行った。実験結果はCa2+はFe2+およびMn2+に比べて塩化物水溶液にやや濃集することを示した。また,グロシュラー—アルマンディン—スペサルティン系ザクロ石ではグロシュラー—アルマンディン系に沿った半円形の領域を除いて固溶体が生成された。この半円形の領域では,ザクロ石固溶体の代わりにファヤライト—灰長石およびヘデン輝石—灰長石—ウスタイトの鉱物組み合わせが出現した。塩化物水溶液中におけるFeCl3-aqとMnCl3-aqの存在を考慮に入れて実験結果からザクロ石固溶体の熱力学的性質を求めた結果,アルマンディン—スペサルティン固溶体は理想固溶体から負のずれを示し,グロシュラー—スペサルティン固溶体は逆に正のずれを示した。グロシュラー—アルマンディン固溶体の混合に関する熱力学的性質はこの系における広い不安定領域のため精度良く求めることができなかった。
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