グロシュラー—アルマンディン—スペサルティン系ザクロ石の安定関係と固溶に関する熱力学的性質を調べるために600°C,1kbにおいてザクロ石と2N塩化物水溶液間におけるCa
2+,Fe
2+およびMn
2+イオンの交換実験を行った。実験結果はCa
2+はFe
2+およびMn
2+に比べて塩化物水溶液にやや濃集することを示した。また,グロシュラー—アルマンディン—スペサルティン系ザクロ石ではグロシュラー—アルマンディン系に沿った半円形の領域を除いて固溶体が生成された。この半円形の領域では,ザクロ石固溶体の代わりにファヤライト—灰長石およびヘデン輝石—灰長石—ウスタイトの鉱物組み合わせが出現した。塩化物水溶液中におけるFeCl
3-aqとMnCl
3-aqの存在を考慮に入れて実験結果からザクロ石固溶体の熱力学的性質を求めた結果,アルマンディン—スペサルティン固溶体は理想固溶体から負のずれを示し,グロシュラー—スペサルティン固溶体は逆に正のずれを示した。グロシュラー—アルマンディン固溶体の混合に関する熱力学的性質はこの系における広い不安定領域のため精度良く求めることができなかった。
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