日本地球化学会年会要旨集
2004年度日本地球化学会第51回年会講演要旨集
選択された号の論文の284件中151~200を表示しています
岩石/地殻、鉱床
地球外物質
ポスターセッション
海洋の微量元素・同位体マッピングによる生物地球化学サイクルの解明
  • 小山 裕樹, 張 勁, 萩原 崇史, 佐竹 洋, 浅井 和見
    セッションID: 2P01
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/02/23
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    近年、世界中で海底湧水の存在が認められており、海底湧水の採取、湧出量の測定が盛んに行われている。海底湧水湧出量に対する見解が深まってきている中、沿岸環境への影響や水収支の観点から、広域おける海底湧水湧出量分布の解明は急務である。そこで本研究の目的は、フラックスチャンバー法(萩原・張勁ら、未発表)と堆積物中の温度を組み合わせた測定法を用い、広域における湧出量の分布を明らかにすることとした。その結果、全256点の測定では、湧出量は0_から_1.1L/min・m2であり、30m×30m(961m2)では湧出した地下水の量は1.5×104L/hであった。また、ライン上に沿って多く湧出していることもわかった。さらに、この海底湧水のケイ酸濃度(140μM)から、最大150μmol/min・m2ものケイ酸が供給され、海域全体にいたっては4.9×107μmol/dayのケイ酸が供給されている結果となった。
  • 萩原 崇史, 張 勁, 小山 裕樹, 中村 哲也, 浅井 和見
    セッションID: 2P02
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/02/23
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    近年、沿岸-陸域水循環を構成する一つの要素となる淡水性海底湧水の研究が盛んになっている。その中で、淡水性海底湧水の研究として様々な湧出量の測定方法が開発されているが、方法に問題点が多い。そこで、チャンバー法を利用した淡水性海底湧水の湧出量を定量で切る測定装置の開発を本研究の目的とした。この方法による湧出量の検証を行った結果、湧出量50_から_400mlの範囲で、測定精度±9.97ml(RSD=2%)、10_から_40mlの範囲で、測定精度±2ml(RSD=5%)となり、海底地下湧出水の定量が可能であると検証された。次に、2003 年4/24_から_12/10において富山県魚津市に位置する片貝川扇状地沖水深8m及び22mの海底地下水の湧出量測定を行った。その結果、8mと22mでは海底湧水湧出量が異なることが明らかになり、また年間を通して海底地下水は一定に湧出していないことが確認された。
  • 八田 真理子, 張 勁, 石坂 丞二, 三橋 康伸, 中口 譲
    セッションID: 2P03
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/02/23
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    本研究は、富山湾における物質循環メカニズムを把握する上で、詳細な水塊分布や陸からの淡水寄与を見積もることを目的とした。観測は、長崎大学実習船「鶴洋丸」・東京大学海洋研究所研究船「淡青丸」を用いて、2003年6月・7月に行った。富山湾の表層と魚津沖水深10m・20mにおいて低塩分水が発見された。魚津沖には淡水性海底湧水の存在が確認されている。今回、この寄与率を計算すると3.5%であることがわかった。また、富山湾の栄養分布から、窒素負荷またはリン枯渇傾向であり、湾中央より海底湧水が存在する魚津沖では、この傾向が強いことがわかった。魚津沖の海底湧水は、その起源が浅層地下水であり、この浅層地下水は、有機肥料や化学肥料による窒素の影響を受けている可能性が高い。以上のことから、富山湾は、河川水・海底湧水により、リンに対して窒素の割合が高い淡水が放出されていると考えられる。
  • 山田 正俊, 鄭 建, 青野 辰雄
    セッションID: 2P04
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/02/23
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    西部および中央部北太平洋より海水を採取し、その239+240Pu濃度を測定した。239+240Puは主に1960年代の大気圏核実験および1950年代に行われたビキニ環礁での水爆実験により、太平洋にもたらされた。海洋では未だに定常状態にはなく、1970年代に行われたGEOSECSデータと比較することにより、その存在量の時系列変化を調べた。その結果、20から30%減少していることが明らかになった。その原因について考察する。
  • 内田 麻美, 西澤 学, 白井 厚太朗, 高畑 直人, 佐野 有司, 飯嶋 寛子, 茅根 創
    セッションID: 2P05
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/02/23
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    サンゴ骨格の酸素および炭素同位体組成は海水温、塩濃度、そして海洋炭酸物質の起源を反映し、海洋環境の変化を考察するうえで重要である。またサンゴ骨格中には窒素も含まれており、その同位体組成は海洋の硝酸イオンの窒素同位体組成を反映すると思われる。従ってサンゴ骨格中の窒素同位体組成から、海洋窒素循環を高い時間分解能で復元できる可能性がある。しかし骨格中の窒素含有量は数百ppbと少ないため、窒素同位体組成の測定例はきわめて少ない。本研究では静作動型質量分析計を用いて、サンゴ骨格中に微量に存在する窒素の同位体組成を段階加熱法により測定した。具体的には、時間分解能一ヶ月で切断したサンゴ骨格を試料(5mg程度)として、骨格中の窒素同位体組成を月単位で測定した。発表では、サンゴ骨格の段階加熱法で得られた炭素及び酸素同位体組成についても議論する。
  • 則末 和宏, 江副 雅子, 宗林 由樹
    セッションID: 2P06
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/02/23
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    海水中の微量金属の分布は海洋における物理・化学および生物学的な過程を鋭敏に反映する。スールー海(フィリピン)は、周囲を浅いシル(sill)で囲まれた半閉鎖的な海盆であり、陸源物質の供給や深層水循環に関して外洋と極めて異なる。しかし、スールー海における微量金属の分布に関する報告はほとんどない。本研究では、スールー海およびその周辺海域であるセレベス海、南シナ海および西部北西太平洋における微量金属Fe, Co, Ni, Cu, Zn, CdおよびPbの空間分布を明らかにする。
  • 田副 博文, 小畑 元, 蒲生 俊敬
    セッションID: 2P07
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/02/23
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    ネオジムの同位体比は供給源に関する情報を維持しており、水塊のトレーサーとしても有用である。そのため、希土類元素パターンとともに多くの研究が行われてきた。セリウム同位体比も同様に水塊トレーサーとなり得ると考えられてきたが、その測定が困難であるために、これまでほとんど報告されていなかった。本研究では新たにセリウム同位体比の測定法を開発し、西部北太平洋の表面海水中の同位体比分布を明らかにした。 表面海水中のネオジムに関しては同位体比および濃度分布から浅海性沿岸堆積物からの溶出と水平輸送がおもな供給課程であると考えられている。しかし、セリウムに関してはネオジムよりも海洋における平均滞留時間が短く異なる挙動を示すことが予想される。本研究では両元素の同位体比分布から海洋における挙動の違いを明らかにし、セリウム同位体比が水塊トレーサーとして有用であるかについても検討を行う。
  • 西谷 啓伸, 張 勁, 成田 尚史, リチャード ジョルダン
    セッションID: 2P08
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/02/23
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    近年ベーリング海では珪藻の優占が崩れはじめていることがわかっている。そこで本研究は,植物プランクトンの細胞数のカウント結果と,栄養塩濃度や水塊の物理化学との関係から,各属の植物プランクトンがどのような環境状態において優占するかを明らかにすることを目的とした。観測点は,主に166°W線の55.0°Nから59.0°Nで,サンプリング時期は,2000年8/28-31,2001年9/1-3,2002年8/1-2,2003年7/20-25である。2000年,2001年では円石藻が確認でき,円石藻の出現には季節的要因が関わっていることがわかる。また2000年と2001年を比較することにより、円石藻の出現は河川と深層水からの栄養塩の供給バランスに左右されることがわかった。一方2002年,2003年はともに珪藻が優占し,そのサイズは南方では大きく、北方では小さくなっていた。この要因としてケイ酸の供給源が河川ではなく深層水であることが考えられる。
  • 有沢 桃子, 張 勁, 西谷 啓伸, 成田 尚史, リチャード ジョルダン, 斎藤 誠一, 今井 圭理
    セッションID: 2P09
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/02/23
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    微小植物プランクトンの分布特徴とその支配要因を把握するために,北太平洋亜寒帯域,東西165度線上の計15地点で観測を行った(7月初旬,7月下旬,10月初旬)。採取した海水はセルカウント用及びクロロフィルa,栄養塩測定用に分取した。セルカウントは微小植物プランクトンまで分類できるように電子顕微鏡を用いた。その結果,植物プランクトンの計数結果から,各季節における北太平洋亜寒帯域での大まかな植物プランクトン分布が明らかになった。植物プランクトン分布は親潮域,黒潮域を境界に大きく変化していた。また,各緯度における優占種及び細胞密度などから,西部北太平洋亜寒帯域の38.5°N_から_40°Nおいては,大気起源の鉄を含む栄養塩が生物生産を支える上で極めて重要であることがわかった。
  • 佐藤 瑠美, 張 勁, 山腰 裕子, 佐竹 洋, 竹内 章, 岡村 行信
    セッションID: 2P10
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/02/23
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    2001年、北海道茂津多岬沖海底で、1km2弱の豹紋状巨大バクテリアマットが発見された。本研究は、この巨大バクテリアマットの生成メカニズム、海底冷湧水とテクトニクスの関連性を明らかにすることを目的とした。1999-2003年計10回の潜航調査により採取された柱状試料で、バクテリアマット下0-4cmbsfで、急激な硫酸濃度減少が見られ、硫酸還元菌も確認された。硫酸還元は、メタン又は有機物と反応するが、間隙水中のΔSO4とΔCa+ΔMgのモル比が1:1であることより、メタン起源であることが分かった。また、塩素濃度減少と、δ18O/δDの値から、メタンの起源がメタンハイドレートである可能性が大きいと推測され、堆積物中の有機炭素量にも支持された。さらに、斜面崩壊の痕跡と共にバクテリアマット下5-37cmbsfで強い硫化水素臭の砂利層が確認され、地殻熱流量の実測値と合わせた結果、砂利層を通って、メタン源からメタンが広域に供給されることが考えられる。
  • 笹川 基樹, 亀山 宗彦, 川口 慎介, 中川 書子, 角皆 潤, 野尻 幸宏
    セッションID: 2P11
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/02/23
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    大気中のメタンは二酸化炭素の数10倍のGWP(地球温暖化ポテンシャル)を持ち、二酸化炭素に次ぐ温室効果気体である。また大気中メタン濃度の過去50年の平均増加率は二酸化炭素よりも大きいため、地球温暖化に対する影響は更に大きくなることが予想される。自然起源のメタンは人為起源をあわせた全球フラックスのうちの約30 %を占める。外洋の表層海水中には、大気の溶解平衡よりも数%から数10 %程度過剰のメタンが溶存していて大気への放出源となっており、そのフラックスは自然起源メタンの30 %前後を占めると見積もられている。この海洋表層のメタンは微生物起源と考えられているが、通常メタン生成細菌によるメタン生成は嫌気的環境下に限られ、好気的環境の海洋表層・亜表層では起こりえない。この矛盾を解決するメタンの放出源として、沈降有機物粒子や動物プランクトンなどの体内に形成されるミクロな還元環境が注目されている。ここでメタンが生産され海水中に供給されるという仮説だが、まだ明確な知見は得られていない。メタンの供給源を明らかにすることは、海洋におけるメタンの挙動や海洋から大気へのフラックスを見積もる上でも不可欠であると考えられる。さらに海水中のメタンを指標として用いることで逆に動物プランクトンの体内の生物地球化学的過程について考察できる可能性もある。そこで本研究では、2004年7/13-8/27に北部北太平洋において行われた白鳳丸KH04-3次航海で、同位体指標を併用してメタンの起源を考察する実験を行った。まず表層から水深300 mまでの計11層の海水試料を採取した。同時にセジメントトラップ(水深40m, 70m, 100m)を設置し各層に沈降する粒子から放出されるメタンを採取した。投入してから3、4日おきに引き上げ、トラップ内で沈降する粒子からのメタンを濃縮した滅菌高塩海水試料水を分取した。更に動物プランクトンに内包されるメタンを調べるため、NORPACネットにより水深150 m以浅のプランクトン試料も採取し放出されたメタンを分取した。これらの試料についてメタン濃度測定の他、メタンの炭素安定同位体比、亜酸化窒素の濃度・同位体比を測定し、海洋亜表層におけるメタンの起源を考察した。
  • 亀山 宗彦, 川口 慎介, 中川 書子, 笹川 基樹, 角皆 潤
    セッションID: 2P12
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/02/23
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    近年、温室効果気体の中で最も濃度の高い二酸化炭素を減少させるために、富栄養でありながら鉄が欠乏している海域に鉄を散布し植物プランクトンを増殖させ、炭素を固定させるという試みがなされている。植物プランクトンの増殖に伴い生物活動が活発になると考えられ、様々な生物化学的な反応により生成・消滅する化学成分の挙動を把握するために非常によい環境にあるといえる。本研究では、船上で鉄散布に伴う温室効果気体濃度の変化を測定するため、溶存気体自動抽出装置(AMEXs:Automatic Methane and nitrous oxide EXtraction System)を開発した。本発表ではその測定法と、実際の船上分析結果を亜酸化窒素について紹介する。
岩石/地殻、鉱床
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