日本らい学会雑誌
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63 巻, 3 号
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  • 斎藤 肇
    1994 年 63 巻 3 号 p. 63-64
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
  • その1. 弾性線維と皮膚付属器を中心に
    並里 まさ子, 亀山 孝二, 矢島 幹久
    1994 年 63 巻 3 号 p. 65-74
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    らいに長期罹患した場合,患者は寛解後もしばしば種々の特徴的な皮膚所見を残すことはよく知られており,創傷治癒後の肥厚性瘢痕やケロイドが極めて生じにくいことも日常しばしば経験する。これら皮膚の性状を決定するには極めて多くの要素が関与するが,真皮結合組織中の弾性線維もその主たるものの1つである。今回我々は,過去にらいの既往を有する患者の皮膚を対象として,その真皮結合組織の厚さ,線維成分の計測とともに,皮膚付属器の病理組織学的所見について検討した。被検部位として,らい病変を比較的発症しやすい顔面と四肢を選んだ。対象患者は60才以上の高齢者であったので,対照群として患者に近似した年齢群における同様部位を選び比較した。その結果患者皮膚では,下肢の真皮の厚さが著明に減少するとともに,弾性線維の相対的増加傾向が見られた。また皮膚付属器は,全般に著明に減少,退縮していた。しかし汗腺に関しては,表皮内汗孔はほぼ消失しているものの,わずかな分泌機能を有する腺体が残存している所見が得られた。一方頬部皮膚では,対照群で見られたようなsolar elastosisの形成が不十分な症例があり,これには病型,罹病期間とうの関与が推察された。以上より,患者皮膚では,一般の加齢による皮膚変化以外に,上記のような特徴的な皮膚所見が存在するものと考えられた。
  • 福富 康夫, 乾 左徒子, 小野崎 菊夫, 與儀 ヤス子, 皆川 文重
    1994 年 63 巻 3 号 p. 75-85
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    マクロファージがさまざまな刺激を受けるとサイトカインを産生することが知られている。本研究では,M. lepraemurizum, M. intracellure, M. gordonareを用いて,in vitroでC3H/He並びにC 3H/HeJマウス由来腹腔マクロファージと共に培養し3日目の培養上清中のサイトカイン活性を調べた。その結果,これら抗酸菌を貧食したマクロファージからインターロイキンー1と腫瘍壊死因子(TNF)が放出されることを観察した。その放出量は加えた菌量に比例した。さらに,以前から報告されているごとく,マクロファージをインターフェロンγ (IFN γ)と共に培養すると細胞表面上に強いIa発現が観察される。しかし,抗酸菌を貧食したマクロファージではIFN γによるIa発現は抑制された。同様に,MRL/lprマウスの腹腔マクロファージはIaを強く発現しているが,抗酸菌と共に培養すると3日後には発現が抑制された。興味あることに,抗酸菌と共に培養したマクロファージの培養上清をIFN γ存在下で培養してもIa抑制活性が見られた。
    これらの結果は,マクロファージにおけるサイトカイン産生と細胞表面Ia発現の抑制は同時に起こる現象であることを示唆している。そして,Ia発現抑制機構の少なくとも一部分は抗酸菌貧食マクロファージから産生される抑制因子によって担われていることが判明した。
  • Jun-Guang Xiong, 皆川 文重, 福富 康夫
    1994 年 63 巻 3 号 p. 86-94
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    TNF(腫瘍壊死因子)は免疫増強活性など種々多様の生物活性を有していることが知られている。また,細菌感染防御における重要な役割も示唆されている。我々は,in vitroにおいて,LPS刺激によるマウスマクロファージからのTNF産生がクロファズミンにより増強されることを観察した。しかし,リファンピシンにそのような活性を見出せなかった。マクロファージをマウス腹腔常在細胞から精製し,クロファズミンで前培養してから後にLPSで4時間刺激,または,クロファズミン存在下でLPSで4時間刺激して培養上清を得てL 929細胞に対する障害活性にてTNF活性を測定した。その結果,どちらの培養条件下でもクロファズミン処理群の方に高いTNF活性が見られた。一方,クロファズミンそれ自体にはTNF誘導活性は見られなかった。
    クロファズミンは抗らい菌剤としてよく知られている,我々の実験結果から,この抗らい菌剤によってマクロファージからのサイトカインの産生が高まり,宿主の抗らい菌反応が誘導される可能性が示唆された。
  • Eshaq Faruque, A K M Anisul Hoque, Jalaluddin Ahmed, Rukunuddin Ahmed, ...
    1994 年 63 巻 3 号 p. 95-98
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    Two hundred and fifty paucibacillary (PB) leprosy patients were treated with WHO recommended multidrug therapy (MDT) and followed up them for four years. The paucibacillary MDT regimen (PBR) was well accepted and tolerated by the patients. Clinical regression was attained in 60% patients after 6 doses of PBR. Reversal reaction occurred in 14% cases and relapse were found in 1.6% cases 18-24 months after completing the treatment. The incidence of reversal reaction was high in patients with more than 2 thickened nerve trunks associated with more than 5 patches.
  • 中村 昌弘
    1994 年 63 巻 3 号 p. 99-104
    発行日: 1994/11/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    先ず,らい菌そのものより最も効果的にATPを抽出する方法を検討した。その結果,操作の簡便性と抽出効果より,従来のクロロフォルムを用いた方法に100mM Tris-EDTAを加えることによりその抽出効果が高まることが分かった。
    次に仔ウシ血清加bufferとDubos培地に接種してincubateしたらい菌よりATPの抽出に際してクロロフォルムの効果を検討したところクロロフォルムを用いないと,らい菌のATPは経時的に減少した所見を示したのに,クロロフォルムを用いると両培地内らい菌のATPはむしろ増加する所見さえ得られた。これらの結果よりATP抽出操作においてクロロフォルムの使用は必要欠ぐべからざるものである。
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