情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集
第17回情報プロフェッショナルシンポジウム
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
2020年7月2日(木)〜3日(金)
3i研究会
01
  • S社の自転車部品市場における知的財産戦略
    井本 美子, 今井 雅子, 前田 耕一, 三沢 岳志, 矢部 悟
    p. 1-6
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    グローバルに活躍する企業は競合企業と戦うために、事業方針に沿った知的財産戦略を持っていると思われる。本研究は、経済産業省が独自の分野で世界のトップを走る企業をまとめた「グローバルニッチトップ企業100選」の中から自転車部品業界で世界トップのS社を選び、その知的財産戦略を明らかにすることを目的にした。

    S社は自転車部品業界で世界的に圧倒的なシェア(約85%)を持つことと、自転車部品の組み合わせであるコンポーネントは独自でありながら、その外部インターフェースが公開されていることから「自転車界のインテル」と言われている。しかし調査をするとビジネスモデルも知財戦略もインテルとは異なる。また、ヨーロッパを中心に自転車業界がEバイクに急速に移行する中、S社は後発でありながら、Eバイクのコンポーネントでも一定のシェアを確保している。そこでS社の自転車部品におけるトップシェア獲得と、Eバイク市場への参入における知財戦略を一部でも読み解くべく研究を行った。

02
  • 睡眠ビジネスの現状と今後期待されるもの
    坂本 泉, 開本 亮, 高石 静代, 近成 涼香
    p. 7-12
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    本研究では、「睡眠の質」に着目し、現状の睡眠ビジネスにおける課題を分析し、今後期待されるサービスを予測することを目的とした。

    まず現状の睡眠ビジネスにおける課題について、睡眠ビジネスに関する市場、睡眠ビジネスの全体像、睡眠ビジネスのプレイヤー、睡眠ビジネスの具体例を把握し、睡眠に影響を与える要因マップの作成をして、調査および分析を行った。次に、新聞記事を中心とした市場調査、睡眠分野でトピックになっている論文の抽出、特許調査を行い、さらに中央官庁の関連する政策から課題を分析した。

    その結果、睡眠の質の測定は向上してきており、病院や介護施設等を対象とするBtoBのソリューションはすでに実用化されているものの、個人にフォーカスするBtoCのソリューションが不足していることが分かった。したがって、将来においては、そのソリューションを加味したデバイスをパーソナルで使用できる睡眠ビジネスが普及すると考えられる。

03
  • 富山 明俊, 長谷部 雅彦, 大山 玲子, 亀田 倫子, 杉山 典正
    p. 13-19
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    本研究は,コモディティ化した掃除機市場を対象とし,新規参入の成功例として国外企業2社(サイクロン掃除機:D社,ロボット掃除機:iR社)に着目し,成功の背景と要因について知財情報分析から明らかにするものである.分析では,2社に関する情報を特許,意匠,商標,新聞・ウェブ情報から収集し,掃除機市場で高いシェアを獲得した要因を探った.分析の結果,D社は掃除機市場のサイクロンタイプのカテゴリにおいて,iR社は新たに開拓したロボット掃除機のカテゴリにおいて,シェアを拡大すると同時に特徴的な出願を行っていることが明らかになった.さらに,後発類似製品の出現を許しているものの,追随させない高いシェアをブランド力によって確保していることが分かった.そこで,継続性の高いブランド力を獲得するための知財戦略について,調査結果を元にした戦略展開マップとSWOT分析により整理し,考察を行った.

04
  • 斉藤 美貴子, 前岩 幸
    p. 21-26
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    企業が新規事業を立ち上げるにあたっては、社会ニーズに合致した事業であることを見極め、また、事業化するための課題を解決する必要がある。企画部門は、企業全体を俯瞰して、複数の事業部を巻き込んだ大きなビジネスモデルを策定する役割を担う。本研究では、企画部門が新たなビジネスや課題を事業部に提案すると仮定して、陸上養殖を研究題材に、情報の活用手法を模索した。

    Web情報から未来を予想し、発想を展開する手法を報告する。この発想法により、新たな技術確立の必要性や新ビジネスの可能性を見つけることができた。更に、論文調査、特許調査で得られた情報も加え、クロスSWOT分析し、バックキャストによる事業ストーリーを作成したので報告する。

05
  • 塩谷 綱正, 堀池 彰夫, 髙梨 睦, 橋本 道枝, 神谷 昌男
    p. 27-30
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    自治体は、人や資金等が限られているため、解決すべき社会課題を的確かつ効率的に抽出する必要がある。社会課題の抽出手法としてデータ解析や集団討議等が存在しているが、従来の手法では地域性と客観性の両立が困難であった。そこで、本研究では、高齢化を題材に、市議会議事録を情報源にして、地域性と客観性を保ちながら新規な社会課題を抽出する手法を検討した。高齢化が進み、種々の高齢化関連施策が展開されている富山市をベンチマーク都市に選定した。富山市の過去4年の市議会議事録を目視とテキストマイニングで解析して、新規な社会課題の候補を選定した。次に、富山市と地理的及び人口条件が類似し、高齢化比率が富山市よりも低い調査対象都市を選定し、これらの都市の市議会議事録に、選定した上記社会課題が含まれているかを確認した。その結果、全ての調査対象都市で従来認識されていなかった高齢化に関する新規な社会課題を抽出できた。

口頭発表
06
  • C-Suiteの心に突き刺さる俯瞰可視化図と特許価値評価
    桐山 勉, 栗原 健一, 藤城 享, 川島 順
    p. 31-36
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    空飛ぶタクシー技術の研究が,世界規模の開発競争にて行われている。日本でも当初予定の東京五輪の特別イベントとして空飛ぶタクシーのデビュー実現化が構想されていた。トヨタ自動車がMaaS(Mobility as a serviceの略語)の具現化として米新興のJoby Aviation社に430億円の出資を決定した。Uber社が目論む2023年からのMaaSに対するビジネス事業の競争が一段と色めき始めた。新型コロナウイルスの危機で,当初の目論見が狂い始めてきた。当該PDG部会では,eVTOL/Hybrid-eVTOL実証機の該当特許群を分析して,トヨタ自動車のJoby-S4実証機の選択・決断は正しいかの検証を試みるという挑戦は継続した。その際に,C-Suite (CEO,COO,CTOなどの経営層の総称略語)の心に突き刺さる感動の分析図はどのようなモノかも,併せて研究した。

    結論としては,eVTOL/HybrideVTOL実証機の巡航可能距離と巡航速度の図を見つけることが重要と判明した。この図を基に,巡航可能距離と巡航速度の両方を追及した企業は,素晴らしい電池技術を見つけていることに気が付いた。そして概略1時間を超える巡航時間を目標としていることも解った。その報告をINFOSTA-SIG-PDG部会の活動報告として発表する。尚、eVTOLとは、electric Vertical Take-Off & Landingの略号で、電動垂直離着機を指す。Hybrid-eVTOLとは、発電機も搭載した電動垂直離着機を指す。

07
  • DESKBEEにおける形態素解析の問題回避と重み付け
    田畑 文也
    p. 37-42
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    AI(人工知能)を用いて特許調査の効率化が検討されているが、なかなか思ったように精度が出ない場合も多い。本検討では、アイ・ピー・ファイン(株)のDESKBEE®を用いて、特許調査精度を向上させる手段を検討した。

    半導体薬液特許を母集団とし、フッ酸の有無で正解・ノイズと分け、どのようにすれば精度が向上するか調べた。今回の特徴量であるフッ酸について、同義語の用語統制を行ったが、まだ十分な精度が得られず、その原因が形態素解析起因の問題であると考えた。そこで、DESKBEEで用いられている形態素解析システム(MeCab)が、日本語処理において、アルファベットの文字列を一塊の文字列として処理する特性を利用して、フッ酸を“AAAA”などと、一塊のアルファベットの文字列に置き換え(カプセル化)、形態素解析起因の問題を回避し、劇的に精度を向上できることを見出した。

    また、特徴量の重み付けとして、カプセル化した“AAAA”を、“AAAA、BBBB” や “AAAA、BBBB、CCCC”などと、複数の形態素が近くに存在するような形に読点”、“で区切って連続させると、正解・ノイズの分離精度が上がり、特徴量を重み付けることができることを見出した。これらの精度向上方法は、DESKBEEだけでなく、いろいろなAI系ツールでも同様に使える可能性あるので、ここに報告する。

08
  • 文書のベクトル化方法、文書分類の特許調査への応用
    安藤 俊幸
    p. 43-48
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    特許調査の上流工程である予備検索課程に特許調査と機械学習の観点から着目して自分でできる調査の効率化の基礎検討を行うものである。ブラックボックス化を避ける為にも特許調査は、最近のAIシステムに丸投げという方向性は目指さず、「人」が行うべきところと機械学習で行った方が良いところを仕分けする。性能評価方法の考え方は商用のシステムの性能評価にも応用可能である。

    特許調査の観点からは予備検索は調査範囲の確定と検索キー(特許分類、特徴キーワード)の抽出が重要である。検討対象としては過去にも検討を行い正解が分かっているガスバリア性フィルムの分野の問題を対象とした。

    機械学習の観点からは、文書のベクトル化手法としてBag of Word(BoW)モデル、TF・IDFモデル、分散表現ベクトルのモデルとしてAve-word2vec、doc2vec、Ave-fastTextを検討した。文書ベクトルのソースとして大別してテキスト(タイトル、要約、請求項)と特許分類(特にFターム)による文書ベクトルを作成・比較した。

    機械学習による文書分類の手法としてはXGBoost(eXtreme Gradient Boosting)パッケージを利用した。XGBoostの他に7種類の文書分類アルゴリズムを検討した。

    文書のベクトル化手法と文書分類モデルの性能は交差検証した。結果は概ねTF・IDF文書ベクトルを用いてXGBoostによる文書分類モデルが良い傾向を示した。

09
  • 棚橋 佳子, 褚 冲, 澤谷 弾
    p. 49-53
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    本研究では、基本特許数、成功率、グローバル率、影響度の4つの指標に基づいて、9年間にわたり世界のトップ100機関を毎年特定しているDerwent Top 100 Global Innovatorの各年の結果をまとめ、2014年―2020年の7年の経年変化を調査した。Top 100に入るには、出願者全体の中で、4つの指標がどの指標においてもバランスよく良い位置を占めることが要求される。9年間のTop100の総合点は上昇続け、特許数とグローバル性で抜きんでていた大企業も、出願すべき特許を厳選し、影響力を与える特許を出すこと、特許のエコシステムを牽引することが要求されるつつある。9年間における100社選出は日米の企業が拮抗する中、2国で70%を占めてきた。しかしながら、出願者数や特許数そのものが増加し続ける中、4つの指標の重みが変わってきた。トップの情勢が変わりつつあることを2020年のレポートで考察する。

10
  • 林 和弘
    p. 55-58
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    その国の研究力を測る手段として、研究論文数が取り上げられることが多いが、その国の学会を中心とした研究者コミュニティが主体的に編集に携わるジャーナル(自国ジャーナル)の数やそれらの質も、研究力を測る一つの指標となりうる。今回、クラリベイトアナリティクス社のジャーナルインデックスの中で、分野別のインパクトファクター上位25%(Q1ジャーナル)の雑誌群をその分野のトップジャーナルとみなし、その数と内容を国別に分析することで、その国の研究力や特徴に関する示唆を得ることができると考え、2000年以降のQ1ジャーナル数の推移を日本と中国に絞って調査・比較した。その結果Q1ジャーナル数において2010年代に日中の逆転が起こり、また、2018年には3倍以上の差が生まれていることが分かった。また、中国のQ1ジャーナルは、2000年代後半より戦略的な創刊、ないしはプラットフォーム移行がなされていることが示唆され、欧米の商業出版社との提携が多いことなどがわかった。

11
12
  • 本田 正美
    p. 65-70
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    2012年に電子行政オープンデータ戦略が策定されて以降、日本政府および自治体においてオープンデータの取り組みが推進されている。オープンデータの推進が唱導される前から情報提供として情報を能動的に公開している自治体が存在している。本研究は、オープンデータと情報提供の関係に着目する。情報提供というかたちで情報を能動的に公開してきた自治体はオープンデータの推進という新たな政策課題を前にして、より適合的な動きを取ることが出来たのではないかという問いを立てる。かような研究上の問いについて、本研究では日本の都道府県を対象に実証分析を行った。その結果、47都道府県において情報提供を積極的に行ってきた団体がオープンデータにも積極的に取り組んでいるという関係は見出せなかった。情報公開担当部署とオープンデータ担当部署が異なることがその原因として考えられる。

13
  • 田中 雅章, 神田 あづさ
    p. 71-76
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    2019年4月より学校教科書法が改正され、2020年の4月から小学校でデジタル教科書の利用が始まった。筆者が所属する学園の看護師養成課程では、それよりも5年早い2015年からデジタル教科書の利用を始めた。ただ、全ての教科書ではなく、50冊中39冊がデジタル教科書、11冊が従来の紙の教科書から始められた。さらに、2016年からはデジタル教材も追加された。これらのサービスは電子書籍配信サービス(以降配信サービス)のシステムを利用することで実現できた。この配信サービスを利用するには、専用ビューアーアプリをタブレットにインストールする必要がある。配信サーバーから書籍データをダウンロードすることで、デジタル教科書やデジタル教材が利用できる。利用者である学生は高校生の時からスマートフォンを所有しており、普段からスマホでマンガや小説を読む環境に慣れていた。したがって、ほとんどの学生はデジタル教科書になれるのが速かった。入学時から看護師国家試験受験の時期までの3年間にわたりデジタル利用ログを収集した。収集した利用ログを同国家試験の合否別に分析した。本稿では国家試験の合否に基づいた学生の解析結果を報告する。

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