日本医真菌学会雑誌
Online ISSN : 2434-5237
Print ISSN : 2434-5229
63 巻, 3 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
総説
  • 加納 塁
    2022 年 63 巻 3 号 p. 41-46
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/31
    ジャーナル フリー
     日本国内で分離される動物の皮膚糸状菌症の原因菌種である,Microsporum canis, Nannizzia fulva, Nannizzia gypsea, Nannizzia incurvata, Trichophyton mentagrophytes, Trichophyton benhamiae, Trichophyton erinacei, Trichophyton verrucosum, Trichophyton equinum, Trichophyton bullosum, Lophophyton gallinaeについて,各分類の歴史を簡単に概説した.初学者の参考になれば幸甚である.
  • 笠松 純, 川上 和義
    2022 年 63 巻 3 号 p. 47-58
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/31
    ジャーナル フリー
     クリプトコックス症はCryptococcus neoformansによって引き起こされる日和見真菌感染症である.免疫系が正常な健常者では不顕性感染となることが多いとされる.一方,免疫低下を伴う基礎疾患をもつ患者や免疫抑制剤を使用している患者では髄膜炎など重篤な疾患を引き起こす.免疫系は自然免疫系と適応免疫系に大別され,感染症を引き起こす病原体によって異なるリンパ球サブセットが生体防御を担う.本稿では,クリプトコックスに対する自然免疫応答と適応免疫応答について解説する.さらに,それら免疫系の破綻によって生じるクリプトコックスの内因性再燃についても紹介する.これらの知見は,クリプトコックス症に対する治療薬やワクチンを開発するための新しい視座を提供する.
  • 広範囲体部白癬の在日インド人親子例
    加倉井 真樹, 加納 塁, 原田 和俊, 出光 俊郎
    2022 年 63 巻 3 号 p. 59-65
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/31
    ジャーナル フリー
     テルビナフィン耐性白癬菌がインドで増加しており,日本にも持ち込まれている.また,日本固有の菌と考えられるテルビナフィン耐性白癬菌による爪白癬や足白癬,体部白癬も報告されている.今回,テルビナフィン耐性白癬菌による広範囲体部白癬の親子例を経験した.19歳女性,体幹四肢に紅斑多発.ビホナゾールクリーム外用で軽快した.2年後,腰臀部下肢に紅斑が再発した.2年前と今回の両菌とも真菌培養と分子生物学的検査でインド由来のTrichophyton interdigitaleと診断した.テルビナフィン内服は無効であり,2年前と今回の両菌ともテルビナフィンが阻害するsqualene epoxidaseの遺伝子変異を有していた.この間,47歳父親が広範囲の体部白癬に罹患した.テルビナフィン内服は無効で,broth microdilution法による薬剤感受性試験で,テルビナフィン耐性白癬菌と判明.テルビナフィンが阻害する特有の遺伝子の変異を有していた.日本でもテルビナフィン耐性白癬菌が蔓延していく可能性があり,治療にあたり注意が必要である.
  • 木村 俊一
    2022 年 63 巻 3 号 p. 67-74
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/31
    ジャーナル フリー
     血液領域の真菌感染症診療においても,新規抗真菌薬の登場,画像・バイオマーカーによる診断能の向上によって治療戦略の選択の幅が広がった.一方で,抗真菌薬は一定の頻度で有害事象がみられ,薬物相互作用を有するものも多いこと,また,新規薬剤の使用が広まることによる薬剤耐性やブレイクスルー感染症の懸念などもあることから,抗真菌薬の適正使用は,より一層重要な課題となっている.医師,薬剤師,看護師,検査技師など多職種が関わりながら診療にあたることで,より質の高い真菌感染症診療の実践につながると考える.
シリーズ用語解説
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