日本医真菌学会雑誌
Online ISSN : 2434-5237
Print ISSN : 2434-5229
最新号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
総説
  • 田村 俊
    2024 年 65 巻 2 号 p. 37-43
    発行日: 2024/04/30
    公開日: 2024/05/31
    ジャーナル フリー
     現在,国内での真菌感受性測定法はClinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)の基準に準拠して測定,判定を行っている.しかしながらCLSIドキュメントは頻繁に改定を行っており改定内容を把握していないと測定結果に齟齬が出る場合がある.今回,酵母用真菌のドキュメントであるM27と糸状菌のドキュメントであるM38について,その変遷と最新のドキュメントについて確認を行った.なお,M27については最新の測定方法の重点事項について解説した.また,感受性測定試薬については現在いろいろな問題点が判明してきている.今回それらの点についても確認をしてみたい.
  • 真菌特異的記憶CD8 T細胞を誘導するためには何が必要か?
    上野 圭吾, 永森 晶子, 本弓 奈穂子, 宮﨑 義継
    2024 年 65 巻 2 号 p. 45-51
    発行日: 2024/04/30
    公開日: 2024/05/31
    ジャーナル フリー
     病原性真菌Cryptococcus neoformansCryptococcus gattiiは,一般的に肺を侵入門戸として感染しクリプトコックス症を引き起こす.中枢神経系に播種する病態では重篤になる症例も多く,感染を予防するワクチンの社会実装が望まれている.クリプトコックス症ワクチン研究は文献が遡れるものでは1958年からみられ,当初はワクチンによる抗体産生誘導が着目されていた.1990年以降はワクチンによる細胞性免疫の誘導と肉芽腫形成による菌体増殖の抑制が研究されている.途上国ではクリプトコックス症がHIV感染に続発する感染症として問題になっており,2010年以降ではCD4 T細胞に依存せずに細胞性免疫を誘導するワクチン,さらにはC. neoformansC. gattiiの両方に対して防御効果を発揮するワクチンが研究されている.それらの性能を満たすワクチンとして,高免疫賦活性株を利用した全粒子経鼻ワクチンが複数報告された.これらのワクチンは,CD4 T細胞が欠乏する条件でもワクチンの性能が維持されており,自然免疫やCD8 T細胞が免疫記憶を代償するらしい.これら代償性免疫記憶を誘導するために,ワクチンにはどのような要素が必要なのか.安全性に優れた成分ワクチンを目指した場合に,アジュバントやモダリティーを工夫すれば,生体防御能を有する自然免疫記憶や記憶CD8 T細胞を誘導できるのか.本稿では,クリプトコックス症に対する全粒子経鼻ワクチン H99γ,sgl1∆,ZNF2oefbp1∆について解説し,他の呼吸器真菌症での研究事例も交えて,CD4 T細胞非依存性ワクチンについて考察した.
  • 類円形菌体の鑑別に焦点をあてて
    木村 雅友
    2024 年 65 巻 2 号 p. 53-60
    発行日: 2024/04/30
    公開日: 2024/05/31
    ジャーナル フリー
     真菌症の病理組織学的診断は真菌菌体が存在する感染巣を確認できることから確定診断となりうる.これによりコロニゼーションも除外できる.クリプトコックス症をはじめとして類円形菌体が組織中に認められる真菌症は多数あり,それぞれに組織学的鑑別が必要である.種々のクリプトコックス症における組織内菌体の形態および染色性について特徴を述べた.また類円形菌体が組織中に認められるカンジダ症,ニューモシスチス症,スポロトリックス症,スケドスポリウム症,およびアスペルギルス症についてクリプトコックス症との鑑別に主眼をおいて解説した.
feedback
Top