頭部白癬は,毛髪に白癬菌が寄生した状態で,近年の主たる原因菌は
Microsporum canis,
Trichophyton tonsuransである.ケルスス禿瘡は,頭部白癬の病型の1つで,白癬菌の寄生した毛髪(毛包)を中心とした急性化膿性病変である.頭部白癬の経過中に膿疱が出現し,腫脹,結節,膿瘍を形成し,しばしば瘢痕脱毛を生じる.湿疹と誤診されてステロイド外用により誘導される症例も多く,早期の適切な診断と治療が必要である.
今回われわれは,発熱および倦怠感を生じ入院加療を要した5歳児のケルスス禿瘡の1例を経験したので報告する.
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