アフィニティークロマトグラフィー精製抗原を使用したエライサ法により, 馬伝染性貧血 (伝貧) の診断を行なうことを試みた. 使用した抗原は, 不連続庶糖密度勾配遠心を2回行なって精製した伝貧ウイルスをエーテル処理により破壊し, 抗牛全血清抗体を使用したアフィニティークロマトグラフィーにより混入する組織培養液由来の牛血清成分を除去して精製した. エライサ法は, 0.05mlの抗原を結合したエライサ用プレートをゼラチンでブロックし洗浄後, 0.05mlの被検血清を希釈しないで加えて37℃で90分間攪拌しながら反応させ, 再び洗浄後ペルオキシダーゼ標識抗馬IgG (H+L) を0.025ml加え同じく60分間反応させた. 次いで, さらに洗浄後0.25mlの0.08% 2, 2´-アジノービス (3-エチル-ベンゾチアゾリン-6-スルフォン酸) および0.003%過酸化水素を加え同じく50分間反応させ, 0.05mlの1%しゅう酸で発色を停止し, 415nmの波長で吸光度を測定した.
以上の結果, 非特異反応は顕著に減少し, 野外から収集した血清の吸光度は, 寒天ゲル内沈降反応陽性の18例の血清で0.84から2.06 (平均=1.61, 標準偏差=0.373), 陰性の189例では0.01から0.32 (平均=0.15, 標準偏差=0.06), 陰性ではあるが非特異反応の認められた41例では0.04から0.33 (平均=0.14, 標準偏差=0.08) であった. 以上のことから, 本反応は, 伝貧の診断に応用可能であることが明らかとなった.
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