当院リハビリテーション科のインシデント・アクシデント報告書の分析を行い今後の課題を検討した。対象は2001年8月から2002年4月までの報告書33件とした。全件インシデントの報告であった。事故内容は転倒・転落12件,全身状態の低下9件,物理療法(腰椎牽引4件,低周波1件,水治療法1件,マイクロウエーブ1件)7件,その他5件であった。事故内容と発見状況,入院患者か外来患者か,痴呆の有無との関連性を,統計学的処理としてχ^2検定を用い分析した。転倒・転落,全身状態の低下は痴呆を有する者(p<0.01),入院患者(p<0.01)が多く事故の発見は医療者側であった(p<0.01)。一方,物理療法では痴呆はなく(p<0.01)外来患者で(p<0.01),患者側からの訴えにより(p<0.01)発見されていた。今回の結果より,今後の課題として,(1)痴呆を有する入院患者に対する全身状態のリスク管理,(2)および行動管理,(3)外来患者に対する物理療法施行時のリスク管理の3点が考えられた。
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