【目的】膝関節伸展運動を開始する直前の動筋の準備状態が,膝関節伸展トルクにどのように影響するかを検討した。【方法】対象は健常成人10名。平均年齢22.6歳,身長165.9±8.2cm,体重57.7±7.5kg。測定課題として,筋収縮準備状態,すなわち3種類の強度(弱,中,強)で膝伸展等尺性収縮を2秒間行わせた後,直ちに膝伸展等運動性最大収縮を角速度60゜で実施した。測定にはCybexII+を用い,角度変化とトルク値を記録した。【結果と考察】膝伸展等運動性最大収縮のピークトルク値を100%とすると,各課題の等尺性収縮後のピークトルク(%)は,弱87%,中98%,強117%となり,各課題間に有意差(p<.05)がみられた。また,各課題での膝伸展ピークトルクの発生膝角度は,弱53.8゜,中54,6゜,強59.9゜となり,弱-強間と中-強間に有意差(p<.05)がみられた。以上の結果は,より強度の収縮状態が直後の筋トルクを大きくかつ早く効率的に発生させることを示した。
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