大学や大学院における作業療法教授法を確立させるための予備的研究として文献により研究の動向を検討した。過去5年間の作業療法と作業療法ジャーナル, 日本作業療法教育研究会の文献を分析の対象とした。分析の結果, 計91編の教育方法に関する論文が抽出され, 内容はさらにカリキュラム, 授業, 臨床実習, その他の4つに分類された。カリキュラム関連としては, 臨床実習の時間数, 専門学校と短大・大学との比較, 諸外国との比較, 指定規則, 臨床実習施設側からみた養成校のカリキュラムの妥当性について論じたものが8編, 授業関連では, 適切な作業療法アプローチを学生自身が導き出していけるための教授方法や早期臨床体験を活かした授業などの報告が17編であった。具体的に授業料目名について教育方法を検討していたのは「基礎作業学」のみであった。臨床実習関連は, 35編で, 地域における臨床実習のあり方, 臨床実習施設の不足, 実習指導者の質の向上をめぐっての議論や指導内容に対する実習指導者と学生の見方のずれ, 実習指導者と学生の臨床実習教育に対する満足度, 臨床実習での学生の問題点という内容であった。その他31編であった。具体的には作業療法学生の性格傾向に関するものや, 進路関係に関するものであった。しかしいずれも, 実践報告の域にとどまり, 教育方法に関する研究は少ないことがわかった。
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