本稿の目的は,投影的な見方に関する小・中学生の理解の現状を明らかにし,投影的な見方の学習指導改善への示唆を得ることである.まず投影的な見方の概念規定を「基本」と「活用」の両面から行い,その理解の状況をとらえる調査問題を作成して調査を実施し,調査結果を分析して,投影図からの立体の読み取りはよいが,投影図による表現の特徴の理解は学年進行に伴って深まるわけではないこと等を明らかにした.その結果を踏まえて,学習指導改善への示唆として,1投影図からいろいろな立体を読み取る機会を積極的に用意する,2投影図で実長が現れる部分とそうではない部分を判断する場を設ける,3投影的な見方を活用して問題を解決する場を設ける,4算数科での学習経験を踏まえて投影的な見方の基礎を扱う,の4 つを得た.