児童たちが算数を創り出すことを重視する算数教育において,統合的・発展的に考察することは大切な方法の一つである.本稿は,第6 学年の線対称と点対称の性質を発見する活動における実践授業を行い,単元を通して,中島健三が述べる「統合的,発展的な考察」の場面における児童の学びの様相を捉えることを目的とした.その結果,線対称と点対称における「統合的,発展的な考察」は,単元を通した一連の考察として成立し,その中で,児童たちの線対称と点対称を同じように見ようとする姿勢が向上していく様子を認めることができた.また,合同な図形に着目し,定義に関わる操作活動を通して性質を十分に確認させることや,性質をまとめた文章中の「対称の中心」と「対称の軸」を置き換えさせることによって,児童たちの「構造」に対する捉え方が変わっていく様子を認めることができた.