日本数学教育学会誌
Online ISSN : 2434-8619
Print ISSN : 0021-471X
104 巻, 5 号
数学教育 76-3
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巻頭言
大会案内
実践研究
  • 「図形の移動の活用」の授業におけるグループの事例から
    滝田 和徳, 水野 高宏, 川上 貴, 牧野 智彦, 日野 圭子
    原稿種別: 実践研究
    2022 年 104 巻 5 号 p. 4-15
    発行日: 2022/05/01
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,説明を評価・改善する活動を通して,中学校1 年生の批判的思考がどのように進展するかを特徴づけることである.そのために,「図形の移動の活用」において,他者に伝統模様の再現過程を説明する場面を設定し,その説明方法を評価・改善する活動を取り入れた授業を実践した.そして,1グループの思考過程を追跡し,会話がスムーズに進んでいない個所の特定と,そこで起きている事柄のコード化を行った.その結果,グループ内・グループ間のやりとりの中で,数学的知識を基に説明を理解したり,妥当性を検討したりする機会が繰り返し見られるとともに,他者の説明の意味を理解することから,徐々に,他者や自分達の説明書の妥当性を検討したり,相手の立場に立って客観的に見直したりすることへと,生徒の批判的思考の対象や内容が広がっていることが分かった.また,こうした批判的思考の進展は,他の班からのコメントや教師の発問といった他者との交流を契機としていることも分かった.

  • 高校生の課題研究を文脈とする教材を用いて
    小林 廉
    原稿種別: 実践研究
    2022 年 104 巻 5 号 p. 16-25
    発行日: 2022/05/01
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,「仮説検定の考え方」の創出を図るための教材と手立てを提案し,それらに対する生徒の実態の一端を明らかにすることを通して,「仮説検定の考え方」の創出を図る学習指導について示唆を得ることである.そのために,高校生の課題研究を文脈とする教材を用いた授業実践と,そこで観測事象だけでなくそれ以上に極端な事象が起こる確率を自力で求めた生徒へのインタビュー調査を実施した.主な成果として,次の2 点の示唆を得た.第1に,課題研究を文脈とする教材は,研究結果に疑いをかける「指導教員の問い」によって必要性を伴った批判的な考察を生じさせ,主張の妥当性について批判的に考察していこうとする態度への変容を促すことである.第2 に,観測事象だけでなくそれ以上に極端な事象が起こる確率を用いることには困難が生じるが,それができるためには,何を主張したいのかという目的意識が明確であり,その主張にとっての「より良い結果」を想定でき,それが偶然に起きては主張できなくなるという認識が必要になるということである.

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編集後記
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