日本数学教育学会誌
Online ISSN : 2434-8619
Print ISSN : 0021-471X
104 巻, 3 号
数学教育 76-2
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
巻頭言
実践研究
  • 曲線の凹凸と第2次導関数の関係に焦点を当てて
    夏原 智史
    原稿種別: 実践研究
    2022 年 104 巻 3 号 p. 2-13
    発行日: 2022/03/01
    公開日: 2023/04/25
    ジャーナル フリー

     本研究では,生徒の課題意識を高めることのできる教材を開発し,その有効性を検証することを目的とする.そのために,曲線の凹凸と第2 次導関数の関係に焦点を当てて,数学Ⅱの内容では解決困難な関数y=(logx)2のグラフをかくという問題の設定と分数関数を事前に扱う指導内容の配列を工夫した教材を開発した.また,生徒に課題解決をさせるために分数関数の学習において導関数の極限を考察させるなどの指導の工夫を検討して実践を行った.その結果,開発した教材は,凹凸が異なる曲線を生徒に予想させ,「どのグラフか」という生徒の課題意識を高め,生徒に曲線の凹凸と第2 次導関数の関係に着目させ得ることが実証できた.また,導関数の極限の考察は,「どのグラフか」という課題を解決するための足がかりとなった.そして,接線の傾きの極限からその途中の変化に着目させるには,指示語などの接線の傾きに関する生徒の曖昧な表現を,増加や減少などの数学的な表現へと洗練すればよいという示唆が得られた.

特集
  • 中学2年「球技大会は何月に行うべき?」を題材に
    多久 和真, 播元 和貴, 白井 康智, 森田 大輔
    原稿種別: 特集
    2022 年 104 巻 3 号 p. 14-22
    発行日: 2022/03/01
    公開日: 2023/04/25
    ジャーナル フリー

     本稿の目的は,批判的に考える態度(批判的思考態度)の伸長を図った統計指導の設計ならびに実践を行い,生徒がどの程度,批判的思考態度の重要性を認識したかを明らかにすることである.教材開発にあたり,「現実の文脈の使用」「『読解の文脈』での活動の重視」「データの提示の方法」という点に留意した.そして,複数のデータの読み取りや,個人の考えを小グループで検討し,他者の考えを聞いた上で改めて個人の考えを再検討するという活動を導入した教材を開発した.

     指導実践を通して,データの提示の仕方を工夫することで複数のデータを参照することの重要性が理解され,また,結論を何度も他者と意見交換することで,意見の変容が促され,他者との意見交流の重要性が理解された.そして,本実践を通して多くの生徒が批判的思考態度の重要性を認識したこと,また,批判的思考態度が表出する場面として,「新たなデータの必要性を問う場面」「複数のデータを参照して答えた場面」「最終的な意見を述べる場面」があることが明らかとなった.

報告
編集後記
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