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北村 隆一
2003 年 20 巻 p.
1-15
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
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横松 宗太
2003 年 20 巻 p.
17-32
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
自然災害リスクは負の効果をもつ地方公共財と考えることができる. 地域政府は防災施設の整備や保険システムの利用を通じて地域リスクを制御し, 家計はリスク選好に従って居住地域を選択する. 地域間では種種の外部性が発生する. 本稿では自然災害リスクの地域間配分の問題が, 基本的な地方公共財の地域間配分の問題としての性格を備えることを指摘するとともに, 自然災害リスクの問題に特有の構造について整理する. また自然災害リスク管理に関する地域政府と中央政府の役割について検討する. 本稿は多地域システムにおける自然災害リスク配分の研究の体系化を志向しながら, 本分野の今後の展開のための論点整理を与えることを目的とする.
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松中 亮治, 柚木 俊郎, 青山 吉隆, 中川 大
2003 年 20 巻 p.
33-42
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
従来から, 高速道路ネットワークの整備効果を定量的に把握するための事後評価が行われてきたが, 整備プロセスの違いによる評価結果の相違については考慮されておらず, わが国の高速道路ネットワークの段階的整備プロセスが, 社会経済的効率性の観点から最適なプロセスであったか否かについては明らかにされていない.
そこで, 本研究では, 実際のわが国の高速道路ネットワークの段階的整備プロセスが, ネットワーク全体の長期的評価に基づく最適な整備プロセスや, 各プロジェクトの実施段階における個々のプロジェクトの評価結果に基づく整備プロセスと比較してどの程度効率的な整備プロセスであったかという視点から事後評価を行った.
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矢野 晋哉, 藤井 聡, 須田 日出男, 北村 隆一
2003 年 20 巻 p.
43-50
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
本研究では, 今日の土木事業に対する批判的風潮をもたらす心理要因について分析する事を目的とし, 人々の土木事業に対する賛否意識形成の因果構造についての仮説を社会心理学, 政治心・理学, 既存のマスメディア研究から措定し, その仮説を無作為に抽出した京都市民を対象とした調査データ (N=680) を用いて検証した. そして検定の結果, 本研究で措定した土木事業に対する賛否意識についての因果関係仮説は, いずれもデータによって支持された.
また, それに加えて, 個人属性やマスコミの接触状況が各心理要因に及ぼす影響を, 探索的に分析した. この結果より, マスコミが土木事業の賛否意識に少なからず影響を及ぼしていることが示唆された.
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嶋田 喜昭, 星野 貴之, 舟渡 悦夫, 伊豆原 浩二
2003 年 20 巻 p.
51-58
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
本論文では、交流分析による若者ドライバーの性格を考慮した交通安全教育の可能性を検討するために、交流分析のエゴグラムを用いたドライバーの性格分類と交通事故経験、ならびに事故の要因となる運転特性との関連性について示した。そして、どのような性格が事故経験と関わっているか、またそれらと運転特性も含めた相互の因果関係を明らかにするとともに、交通安全教育における交流分析適用の有用性を述べた。
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榊原 弘之, 河上 伸一, 水戸 崇文
2003 年 20 巻 p.
59-69
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
社会基盤整備を巡る主体間の計画コンフリクトの初期段階において, 主体は互いにゲーム形の提案を繰り返し, ある一つのゲーム形を共有する必要がある. 共有されたゲーム形が適切でなかった場合は, 合意のための代替案の選択肢が極めて限定されてしまうと考えられる. 本論文では, このような計画コンフリクトの展開における不可逆性に着目し, 初期段階における主体の行動を記述するためのモデルを提案する. まず初期段階における主体がある行動規範に基づいて行動ずるモデルを構築する. さらに主体が行動規範を戦略的に選択する状況を分析し, コンフリクトのタイプとコンフリクトの結果の間の関係についての計画論的知見を導出する.
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白川 龍生, 川村 彰, 上浦 正樹, 中辻 隆
2003 年 20 巻 p.
71-78
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
効果的な軌道メンテナンス方法の確立は, 列車の走行安全性や乗り心地の確保, 運営コスト低減などの点で極めて重要な課題である. 本研究では軌道の測定結果から特定の凹凸情報を正確に把握するための解析手法として, 多くの工学分野で近年注目されているウェーブレット理論について検討し, 中, 長波長領域の軌道狂いデータを用いて空間周波数解析および多重解像度解析を行った. さらに波状特性・保守作業効果の評価手法としての同理論の今後の可能性を考察した. また, 軌道の自己相似性及び軌道時刻歴データに基づく軌道の劣化・復元過程について, 連続ウェーブレット変換を用いたモニタリングを行っている.
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小池 淳司, 石川 良文, 上田 孝行, 河野 貢
2003 年 20 巻 p.
79-85
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
わが国における公共投資評価手法は実用レベルの段階となり, 応用一般均衡分析が利用可能となってきた. しかし, 下記の理由から, 応用一般均衡分析は比較的大きな地域を対象とした分析に限定されている.(1) 産業連関データ整備状況への依存性 (2) 対象地域の閉鎖性である. 一方, 地方分権化の流れの中で, 地方自治体は独自に公共投資を評価する必要性に迫られ, 比較的小さな地域を対象とした応用一般均衡分析の適用可能性が求められている. そこで, 本稿では, 都市圏レベルの応用一般均衡モデルを構築し, このようなの社会的要請に答えることを目的としている. なお, 上記 (1) に関しては, 既に, 報告済みである. そのため, 本論文では (2) の問題を改善すべく, 従来の応用一般均衡分析を拡張し, 交通整備政策への適応事例を紹介する.
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宮城 俊彦, 石川 良文, 由利 昌平, 土谷 和之
2003 年 20 巻 p.
87-95
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
本研究では, 地方分権化の議論が活発に行われる中, 都道府県レベルの定量的な政策分析が急務であることを踏まえ, 全国47都道府県間産業連関表の構築を試みる. 地域間表の構築にあたっては, 地域間交易系数の推定が不可欠となるが, 本研究では利用可能なデータを用いて信頼性の高い産業連関表を得るために, 地域間交易係数の把握にあたっては, 物流センサスデータなどの既存の交易関連データを活用する方法を検討した. 推定された地域間産業連関表は, その精度からも十分に実務に利用可能なものであり, この作成した産業連関表を用いた各種地域政策分析や, 新たなSCGEモデルの構築・適用など応用範囲は広い.
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複数均衡存在下におけるプロジェクトの便益計測にむけて
岸 昭雄, 河野 達仁, 森杉 壽芳
2003 年 20 巻 p.
97-104
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
本研究は, 次善経済 (財の価格と限界費用が乖離して均衡している経済) 下において複数均衡が存在する場合における交通施設整備の便益計測方法を, 核-周辺モデル (Krugman, 1991) を用いて検討している. その結果, 交通施設整備によって均衡が変化しない場合, 従来型の便益評価手法で直接効果を計測可能である一方, 交通施設整備によって均衡が他の均衡に不連続に変化する場合, 従来型の便益評価手法は適用不可能であることを示している. また, 均衡が変化する場合における便益評価手法として, 実務的に有用な, 仮想, 交通需要関数の消費者余剰を計測する方法を提案している. そして, 一般に複数均衡が存在する下でのプロジェクトの便益評価の展望について考察している.
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藤井 聡
2003 年 20 巻 p.
105-109
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
本論文では, 学習指導要領の基本理念に立ち返り, また, 教育心理学の基礎的知見を踏まえながら, 公共的問題を学校教育, とりわけ, 総合的な学習の時間で取り扱うことの是非について, 一考察を加えた. そして, 環境やまちづくり, 公共事業といった公共的問題は学習指導要領に記載されている「自然」や「集団や社会」に関わる道徳的な意識と密接な関連を持つことを指摘した. また, これまでのいくつかの事例から, 児童の主体性を引き出すための工夫をこらした教育プログラムの検討が始められていることを述べた. この二点から, 学校教育プログラムの題材として公共的問題がふさわしいものとなる可能性を指摘した.
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岸 邦宏, 塚原 沙智子, 原 文宏, 佐藤 馨一
2003 年 20 巻 p.
111-117
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
積雪寒冷地の自治体において、冬期間の道路交通の確保や都市機能の低下を最小限に抑えるため、雪対策は必要不可欠な公共サービスである。しかし、雪対策事業は降雪という自然現象に左右されるため、毎年その事業費が変動し、しかもその変動幅も大きい。本研究では、札幌市の雪対策事業を対象に保険、デリバティブのリスクファイナンシングの適用を検討する。すなわち、雪対策の中で最も事業費の変動が大きい、除雪事業費の平準化方策を検討し、その導入効果を明らかにすることを目的とする。
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武藤 慎一, 橋田 将季, 高木 朗義, 秋山 孝正
2003 年 20 巻 p.
119-126
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
本研究では, 最新の行動情報技術を利用して交通安全対策を図るAHSについて, その導入がもたらす心理面での効果まで含めた計測を行うため, コンジョイント分析を用いた評価を行った. 特に, 本研究では, これまで用いられてきたコンジョイント分析での効用関数に対し, 非線形関数の適用を行うとともに, AHS間の属性の違いとして実際の交通事故削減効果の違いを評価の中に取り入れている. 非線形関数としては, CES型, 菅野積分, ショケ積分の3種類適用しており, アンケート調査結果に基づく実証的評価の結果から, 複数のAHS導入効果について, CES型関数を用いた分析では相乗的な効果が, 一方, ファジィ積分を用いた分析では相殺的な効果が生じることがわかった. そのような異なる結果が得られた理由については, さらに分析を進める必要があるが, 実証分析を通じて, AHSの導入便益がどの程度の幅を持って変動しうるのかを明らかにできた点が本研究の成果であると考えられる.
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大洞 久佳, 大野 栄治
2003 年 20 巻 p.
127-135
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
本研究では, コンジョイント分析の枠組みで, 複数のプロジェクトをもつ公共事業の経済評価において単独効果と相乗効果を明確に区別することができる評価モデルを提案した. また, 事業主体が異なる場合には相乗効果を各プロジェクトに配分する要望があることから, その配分方法も新たに提案した. そして, 中山間地域における公共事業評価の事例研究より, 正の相乗効果のみならず負の相乗効果も存在することが明らかとなった. さらに, 任意の2つのプロジェクトに関する相乗効果の配分結果に着目すると, 配分比率は単独効果の大きさの比率とは無関係であることがわかった.
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大西 正光, 小林 潔司, 大本 俊彦
2003 年 20 巻 p.
137-145
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
日本の民法では施工による瑕疵責任ルールに関して無過失責任を採用しているのに対し, 英米のコモンローでは過失責任を採用している. 本研究では, これらの責任ルールが合理的であるための制度補完的条件として, 日本の建設契約の大きな特徴の一つである「信義則」に着目し, 信義則が成立する前提においては無過失責任ルールがより有効であり, 逆に信義則が成立しない前提においては過失責任が有効であることを指摘する. また, わが国の契約環境の変化に応じた今後の瑕疵責任ルールのあり方について考察する.
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浅野 誠, 出口 近士, 吉武 哲信, 横田 漠
2003 年 20 巻 p.
147-154
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
近年の既成市街地で施行される区画整理事業は移転物件が多いため, 事業期間の延伸と事業コストの増大が問題となっている. このため, CPMなどを用いてコスト最小となる施工計画を解析的に立案する手法の開発が必要となっているが, この際事業で行うすべての工事と移転の施工順位をあらかじめ決めておく必要がある.
本研究では専門技術者に対して施工の順序づけに関するアンケート調査を行い, この結果から施工順位を規則化した. そしてこれを仮想事業に適用した. その結果, 順序の不整合がなくアローダイヤグラムを出力できるとともに, 中断移転物件を明示的に特定できるなど, 施工計画立案への利用性が確認できた.
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世代重複型応用一般均衡モデルの開発と応用
小池 淳司, 岩上 一騎, 上田 孝行
2003 年 20 巻 p.
155-162
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
社会資本整備は長期的に利用可能な耐久消費財であり, その効果の帰着は世代を超える. そのため, 現時点で最適な社会資本整備を決定するためには長期的視野に立ち, 様々な社会経済の変化に応じた分析を進めることが不可欠である. 本研究では, まず, 世代重複型応用一般均衡分析フレームを構築し, 世代間公平性基準を含めた, 最適社会資本整備ルールを定義する. その上で, 静学的および動学的な社会的状況が変化した状態の最適社会資本整備ルールの挙動を分析し, それらの影響を厚生経済学的に分析する.
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羽鳥 剛史, 松島 格也, 小林 潔司
2003 年 20 巻 p.
163-174
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
本研究では, 政府と代表的個人の間のコミュニケーションを不完備情報ゲームとしてモデル化し, 政府が提供する情報を個人が信用するための条件を分析する. さらに, 政府以外の第三者がプロジェクトに関して自由に発言するような環境の中で, 政府が提供する情報を個人が信頼するような制度 (情報メカニズム) を検討する. その結果, 政府と住民との利害関係に関する立証制度を導入することにより, 住民が自信にとって望ましい政策に関して正しい判断をすることが実現しうることを示す.
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田邊 慎太郎, 井田 直人, 佐々木 恵一, 田村 亨
2003 年 20 巻 p.
175-181
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
近年, 財政逼迫などを背景に政府は, 事業箇所の優先順について説明責任を問われている. 本論文では, 遺伝的アルゴリズムを道路整備順位決定問題に適用し, 特に, 純現在価値 (Net Present value) が低く, 地域間の差異が不明瞭な地方部における整備順位決定問題について分析した. 地域間の差異を明示的に扱うために, 本研究では地域修正係数を用いた修正費用便益分析を援用した. 本研究では, 北海道の高規格幹線道路の整備計画路線を対象に分析を行った結果, 修正費用便益分析によって地方部路線では整備順位が変わり得ること示した.
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山岡 俊一, 塚原 真理子, 藤田 素弘
2003 年 20 巻 p.
183-190
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
1996年以来, コミュニティ・ゾーンは全国各地で整備が進められ, 様々な整備効果が報告されている. 一方で, 課題もいくつか指摘されている. それらを大きく3つに分けると,(1) 自動車交通の抑制などの既存の生活道路を改善するための技術的な課題,(2) 住民参加プロセスをめぐる課題,(3)「社会的公平性」の課題である.そこで本研究では,(2) と (3) の課題に着目し, コミュニティ・ゾーン形成事業の社会的コンセンサスの形成を目指すための基礎的研究として, 整備地区住民のコミュニティ・ゾーン形成事業における住民参加に対する意識と価値意識をCVMや各種要因分析を援用して明らかにした.
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藤澤 友晴, 青山 吉隆, 中川 大, 松中 亮治
2003 年 20 巻 p.
191-197
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
本研究は、都心部の幹線道路において歩行空間を整備することによる効果を定量的に計測するものである。対象道路は京都市の河原町通とし、歩道の拡幅やそれに伴って実施することが考えられる自家用車の規制などの施策による効果を計測し鳥計測した効果は、施策を実施するための合意形成・意思決定の際に重要であると考えられるものとし、(1) 中心的繁華街であり、都市の顔ともなっている都心の道路における交通環境改善に対して市民一般が抱く価値、(2) 幹線道路として機能している対象道路の車線に制限を加えることによる交通面での効果 (負の効果)、(3) 道路の質的向上に伴う来街者の増加によって生じる商業面での効果の3点について分析した。
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片岸 将広, 川上 光彦, 埓 正浩
2003 年 20 巻 p.
199-208
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
本研究では、郊外型組合施行地区を対象に、地区計画による規制誘導の実態と課題を明らかにするため、既存資料を用いた地区計画導入状況の把握・分析と、郊外型組合施行地区における地区計画導入地区を所管する自治体へのアンケート調査結果の分析、用途制限を中心とする地区整備計画の内容の分析等を行った。その結果、郊外型組合施行地区では地区計画導入地区が増加傾向にあること、地区計画の導入・策定は行政主導が多いこと、戸建住宅と共同住宅を分化している地区は少ないこと等の実態が明らかとなり、今後は住民主導への工夫や他の協定との併用等、運用面の充実が課題であること等を示した。
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韓国釜山市を事例として
蔡 星柱, 川上 洋司, 本多 義明
2003 年 20 巻 p.
209-216
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
本研究では韓国釜山市の西面新都心における各種容積率指定の状況、容積率の充足程度の分布特性と決定要因を把握・分析する。次いで、様々な要因が充足程度に与える影響を明らかにする。以上を通じて、規制の緩和及び強化の程度を決定することに政策的・計画的な根拠を提示し、ならびに容積率規制の実効性に対する評価と改善方案を導出するための基礎的情報を提供することを目的とする。その結果は次のようである。(1) 釜山市の西面都心における容積率の実現比の平均は0.51である。(2) 全体施設において容積率の実現比に最も大きい影響力を与えたのは前面道路幅員であった。また基盤比1を超える施設と1未満の施設で詳しく分析した結果、両方ともに建物用途が最も大きな影響を及ぼした。(3) 全体施設レベルで容積率を再検討又は再設定する際には前面道路の幅を、基盤比レベルで容積率を再検討又は再設定際には、基盤比1を超える施設では、建物用途と公示地価を、基盤比1未満の施設では建物用途と前面道路の幅を大きい影響要因として考慮する必要がある。
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田中 孝, 伊東 大悟, 廣瀬 義伸, 近藤 光男, 中島 康博
2003 年 20 巻 p.
217-228
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
本研究は, 風立規模分布の概念を用いた地価形成モデルを適用し, 近年問題になっている大都市部における低・未利用地が地価形成に与える影響を, 地価のマクロ的な変動要素を分離した形で定量釣に評価した. 通常用いられるヘドニックモデルでは評価が時系列的に不安定となったが, 地価形成モデルによって低・未利用地の有効利用における効果が安定的に評価された. 環境質をGISからバッファリングで抽出する際には, 基本的にその範囲内における影響評価しか行われないそこで環境質の距離による影響め違いを考慮できる形式にモデルを拡張し, 広域的に分布する環境質の影響を評価した上で, 低・未利用地の有効利用の効果を定量的に明らかにした.
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花岡 史恵, 澤田 俊明, 上月 康則, 山中 英生, 湯佐 昭二
2003 年 20 巻 p.
229-234
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
本研究では、吉野川をフィールトにした「川に学ぶ社会」実現に向けての情報および人的交流の場として企画開催された、教育関係者・河川関系者等の連携による一連学習交流ワークショップを通し、今後の河1因用における河川関係者および大学関係者を含む専門家等の役割こづいての考察を行った。それらの経過を考察することにより、河川利用した「総合的な学習」における教育関係者の課題とニーズを把握し、今後の河川を利用した総合的な学習において、河川関系者および専門家等による河川情報等の提供や学校教育との連携こ寄与した活動等の検討が必要であることがわかった。
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北ユトランド地域計画を事例として
吉武 哲信, Michael Tophøj SØRENSEN, 出口 近士
2003 年 20 巻 p.
235-241
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
本研究は、デンマークの県レベルの計画である地域計画をとりあげ、その策定プロセス、市民参加の特徴、国や基の礎自治体との調整関係、および現実的な地域的課題に関し、北ユトランド・カウンティを事例として明らかにしたものである。地域計画は4年任期の議会の政策として位置づけられ、定期的に改訂されていること、国や基礎自治体との調整は最終的にはフレームワーク・コントロールで担保されること、市民参加には多くの配慮がなされていること等の特徴を整理できた。また、デンマークでも郊外型大規模店舗立地規制、農村部の過疎問題等、我国と類似した課題を抱えており、我国での地域・都市計画において参考になることを明らかにできた。
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加藤 浩徳, 村木 美貴, 高橋 清
2003 年 20 巻 p.
243-254
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
本稿は, 近年の英国の交通政策とそれに伴う交通システムの変化を調査し, 整理することを目的とするものである. 英国では, 1997年のブレア政権成立以来, 新たな交通政策が実施されてきた. 新交通政策の特徴は, 「総合化」, 「官民協力・調整」, 「経済的交通需要マネジメント」, 「地方分権」といった点に見られる. またその結果, 交通計画に関わる国, 地方自治体, 地域の役割が変化し, 交通システム全体にも変更がもたらされた特に, 前政権の規制緩和政策への反動と地方分権が大きな影響を及ぼしていると考えられるが, 英国内にも実効性が伴わないとの批判も強く, 今後の推移が注目される.
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枦元 淳平, 塚井 誠人, 奥村 誠
2003 年 20 巻 p.
255-260
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
長年のインフラ整備により、幹線旅客は鉄道・航空ネットワーク上に存在する複数の経路を選択できるようになった。本論文では、最短経路のみならず次善の利用可能経路を考慮して鉄道・航空ネットワークの評価を行った。その中で、幹線旅客純流動の代表交通機関分担率のデータをもとに経路選択モデルを推定し、経路選択モデルから得られる機関効用値を用いた都道府県間交通量の重力モデルを推定した。それらのモデルを導入したネットワーク評価値を消費者余剰によって計測し、東海道新幹線高速化、主要都市間の航空便増便という二つのシナリオについて評価を行い、地域別に発生する便益を示した。
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柴 有香, 桜井 慎一
2003 年 20 巻 p.
261-267
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
本研究は、伊勢湾と東京湾の自然の干潟の保全や人工なぎさ造成に市民が抱く価値認識を把握した。その結果、伊勢湾の藤前干潟の保全と人工なぎさ造成に近接する名古屋市民が約9000円と約5000円、300km遠方の江戸川区民が各約3000円、600km遠方の仙台市民が約3000円と約2000円を見出していたまた、東京湾の三番瀬の保全と人工なぎさ造成に近接する江戸川区民がそれぞれ約7000円、300km遠方の名古屋市民が約3000円と約2000円を見出してい嵐以上の結果の比較検討から、先行事傍やその効用を認知することで市民は自然の干潟とほぼ同等の価値を人工なぎさに見出すといった知見を得ることができた。
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隈 清悟, 渡辺 義則, 伊東 啓太郎, 坂田 洋行
2003 年 20 巻 p.
269-276
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
北九州市では夜間の幹線道路において環鏡基準値から6db (A) 以上超過する地点が約30%存在する。著者らは、その対策として沿道でよく見かける石垣、ブロック塀などの遮音能力の活用に着目した。しかし、その減音量は音源、壁の頂点、観測点の位置関係による。従って実験的検討よりも、様々な状況を想定した理論的検討の方が得策である。既に著者らは、ある仮定の下で自動車騒音の壁による回折減音量及び等価レベル騒音の計算方法を報告している。それゆえ、本研究では以下のことを目的とするa) 既に報告した自動車騒音の壁による回折減音量の計算方法が、石垣、ブロック塀などにも適用できることを、実車走行実験によって検証する。b) その後、沿道でよく見かける高さの石垣、ブロック塀などの遮音能力を活用して、6db (A) 以上の減音が得られるか、その可能性について判断する。
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大城 温, 松下 雅行, 並河 良治
2003 年 20 巻 p.
277-282
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
フリー
本研究では、東京都及び大阪府における将来の自動車排出ガスの規制強化によるNO
2及びSPM濃度の低減効果を明らかにすることにより、沿道大気環境の改善のための今後の道路交通政策に必要な基礎データを提供することを目的としている。今回、NO
x及びSPM濃度の推計方法を改良することで精度向上を図り、NO
xの推計精度を向上させた。その結果、今後の自動車排出ガスの規制強化により、平成32年度までにNO
2及びSPMの環境基準を概ね達成できると予想された。
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布施 正暁, 谷下 雅義, 鹿島 茂
2003 年 20 巻 p.
283-288
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
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近年, 我国は約500万台の使用済み自動車を発生させ, その内約200万台程度が東アジアを中心に中古車・部品, 及び資源として利用されている. しかし, 東アジアでは不十分な検査・管理・処理体制のため使用・再資源化時に通常よりも多くの環境負荷量が発生している. 本論文では, この問題に対応するために乗用車を対象に中古車の地域間移動を考慮した地域別自動車保有・ELV台数の推計手法を試作した. さらに, 作成した推計手法を用いて日本国内を対象に外生変数である所得, 解体費用, 輸送費用が中古車の地域間移動を通じて地域別自動車保有・ELV台数へ及ぼす影響を分析した.
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今長 久, 谷下 雅義, 鹿島 茂
2003 年 20 巻 p.
289-294
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
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本研究では, 自動車交通による大気汚染の死亡リスクによる損失を死亡により失う余命と考え, その1年当たりの損失を損失評価値と定義し, CVMを用いて推計する手法を提案した. 大気汚染による死亡リスクの特徴は, その大きさが年齢の増加に伴い増加していくことである. そこで, 一般に疫学研究などから得られる生涯での死亡リスクを, 年齢とともに線形的に増加すると設定し, リスク削減へのWTPを調査した. 結果, サンプルが少数であるが, 損失評価値を試算した. そして, 調査票の設計において, 寿命の設定等に注意が必要であることを示した.
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坂本 麻衣子, 萩原 良巳
2003 年 20 巻 p.
295-304
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
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現在、我が国では、開発を行おうとする主体と環境保護を訴える主体の間で利害の衝突、すなわちコンフリクトの発生が頻繁に見受けられる。特に、開発の影響圏が一般に広範な水資源開発においてこの傾向は顕著である。無用なコンフリクトの激化や長期化を避けるためにも、今後開発計画に臨むにあたって、地域の住民の意見を考慮したコンフリクト・マネジメントが不可欠であるという認識を持つことが重要であるものと考える。本研究はこのような認識にもとづき、将来的にコンフリクト・マネジメントを行っていくための基礎研究として、水資源開発計画におけるコンフリクトの特徴を踏まえながら2人ゲームとしてのモデルを構築する。
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谷本 圭志, 森田 浩和
2003 年 20 巻 p.
305-312
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
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水資源開発施設の建設が困難となっている現在において, 利水者間での水融通は渇水被害の軽減のための一つの現実的な方法である. しかし, これまでにはほとんど融通が実施されておらず, その原因の一つとして, 水を融通する側には何のメリットもないことがあげられる. 本研究では, 渇水の発生に先立って利水者が水融通に関する契約を交わす制度を設計した. その制度のもとでは, 利水者による自発的な契約によって自身の期待費用が最小となり, かつ関与する利水者の費用の合計が最小となる効率的な契約が締結されることが示された. また, 数値実験を行うことで渇水の発生回数がどれだけ減少するかについて示すことができた.
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吉田 正卓, 高木 朗義
2003 年 20 巻 p.
313-322
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
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カタストロフィックな洪水災害に対応するためには, 従来型の施設整備によるハードを中心としたリスクコントロールだけでは難しく, ソフト対策としての土地利用規制や洪水保険制度などのリスクファイナンスも取り入れたリスクマネジメントに基づく総合治水対策を実施していく必要がある.そこで本研究では, 災害リスクマネジメントに基づいた総合治水対策を立案する際に必要である評価モデルを構築し, その適用性について検討した. その結果, 従来では比較が困難であった洪水保険, 土地利用規制および流出抑制という3つの施策について, 同時かつ整合的に評価できることを簡単なシミュレーションを通じて確認した.
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グエン フク デイン, 多々納 裕一, 岡田 憲夫
2003 年 20 巻 p.
323-330
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
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地震のような大規模な自然災害では、大数の法則が成立しないこの条件下では保険数理的に公正な保険料率では公的地震保険が破綻するリスクが大きい. このため、リスクを分担する必要があるが、地域ごとに独立な代替案を求めることとなり、解の次元数がそれだけに増え、通常の計画法では解けない. 本研究は大数の法則が成立しない条件下で、しかも次元数の多い計画問題を解くための地震被害シミュレーションと確率最適化モデルとのハイブリッド設計モデルを構築するとともに、保険構造の設計問題を対象に実証分析を行う. 実際に兵庫県を対象とした実証分析を通じてその有効性を検証することとする.
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中島 和樹, 奥村 誠, 塚井 誠人
2003 年 20 巻 p.
331-336
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
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本研究は、緊急時の給水問題を給水点配置問題と配水車による車両巡回問題の複合問題として定式化する。前者は全ての居住地を運搬可能範囲内に収め、かつ、給水点の個数が最小になる給水点の配置場所を求める問題である。後者は給水点配置問題によって決定した給水点を、何台かの配水車が巡回するときの総距離を最小にする問題である。この問題に対してヒューリスティック解法を援用して効率的な緊急給水方法を算定する手順を確立する。この計算手順をもしいた感度分析を広島県東広島市西条地区に適用し、配水池や橋梁の破壊が緊急時の給水作業にもたらす影響を算定して、耐震化の効果を分析する手法を示す。
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梯上 紘史, 菊池 輝, 藤井 聡, 北村 隆一
2003 年 20 巻 p.
337-344
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
ジャーナル
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本研究では人々の防災行政と自主的防災行動の重要性認知に影響を与える要因とその因果関係を探るため, 京都市民を対象にアンケート調査を実施し, 提案した因果仮説についての検定を行った.
検定の結果, 防災行政と自主的防災行動に対する重要性認知には, 人々の災害のリスクに対して抱く「内なるリスクのイメージ」である災害リスク認知が影響を与え, その災害リスク認知には人々の持つ地震に関する知識が影響を与え, さらに地震に関する知識は直接的にも防災行政と自主的防災行動の重要性認知に影響を与えていることが示された.
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須崎市を対象として
竹内 光生, 近藤 光男, 山口 満, 濱田 洋平
2003 年 20 巻 p.
345-354
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
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本研究では, GISを用いて津波浸水状況の予測と避難行動分析を行い, それらの経時的変化を統合的に比較することにより避難場所に避難できれば助かるという観点から現在の避難場所の整備状況評価を行つた.避難行動分析は, 方向に関係なく最近隣避難場所に避難するケースと波の浸入方向と反対に避難するケースの2ケースについて行い, 避難場所の容量を考慮しない場合と考慮する場合を考え被害状況の差異を確認した. そして分析の結果を用いて, 全てのケースについて人的被害の算出と津波襲来時に危険と思われる地域を選定した.本研究の成果は, 人的被害を最小限に抑えることができる避難場所整備を考える際の参考基準となりうるものである.
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梶谷 義雄, 本久 仁美, 多々納 裕一, 岡田 憲夫
2003 年 20 巻 p.
355-364
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
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過去の災害統計の分析, あるいは将来の災害による被害想定を行う上で第一に重要な事項として, 災害発生時間シナリオの違いによって被害様相 (被害ポテンシャル) が異なりうるということが挙げられる. 人間活動の時空間分布特性はこの被害ポテンシャルに密接に関連しており, その分析が防災研究の領域において大きな課題となっている.本研究では, 人間活動時空間分布が災害時の救助救命活動 (SAR活動) に影響することに着目し, 救出・救命作業時の「居合わせ」, 「かけつけ」を考慮したSAR活動評価モデルの開発を行った. また, 時空間情報システムであるDiMSISを用い, 任意の時間・空間における人的被害ポテンシャルを分析するためのSARシミュレーションの開発を行った. 開発したシステムに基づき, 神戸市長田区・中央区において阪神大震災の発災シナリオを変化させる分析を行った結果, 人間活動時空間分布の影響の大きさが定量的に明らかとなった.
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松村 暢彦, 片岡 法子, 傘木 宏夫, 平畑 哲哉
2003 年 20 巻 p.
365-374
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
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本研究では, 交通環境学習に取り組むときの姿勢について整理したうえで, ドイツの交通教育と日本の交通安全教育を比較することによって, 子どもの交通学習の必要性を述べた. そして, 子どもに対して, 体験型の自動車環境問題に関する交通学習を試み, 学習活動のなかでの子どもの気づきに着目することで, 交通学習の効果と課題を明らかにすることを目的とする. その結果, 今回のプログラムでは, 子どもの気づきが発見され, 考えも提案されたことから, 子どもの発達の見地からみて目的は達成したと考えられる. 今後は子どもの発達段階に応じた交通環境学習のカリキュラム化を提案し継続的に実施していくことが必要とされている.
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三宅 正弘, 藤田 愛, 山中 英生
2003 年 20 巻 p.
375-378
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
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土木分野において石積みが、地域性をもった景観形成のため、またはエコロジカルな視点から再評価されている。また市民の石積み体験などのイベントが各地で行われるようになり、市民の関心も高まっている。しかし、その技術をもつ人材は不足しており、また大学においても教育が行われていない。そこで本稿では、市民や学生に向けての石積み技術育成の可能性を検討するため、学生向けの石積み実習を合計4回45.5時間、試験的に行い、そこから今後の育成プログラムづくりの可能性を明らかにした。実習は、徳島県美郷村の段々畑で行い、大正時代以前に積まれた石積みの修復作業である。
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岡田 昌彰, 鈴木 武
2003 年 20 巻 p.
379-384
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
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本研究では、従来十全に検討が行われていなかった沿岸域景観の恒常性特性に着目し、心理実験を通してその実像を実証的に検証した。海洋表面及びチェック格子上に、距離や大きさを変えて描画した3円柱のCGを被験音に見せ、大小関係を判断・記述させる形式の心理実験を行い、大小関係正解率と相似比, 距離比等との関係を、単純集計, クロス集計, ロジット解析により分析した。その結果、海洋表面を介する対象の大小関係判断過程では、チェック格子に比べて恒常性がはたらきにくい点、及び海洋表面は遠方にあるものを実際よりも「小さく」知覚させる点が指摘され、さらに視対象の大小関係に作用する要因の実態が明らかにされた。
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平野 勝也, 五十嵐 淳博
2003 年 20 巻 p.
385-392
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
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本研究では, 「道路」が「点景的なもの」と解釈できるという観点を基に, 「人が山間部の風景を「山」と「道路」という2つの要素の構図として直感的に知覚できれば, 点景的という観点において評価の高い風景となる」という仮説を提案し, 瞬間視実験とSD法心理実験から検証を行った. その結果, 法面という人工物を目立たなく処理し, 自然へ近づけることが, 点景的効果という観点で高評価に繋がるという既存の知見に加え, 人工的な印象の強い構造物でも, それが道路と一体化して, 「山」と「道路」の構図の風景として知覚できれば高評価が得られるという新たな知見を示すことが出来た. この成果は, 点景的効果という新たな評価観点によるものである.
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青井 克志, 星野 裕司, 小林 一郎
2003 年 20 巻 p.
393-400
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
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都市における河川空間は、歩行者に多様な体験を与える場としても重要である。そのとき歩行者は、眺めの変化を移動と結びついて意味づけられた知覚像の変化として把握している。本研究では、河川を横断している歩行者の体験を記述するために、「歩行者はどう知覚像を把握するか」を観点、に先行研究を整理した結果、移動の可能性、想起性、方向性という視点、を導き出した。熊本市の白川にかかる5つの橋梁を対象に、接続する街路を含め、移動方向・移動直角方向の連続写真によりシークエンス景観を記録し、空間譜を作成した結果、今後の都市河川整備に示唆を与えるものとして、河川横断時における歩行体験の重要な特性を抽出することができた。
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利用行動をふまえて
北山 剛, 平野 勝也
2003 年 20 巻 p.
401-408
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
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本研究は, 場の認識の違いは行動の違いに表れてくるという観点の下, 仙台市の中心商業地に位置する公園・広場において, 利用行動・利用場所を詳細に観察した結果,
1. 公園・広場の場の類型を, 戯食の場, 食読の場など行動の重なりで表した11類型として導いた.
2. 類型を規定する物理的要素として, 位置・場所性・構成物に関する要素パタンを明らかにした.
3. 人の場の認識には, 構成物よりも場の位置・場所性が主に寄与していることを明らかにした.
4. 要素パタンと場の認識・類型, 行動変化の関係を明示化した.
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出村 嘉史, 川崎 雅史
2003 年 20 巻 p.
409-418
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
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本研究では、主に現地の観察と実測をもとに、近代の都市拡大期に誕生した吉田山北東部の数寄空間と住宅を組み合わせた領域の地形操作による空間構成と景観演出上の工夫を明らかにした。数寄空間である茂庵庭園では、丘陵地の傾斜をそのまま活かして広く沿路を張り巡らし、重要な視点場となる建築周辺の地形のみを立体的に造形し効果的に演出された。東下に隣接する谷川住宅群では、傾斜を段地にして住居を配置し、石垣と建築に挟まれ閉じた通路空間と、積極的に眺望を捉える石段で構成された。両者の改変した地形の上で建築と庭、通路の位置関係により景観が決定され、山居と住居のデザインに連続性を作り、自然から都市へ至る秩序が形成された。
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古賀 貴典, 坂本 紘二, 外井 哲志, 武林 晃司
2003 年 20 巻 p.
419-426
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
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公園整備等において, ワークショップ (以下, WS) が近年盛んに実施されるようになった. 福岡市南区の長丘中公園では, 全段階で住民参加のWSを重ね, 実際に利用しながら住民たちの意向に沿って進めていく非決定のプロセスプランニングの手法が採られた. 本研究は, プロセスプランニングの手法の有効性を示すことと住民参加WSの課題の明確化を目的としている. 本研究から, 合意形成には柔軟な対応が求められることなどが明らかになった. また, WSを普及させるためには適切な行政内部のシステム転換, WSの認知などが必須であるといえる.持続性のある進め方には, これからの公共空間の整備に必要とされる計画手法と技術の展開が示されている.
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寺嶋 大輔, 冨田 安夫
2003 年 20 巻 p.
427-432
発行日: 2003/09/30
公開日: 2010/06/04
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持続可能な都市づくりの必要性から, 都心磯能の再生や都心居住の促進が求められている. このような政策の促進によってどのような都市景観や建物空間が実現するかを事前に予測しておくことは重要である. 本研究では, 敷地別に建物タイプ (用途および階数) を予測する建物分布予測モデルを開発した. このモデルでは, 建物供給者は, 各敷地における期待利潤を最大化する建物タイプを選択するものと仮定し, これをロジットモデルによって定式化したものである. このモデルの主要変数である期待利潤は, ランダム付け値モデルによって与えられる. また, このモデルを用いた予測方法として, 建物立地分布の再現確率の最大化手法を提案した. 最後に, 名古屋都心地区においてモデルを推定し, 事後テスト (1991~1996) を行ったところ良好な結果が得られた.
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