本研究は新型コロナウイルス感染症によるチーム練習中断期間において,学生寮と実家の異なる居住環境が体⼒要素の変化に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.観察期間は2020年3-9月の7ヶ月で,ベースライン,2ヶ月間のチーム練習中断後,その後の追跡期間の3時点で体力要素を評価した.解析対象は学生寮群17名,実家群14名であった.なお,チーム練習中断期間中は,学生寮にはトレーニングエリアが設置され,両群共にチームスタッフから居住環境で実施可能なトレーニングプログラムの提供があった.その結果,学生寮,実家のどちらの居住環境においても体重,最大筋力,間欠的持久力はチーム練習中断期間で維持されていた.
日本臨床ポーツ医学会と日本アスレティックトレーニング学会が共同で発表したスポーツ外傷・障害および疾病調査に関する提言書にて定められた調査項目の完全性と妥当性を検証した.研究参加者は7つの架空のスポーツ外傷・障害・疾病症例に関して,提言書に定められた項目を回答し,収集した回答をもとに各調査項目の完全性と妥当性(回答の一致割合と検者間信頼性)を評価した.提言書で推奨された調査項目の完全性は高く,欠損のないデータを収集することに適していることがわかった.しかしながら,「疾病評価」や「疾病診断」の回答の一致割合や検者間信頼性は低かった(k=−0.11-0).
成長期に競技パフォーマンスが向上及び停滞した各事例について体力・運動能力の変化との関係について検証した.測定項目は形態・体格,身体組成,筋力・パワー,柔軟性を小学6年生から中学2年生の期間で計測した.筋力・パワーにおいて,パフォーマンスの向上事例では増加していたが,停滞事例では低下がみられた.成長期女子競泳選手のトレーニングにおいては筋力・パワーの向上も求められると考えられた.
健常成人を対象として,ヘッドバンドを用いた頭部への感覚刺激が身体定位能力,関節運動,身体運動に及ぼす影響を分析した.ヘッドバンドにより身体定位能力を示す点数は有意に増加した.また,頭部の自動回旋可動域,立位体前屈での指床間距離は有意に増大した.さらに前後左右に強弱部位をつけた特製のヘッドバンドの方が市販ヘッドバンドより頭部回旋運動や立位体前屈における改善効果は高い傾向にあった.ヘッドバンドにより頭部からの感覚入力情報が増し,身体定位能力を高めることで運動が改善したと推察した.
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