日本アスレティックトレーニング学会誌
Online ISSN : 2433-572X
Print ISSN : 2432-6623
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特集
原著
  • 榎 将太, 西山 亜由実, 﨑濱 星耶, 吉田 知史, 箱﨑 太誠, 倉持 梨恵子
    2025 年10 巻2 号 p. 83-89
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/05/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,運動連鎖の破綻に対し,体幹の先行収縮後にActive Straight Leg Raise (ASLR)を行う介入による効果を検証することを目的とした.本研究は介入前後で(1)ASLR,(2)Passive Straight Leg Raise (PSLR)の角度を測定した.介入群は体幹の先行収縮後にASLRを行う介入を実施し,対照群は5分間安静とした.群分けは無作為化し,測定者には盲検化した.PSLRとASLRの差が10°以上の場合を運動連鎖の破綻ありと判断した.介入前後の比較は,二元配置反復測定分散分析で検討した.運動連鎖の破綻ありと判断された対象者は74名中32名だった.介入群のASLRは有意に上昇した.体幹への先行収縮の促進を目的とした介入によってASLRの改善が認められ,リコンディショニングやスポーツ外傷・障害予防への応用が期待される.

  • 平松 勇輝, 眞下 苑子, 宝官 孝明, 太田 暁美
    2025 年10 巻2 号 p. 91-100
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/05/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,COVID-19パンデミックによる活動休止が大学男子サッカー選手の外傷・障害に及ぼす影響を明らかにすることを目的に,2019年(通常のシーズン)に対して,2020年および2021年(COVID-19の影響を受けたシーズン)における外傷・障害を比較した.外傷・障害発生率は,準備期で2019年に対して2020年(1.10/1000 PH)は有意に低く,2021年(7.28/1000 PH)は有意に高かった.外傷・障害の負担は,2019年に対して2020年が有意に低く,部位では,大腿部で2021年が有意に多かった.活動休止期間の長さと準備期での運動負荷の急増が外傷・障害発生に影響を及ぼした可能性がある.

  • 久保 誠司, 苫米地 伸泰, 長谷川 伸, 辰見 康剛, 西山 侑汰, 名頭薗 亮太, 国枝 結花, 笠原 政志
    2025 年10 巻2 号 p. 101-109
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/05/31
    ジャーナル フリー

    大学男子野球選手を対象に,重回帰分析を用いて,身長,体重,除脂肪量指数(以下,FFMI),メディシンボールバックスロー(以下,MBBT),メディシンボールサイドスロー(以下,MBST),握力がスイング速度(以下,SV)に与える影響について明らかとすることを目的とした.SVを従属変数,身長,体重,FFMI,MBBT,MBST,握力を独立変数として重回帰分析を行った結果,SVに有意な影響を及ぼす独立変数として身長,FFMI,MBBTが採択され(p<0.05),決定係数は0.493であった.以上の知見より,身長,FFMI,MBBTはSVの49.3%を説明する重要な体力因子であることが示唆された.

  • 山口 龍星, 若宮 知輝, 前道 俊宏, 劉 紫剣, 小川 祐来, 熊井 司
    2025 年10 巻2 号 p. 111-117
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/05/31
    ジャーナル フリー

    大学男女ハンドボール選手を対象に,ハンドリングキャパシティー(HC)とボール把持力の関連と①素手条件,②松脂条件,③両面接着テープ条件におけるボール把持力を性別ごとに比較検討した.女子選手では,HCとボール把持力に有意な正の相関関係が認められたが,男子選手では相関関係が認められなかった.ボール把持力は男女ともに両面接着テープ条件で最も高値を示し,素手条件と比較して両面接着テープ条件でボール把持力が高値であった.加えて,女子選手では松脂条件においてもボール把持力が高値であったことから,各手掌面条件は男女で考慮すべきであることが示唆された.

  • 名頭薗 亮太, 西田 智, 辰見 康剛, 西山 侑汰, 国枝 結花, 久保 誠司
    2025 年10 巻2 号 p. 119-124
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/05/31
    ジャーナル フリー

    本研究では健康な男子大学生を対象に,5 kmランニング後の足部内側縦アーチ(MLA:Medial Longitudinal Arch)の変化および足趾把持筋力とランニングによるMLAの変化との関連を横断的に検討した.その結果,5 kmランニング後に舟状骨高およびアーチ高率が低下し,足趾把持筋力とランニング前後におけるアーチ高率変化量との間に有意な正の相関関係(r=0.48)が認められた.このことから,ランニング障害予防のためには5 kmという比較的短いランニング距離においてもMLA低下を予防することが重要であることが示唆された.今後は,足部の機能向上を目的としたトレーニングがランニングによる MLA 低下に及ぼす影響について検討する必要がある.

  • 小船 尋渡, 久保 慶東, 泉 秀幸, 小山 浩司
    2025 年10 巻2 号 p. 125-130
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/05/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,上肢筋群を対象にフォームローリング(FR)が介入側および非介入側の最大筋力におよぼす影響を明らかにすることを目的とした.健常成人18名を対象とした.本研究における最大筋力は握力とし,ベースライン(BL),介入前(PRE),介入後(POST)に測定を行った.握力の測定は利き手・非利き手の順で行うことを1 setとし,計3 set行い,解析には最大値を用いた.FRは非利き手の前腕屈筋を対象とした.介入時間は30秒を3 set,set間の休息は30秒とした.介入側と非介入側ともにBLとPREに有意な差は認めなかったが,BL,PREと比較しPOSTが有意に低値を示した.FR介入直後は,介入側のみならず非介入側の最大筋力が低下する可能性が示唆された.

  • 刑部 純平, 山根 基, 箱﨑 太誠
    2025 年10 巻2 号 p. 131-138
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/05/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,肩関節後方筋群への振動フォームローリング介入および静的ストレッチング(スリーパーストレッチ)介入が,肩関節内旋可動域,指椎間距離,肩関節外旋筋力に及ぼす影響を経時的に比較検討した.本研究は,14名の健康な男子大学生を対象として,2条件のランダム化クロスオーバーデザインで実施した.その結果,90秒間のスリーパーストレッチおよび振動フォームローリング介入によって,肩関節内旋可動域と指椎間距離は介入前と比較して介入直後,介入15分後で有意に改善した(P<0.05).一方,肩関節外旋筋力は,介入直後の時点において,振動フォームローリング介入と比較してスリーパーストレッチ介入条件において有意に低い値を示した(P<0.05).90秒間の振動フォームローリング介入によって,肩関節外旋筋力の低下を引き起こさずに肩関節内旋可動域,指椎間距離が改善することが示唆された.

実践報告
  • 祁答院 隼人, 伊藤 譲, 大石 有希子, 二連木 巧, 佐藤 裕二, 増田 大聖, 杉澤 舜, 関口 真衣
    2025 年10 巻2 号 p. 139-148
    発行日: 2025/04/30
    公開日: 2025/05/31
    ジャーナル フリー

    クラブチーム下部組織に所属する競技者は,多忙な生活を送っており睡眠時間の確保には限界がある.また,女性では女性ホルモンが睡眠に影響を及ぼす.このような競技者のコンディショニングに対し,睡眠教育が有用とされている.本研究は,クラブチーム下部組織に所属する女性競技者を対象とし,試合期における睡眠教育が睡眠習慣や体組成,運動パフォーマンスに及ぼす影響を検討した.その結果,睡眠教育により,主観的な睡眠習慣の改善を認めた.また,体組成はタンパク質量を維持しつつ脂肪量が減少した.睡眠教育は,競技者に対して睡眠の認識を高め,コンディショニングに影響する可能性がある.

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