AI・データサイエンス論文集
Online ISSN : 2435-9262
2 巻, J2 号
選択された号の論文の106件中101~106を表示しています
  • 白澤 元気, 加古 真一郎, 中村 啓彦
    2021 年 2 巻 J2 号 p. 893-901
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/17
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,平成30年7月豪雨と令和2年7月豪雨を気象事例とし,Long Short-Term Memoryを用いて鹿児島市の1時間後の降水量予測を行った.本モデルを訓練する際,クラスター分析の結果に基づいて,学習データである気象庁の地上気象観測値を選定し,集中豪雨イベントの再現に対するこの有効性を検討した.その結果,学習データの選定は,集中豪雨の時間変動とピーク雨量の再現に有効であった.また,学習データに使用する観測点が増えすぎると,降水ピークの過小評価につながることも示された.本モデルの予測精度は,上記二つの豪雨事例において,気象庁メソ数値予報モデルと領域大気モデルの予測精度を上回ったものの,降水予測が 1時間遅れる傾向にあり,これは使用データの選定のみでは解決しなかった.

  • 長木 雄大, 森崎 裕磨, 藤生 慎, 高山 純一
    2021 年 2 巻 J2 号 p. 902-909
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/17
    ジャーナル オープンアクセス

    近年,我が国で頻発する大規模災害において,特に高齢者をはじめとした避難行動要支援者の人的被害が著しい.水害は災害の進行速度が比較的緩やかであるため,被害が拡大する前の早期避難が実現すれば人的被害を大幅に軽減することが可能である.一方で,指定されている避難所に浸水が見られるといった課題も挙げられている.被害軽減には,浸水リスクのある避難場所を詳細に把握することは重要である.そこで本分析では,石川県小松市梯川における複数の想定破堤点から氾濫した際のケーススタディとして,破堤からの時間経過を追った避難所の安全性に関する検討を行った.その結果,石川県小松市を流れる梯川の任意の破堤点から破堤した際に,32箇所存在する避難所のうち15箇所浸水が至ること,内8箇所に1mを超える浸水が至ることを明らかにした.

  • 松岡 佑樹, 藤生 慎, 高山 純一
    2021 年 2 巻 J2 号 p. 910-916
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/17
    ジャーナル オープンアクセス

    2016年4月14,16日に発生した平成28年熊本地震において,本震により建物倒壊や道路閉塞が生じ,度重なる余震により被災建物が倒壊し被災者が下敷きとなり,多数の被災・死者が発生した.このような事例から,2次災害を抑制するためには,発災直後迅速に被害状況を把握する必要がある.

    そこで,本研究では赤外線カメラ及び可視光カメラを搭載した小型無人機(UAV)で被災建物を撮影し,撮影した映像から建物の被害を把握することを目的とした.本稿では赤外線カメラによる建物被害の把握について述べる.被災建物データは平成28年熊本地震による被害が顕著に現れている熊本県益城町から得た.画像処理ソフトPhotoshopを用いて撮影した建物データの分析を行った.その結果,被災建物の被害は赤外線カメラを用いて把握することが可能であることが明らかとなった.

  • 松村 真一郎, 峯 啓一郎, 佐藤 由子
    2021 年 2 巻 J2 号 p. 917-925
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/17
    ジャーナル オープンアクセス

    H8総点検以降,崩壊・落石の道路防災点検箇所(以下,要注意区間)が設定され,重点的かつ集中的な防災対策により落石事故は大きく減少しているところである. しかし, 山間部の道路では小規模な落石は頻発しており,重大事故に至らないまでも物損事故や道路通行止めが発生している.本研究では,ドライブレコーダーの映像から側道や落石防護網内に留まっている落石をAIを利用した方法でカウントし,累積傾向から落石が進捗する道路区間(以下,落石進捗区間)を特定する方法について検討した.

  • 村 一翔, 藤生 慎, 高山 純一, 芹川 博, 高瀬 浩一, 山本 和久, 南 貴大, 森崎 裕磨
    2021 年 2 巻 J2 号 p. 926-932
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/17
    ジャーナル オープンアクセス

    現在高速道路では,大規模な改修工事が行われている.高速道路の改修工事に伴い,工事区間における車線規制を行う必要がある.ドライバーは工事区間による車線規制に伴い,車線変更を余儀なくされる.そこで道路事業者各社は,工事区間前方より,標識などを用いた注意喚起を行っている.しかし近年,工事区間による車線規制に気づかない,もしくは気づくのに遅れ工事区間に突入してくる車両が多数発生している.どのような標識の設置方法であればドライバーに確実に車線変更の必要性を認知させ,安全に車線変更をさせることができるかの検証を行う為には,様々な標識設置パターンを用いて繰り返し実験を行い評価することが必要不可欠である.しかし,実際の道路で様々な標識設置パターンを繰り返し実験するには,コストや安全面などの多くの問題がある.そこで本研究では,ドライビングシミュレータを用いて安全かつ効率的に,標識の効果検証を行った.

  • 三浦 奈都, 宮本 崇, 天方 匡純, 安野 貴人, 石井 明
    2021 年 2 巻 J2 号 p. 933-943
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/17
    ジャーナル オープンアクセス

    防災上重要となるダムの高水予測には,物理モデルに加えて深層学習に代表される統計モデルも近年は活用されている.本研究では流入域における観測・予測雨量を入力としてダムへの流入量を予測する深層学習モデルを作成し,パラメトリックスタディを通して適切な入力情報について検討した.また,予測雨量の不確実性やモデル誤差が出力値に与える影響を表現する手法として,ベイジアンニューラルネットワークの利用を提案し,その有効性を検証した.数値実験からは,ベイジアンニューラルネットワークでは学習データの多寡に応じた出力値の不確実性を出力の信用区間に反映しており,学習範囲で稀に発生する極端な降雨による流入量も予測範囲に収めることが出来ることが確認された.

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