形態・機能
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原著論文
  • 谷 明, 藤川 寿史, 中西 和毅, 高田 聖也, 則松 貢輔, 大塚 章太郎, 宮崎 雅司, 榊間 春利
    2019 年 18 巻 1 号 p. 2-8
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/09
    ジャーナル フリー

    腹部深層筋の収縮は胸腰筋膜を介した腰椎の剛性の増加や腹腔内圧の増加に関与し、姿勢保持や腰椎の安定性に重要な役割を持っている。本研究は超音波診断(エコー)装置を用いて、側腹筋の加齢変化と腰椎術後患者の安静、Draw-in、頭部挙上における側腹筋筋厚変化を調べることを目的とした。手術目的で当院に入院した中高年期の男性腰椎変性疾患患者13名(腰椎患者群、平均年齢:67歳)を対象とした。また、加齢による体幹筋変化を調べるために健常若年男性10名(若年者群、平均年齢22歳)を対照とした。エコー装置を用いて腹横筋、内・外腹斜筋の筋厚を計測した。腰椎患者群は術前、術後2日、術後7日に計測を行った。加齢による変化では、腹横筋筋厚に大きな変化は認められなかったが、安静時外腹斜筋は腰椎患者群で約51%有意に低下していた(p=0.0001)。中高年期の腰椎患者群は若年者と比較して脂肪組織や非収縮性組織が増加しており、その傾向は深層筋より表層筋に著明であった。術前術後の変化では、安静時腹横筋筋厚は術前と比較して術後7日で約17%有意に低下していた(p=0.012)。術後のDraw-in、頭部挙上により腹横筋、内腹斜筋の筋厚は増加した。本研究は、側腹筋の加齢変化が深層筋より表層筋に顕著であり、Draw-inや頭部挙上は表層筋より深層筋を活性化させることを示した。また、腰椎術後患者は手術侵襲や安静による活動量の低下により術後早期に腹横筋の萎縮を生じる可能性があることを示唆した。

  • 川畑 龍史
    2019 年 18 巻 1 号 p. 9-19
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/09
    ジャーナル フリー

    人体の構造と機能を学ぶ学問は、医療専門職(コ・メディカル)領域における重要かつ必須科目である。人体は膨大な細胞および体液や間質からなるが、それらが多様な割合で混ざり合うことで組織、臓器・器官ができ、さらにそれらの機能的な集まりが系統別の器官系をなし、すべての器官系の集合体が人体である。ところで、人体を構成する組織は大きく4つに分類される。すなわち、上皮組織、支持組織(結合組織)、筋組織、神経組織である。この中でも支持組織(結合組織)は、教科書によって分類法や用語・所在に多様な記載がなされ、標本や模型を用いた学修も困難なことなどから、学修者にとって非常に理解し難い概念である。このような解剖学用語を理解するには、実際に生物の解剖を行い、直に形態を観察することがのぞましい。人体解剖の見学実習や動物解剖は、直に形態を観察できる非常に教育効果の高い取り組みである。しかし、実施には多くの条件や準備、コスト、学生への特段の配慮が必要になるなど、取り組む際のハードルは非常に高い。そこで、本稿では、支持組織の特に結合組織の理解を促す方法として、ニワトリの手羽を材料とし、解剖を行い、その有用性を検討した。その結果、手羽の解剖から支持組織(結合組織)に含まれる組織種の多くが観察でき、また、解剖や剖出作業を通じて組織間を強固にあるいは緩やかに連結する支持組織(結合組織)の質感も感じ取ることができた。さらに、結合組織に含まれる数種の組織間比較を行えば、各々の構造的差異が明確となり、病理・病態への理解につながる知見を得ることもできた。以上より、ニワトリの手羽は、結合組織を理解するための良き生物教材になり得るといえる。

  • 向井 加奈恵, 大貝 和裕, 小林 正和, 上田 映美, 中島 由加里, 中谷 壽男
    2019 年 18 巻 1 号 p. 20-30
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/09
    ジャーナル フリー

    性周期に伴うホルモン変動が女性の痤創発生の主要因であるとされているが客観的根拠が不足している。また、皮膚生理機能が痤瘡患者では低下すると言われているが、性周期における皮膚生理機能変化については明らかとなってはいない。従って、性周期におけるプロピオニバクテリウムアクネス(P. acnes)量の縦断的変化及びP. acnes量と皮膚生理機能の関係について明らかにすることを目的とした。成人女性6名の左頬部で翌月の月経開始まで2-3日毎に、皮膚細菌を採取するとともに経皮皮膚水分蒸散量(TEWL)、皮脂量、角質水分量と皮膚pHを測定した。P. acnes相対存在量は、ピークが月経開始後14日目以降に生じた後、2-3日後に急激な減少が生じる傾向が示された。痤瘡が観察された1名は、P. acnes相対存在量のピーク後に痤瘡の出現が観察され、Locus3の相対量も増加していた。P. acnes相対存在量とTEWLに弱い正の相関(r=0.28)、P. acnes相対存在量と角質水分量に中等度の負の相関(r=-0.66)がみられた。以上の結果より、性周期の後半においてP. acnes量の急激な変化が生じていること、また皮膚生理機能の低下に伴いP. acnes量が増加することが明らかとなった。従って、皮膚生理機能の向上が痤瘡発生予防には必要である可能性が示された。

  • 柳原 衞, 小橋 基
    2019 年 18 巻 1 号 p. 31-39
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/09
    ジャーナル フリー

    咽頭・喉頭を支配する上喉頭神経求心性ニューロンの興奮により胃近位部弛緩が生じる。この弛緩に、非コリン性・非アドレナリン性(non-adrenergic and non-cholinergic: NANC)伝達が関与する可能性を組織学的手法を用いて検討した。あらかじめ腹腔内にfluorogold(FG)を投与し、上喉頭神経を電気刺激したラット延髄の切片を用いて、抗c-fosおよび抗FG抗体の酵素抗体法による二重免疫染色を行った。c-fos免疫陽性細胞は刺激と同側及び反対側の背側迷走神経複合核群(孤束核、最後野、迷走神経背側運動核)及び腹外側部に認められた。迷走神経複合核群のc-fos陽性細胞は、閂の吻側から尾側の広範囲で観察された。迷走神経節前線維の細胞体を含む迷走神経背側運動核では、FGにより逆行性標識された細胞のいくつかにc-fos免疫陽性細胞が観察された。あらかじめ胃壁にFGを注入し上喉頭神経を電気刺激したラットの延髄切片を用い、抗c-fosおよび抗FG抗体の酵素抗体法による二重免疫染色を行った。この標本でも、迷走神経背側運動核内にc-fos免疫陽性細胞とFGによる二重標識細胞が観察された。さらに、胃壁にFGを注入したラットの上喉頭神経を電気刺激し、延髄切片の蛍光免疫染色をおこなった。FGにより逆行性に染色された細胞に、抗c-fos抗体および抗一酸化窒素合成酵素(NOS)抗体を用いて蛍光免疫染色をおこなった結果、FGで逆行性に標識され、かつNOS免疫陽性を示すとともにc-fos免疫陽性を示す細胞が迷走神経背側運動核の尾側部に観察された。これらの結果から、胃に投射する迷走神経背側運動核ニューロンの一部は上喉頭神経刺激で興奮し、胃弛緩をもたらしていることが示唆された。迷走神経背側核には、一酸化窒素(NO)を介してNANC壁内ニューロンとシナプス結合する節前ニューロンの細胞体が存在することが知られているので、NANC伝達が上喉頭神経由来の胃弛緩に関与する可能性も示された。

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